見城徹『読書という荒野』|いくら読んでも満たされない読書欲

こんにちは。読書の秋がはかどっていない あさよるです。バテバテだった真夏よりは読書に時間をさけるようになってるんですが、なんだか日々が慌ただしくて本が読めていません>< 食欲の秋だったり、スポーツの秋だったりと、忙しいですからね。夏の間延期していたことがどっと押し寄せてきた感じです。

さて、今日読んだのは見城徹さんの『読書という荒野』です。見城さんは幻冬舎の社長で、数々のヒット作をつくった編集者でもあられます。

この「荒野」という響き、先日図書で『オオカミと野生のイヌ』という写真集を読みまして、荒野で一匹オオカミがジロリとこちらを見ているようなイメージが湧きました(図書館ではもっぱら動植物の写真集や図鑑を見るのが好きです)。

実際にはオオカミは家族で生活するそうで、「一匹狼」とは親離れしてまだパートナーと出会う前の若い個体だけだそうで……って、オオカミの説明はいいやw

『読書という荒野』の表紙も、見城さんがジロリとこっちを見ておられて、最初は「これは一体なんの本なんだ」とドギマギとしてしまいましたw

無我夢中に読書する

『読書という荒野』は、幻冬舎の社長・見城徹さんが本を読みまくり、編集する理由の一端に触れることができます。

見城徹さんは子どもの頃からいじめに遭い、劣等感にさいなまれていた頃から、高校に入り一転リーダー的存在になり、その後進学のため上京し、そして編集者として〈暴れまわる〉様子が綴られています。

子ども時代のいじめの経験は読んでいても胸が痛いのですが、「死んでもいい」と決心し、いじめっ子に対峙したことで運命が変わり始める様子は、大人になった あさよるにも思うところがありました。そこまで人を追い詰めちゃダメだし、そして追い詰められた人はなんとしても生き延びます。その経験が、編集者としてのスキルに繋がっておられるんですね。

高校生になって、いじめがなくなって反対に自分の言葉で自分の考えを述べられる生徒になってゆく様子も、あさよるもこうありたいと思いました。体面を気にしたり、その場の雰囲気に呑まれるのではなく、自分で考えて自分の言葉で表明する。これも編集という言葉を扱う職業に繋がっています。

そして、編集者としてのご経験は、その高揚感と熱狂が羨ましすぎると感じました。この感じ、あさよるは赤塚不二夫さんのエッセイなんかを思い出す……トキワ壮の思い出のような。とんでもなく高揚した時間を一瞬でも過ごした人の話って、いつも羨ましく思います。あさよるにはそんな時間がなかったなぁ。

編集者は「言葉」で作家にアプローチし、本を作りますから、言葉はとても大切なものです。そこに説得力や力を持たせるためには、嘘を言ったり口先だけの話をしていてはいけません。「編集者」というのも、これも一つの生き方なのだなぁと知りました。

思い出、思い入れのある本がある

あさよるにはちょっぴり劣等感がありまして……それは「人生を変えた一冊」的な、思い出の本、思い入れのある本が特にないということです。もちろん、その時々にハマったり大好きだった本はありますが、あくまでマイブーム的な感じで、「今の自分を作った本」みたいなね、そんな存在がないのです。

だから実は、読書体験や、自分の特別な本について語る人というのは、憧れの存在です。

『読書という荒野』にもそういう特別な本、特別な読書体験が語られていて、しかもただ読者としてではなく著者・作者と同じ時間を過ごしながら本を作っているんですね。羨ましい&憧れのW!

見城さんは小中学校ではいじめられて、読書がある種の居場所としても機能していたよう。これもあさよるにはない経験だったり……あさよるは一体、今まで何を読んできたんだろうかと頭が痛くなってきます(;’∀’)

みなさんも、特別な本、思い入れのある本、読書が逃げ場だったり居場所だったり、ただの情報源、物語に触れる以上の働きを感じられたことがありますか?

全然足りない、満たされない読書を

心を落ち着かせるために本を読むという人もいるそうです。あさよるは逆で、本を読むと興奮するし、刺激を求めて読書がやめられません。『読書という荒野』を読んでいると、同じく「興奮」「刺激」を追い求めていると感じました。だからこそ「羨ましい」「憧れる」とも思いました。

「読書という荒野」という言葉もいいですね。豊潤で実りの多い感じよりも、「荒野」でむさぼるように読む方が、読書っぽい。そう、いくら読んでも読んでも満たされない。まだまだ欲しい、全然足りない。だから荒野の中で孤独にただ我を忘れて本を読みまくる。読書ってそんなイメージです。

『読書という荒野』の表紙の、乱雑に本を積み重ねた感じとか、わかるわかる~って感じじゃないでしょうか。もちろん、読書する人って年間千冊単位で読むそうですし、あさよるも全然足元に及ばないんですけどね(;’∀’)

