仕事術・整理法

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』|結構分厚く細かなライフハック本

Getting Things Done 略して「GTD」!

ライフハックの定番、押さえておきましょう~^^

電子書籍化されてないけど…手元に置いておきたい

この『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』は、以前によく書店で見かけたことがありました。学生の頃だったか……なかなか書籍費が捻出できず、書店で何時間もウロウロと立ち読み……というか、パラパラと雑誌や書籍を手に取っては棚に戻していました。

さて、月日は巡って『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』は、当初Amazonのランキングで発見。しかし、電気書籍化されておらず、なかなか手が出ませんでした。

今回、たまたま地元の図書館で所蔵されていたので、手に取れた次第です。しかし、内容は時間をかけてGTDしてゆくものですし、表紙のデザインもいい感じなので、やっぱり紙の本で手元に置いておきたい一冊でした。

Getting Things Done!

「GTD」とは「Getting Things Done」の頭文字を取った言葉です。

やるべき仕事って放っておくとどんどん増えてって、頭の中がいっぱいになってしまいます。業務内容だけでなく、免許証の更新だったり、歯医者の予約を取ったり、洗車をして、家族と買い物に出て……。家族を持っている人は余計に、私生活まで慌ただしく過ごしておられるでしょう。

「てんやわんや」という言葉のてんやわんやさは秀逸だと言っていたのは、よしものばななだっけか……(不確か)。まぁ、現在の社会人たちはみんな、多かれ少なかれ“てんやわんや”なのです。

そこで「GTD」!仕事をDONE!するためのライフハックなのですが、GTDをすると頭の中を空っぽにして、心が澄んだ水のようになるんです。澄んだ水ってなんだ?って話ですが、いわゆる「ゾーンに入る」って状態なんですって!憧れちゃう!

GTDする手順を細かく紹介

まず、頭の中を空っぽにする方法です。

それは、頭の中をぜーんぶ書き出しちゃう!書き出して、とりあえず「inbox」に放り込むのです。この『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』では、紙にペンで書き出していますが、今だったらEvernoteでOKでしょう~。

そして、GTDのために必要なアイテムも箇条書きで紹介されています。

  • 書類受け
  • 手帳やノート
  • パソコンのメモ帳
  • 音声記録ツール
  • メール
  • その他のハイテク機器

どれもすでに机の上に揃っているものかもしれませんね。ということは……今すぐ始められる!

また、お気に入りのステーショナリーでテンション挙げてゆく方向が推奨されていました。

これらの道具を用いながら、GTDでは5つのステップを確実にこなしてゆきます。

どのような職種であれ、どの国にいようとも、この5つのステップは順を追って確実にこなされていなければならない。

①「気になること」すべてを1箇所に「収集」する。
②それぞれの意味と何をすべきかを明らかにする「処理」を行なう。
③その「処理」の結果を「整理」する。
④それらの行動の選択肢を「レビュー」する。
⑤選んだ行動を「実行」する。

デビッド・アレン『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』p.43

この次の行が刺さりました。

 原理は明快だし、誰もが仕事でこうしたことをやっているだろう。ただ、私の知る限り、ほとんどの人はそれぞれのステップをかなりいい加減に行っている。

デビッド・アレン『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』p.44

そう、先の「収集」「処理」「整理」「レビュー」「実行」、以上5つのステップは、多くの人が踏んでいる、ありきたりなものです。しかしながら、同時にこれを疎かにしている人が多い!

5つのうちのどれか1つでも蔑ろにすれば、他のステップの精度も落ちてしまいます。しっかりと一つずつ丁寧にこなしてゆくのが大事!

