『方向オンチ矯正読本』|なぜ地図が読めない?目印はどれ?

こんにちは。地図を熟読する あさよるです。年末に京都に行こうかなって計画し始めて、連日Googleマップを熟読しております。ストリートビューで歩き回っています。こんな性分なので「方向オンチ」ではありません。しかし、うっかり者ではあるので、たまにあり得ないくらい盛大に道を間違えることはあります。これは事前準備不足だと反省しつつ、間違って歩いた道程は貴重な資料として反芻しています。

こんななので、自称方向オンチな人に悩まされることが多く、彼らが何を考えているのか知りたくて『方向オンチ矯正読本』を手に入れました。ちなみに悩みとは「スケジュールを丸投げされる」「遅刻で長時間待たされる」こと。自称方向オンチさんは、一体何がひっかかって時間がかかるのか分からなかったので、良い勉強になりました。

方向オンチは治る?

本書『方向オンチ矯正読本』の著者・北村総一郎さんは「方向音痴改善レッスン」をしておられ、大阪を中心にセミナーも開催しているそうです。レッスンで方向オンチ改善って治るの?てか、そんなレッスンがあるんだ!という、これだけでも面白い。

どうやら、方向オンチは訓練で改善するようです。目で見て聞いて感じた情報を、うまく立体的に記憶ができないことで、あらぬ方向へ歩いて行ったり、地図が読めないということも起こるようですね。

ちなみに昔『話を聞かない男、地図が読めない女』という本がありましたが、方向オンチレッスンをやっていると、方向オンチに男女差がないと気づいたと紹介されています。むしろ、方向オンチであることで困ってレッスンに来る人は男性の方が多いそうです。で、遺伝も関係ないそう。

じゃあ、「方向オンチ」ってなによ? ……ズバリ、環境が方向オンチを作っている!

日本は「方向オンチ」大国だそうです。外国では方向オンチは「自分のコントロールができない」とネガティブな印象らしく、「方向オンチキャラ」としてキャラ立ちしてしまう日本とは大きく環境が違います。日本人は「方向オンチが多い」のではなく、「方向オンチを自称する人が多い」ということですね。かつ、日本ではパソコンやスマホを駆使し、狭い国土に密集して暮らしているので、環境が複雑で高層化しやすいことも原因かと。

脳内の記憶回路をつくれ!

さて、方向オンチ克服法。簡単にステップを紹介すると、「地図を〈見る〉から〈読む〉へ」「目印のつけ方」「脳内マップを構築する」「脳内マップを紙に書く」。さらに「自分で書いた地図を本物の地図に落とし込む」までできれば上々。

一つずつ要素を見てゆきましょう。

地図を読む、目印を覚える

まず「地図を〈読む〉」という概念を知る。NOT方向オンチさんは地図から情報を読み取って頭の中でイメージしているのです。言うが易しって感じですが、頭で考えるよりも感情を働かせ「体感」しましょう。

地図を見る時、地図の世界に自分が入り込んだ様子を想像して、地図の中の自分が見ている情景を思い浮かべましょう。人形の自分がマップ内を歩き回っている様子。RPGゲームの世界のキャラクターを動かしているような感じかな?

地図を読む、という行為は、次の3つのパートに分けられます。
①地図を見て、全体の中から、自分が目的地にたどり着くのに必要な情報を抽出する
②抽出した情報を、頭の中でビジュアル化(仮想化)する
③目的地にたどり着くまでの行程をシュミレートしたのち、目的地に向かう

p.86

②では、地図の情報だけで景色をイメージできるようにします。平面の記号をリアルな世界に変換する能力ですね。実際に自宅の近くなど街の中を歩きましょう。慣れてきたら知らない街でも試します。

道程の目印、ここでは〈アンカー〉と呼ばれていますが、アンカーを適切に設定します。

「自分が好きなもの」「興味のあるもの」をアンカーとします。ここでは主観が大事で、他人の価値観は不要です。自分がアンカーだと思えばアンカー。好きなこと、興味のあることは「覚えよう」としなくても、勝手に頭に入ってきます。そして、好きなこと興味のあることは何回も繰り返し考えてしまうので、脳の記憶に定着しやすいんです。