本を読む高揚感、興奮、読んでも読んでも満たされない、もっともっと欲しい気分が溢れ出ている本だったし、読んでいるだけで自分の読書欲が刺激されまくる本でした。

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読書という荒野

目次情報

はじめに 読書とは「何が書かれているか」ではなく「自分がどう感じるか」だ

読書を通じて、一生で経験できないことを学ぶ
自己検証、自己嫌悪、自己否定
僕の人生を切り開いてきた本
左翼に傾倒しなかった人はもろい
本質的なものを読め
知識を積み重ねてもしょうがない
弁護士と医師には魅力がない

第1章 血肉化した言葉を獲得せよ

「自己検証・自己嫌悪・自己否定」は三種の神器
飲んだくれの父と愛情深く育ててくれた母
死んでもいいという覚悟を持て
ここではない「ほかの場所」を求めた本
負の感情を溜め込め
自分を恥じ、深く見つめることを余儀なくされる読書体験
世界の矛盾や不正や差別に怒れ
正しいと思うことを言えなくなったら終わり
苦しいほうに身をよじり、自己検証能力を磨け

第2章 現実を戦う「武器」を手に入れろ

慶應義塾大学に入学
吉本隆明・あまりに切ない精神の劇
「理想」を語るということは過酷の道を行くということだ
自己嫌悪と自己否定が仕事への原動力となる
『カシアス・クレイ』・不安を打ち消す赤裸々な言葉
ヘミングウェイ・「勝者には何もやるな」
廣斉堂出版に入社・編集者となる
編集者の武器は「言葉」だけだ
努力は圧倒的になって初めて意味がある
実践しなければ読書じゃない

第3章 極端になれ! ミドルは何も生み出さない

五木寛之・「差別構造」を想像力の産物として描き出す作家
憧れ続けた五木寛之との仕事
石原慎太郎・個体と快楽と掟
石原慎太郎のダンディズム
ミリオンセラーを生んだ3枚のキラーカード
大江健三郎・妄想と現実の交換

第4章 編集者という病

中上健次・時空を超えた血と憤怒と哀切
村上龍・虚無と官能
林真理子・過剰と欠落
山田詠美・抑えがたい性的な衝動
村上春樹・生き方を犯すほどの才能
宮本輝・仏教的世界観への変換
百田尚樹・驚異的なオールラウンドプレーヤー
東野圭吾・見事なまでに人間を描く完璧なミステリー
宮部みゆき・『火車』の哀切なラスト
北方謙三・読者を慟哭させ、魂を揺さぶる
高村薫・歴史や社会の片隅に追いやられた者たちへの深い眼差しと情念
草間彌生・性の情念
坂本龍一・残酷と悲惨に血塗られた崇高で静謐な創造
尾崎豊・自己救済としての表現

第5章 旅に出て外部に晒され、恋に落ちて他者を知る

『深夜特急』・人生からの脱獄
旅とは「貨幣と言語が共通しない場所に行くこと」だ
取材旅行と称した作家との旅
今でも強く脳裏にこびりつく五木寛之との旅
村上龍との放蕩
恋愛小説こそ読書の王道
他者への想像力は恋愛で養え
困難は読書でしか突破できない

第6章 血で血を洗う読書という荒野を突き進め

死の瞬間にしか人生の答えは出ない
絶望し切って死ぬために今を熱狂して生きろ
三島由紀夫・自らの観念に殉じて死ぬ生き方
現実の踏み絵を踏み抜かない理想に意味はない
「夢」や「希望」など豚に食われろ
血で血を洗う読書という荒野を突き進め

おわりに 絶望から過酷へ。認識者から実践者へ

民主主義国家を揺るがす変態性癖、非定住者、暴力
言葉を肉体化せよ
つかこうへいによるドラマトゥルギー
肉体の中で血を流し、葛藤しながら生きている台詞

参考文献

見城 徹(けんじょう・とおる)

幻冬舎代表取締役社長。1950年12月29日静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。静岡県立静岡南高等学校を卒業し、慶應義塾大学法学部に進学。大学卒業後、廣斉堂出版に入社。初めて自身で企画した『公文式算数の秘密』が38万部のベストセラーに。75年、角川書店に入社。「野生時代」副編集長を経て、「月刊カドカワ」編集長に就任、部数を30倍に伸ばす。400万部を超えた森村誠一の『人間の証明』や5本の直木賞作品をはじめ数々のヒット作を生み出し、41歳にして取締役編集部長に。93年、角川書店を退社し、幻冬舎を設立。五木寛之『大河の一滴』、石原慎太郎『弟』、唐沢寿明『ふたり』、郷ひろみ『ダディ』、天童荒太『永遠の仔』、村上龍『13歳のハローワーク』、劇団ひとり『陰日向に咲く』、長谷部誠『心を整える。』、渡辺和子『置かれた場所で咲きなさい』など24年間で23冊ものミリオンセラーを世に送り出す。著書に『編集者という病』(集英社文庫)、『異端者の快楽』(太田出版)、『たった一人の熱狂』(幻冬舎文庫)、『憂鬱でなければ、仕事じゃない』『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』(藤田晋との共著、ともに講談社+α文庫)、『危険な二人』(松浦勝人との共著、幻冬舎文庫)、『過剰な二人』(林真理子との共著、講談社文庫)などがある。

コメント

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