丁寧にやってゆくのが大切なので、今すぐに、スピーディーにこなしてゆく必要はありません。まずは、「収集」をしinboxに放り込んで、時間ができるまで置いておいてOK。焦る必要はありませんが、きっちりやってゆくのが大切なのです。

簡単にいえば「収集→処理→整理→レビュー→実行しようぜ!」

と、本書『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』で紹介されるライフハックはとってもシンプルです。

極端に言っちゃえば、「収集」「処理」「整理」「レビュー」「実行」しようぜ!そのための方法を教えちゃうよ!って内容です。

結構分厚い本で、行動のリストややるべきことなど、かなり事細かに紹介されています。

定番本は一読しておいていいと思う(^^♪

どうやらこの「GTD」の考え方って、もうスタンダードになっているようで、今読んでも、発表当時の真新しさは実感しにくいかも。他の書籍やライフハックとして知れ渡っているからです。

だからこそ、一度は目を通しておくとよい内容だと思いました。「定番本」って、内容の新旧はともかく、一度読んでおくと他の本も読みやすいように思います^^

あさよるのダメダメを図星されたΣ(・ω・ノ)ノビクッ

さて、GTD、あさよるもここで書かれている内容は、断片的に他の本でも読みました。

だけど、これだけまとまっていて、ボリュームのある本は初めてかも。

「収集」「処理」「整理」「レビュー」「実行」というステップも、あさよる自信「やらなきゃ…」って思い詰めるほど、しないといけない事柄が山積みで……。

山積みになると、ますます億劫になって手を付けられないんですよね……まさにその現象も本書内で指摘されていて、ドキッとしました。

必要な道具は揃っている!今すぐやろう

頭の中を書き出すって、よくいろんな本で書かれていることです。

で、本を読んだら一応、やるんですよ。紙とペンを持って。だけど、その内容を管理してなかった……orz 管理しなさいって何度も『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』で書かれていて、こちらも胸が痛い……。はい、やります……。

ライトに知りたいならネットで、深く知りたいなら本で

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』、読めば、「これ知ってる」「ライフハックorビジネスブログで読んだことあるし~」なんて思われるでしょう。

それくらいスタンダードな内容の書籍です。

また、「GTD」を検索すれば、詳しく手法を紹介したブログもたくさんあるようです。日本語で情報が得れるので、簡単に済ませたい人は、親切なブログを探すのも一つでしょう。

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』は、この手のライフハック本にしては分厚くて文字も細かい方だと思います。しかし、内容はすでに知っているものもあるでしょうから、読書時間は見た目よりは短いかと思います。

GTDについてライトに知りたいなら、ネット上の無料の情報でも十分だと思います。

しかし、しっかりと Getting Things Done したいなら、『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』、面倒でも一読するのがオススメです。

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速さは全てを解決する—『ゼロ秒思考』の仕事術

だらだら時間つぶしてない?

スピードアップをしてみませんか。

著者・赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考』がきかっけ

赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考』を読み、シンプルで力強く心強い「ゼロ秒思考」法に触れました。

「ゼロ秒思考」の核にあるのは、頭の中のものをどんどん書き出すことで考えを“見える化”し管理しようというものです。

ゼロ秒思考の方法自体はシンプルで簡単なものなのですが、これを続けることで確実に思考の変化があるはずだと感じ、ワクワクとともに、面白く思いました。

そこで、同著者のほかの本も読んでみたいと思い、『速さは全てを解決する』を手に取りました。

スピードが、「質」も「やる気」も連れてくる

↑このキャッチコピーは『速さは全てを解決する』のカバーの袖の部分に書かれていました。この一言で、この本の内容が詰まっているなぁと思います(^^)

まず、スピード感が大事です!……と言われても、実際にはだらだらと時間を浪費していることも多いんですよね……。

例えば、

  • 会議が多い、長い
  • 会議に参加しても発言もせず居るだけの人も多い
  • 打ち合わせが多い
  • 目標が不明瞭で、目標達成ポイントがわからず時間がかかる
  • 仕事を定時に終わらせる感覚が弱く、それまでに仕事を終わらせる意識が貧しい

……などなど(;’∀’)(;’∀’)

以上が日本の企業でよくある「仕事の遅い理由」だそうです。結構、ドキッとする項目もあるんではないでしょうか。時間をだらだらと消費し始めると、緊張感も薄れ、やる気までなくなってしまう……。負の連鎖が待っているんですね…(;’∀’)(;’∀’)

反対に言っちゃえば、緊張感を保ちつつスピーディーに仕事に取り組めば、テンションもハイなままでやる気も持続し続ける!

