こんにちは。生物の話が好きな あさよるです。今日読んだのは『ゾウの時間ネズミの時間』。Amazonランキングでタイトルを見つけて、めっちゃ気になっていました。種類は違えどみな〈生きもの〉。生き物ですから形が違っても棲み処が違っても、同じような性質を持っているのに驚きでした。
生物のフシギな話
本書『ゾウの時間ネズミの時間』はタイトルのゾウとネズミの時間の話題から始まって、生物に関する科学的なコラム集と言ったところ。空いた時間にページをめくると次の瞬間、知的好奇心がかきたてられる読書です。
「ゾウの時間ネズミの時間」とは、みなさんもゾウもネズミも一生のうち心臓の鼓動する回数が大体同じという話を聞いたことがある方は多いかも。
体が大きい動物は長生きをしますが、小さな動物は寿命が短い。小さな動物はすぐに死んでしまいますが、体が小さいから隠れやすい。そしてどんどん繁殖するから進化も起こりやすい。大きな動物は体が大きいから外敵に襲われないが、進化の袋小路に入った状態だそう。
面白いのは、天敵のいない島では、ゾウは体が小さくなり、ネズミは体が大きくなる。これは、ゾウは体を大きくしなくても生き延びれるから無理をせず小柄になってゆく。一方ネズミも隠れなくていいから体が大きいものが生き残ってゆく。結果、巨体な動物はおらず、小さな動物もいなくなる。これを、島国である日本人に当てはめているのも面白い。日本は島国なので、飛びぬけた天才もいないけれども、市井の人たちもそこそこ頭がいい。大きいものもいないが、小さいものもいないってこと。
移動コストについての章が あさよる的に面白かった。どうして車輪を持つ生物はいないのか? 車輪は移動効率が良いけれども、インフラ整備があってこそ。タイヤはガタガタの道や段差、穴があったらお手上げなのです。車輪は移動コストが断トツ低いのですが、そのためのインフラ整備が莫大だそう。
こんな感じで、様々な生物が登場します。哺乳類だけでなく、昆虫や植物や魚や。
ヒトも生物であると実感!
本書『ゾウの時間ネズミの時間』を読んでいると、他の人間も他の動物と同じように移動コストや、一つの細胞に必要なエネルギーや、運動効率の上にいるんだと実感。ヒトは地上の動物の中では大きい方で、体が大きいとその体を支えるだけでヘトヘトに疲れてしまいます。水の中をクルクルと泳ぎ回るイルカが羨ましい!
歩いたり走ったり生きているのも、実は生物学的に理由があるのね。面白かった。
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学
目次情報
第一章 動物のサイズと時間
サイズによって時間は変わる
心拍数一定の法則?第二章 サイズと進化
コープの法則
大きいことはいいことか?
島の規則第三章 サイズとエネルギー消費量
標準代謝量――基本的なエネルギー消費量
表面積と体積
3/4乗則――生命の設計原理
ヒトのサイズ・現代人のサイズ第四章 食事量・生息密度・行動圏
大きいものは大食らいか?
食うもののサイズ・食われるもののサイズ
ウシを食う贅沢――成長効率の問題
動物の生息密度
行動圏の広さ第五章 走る・飛ぶ・泳ぐ
サイズと速度
走るコスト
飛ぶコスト・泳ぐコスト第六章 なぜ車輪動物がいないのか
車社会再考
ひれ vs. スクリュー第七章 小さな泳ぎ手
鞭毛と繊毛
低レイノルズ数の世界
スパスモネームとレイノルズ数のトリック
拡散が支配する世界第八章 呼吸系や循環系はなぜ必要か
肺も心臓もない動物
ヒラムシはなぜ平たいか
ミミズはヘビほど太くなれるか?
呼吸系第九章 器官のサイズ
心臓と筋肉
脳のサイズ
骨格系第十章 時間と空間
生理的時間と弾性相似モデル
時間と空間の相関第十一章 細胞のサイズと生物の建築法
細胞のサイズ
植物の建築法・動物の建築法第十二章 昆虫――小サイズの達人
クチクラの外骨格――昆虫の成功の秘訣
期間の威力・脱皮の危険
食べる時間と動く時期――一生を使いわける第十三章 動かない動物たち
サンゴと木――光の利用者
群体――ユニット構造の利点
流れの利用者第十四章 棘皮動物――ちょっとだけ動く動物
ウニの棘とキャッチ結合組織
ヒトデの外骨格的内骨格
クモとヒトデの自切とユニット構造
進化と支持系
棘皮動物の謎
棘皮動物のデザインあとがき
付録
本川 達雄(もとかわ・たつお)
1948年(昭和23年),仙台に生まれる.
1971年,東京大学理学部生物学科(動物学)卒業.東京大学助手,琉球大学助教授(86年から88年までデューク大学客員助教授)を経て,91年より東京工業大学理学部教授.理学博士.専攻,動物生理学.
著書「サンゴ礁の生物たち」(中公新書,1985)
「細胞のバイオメカニクス」(共著,オーム社,1990)
「Biology of Echinodermata」(共編者,Balkema,1991)
コメント
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