こんにちは。チーズを食べたいあさよるです。まさかそんな理由でこの本を選ぶなんて……というのは、結構ホントです。本書『チーズはどこへ消えた?』は1998年にアメリカで出版され大ベストセラーに。日本では2000年に訳書が出版されこちらもベストセラーになりました。あさよるも出版当時、本書を読まされた記憶がありますw
その時はイマイチ何が言いたいのか分からず、どう読んでいいのかさえピンとこず、持て余してしまったのを覚えています。今読むと、コンパクトでサクッと一気に読み切ることができ、メラメラッと力が湧いてくるよくできた本だなぁなんて思いました。ちょっと気分転換したいとき、パーッと発散したいときなんかにどうぞ。
小人とネズミの迷路でのお話
あらすじ
『チーズはどこへ消えた?』はこんなお話です。
ある日のシカゴに、かつてのクラスメイトが集まりました。それぞれ違った進路を歩んでいますが、それぞれが思いがけない変化に直面し、どう対処しようかと案じていました。中の一人が言います。
「ちょっと面白い物語を聞いて、すべてが変わったんだ」(p.14)
それは、ネズミのスニッフとカリーと、小人のヘムとホーの物語でした。
2匹と2人の物語
2匹と2人は迷路の中に住んでいます。迷路のところどころには様々なチーズが隠されています。彼らはチーズを見つけるべく、迷路内を散策し、チーズルームにたどり着きました。しかし、しばらくするとチーズを食べつくしてしまいます。ネズミたちは再び迷路へ飛び出しました。しかし小人たちは、チーズはどこへ消えた?と話し合い、しばらくそのまま待ち続けます。ある日、小人のホーは意を決してチーズルームから出てゆきました。ヘムを説得しましたが、彼はチーズルームに残ると言って聞きません。
ホーは迷路の中で少しのチーズのかけらを手に入れ、ヘムにチーズを見せ再度説得を試みますが「ここにあった“古いチーズ”が食べたい」と言って応じません。仕方なくホーは一人迷路を歩き回り、ついにこれまでに見たことのないチーズルームを発見します。
変化を拒み切り捨てらる運命
場面は元のシカゴのクラスメイトたちの談話に戻ります。彼らは立場はそれぞれ違っていても、変化に直面していました。変化を拒み、取り残され切り捨てられる人たちを見てきました。変化を嫌い、みんなの足を引っ張る人もいます。自らの経験を話し合うことで、新しいチーズを追い求めるビジョンを共有し合ったようです。
「チーズ」とは、「迷路」とは
本書で語られる「チーズ」や「迷路」とは、どんな意味合いがあるのでしょうか。
「チーズ」とは、私たちが人生で求めるもの、つまり、仕事、家族、財産、健康、精神安定……等々の象徴。
「迷路」とは、チーズを追い求める場所、つまり、会社、地域社会、家族……等々の象徴です。
この一見シンプルな物語には、状況の急激な変化にいかに対応すべきかを説く、深い内容がこめられているのです。
カバー
我々は「チーズ」すなわち仕事、家族、財産、健康、精神安定等々を追い求めています。それを実現するために会社、地域社会、家族等々という名前の「迷路」をさ迷っているのです。
かつて仕事があっても、そのうちなくなってしまうかもしれない。そのとき「チーズ(仕事)はどこへいった?」と、状況を把握せず行動を恐れて立ち止まっていてはいけないのです。家族も、健康も、精神安定も、そのうちなくなってしまうかもしれない。その時、行動しなくては。いえいえ、すでに「いつかなくなる」と分かっているのです。事前に行動し始めなければ。
変化しないといけない
一人、迷路に踏み出した小人のヘムは、恐怖と不安のチーズを探している内に、どんどんと考えが変わってゆきます。最初、チーズが返ってくるかもしれない、チーズがないのはおかしいと同じ部屋に居座り続けました。しかし、チーズもないのに行動しないのは安全ではなく、早く行動した方がいいと気づきます。そしてその考えを壁に書きつけました。
変化は起きる
チーズはつねにもっていかれ、消える変化を予期せよ
チーズが消えることに備えよ変化を察知せよ
つねにチーズの匂いをかいでいれば、古くなったのに気がつく変化にすばやく適応せよ
古いチーズを早くあきらめればそれだけ早く新しいチーズを楽しむことができる変わろう
チーズと一緒に前進しよう変化を楽しもう!
冒険を十分に味わい、新しいチーズの味を楽しもう進んですばやく変わり再びそれを楽しもう
チーズはつねにもっていかれるp.68
〈変化する〉ことは恐ろしく忌々しい事柄だったのに、いつの間にか〈変化するから冒険ができる〉と、変化への考えがガラリと変わっています。そっか、変わってゆくってワクワクすることでした。いつの間にか、変わってしまうことが煩わしく、恐ろしく、避けるべき事だと思っていたのでしょうか。
今ある「チーズ」……すなわち仕事、家族、財産、健康、精神安定などなどは、いつかなくなってしまうものです。常にチーズを得続けるべく、冒険し続けないといけません。
なんか久々に読んで、以前よりかは著者が「何を言いたいのか」が分かった気がしますw これも変化ですかね。
チーズはどこへ消えた?
スペンサー・ジョンソン [Spencer Johnson, M.D.]
医学博士、心理学者。心臓のペースぺーカー開発にもたずさわる。
現在は、さまざまな大学や研究機関の顧問をつとめ、シンクタンクに参加する一方、著作活動を続けている。その功績を認められ、ハーバード・ビジネス・スクールの名誉会員。
主な著書に、『1分間マネジャー』(共著)『1分間意思決定』『人生の贈り物』他、多数。
門田 美鈴(かどた・みすず)
訳者
翻訳家、フリーライター。
主な訳書に、スペンサー・ジョンソン『人生の贈り物』『1分間意思決定』、ハリー・デント『2000年 資本主義の未来』他、多数。
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