自己啓発系の本を読んだり、イベントに参加したり、自分なりに「やるぞ!」ってガッツがわいても持続しないってときは「スピード感」に注意してみましょう。

ビジネス書をこれから読みはじめる方に!

『速さは全てを解決する』で紹介される知識は、基礎的な初歩の初歩の部分からかなり細かく紹介されています。

ベーシックなだけに、ある程度ビジネス書を読んでこられた方にとっては既知の知識が多いかも?

と言っても、デキるライフハック“全部盛り”みたいな内容で、面白いんです。

そして、これからビジネス書を読みたいって人には、全部盛りだからこそピッタリじゃないかと思います(^^)v

本来ならば、書籍を何冊にも分けて語られるような内容が、ギュギュギューっと詰め込まれているので、かなり駆け足で目まぐるしくも感じるかも!?

「速さ」のための準備をしよう

『速さは全てを解決する』では「速さ」を手に入れるためのノウハウもたくさん紹介されています。

そのうちの一つは最初にも紹介した「ゼロ秒思考」です。A4用紙に頭の中をそのまま書き出し、自分の考えを「見える化」するメソッド。さらにそれを並べ、俯瞰し、組み合わせ、管理し、熟成させることもできます。

(『速さは全てを解決する』でも「ゼロ秒思考」は詳しく紹介されていますが、それを丸々一冊扱った『ゼロ秒思考』の方が詳しいデス)

さらに、時短のためのライフハックもたくさん。

一例として、パソコンの変換機能を最大限に利用する。単語登録を駆使し、自分の名前や住所、メールアドレスなど、よく使う文字列をひらがな一文字+スペースキーで表示しちゃうというもの。

facebookやTwitterなどSNSも積極的に利用しつくします。特にfacebookは小体制のクローズドなグループも作れて便利ですね。

あるいは通勤時間中にすべきこと。思わずスマホやタブレットでメールチェックやニュースのちぇっくなどしたくなっちゃいますが、読書か語学学習に時間を使うことが提案されています。

情報収集に当てる時間は、自宅にて。落ち着いて誰にも邪魔されない環境だからです。そして、朝晩30分…と、あらかじめ制限時間を決めて行います。時間を決めることで集中力も上がるので、効率もよくなります。

展示会や勉強会・セミナーも積極的に足を延ばします。また、懇親会まで参加することで、どのような人材が集まっているのかチェックすることで、その集まりの質もわかります。

また、自分自身もすすんで人の前で話す。発表や講演ををすることで、自分のもとに情報が集まるようになるんです。

などなどなどなど!全部挙げるとキリがないのでこの辺で(;´∀`)>

スピードアップは誰でもできる!?

『速さは全てを解決する』で紹介されているスピードアップのための秘訣。これら、誰でも今からでもできることばっかりなんです。

選ばれし職業や立場に就いた人だけが成就できるようなノウハウではなくって、特別な道具も、特別な環境も不要のノウハウです。

しかも、ちょっとした小さなチャレンジで変化することもたくさん!大きな行動の変化を起こすのって、勇気がいるし、無理って思ってしまいます(-_-;) ですが、『速さは全てを解決する』で紹介されている“やり方”は、今の生活のままで少しだけチャレンジできる。

とりあえず、単語登録からしてみます!(^^)/

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『「読む」「書く」「考える」は5分でやりなさい!』

デキる人は仕事が速い!

5分のスキマ時間も見逃さないための、準備法。

スタートダッシュのための「準備」

『「読む」「書く」「考える」は5分でやりなさい!』のタイトルの通り、仕事のデキる人は5分でやる!

5分で終わらせるためには、事前の準備や仕込みが大切。常に準備を怠らない。

準備を事前に整えて置くためには、その都度「よっこらせっ」と重い腰をあげるのは効率が悪い。フットワークの軽さが重要です。常に軽くエンジンをかけ続けていると言いましょうか、常に動き出せる準備をするのです。

『「読む」「書く」「考える」は5分でやりなさい!』で紹介されているコツの中で、「まずはちょっとだけやる」というのが最大のライフハック。

……え、普通?w

でも、「まずはちょっとだけ」手を付けておくから、続きに手を伸びやすくなり、自ずと重い腰も軽くなる。すると、たった5分のスキマ時間を見つけて、パパッと仕事を捌けるようになるのです。

既にデキる人のやり方?

