こんにちは。アンディ・ウォーホルの『スーパースター』という映画が見たい あさよるです。レンタルは探してもなかったんですが、今見るとAmazonビデオで見れるようですね°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
ウォーホルつながりで彼の著書を読んでみようと『ぼくの哲学』を手に取りました。アンディ・ウォーホルの自伝で、彼の愛、美、働くこと、時、死、経済、成功、芸術や、掃除や下着のこと、すなわち「生きること」諸々の〈哲学〉を、アンディ自身が残したものです。
現代のわたしたちの哲学
アンディは朝起きると電話をします。誰かと。自分は匿名のAとして、電話友達の匿名のBと話すのです。彼らの会話は他愛もないものです。匿名Aのアンディはニキビを気にして、Bは男の子とのデートのためにムダ毛を気にしています。
本書『ぼくの哲学』は、現代人の哲学なのかもしれません。わたしたちだって、朝起きてスマホを手に取ります。誰かにスタンプを押して、何かをツイートして、とりとめもない朝のコミュニケーションが始まります。ある子はメイクで二重を作る職人技を駆使し、ある人は髪型で小顔を作ります。
アンディは、世界で一番おいしいのはマクドナルドだといいます。そうかもしれません。だって、マクドナルドは貧乏な人が食べても、裕福な人が食べてもみんな同じ味の食べ物が出てくるお店です。お金や服装で味が変わることはありません。みんなおいしい。
アンディってどんな人なのでしょうか。アメリカで大成功したお金持ちですが、普通の暮らしをしているようにも読み取れます。ナイーブでデリケートな男性にも思えますが、強気で頼もしい人にも思えます。彼はスーパースターなの?なのにすごく平凡!アンディは新聞や雑誌の取材で、いつも違った発言をしていたそうです。だから彼のインタビューを読んでも、彼のシルエットは見えてこない!
そんな気まぐれで奔放な言動は彼のような〈特別な人〉だけの話……ではありません。そんなの今や誰もがスーパースターのように振る舞っています。あっちのアカウントで罵詈雑言を吐き、こっちのグループで見目のいい写真をアップし、あのタイムラインでは友人とつるんでいます。あっちこっちで違うこと言葉を使い、違う自分で、違った世界を見ています。
アンディ・ウォーホルの哲学は、今やだれもが共有している哲学なのかもしれません。どこまでもフラットで、嫉妬が渦巻き、平凡で、みんながスターで、みんな恋や見た目を気にしてる。
〈価値〉ってなんだろうか
ピカソは生涯で4千枚の絵を描いたと知り、アンディはそんなの1日で描けると言います。シルクスクリーンで大量に刷ればいいからね。実際には、1日じゃ無理だったみたいだけど。というか、やってみるからすごい。
シルクスクリーンなら名作がいくらでも作れます。だって1枚目が傑作だったら、他のみんなも傑作です。現実に我々は、映像やアニメーションや音楽やゲームや、複製可能な傑作をたくさん知っています。たった一つしかないから、貴重だから大切だった頃とは、違った貴重さをみんなが知っています。
値段が安いからって悪いものとは限らないことも知っています。もちろん高くていいものもあるよ。だけど、圧倒的多数の庶民が持っている良いものだってある。
余談ですが、あさよるが気に入って使っているクリニカの歯ブラシはまじ名品だから使ってみて。たった100円ちょっとで変わるから。サイズいろいろあるから選んでみてね。大量生産の名品だ。
価値って、「高いからいい」とか「貴重だからいい」じゃないんですね。アンディが〈ぼくの哲学〉を語るように、みんなが〈ぼくの哲学〉を持って生きている。もしかしたら「自分はこうだ」って自分で言えなきゃいけないから、難しい生き方なのかもしれないけど。
ぼくの哲学
目次情報
B and I:How Andy Puts His Warhol On
Bとぼく:アンディがウォーホルになるまで
スクラップブックのとおり。1
Love(Puberty)
愛(思春期)
チェコスロヴァキア人として育つ。夏休みのバイト。1人ぼっち。悩みを語り合う。人の悩みが伝染る。自分の悩み。ルームメイト。精神科医が電話を返してこなかった。初めてのTV。ぼくの出番。初めてのスーパースター。初めてのテープ。2
Love(Prime)
愛(初恋)
ぼくのお気に入りの60年代の女の子たちの盛衰記。3
Love(Senility)
愛(老いる)
40歳にして人生の真実を知る。ぼくの理想の妻。ぼくの理想の電話友達。嫉妬。明かりを暗くしてトリック鏡。セックスとノスタルジア。おかま。ロマンスは難しいがセックスはもっと難しい。不感症。4
Beauty
美
自画像。永遠の美の問題、一時的な美容上の問題、それの解決。清潔な美。普通のかっこよさ。ルックスを保つには。単調さの美。5
Fame
有名
ぼくのオーラ。TVの魔術。役はいいんだけど役者がダメ。ファンと熱狂者。エリザベス・テイラー。6
Work
働く
アート・ビジネスとビジネスアート。ぼくの初期の映画。ぼくが残り物が好きなわけ。生きるのが仕事だ。セックスは仕事だ。どうやってメイドの目を見るか。キャンディだらけの部屋。7
Time
時
もてあました時。時と時の間の時。列に並ぶ。外にいる時は。飛行機の時間。化学物質が欠けている。ぼくがなぜ醜いままでいようとするか。アポイントメントを取るコツ。エリザベス・テイラー。8
Death
死
そのすべて。9
Economics
経済
ロスチャイルド物語。24時間営業のドラッグストア。友達を金で買うこと。小切手手帳デザイン。1セント銅貨。ジーナ・ロロブリジーダのペニー。10
Atmosphere
雰囲気
空っぽの空間。屑としてのアート。ピカソの傑作4000枚。ぼくの色のテクニック。ぼくは芸術をやめた。また芸術を始めた。香水の空間。田舎でのいい生活、ぼくがそれが嫌いな理由。木がマンハッタンで育とうとする。平凡なアメリカのランチルーム。アンディマット。11
Success
成功
スターが階段にいる時。みんなにヘアドレッサーが1人は要る理由。ポップタート。アーシュラ・アンドレス。エリザベス・テイラー。12
Art
芸術
グランプリ。新しいアート。サラミを切る。魅力的な危険。我に触れるな。スキンシップは嫌。13
Titles
肩書
国際結婚。侍女。がんばって売り込む。シャンパン顎にビール腹。14
The Tingle
ピッカピカ
アメリカンスタイルの掃除。15
Underwear Power
下着パワー
哲学が切れた土曜日にすること。訳者あとがき
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