『美人は得をするか 「顔」学入門』|顔を変えるなら整形よりメイク?

こんにちは。「ジャケ買い」「パケ買い」という言葉がありますが、今回『美人は得をするか 「顔」学入門』は完全にタイトルに魅かれて手に取りましたねw 〈美人は得をするか〉なんてキャッチーすぎる問題だし、顔学って言葉も初耳&面白そう! そんな、ノリで読書するあさよるでした。

あさよるは、ブログやTwitter等でイラストのアイコンを使っているのですが、顔学的にはアイコンも大事なのかなぁ~なんて思い至り、冷や汗。

↓これ、女性にも見えるし男性にも見える感じにしたかったが……

まず「顔」とはなにかを知らなくては

本書『美人は得をするか 「顔」学入門』では、タイトルの通り「美人は得をするか」という誰もしもが一度はぶち当たる命題に触れているのですが、それを考えるためにはまず「顔」とは何かを考えなけばなりません。したがって、本書は「顔」とはなにかを掘り下げる内容がほとんどです。そして核心の「美人は得をするか」の回答はむっちゃ短いページしかありませんw

しかし「顔」とはなにかを知ってゆくと、「美人は得をするか」の答えも、納得できます。

人にとって、顔はコミュニケーションの道具です。多くの哺乳類は顔を毛で覆われていますから、表情がほとんど見えません。代わりに、毛を逆立てたり、牙をむいたり、腹を出したり、全身を使って仲間とコミュニケーションを取ります。顔に毛がないヒトやサルの一部に、表情を持つものがいます。これらは、顔の〈表情〉を使ってコミュニケーションを取っています。

人は、顔に敏感です。それは、表情によるコミュニケーションを取っているからです。ですから、表情を使うのが上手い人がコミュニケーション上手で、にこやかな人が他人から好かれる人です。人から好かれる人は、知らない人とも仲間になりやすく、得をしやすい人です。すなわち、得をするかどうかは、表情の使い方にあります。

……というのが結論です。しかし!本書は結論に至るまでの道順が超面白い! ヒトにとって「顔」という部分はむちゃくちゃ、べらぼうに特別なものらしい。しかも「目」がすごく重要っぽい。目の錯覚を紹介する図もあり、読んでいて飽きない。

顔は特別なものらしい

人にとって「顔」はとても重要なものらしいのです。

赤ちゃんはまだ視力がよくないので、人の顔がぼんやりとしか見えていません。しかし、ぼんやりとした像でも我々は「微笑み」を見分けることができます。そして、赤ちゃんは人の「目」に興味を示します。よく見慣れた「目」には親しんでおり、知らない「目」には怯えます。目を識別できるようになる頃に人見知りが始まるんだそうです。

顔の白黒写真を、ネガにすると誰だか分かりにくくなります。しかし、目だけポジにすると、判別できます。反対に、ポジの写真で目だけネガにしても、誰かわかりにくいままです。どうやら、目は周りの色と関係なく「目」(白目と黒目)だけで認識してるようですね。

人物の写真の目と口のパーツだけ切り出し上下さかさまにし、さらにその写真を上下さかさまにすると、あまり違和感なく感じます(目と口は上下そのままだから)。しかし、正しい位置で見ると目と口が逆転しているのでとても気味の悪い写真です。このような顔に関する目の錯覚も多数紹介されており、見ていて楽しいし、とても不思議です。また、心霊写真の正体も、この辺りにあるのではないか?と触れられていました。

顔が特別なのは、顔のパーツを移動させても気づかないということです。顔以外のものは何かが移動すると違和感を覚え、どこが違うのか言い当てられます。しかし、顔だけ、パーツが多少変わってもわからない。反対に言えば顔のパーツが変わっても同じに見えるということ。これは整形手術をしても誰か分かることや、子どもが成長して大人の顔になっても誰か判別できることに通じています。

特徴のない顔=美人

美人とは、平均的な顔の人です。平均的であるということは、よく見慣れた顔ということです。まさに〈均整の取れた〉顔ですね。しかし〈よくある顔〉ですから、初対面でもなかなか印象に残らない顔とも言えます。美人な人は、人に覚えてもらいにくい顔。あるいは「あの人は美人だったわね」と覚えられていても、「平均的な顔ね」と言われているのと同じなので、やっぱり「顔」を覚えられているワケではないらしい。

確かに、思い浮かべてみて下さい。「きれいだなぁ」って思う女優さんや、すてきなアイドルや、大好きな役者さんたちは、確かに美男美女だけども、特徴がある気がします。〈クリクリと大きな目〉だったり、〈つんと尖った鼻先〉だったり、〈優しそうに見える二重まぶた〉だったり……どれも「特徴」なんですよね。人と違うから目を引くし、印象に残るし、特別に思えます。

美人で有名な人って、ただ美人なだけじゃなくって、にこやかで親しみやすかったり、コミュニケーションに長けているからこそ、みんなが好きな「有名人」になっちゃうんです。ここでいう「有名人」は、町の店員さんだったり、名物女将さんとかね。