もちろん、基本の「ちょっとだけやるライフハック」だけではありません。

『「読む」「書く」「考える」は5分でやりなさい!』では、インプット(読む)からアウトプット(書く)、さらに思考を深める方法が紹介されています。

と言っても、それぞれが一冊以上の書籍になるような内容。その「読む」「書く」「考える」をたった一冊で紹介しているのですから、かなり駆け足な印象でした。

こんな人にオススメ

ですので、オススメしたいのはこんな人!

・その1:すでに、「読む」「書く」「考える」それぞれをこなせる人が、自分のテクニックの確認として使う

・その2:これから「読む」「書く」「考える」というインプット・アウトプット・思考法を身に着けたい、もっとスキルアップしたい人が、最初の一冊として選ぶ

とても読みやすい文章なので、ザックリと一気に読んでしまえるので、空き時間にサクッと読める。

仕事の遅い人はスタートが遅い

仕事の出来ない人は、決まって仕事のスタートが遅い……Σ(・∀・;)ドキッ

腰が重いのは、準備ができていないから。準備ができていないのは、無計画だから。スケジュールの管理ができておらず、仕事量の把握もできていないから、割り振りができないんですね(-_-;)

とても、あさよるのことを言われているようで、耳が痛いですぞ。

1日は24時間。どう使う!

『読む」「書く」「考える」は5分でやりなさい』で紹介されているライフハックたち、この記事の最後に目次情報に目を通していただきたい。

大体の内容を把握してもらえるだろうし、一つ一つの「読む」「書く」「考える」スキルは、すでに知っているものだったり、他の書籍で専門に語られているものだったりする。

だから真新しい感じはしないかもしれない。

だけど、それを「5分以内にする」。スピーディーにすることを推奨されていること。しかも、それはちょっとした準備で可能なことを知った。

ということは、「やればできる」ことを、「まだやっていない」わけだから、そりゃあ“デキない人は仕事は遅い”に繋がるわなぁと、妙に納得してしまった。

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『「見える化」仕事術』|「見える化」は今すぐできるんだ!

図や表で、目に見える情報に。

この本も「見える化」されています。

きっかけ:そもそも「見える化」ってなんだ?

「見える化」という言葉、あちこちで見聞きします。

で、「見える化」ってなんだろうと改めて思いました。

『「見える化」仕事術』まさにその通りの名前の書籍を発見!さっそく手に取りました。

「見える化」とは!

「見える化」とは書いてそのまま、物事を見えるようにすることです。

方法はいろいろ、図や箇条書き、イラストを使うこともあるでしょう。問題点や、議題など、放っておくと見失ってしまうものを、誰の目にも見えるようにしておく。

最もよく目にする「見える化」は、「箇条書きにする」ことでしょう。会議の内容をホワイトボードに箇条書きにしたり、メールの要件や、お知らせにも箇条書きを使いますね。

ド定番の「箇条書き」を侮るなかれ!

さらに、『「見える化」仕事術』では、製品が製造元から各店舗へ配られる様子を図解したもの、必要な人員や経費を一覧する表、やるべきことのタスクフローなど、たくさんの図や表が、たくさん掲載されています。

図や表と言葉で言ったって取とめもないものですから、実際の図や表を掲載して「見える化」されているんですね。確かにむっちゃ分かりやすい。

で、目に見えるようになると、手に取って考えられるようにもなるのがスゴイ。

『「見える化」仕事術』を読んだ感想

「見える化」は今すぐできるんだ!

『「見える化」仕事術』、読んで最も需要な発見は、「なんでも“見える化”すればいいんだ!」でした。

そう、「見える化」ってビジネス書で語られていることが多く、ビジネスシーンでの使用しか頭にありませんでした。

だけど、そっか。私生活のTODOやスケジュールも「見える化」しちゃえばいいんだ!発見!