そして、道を曲がる時のアンカーが大事!帰りは、行きに打ったアンカーを確認します。

脳内マップを作る

アンカーを使いこなせるようになったら、脳内の地図を紙に書き出します。

①アンカーが反映された、脳内マップを作成する
②本物の地図と比べる
③完成したマップを携えて、答え合わせのために、もう一度同じ道を歩く
④必要、もしくは不要な情報を修正し、精度を上げて本物の地図に近づけていく

p.134

これだけ見ると「難易度たけー」と若干ビビってしまいましたが、そういえば あさよるも昔、毎日せっせと地図を書いて、本物の白地図と見比べて、再び同じ道を歩いて……という活動をしていたことがありました。あさよるが方向オンチをじゃないと自任しているのは、このへんの経験からなのかもしれません。

これ、やってみるとなかなか楽しいし、旅先なんかだと思い出になるしオススメ。

上手な道の迷い方

本書が親切な本だなぁと思うのは、最後に道に迷った時の対処法まで網羅されているところ。誰だって道に迷います。方向オンチじゃない人も、迷うんです。だから「上手な道の迷い方」。

方向オンチさんの中には、道に迷ったと気づいていても立ち止まるのが怖くてズンズン歩いてしまう人がいるそうです。だめ!アレ?と思ったら立ち止まる!落ち着いてから来た道を、記憶を巻き戻す様に思い出します。記憶法を身につけていれば大丈夫です。

そもそも、迷いやすい道は避け、わかりやすい道を選ぶことも大切です。これは事前に、地図を見て景色をイメージする力と、アンカーの設定の仕方がマスターしておれば大丈夫。

あと、便利なアプリを使おうw

自称「方向オンチ」のナゾがわかる!?

本書の面白いところは、方向オンチさん本人だけでなく、方向オンチじゃない人も役立つだろうとことです。すなわち「方向オンチはなぜ道に迷うのか」と逆説的な答えがおぼろげながら見えてくる。きっと方向オンチじゃない人からすれば「方向オンチ」という状態が存在すること自体がナゾじゃないかと思います。

正直に言うと「自称方向オンチ」ってただのズボラで無責任なだけじゃないのか?と思ってさえいました。だって、彼らの遅刻の言い訳がサッパリ意味が分からないから。

あと、ハッと気づいたのは「迂回ルートしか知らない人は、最短ルートを意識しない」という事実。だから盛大に大回りしたって、それが「その人にとっての最短ルート」なのかもしれない……!

方向オンチの人は、脳内で立体的に空間を把握、記憶するのが苦手で、訓練で上達するってことはわかりました。だから辛く当たらないで、じっくりとサポートする方に回った方がよさそうね。

あと、著者の北村壮一郎さんの方向オンチ克服セミナーも気になります。誰かレポよろ!

地図をグルグル回しても 全然わからない人の 方向オンチ矯正読本

目次情報

方向オンチさんのための、巨大ターミナル駅攻略指南
はじめに

第0章 あなたの方向オンチ度は?今日も彷徨う方向オンチの世界

0-1 あなたはどのくらいの方向オンチ?
0-2 私が出合った、愉快な方向オンチの仲間たち
0-3 世界初?!方向オンチの「強制」読本とは?