ここでふと、「存在感のない人」「目立たない人」って、美人なのかもしれない……! た、確かに、印象的な人って、いろんな意味で目立つ人だものね……( ノД`)

美容整形より化粧が効果的

先に、顔のパーツは多少動かしても「同じ顔」と認識してしまうという話をしました。だからもし「別人のように」なりたいと思うならば、顔学的には美容整形はあまり効果がありません。細部は変わるかもしれないけど、「別人のように」とはいかないからです。コンプレックスを持っていたりすると、細部ばっかりが気になってしまうものですが、ヒトは「人の顔」を認識するとき、細かいところは見ておらず、全体で人物を特定し、表情を読み取っているそうです。

一方で、目の錯覚を利用する化粧の方が、顔を変えるに効果的だと言います。あさよるもこれは納得でした。あさよるは絵を描くのが好きで、お化粧も好きなので、錯視を使えば、顔のパーツの位置や大きさを調節できるハズ!と思い、錯視について調べたことがありましたw

「顔」について知ることは、「自分とは何か」を考えることなんだなぁと思いました。自分の顔は自分ですし、新しい自分になるときなにが変わるのだろう、とかね。いろんな人と関わっていく間に、いろんな表情ができるようになるといいのになぁ。

美人は得をするか 「顔」学入門

目次情報

序章 人は「見た目」のどこを見ているか?

自分の顔に自信が持てますか?/今、顔を考える意味/顔研究の歴史をたどる/現代の顔学、イギリスとアメリカ

第1章 人はなぜ、顔を気にするのか

1 描くという視点から顔を見る

肖像画・法廷画としての顔/法廷画家の表現の仕方/画家の視点で観察すると……白目は白くない

2 心霊写真が見えるわけ

顔のだまし絵/心霊写真を見る「能力」/目か顔か?(1)――目は目立つ/目か顔か?(2)――目を無視して顔を見る

3 顔が見えない病気

人相がわからないという患者/顔は脳で見る

第2章 顔の記憶の正確さ

1 顔を見る、プロとアマの違いとは

顔を覚えること、プロとアマはあるか/カメラマンから見た視点――人物写真は闘いだ

2 すべての人が、顔を見るプロ?

幼なじみの顔を覚えているか/人種によって異なる見方/人種効果の起きるわけ

3 顔のプロになるための技

顔の訓練とエキスパート/ひとみしりが顔認識の転換期

4 顔のプロとバードウォッチャー

逆さの顔は、変な顔?/ブリーダーの脳、バイヤーの脳

第3章 似顔絵が上手く描けますか

1 似たものどうしはひかれあうのか

似たもの夫婦、その秘密/飼い主は犬に似る?

2 うまい似顔絵の描き方とは

よい似顔絵と悪い似顔絵/コンピュータに似顔絵を描かせる/似顔絵にベストな顔の向きとは/よい似顔絵の描き方

3 似顔絵から知る、顔の見方

顔は見えにくくてもわかる/見えにくい顔を見る必要性/赤ちゃんにとって顔は特別/顔の刻印付け

第4章 第一印象は、顔が決め手か

1 顔を知る、その進化

顔の進化/表情の進化/微笑みと笑い

2 ヒトの顔の特徴、表情から知る

ヒトの表情の特徴とは/表情は文化によって異なるか/表情にこそがその人の顔である/どんな顔を覚えているの? 骨格と表情

3 男と女、大人と子ども、魅力的な顔はどんな顔?

男の顔、女の顔/男らしい顔、女らしい顔/子どもの顔大人の顔

4 美人は得をするか?

かわいい顔はどんな顔?/「見た目」は大切か?/美しい顔には意味がある?/二重まぶたや鼻の高さは、美人の条件?/美しい顔の評価は、一致するか?/よい顔、悪い顔

終章 顔を巡る、もうひとつのお話――自分の顔を考える

顔の異変に、いつ気づくことができるのか/顔面筋を考え直す/顔は、生きることに直結する/改めて「自分の顔」を考える/変わった人相を受け入れること/顔が幸せになる、顔で幸せになる

あとがき

山口 真美(やまぐち・まさみ)

一九六四年、神奈川県生まれ。中央大学教授。一九八七年中央大学文学部心理学専攻卒業。お茶の水女子大学大学院人間発達学専攻単位取得退学。博士(人文科学。(株)ATR人間情報通信研究所滞在研究員、福島大学生生涯学習教育研究センター助教授を経て現職。乳児の顔認識の発達についてユニークな手法で研究を続ける。「日本顔学会」の理事で「日本赤ちゃん学会」事務局長でもある。著者は『センスのいい脳』『赤ちゃんは世界をどう見ているのか』他多数。

コメント

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  2. […] 山口真美さんの本:『美人は得をするか 「顔」学入門』|顔を変えるなら整形よりメイク? […]

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