例えば、現在あさよるは、部屋の模様替えのプランに悩んでいます。どんな服装をすればいいのか、お昼ご飯は何にしようか。

悩み事って大小あって、重大な悩みは着目されますが、小さなささやかな悩みって放置してしまいますよね。だけど、小さい悩みが結構、どよーんとのしかかってくるんですよね……。

献立とか、部屋の片づけとか、「見える化」してみようかと思いました。

見える化、TODO、PDCA…あれ、読んだことあるような……

この手のビジネス書をたくさん読んでらっしゃる方には、『「見える化」仕事術』で紹介されている内容、すでに知ってる、読んだことある内容がほとんどでしょう。

ですから、真新しい、最新の情報が知りたい!って方には物足りないでしょう。おすすめしません(;´・ω・)

反面、どんなビジネス書にも書かれているようなことが網羅されているので、これからビジネス書を読んでいきたいという新人や、学生さんにはおススメ。学業にも「見える化」は役立ちますしね。

そして、あさよるの場合、ベーシックな内容をきっちりと押さえた書籍が好きなので、『「見える化」仕事術』は好きな部類デスデス。まぁ、忘れっぽくて、一度読んでも忘却してしまうので、常に読み続けないといけないせいですけど(-_-;)>

図解が多く「見える化」されてて楽しい^^

『「見える化」仕事術』はそのタイトル通り、本書の内容まで「見える化」されていて、読んでてなかなか楽しい。

しかも、紹介されている図や表は、実例も交えているようで、「確かにこれは物流がよくわかる!」「こう書けば相手に伝わるんだ!」が目で見える。

ビジュアル資料が充実してる書籍っていいですよね。

あさよるネットも、もっと図解を増やして「見える化」しなきゃなぁなんて、思いました(;´∀`)

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「見える化」仕事術

『論理的思考力を鍛える33の思考実験』|割り切れない話を理解できる?

『論理的思考力を鍛える33の思考実験』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。ネットで時々「思考実験」という言葉を目にするんですが、イマイチ意味がわからないまま今に至りました。いわゆる「ネット論壇」とか「ツイ民」とかが使っているイメージ……というか「ネット論壇」も「ツイ民」もよくわかりませんがw

ということで、「思考実験」に関する本をいくつか読んでみようと見繕った、最初の本がこちら『論理的思考を鍛える33の思考実験』でした。まず、本書はあさよるの求めているものとは(たぶん)違う、脳トレ的な、答えが複数ある問題や、パズルゲームのような内容でした。結果、とても楽しい本だったのでラッキーです。

『論理的思考を鍛える33の思考実験』では、サンデル先生の白熱教室でも話題になった「暴走トロッコと作業員」の命題や、パラドクス、不思議な確率の話など、興味惹かれる話題が33収められています。とりあえず、頭からっぽにして、読んでみましょう。

思考実験とは

まず、「思考実験」とはなんでしょうか。

 思考実験とは、実験と聞いて最初に思い浮かぶ理科の実験のように、道具やそれを扱う場所を必要とする実験ではありません。ある特定の条件の下で考えを深め、頭の中で推論を重ねながら自分なりの結論を導き出していく、思考による実験です。

(中略)

実験室はあなたの頭の中、実験道具はあなたの倫理観や今まで積み上げてきた知識や倫理的思考力、集中力や想像力といったところでしょうか。

p.2

何もなくても、知識や倫理、思考力で実験ができるというのは、言うのは簡単ですが、難しそうな話ですね。また、この思考実験は、ビジネスの場でも役立ちます。推論や多角的に物事を見つめ、結論を出すためには、論理的思考が試されます。

本書の著者・北村良子さんはパズル作家として、日々思考実験を重ねておられる方です。本書も、思考実験をしながら、脳を鍛えるゲーム「脳トレ」的に楽しみましょう。

思考実験にチャレンジ

本書で取り上げられる思考実験は全部で33。これら大雑把に4つに分けられています。一つ目は、答えのない倫理に関する問い。二つ目は矛盾やジレンマの話。三つ目は、感覚的には信じがたい確率の話。四つ目は不条理なお話。

ページをめくりながら一緒に考えられるよう、思考のポイントや考え方もまとめられています。また、賛成/反対意見とその理由も、公平に語られています。

答えのない問題に耐えられるか!?

