堀江貴文『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』|「成功者はと自分は同じ」は安心?

こんにちは。あさよるです。堀江貴文さんの本を読んだ。ホリエモンといえば、堀江さんが逮捕されたころだったか、裁判中だったかに、堀江さんの本を数冊読んだことがあった。そのとき、「堀江さんみたいな特別な人だからそう言えるんだ」「普通の人はそんなこととできない」と反発した記憶がある。確かあの時読んだのは、『君がオヤジになる前に』だったかな。当時わたしも学生だったから世間知らずだったし、なんだかよくわからない無力感でいっぱいだった。というか、まだ子ども時代の全能感みたいのを持っていながら、だけど社会はそれを受け入れないギャップに苛立ち続けていた頃だったかもしれない。

だから、堀江さんのいう「行動せよ」という言葉に、素直にノレなかった。「行動したくてもできない人だっているんだ」と怒りながら、今思えば、その実は「なにも行動してなかった」というのが正確なように思う。言われたくないことを言われたから、「そりゃそうだな」と思えるまで少し時間がかかった。

それ以来、堀江さんん本はときどき読んでいる。最近は、書いてあることが素直に読めるようになった。以前は、もっと穿った読み方をしていたように思う。というか、書いていないことを勝手に読み取っていた気がする。それはヤバイ。今日、久々に堀江さんの本を読んで、自分の心境ん変化にも驚いた。

成功者に共通点があるならば…

社会の中で成功した人が「自分とは違う」と思って安心する人と、「自分と同じだ」と思って安心する人がいるんじゃないかと思う。それは「どうせやってもムダだろう」と諦めを肯定したい人と、「いつか上手くいくかもしれない」という期待を肯定したい人の違いかも。

そもそも、どういう状態を「成功例」とするのか、その定義によっても話が違ってくる。使い切れないほどのお金が預金口座に入ってることなのか、大アタリもないけれども大ハズレもない堅実な道を選ぶのか。生きてられたそれだけでいいのか、好きな人と一緒に入れたら幸せなのか。などなど、バリエーションはくらでもある。

ただ、どんな道を選ぶにしても、自分の意志で選択して決断し続けて生きることには変わらない。目先のことだけ考えるなら、他人に意思決定を任せることは責任逃れになりうるのかもしれないけれども、何十年と遠い未来まで自分の身の振り方を保証してくれるものはない。だからやっぱり、自分で決断し続けるしかないよね、という。そのための感度とか、反射神経みたいなものを、鈍らせずに維持し続ける心がけも必要だ。

んで『逆転の仕事論』は、自分で決断し続けた人の中で、今のところ成功している人の記録だ。著者の堀江貴文さんと親交のある方の聞き書きが中心だ。「今のところ成功している人」というのは、別にいじわるな言い方をしてるんじゃない。ここで取り上げられている人たちの経歴はてんでバラバラなんだけれども、共通点があるとすれば「失敗もしている」ということと「みんな普通の人だった」ということくらいじゃないかな。

それって「わたしと同じ」なのね。

自分のやりたいようにやるなら

この本に登場する人、武田双雲さん、佐渡島庸平さん、増田セバスチャンさん、ロンブー田村淳さん、HIKAKINさん、小田吉男さん、小橋賢児さん、岡田斗司夫さんの8人は「自分でやりたいようにやっている人」だ。だから「成功する」ということはきっと、やりたいようにやっている最中、それが社会的に認められたり、お金がもうかったり、多くの人が「ステキね」なんて思う状態のときに、使われる言葉なんだろう。

今は成功していてもこれから失敗するかもしれないし、今失敗してもこれから成功するかもしれないし、それはその時々で変化し続けるものなんだろうと思う。

そして『逆転の仕事論』で取り上げられている8人の方々は、それに自覚的で、失敗の体験も、成功の体験も、どちらの経験も語っている。ひきこもり経験をした人もおれば、一つのことに熱中するあまりそれ以外で大ミスばかり繰り返す人もいるし、社会の中で生きることに違和感を持っている人もいる。みんな何かしら「上手くいかない」ことを自覚しているのが印象的。

「やりにくい」に注目したら

で、「自分でやりたいようにやっている人」って、反対に言えば「みんなと同じことをしない」あるいは「みんなと同じことができない」とも言える。みんなと同じ道を行けないから、消極的に自分の道を行かざるを得なかった。不遇の時代があって、その中で「自分のワクワクすること」をやっているうちに、芽が出て成功につながった。

社会の中で「居心地が悪いなぁ」「うまくいかないなぁ」と感じるなら、その部分が自分が社会と折り合いのついていない部分……言い方を変えると、それが個性や特性なんだろう。

もし、自分が大アタリを狙うならば、型にはまり切らない部分を特化させてゆくことなんじゃないだろうか。それは、大失敗の可能性もある。ひょっとすると、それを実行すると法に触れてしまう人もいるんだろう。『逆転の仕事術』で紹介されている8名は、そういう意味で、失敗はしても法に触れるようなものではなかった「運」を持っていた人だ。