第1章 方向オンチ=遺伝はウソ?あなた自身が作り出している方向オンチ

1-1 父が方向オンチなら、私も?実は、遺伝とほとんど関係ない
1-2 方向オンチは現代病?地図があるからこそ「迷う」
1-3 「世界共通」ではなかった?日本はなんと、方向オンチ大国
1-4 方向オンチは人を選ばず。成功者でもなる方向オンチ
1-5 実は差が無かった!「方向オンチといえば女性」は間違い
1-6 「記憶」がカギ?方向オンチの原因は、脳の鍛え方にあった
1-7 鍛えよう!方向オンチの脳は、ぶよぶよの体と同じ
1-8 方向の達人的脳の使い方は、飛び込んでくる情報の「仕分け」

第2章 もうイライラとはサヨウナラ!あなたも地図が読めるようになる

2-1 同じようでも全然違う。地図は「見る」ものではなく、「読む」もの
2-2 方向オン卒業の目標は、「地図が読めるようになる」こと
2-3 客観性がキモ。地図をクルクルと回すものではありません
2-4 地図が読めないのは、書いてある情報と現実がリンクしていないから
2-5 地図が読めるようになるための、2つのお助けツールとは

第3章 方向オンチ克服トレーニング:「アンカー」を使って街を歩く

3-1 「逆翻訳」で、方向オンチ克服の第一歩を歩みだそう
3-2 街歩きでアンカーを使う3ステップ
3-3 アンカーには、「興味があるもの」「大好きなもの」を選ぼう
3-4 他の人に影響されて決めたアンカーは、うまく働かない
3-5 道を曲がる時、「過去」と「未来」にアンカーを打つ
3-6 アンカーは、「覚えようとしない」こと
3-7 一度長期記憶に入れば、いつでも思い出せる
3-8 街へ繰り出す前にいったん、ポイントをおさらい
▼方向オンチ矯正メソッドを試してみて

第4章 方向オンチ克服のトレーニング:「脳内マップ」で記憶を形にする

4-1 打ったアンカー、目に見える形にする「脳内マップ」
4-2 必要なのは色とマジックとスケッチブックだけ!地図を書いてみよう
4-3 覚えていることを、自由に描き入れよう
4-4 「自由に」と言われると、かえって戸惑ってしまう人へ
4-5 描いた地図を見ながら、頭の中でもう一度街歩き
4-6 脳内マップと本物の地図を近づけていくために
4-7 完成したマップを携えて、答え合わせのためにもう一度同じ道を歩く
4-8 必要、もしくは不要な情報を修正し、本当の地図に制度を近づけていく
4-9 脳内マップクリア!でも本当に身につけるには、継続することが大事
▼方向オンチ矯正メソッドを試してみて

第5章 方向オンチ克服のトレーニング番外編:それでも迷ってしまったら

5-1 迷ったって別にオーケー。スムーズに軌道修正できればそれでいい
5-2 迷ったら「動かず立ち止まって深呼吸」。そして?
5-3 最初から迷いやすい道を選ばないという予防も大事
5-4 実はいちばん手っ取り早くて確実、人に道をたずねてみる
5-5 頼りになるスマホ、その使い方の注意点
5-6 方向オンチが治るわけではないが、頼りにしたいアプリ
▼方向オンチ矯正メソッドを試してみて

第6章 実は、方向オンチで得をしていることだってある

6-1 幸せな人ほど、方向オンチになる?
6-2 人に頼ることができるのも、才能のひとつ
6-3 方向オンチでも、あなたの人生が終わるわけではない
6-4 とことん方向オンチを楽しむという選択もアリ
6-5 必要がなければ、治さなくても構わない

実は…著者でも迷うことがある

北村 壮一郎(きたむら・そういちろう)

1974年大阪府生まれ、AB型。
ミッツカール代表。
趣味は旅行、温泉、神社巡りなど。
幼少期より、鉄道地図を眺めたり、地下鉄の路線図の駅名を覚えたりするのが好きで、学生時代には鉄道でヨーロッパを単身旅行し、地球の広さを体感する。
25歳の時に、ハワイでスキューバダイビングインストラクター資格を取得、海中ガイドとして活動を始める。そこで、水中のナビゲーション技術を学び、独自の地理的センスを身につける。
39歳の時に、方向オンチの改善メソッド作成をひらめき、研究に着手。その1年後「ミッツカール 方向感覚がよくなるレッスン」を開始。
現在は、方向オンチレッスンの他、脳科学と心理学のセミナー開催など、日本各地で活動中。

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