小学校の問題のように、予め答えが用意されている問題ばかりではありません。そもそも答えなんて存在しない問いもあります。答えがない、だけど考えなけれなならない、このストレスにあなたは耐えられるでしょうか。

まずは、「暴走トロッコと作業員」の思考実験から始まります。これはサンデル教授の「ハーバード白熱教室」で有名になった思考実験です。暴走して止まらないトロッコの行き先に、5人の作業員がいて、このままでは5人全員が死んでしまいます。あなたは手元のハンドルでレールを切り替えることができるのですが、切り替えたレールの先には1人の作業員がいます。このまま放置すれば5人の作業員が、あなたが線路を切り替えれば5人は助かり1人の作業員が死にます。さて、あなたはどうしますか?

多くの人は、5人を助けるなら1人を犠牲にするのは仕方がないと答えるそうです。一方で、5人はトロッコに轢かれる運命だから自分は関与しないと答える人もいます。どちらが正しいわけでもなく、答えもない問いです。

同じような問いでも、条件が変わると答えが変わります。「暴走トロッコと作業員」の別バージョン。あなたは線路の上にかかる歩道橋の上に居ます。そこへ、暴走トロッコが走ってくるのが見えました。レールの先には5人の作業員がおり、このままでは5人全員が死んでしまいます。ふと、横を見ると、でっぷりと太り、重い荷物を背負った男性がいます。この男性を歩道橋の上から突き落とせば、トロッコが止まり、5人の作業員は助かります。さて、あなたはどうする。

これも、先ほどの「5人の命を助けるために1人の命を失っても仕方がない」と同じ話なのですが、多くの人は太った男性を突き落とさないと答えます。同じ状況下ですが、少し状況が変わっただけで答えが変わるのです。

このような「正しい答えはない」問いが8つ収録されています。

矛盾……

パラドックスのお話。有名なのは「アキレスと亀」のパラドックス。俊足のアキレスと、鈍足の亀が徒競走をします。アキレスは亀より足が速いのでハンディキャップとして亀より後にスタートします。

 スタート時、亀がいた場所をA地点とすると、アキレスがA地点にたどり着いたとき、亀は少し前のB地点にいます。次に、アキレスがB地点にたどり着いたとき、亀はさらに少しだけ前のC地点にいることは確実です。次にアキレスがC地点にたどり着いたときはどうでしょう。亀は少し前のD地点にいます。その次にアキレスがD地点にたどり着いたときはどうでしょうか。もちろん亀は少し前のE地点にいます。
これは永遠に続きます。つまり、アキレスは決して亀に追いつくことはできません。アキレスはいくら頑張っても、少し前に亀がいた地点に追いつくだけなのですから。

p.77

さて、ではどうしてアキレスは亀に追いつけないのでしょうか。まずは自分で考えてみてくださいね。

本書では以下のような説明がなされています。

 アキレスが亀に追いつけないのは、アキレスが亀に追いつくまでのアキレスと亀の関係を延々と細かく説明しているからです。

(中略)

つまり、アキレスが亀に追いつく瞬間が訪れる以前のシーンを細かく細かく考えているだけに過ぎないのです。
確かに、アキレスが亀を追いかけている状態であれば、どのシーンでもアキレスより亀が前にいますよね。
いくら俊足で知られるアキレスでも、亀に追いつく以前のシーンを延々と分解して検証されたのではたまったものではありません。追いつく以前に追いついているわけでがありませんから。

p.80-81

……納得できましたか? あさよるはイマイチ釈然としないままなんですがw 詳しい答えは他の本を当たってみてみましょう……。

アキレスとカメ

釈然としない答え

3つ目は、確率のお話。数学的には正解なんだけど、感覚的には納得いかない!という話。

ルーレットで赤か黒かを当てるギャンブルで、7回連続赤が出ました。ギャンブラーは、もう7回連続で赤だから、次は黒だろうと黒に賭けましたが、結果は赤。8回連続で赤だから、次こそは黒だろうと黒に賭けますが、またもや赤が出ました。9回連続で赤だなんて、これは奇跡だ。だけど、こんな奇跡が続くわけない。だから、次は黒の方が出る確率が高いのではないかと考えました。さて、10回目で黒が出る確率は、赤よりも高い?