逆に言えば「運がいい」というのは、その程度のことなのかもしれない。

成功術はみんなちがう

『逆転の仕事術』でもうひとつ印象的なのが、成功を収めるまでのサクセスストーリーが8人が8人とも違っていることだ。諦めずに粘り強く頑張ったから成功につながった人もいれば、見切りをつけて新たなチャレンジが成功した人もいるし、そもそも人と同じことをする気がない人もおれば、社会になじめず引きこもりを経験した人もいる。

共通していることは、「失敗もしている」ことを「自分のやりたいようにやった」ということくらい。

成功者が、自分の成功までの軌跡を語る本は数多あるけれど、成功への「道筋」そのものをマネしてもしかたがない。それよりも「失敗もする」ということと、「それでもやり切った」ことに注目すべきなのかも。

どうせやるなら、どうするか

手堅く行くのも悪くないけれども、ただ何十年もの先まで誰も保証してくれるわけではないから、やっぱり自分で選択と決断はし続けなくちゃならない。それは、自分の道を行くのも同じ。

社会との折り合いのつかなさをいなしながら行くのか、かわりに自分のやりたいことをやりながら行くのか、それだけの違いと言えばそうなのかも。

ただ、成功者たちとわたしは、そんなに大きくは変わらないみたい。「成功者は特別じゃない」ということは、自分にとって良い話なんだろうか、それとも嫌な話なんだろうか。

関連記事

堀江貴文さんの本

あえて、レールから外れる。逆転の仕事論

目次情報

はじめに

1/8 今この瞬間だけに意識を集中し、幸福を引き寄せる 武田双雲

何かに没頭すると周りが見えなくなる/その瞬間を生き切ることに集中する/問題解決のために問題を作ってはいけない/他人に自分の機嫌をコントロールされない/感情のマネジメントが本当の成功を呼び寄せる/自分のコントロールで“ゾーン”状態を作る/上機嫌でいると、いいことばかりがやってくる

2/8 会社から出て初めて見える世界がある 佐渡島庸平

絶対に信頼できるものを仕事の核にする/組織を離れないと風の動きは分からない/起業すれば人間関係の協力の仕方が変わる/失敗してもOKな道を選んでいる/新しい土地の未知の果実をいかにして食べるか/毎日、全行動を「決定」する/お金は目の前を流れている川

3/8 オリジナルな世界を創り上げる 増田セバスチャン

既成概念は自分の感性で壊していい/表現を極めるために起業する/ブームが去っても残り続ける/自分のフィールドならメジャーリーガーと闘える/カルチャーは本質を理解しないとビジネスに生かせない/君はお金では買えないと言われること/誰も見たことのない雑草の花を咲かせる

4/8 ルールのキワッキワにしか面白さはない 田村 淳

ワクワク感がすべての基準/ルールのギリギリはどこまで? と問いかける/意味のないところに意味がある/失敗することで蓄えられる財産がある/あえて距離を取るところで求められる存在になる/おかしなものはおかしいと言い続ける/スポンサーに、君がやるなら何も注文しないと言われたい

5/8 より早く、より柔軟に、より愚直に HIKAKIN

環境が整っていないなら自分で工夫する/早く始めることの重要性/部屋に来た友だちを楽しませる感性/自分だけの世界にこだわらない/決めた通りにやり続けること/ベストなものをベストの状態で世に出す/取って代わるメディアが現れたら迷わずそっちへ行く

6/8 楽しさをひたすら追求する 小田吉男

何をやっている人ですか?/常識の意味が分からなかった/不安定とか安定とは考えない/楽しいからやっている/人を楽しませ、自らも楽しむビジネス/使命感の限界/自由に楽しくシンプルに

7/8 自分が違和感を感じる世界から飛び出す 小橋賢児

子ども扱いしない大人と交流する/環境を言い訳にしてはいけない/能動性を取りもどす/自分の志向の一番奥深くまで旅をする/中心がしっかりあればアウトプットは何でもいい/リアルでしか体験できない興奮がいっぱいある/まだ見ぬ世界を見てみたい

8/8 自らの生き方そのものでリスクを負い、常識や道徳を書き換える 岡田斗司夫

常識で考える人は社長になれない/引きこもり生活が後のエネルギーになる/常識から外れている人しか側にいてほしくない/最新のビジネスモデルは会社制の家族/自分以外はみんな犬に見えている/旧来の道徳は時代の流れと共に迷信になる/人類全体の幸せはフォローの範囲外

おわりに

堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)

1972年、福岡県生まれ。SNS株式会社ファウンダー。現在は自身が手掛けるロケットエンジン開発を中心に、スマホアプリ「TERIYAKI」「焼肉部」「755」のプロデュースを手掛けるなど幅広い活躍を見せる。HORIEMON.COMの人気コーナー「WITH」では『テクノロジーが世界を変える』をテーマに、各界のイノベーター達に堀江自らがインタビュワーとなり取材したものを連載中。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の読者は1万数千人の規模に。2014年8月には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文サロン」をスタートした。近著に『我が闘争』『ゼロ』など。Twitterアカウント:@takapon_jp。その他、詳細はHORIEMON.COMへ。

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