図に書くとこんな感じ

 1回目
 2回目
 3回目
 4回目
 5回目
 6回目
 7回目
 8回目
 9回目
○ 10回目は?

答えはもちろん1/2です。しかし、10回連続で赤が出るというのは、確かに奇跡のように感じます。10回連続赤の確率は1/1024だそうです。しかししかし、年がら年中ギャンブルが行われるカジノでは、1/1024なんて珍しくもないでしょう。わたしたちは、感覚的な確率と、実際の確立が違ってしまうことが多々あるのです。

ちなみに、ランダムに赤か黒が出るとき、どちらが珍しいと思いますか?

1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
6回目
7回目
8回目
9回目
10回目

左の方がランダムな気がしますよね。だけど、どちらも確率は1/1024で同じです。なのに、左は普通の現象に見え、右は「奇跡」のように感じてしまうのです。

トランプゲームや、クジでも同じような心理状態が働きます。なんとなく、「こっちの方がすごそう」「こっちがよさそう」とわたちたちは思い込んでしまうのです。こういうところで負けちゃうのね~

不条理

最後は不条理な話。「来週抜き打ちテストがあります」と先生が宣言しました。そこであなたは考えます。

「もし、金曜日に抜き打ちテストがあった場合、木曜までにテストがなければ自動的にテストは金曜と決定する。これだと〈抜き打ち〉にならないから、金曜にはテストがないはずだ」

「すると、水曜までにテストがなかった場合、自動的にテストは木曜ということになる。これでは〈抜き打ち〉にはなならない。ということは、木曜にはテストはないはずだ」

「ということは、テストは水曜までということになるが、火曜にテストがなかった場合、自動的にテストは水曜と決まってしまう。これでは〈抜き打ち〉にならない。よって水曜にテストはないだろう」

「いやまてよ。テストが水曜にないということは、月曜か火曜にテストがあるわけだけど、月曜にテストがなかった場合、自動的に火曜日がテストになる。これじゃあ〈抜き打ち〉にならないから、火曜にはテストはないだろう」

「したがって、テストがあるなら月曜しかないわけだけど、これだと〈抜き打ち〉とは言えない。だから、月曜にテストはない」

「……ということは、来週抜き打ちテストはない!」

そう結論付けたあなたは、もちろんテスト勉強などせず登校しましたが、もちろん先生の言う通りある日抜き打ちテストが行われ、結果惨敗。なぜ!?

面白い話なので、長文になってしまいましたw 実際に〈抜き打ちテスト〉が行われたとき、あなたはとても驚くでしょう。だって「抜き打ちテストはない」はずなのに! ということで、結果的に先生の言う通り〈抜き打ち〉でテストがなされたと言えますw

パズルを解くように

『論理的思考力を鍛える33の思考実験』挿絵イラスト

本書は〈思考実験〉と難しそうな言葉が使われていますが、実際に読んでみると、まるでパズルを解くかのような感じです。よい回答を自分で考えられたり、当たったときは気持ちよいですし。

軽く脳トレしつつ、古代からあるパラドクスや、有名な思考実験の問題に触れながら、楽しく読み進められるので、非常にとっつきやすい本でした。あさよるも読みはじめる前は「難しかったらどうしよう」と身構えていましたが、面白い本でした。

倫理の話はよく話題に上るものですが、あさよるが興味惹かれたのは確率の話。確かに、中学高校で習った問題のハズですが、ちっとも思い出せない! それに、日常生活でも役立ちそうなのも確率の話です。こういう風にわたしたちは勘違いをして、ダマされるor賭けに負けるのか~ と、他人事ではありませんw

ブログで紹介した例は少しですが、本書『論理的思考を鍛える33の思考実験』は、33もの脳トレ的問題が詰まっています。サクっと、気分転換にどうぞ!

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