『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』|お金の次、新しい価値

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』挿絵イラスト お金

こんにちは。貯金の増えない あさよるです。毎日お小遣い帳をつけていても、気づけば予定よりお金が減っている! という繰り返しです(;´д`) ということで「お金」の話題は実はすごく気になってしまいます。『お金2.0』、読むしかないじゃないですか。

てな感じで読み始めた『お金2.0』では、「お金の次の価値」について考える内容でした。今はお金の力が絶大な、お金主義の社会です。だけど、今後到来する新しい時代は、お金以外にも、「感情」と「テクノロジー」というベクトルが強くなると予想されていました。というか、もしかしたらもう、わたしたちは「お金だけじゃない価値」を知らずに欲しているのかも。

単に「お金が欲しい」じゃなく、「価値が欲しいんだ」と再認識できたのも有意義ででした(`・ω・´)b

NEXTお金!新しい価値とは

『お金2.0』ではお金の次の価値、これまでの資本主義の次にやってくる価値基準について解説されるものです。「次にやってくる」と書きましたが、すでに我々は新しい価値に触れているのかもしれません。キーワードは「お金」「感情」「テクノロジー」。この3つの要素に引っ張られ、社会が動いてゆくというのです。

経済とは「欲望のネットワーク」と紹介されています。これまで、その経済もネットワークも中央集権型、つまり中央銀行や国が中心にありました。しかし、インターネットの普及は拡散型の社会をもたらしました。わたしたちは横につながりを持ち個々人同士が繋がり始めたのです。

また、経済のしくみを本書で自然界のしくみや、人間の脳の特徴を交えて紹介されているのが面白いと感じました。人間の脳は報酬があるときや、報酬が期待できるとき、「報酬系」という快楽物質が分泌されます。この快楽物質が分泌されることによって人間は報酬が期待できそうな事柄に偏った行動をとります。そして、その報酬系は飽きやすい。すぐに刺激に慣れてしまってより強い刺激を求めます。人間の行動にはクセがあるということですね。

3つのベクトル「お金」「感情」「テクノロジー」

本書で「未来の方向性を決める」と紹介されている「お金」「感情」「テクノロジー」の3要素の説明を少し。

現実はおおよそ3つの異なるベクトルが併存し相互に影響を及ぼしており、それらが未来の方向性も決めている(p.22)

1つの要素が未来を決定しているわけではなく、大きく3つの要素がお互いに影響力を持ちながら、未來の方向を作っているというものです。

「お金」(経済)が世界を動かしているのは言わずもがなでしょう。3つの中でもっとも強力な力だと紹介されています。

地球上のほぼすべての人は市場経済の影響力から逃れることができない(p.23)

と、改めて考えるととんでもないものですね。私たちは生きるためにお金を稼ぎ、人生の多くの時間をお金を稼ぐために使います。お金は生活に直結しています。学校で習わないのも「お金」の不思議なところ。

大学や大学院で経済や経営について教わることがあっても、「お金」の本質そのものには触れられていないような気がします。学問的な賢さが実社会での生活力に直結しないのは、バスケと野球のように、それらが別のルールで運営される競技だからである(p.23)

確かに、大学で経済や経営の専門的な勉強をしても、実際にお金持ちになるワケではありません。お金について知ることと、お金を実際に使いこなすことは「ルールが違う」というワケ(学校でお金について教えない・学ばないというのも、実際に必要な知識は「教えられない」ってこと?)。

3つのベクトルの2つ目は「感情」(共感、嫉妬、憎悪、愛情)。お金の次に影響力が強いとされています。お金の影響力を維持するためにも「感情」を無視してはいけないとされています。

3つめがテクノロジー。テクノロジーについて「99.9%の人は考えなくても問題ない」とされていますが、テクノロジーが実社会を大きく変えるきかっけになるのも事実です。

お金じゃ足りない!

本書『お金2.0』は、お金だけではない「新しい価値」について書かれたものです。わたしたちはお金の支配から逃れられない社会で生きているけれども、それと同時に「お金だけじゃ足りない」のが本当のところなんでしょう。誰もが働いてお給料をもらうだけだと不満で、激励や承認も望んでいます。

一部、自分の人気が収入と直結する職業の人を除けば、多くの人はSNSで「いいね」されても一円も儲かりません。だけど、SNSに投稿をやめられないし、「友達」の数が多ければ多いほど、なにか「価値」があるような気がします。他人から「素敵な人だ」と思われたい欲求って誰にでも多少はあるでしょう。

わたしたちを突き動かしている原動力の大きな要素はお金だけど、お金だけじゃなくて、共感や嫉妬や「素敵だと思われたい」「承認されたい」といった感情が大事。そして、現在はその感情の発露としてテクノロジーが大きく関わっています。多くの人にとって高価なスマホはなくても困らないものだろうと思いつつ、しかし一度スマホを用いて「つながり」を経験してしまえば元に戻れないのもわかります。

「価値主義」社会っていい世界なのかな

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』挿絵イラスト

この「お金」「感情」「テクノロジー」の3つのベクトルによってもたらされる未来の方向性を「価値主義」と名付けられていました。お金主義ではなく、お金とそれ以外の要素が合わさった「価値」主義なのです。

お金主義の時代が終わり、新しい「価値主義」の時代が来るって、それっていいことなんでしょうか。本書『お金2.0』ではベーシックインカム(BI)の話題も扱われ、ベーシックインカム導入後は「お金のために働く」というベクトルが少し弱まり、相対的に「感情」「テクノロジー」の力が大きくなります。

価値主義では、「認められたい」「共感されたい」という感情を満たせられる力のある人にとってはいい世界かもしれませんが、みんながみんな上手にそれができるとも限らないでしょう。今は「生活のために働く」ことができますが、ベーシックインカム導入されると働くことに、今以上に「理由」が必要にるんじゃないのかなぁなんて考えると、今よりも面倒くさそうにも思います。だって今だって、働くことに「生活のため」以上の理由を求めている人はすでに多いのではないでしょうか。

ベーシックインカム導入後の「感情」の比重が大きくなった世界では、無料で「いいね」を集められている人はいいけれども、旅行や買い物、食事など、物やサービスをお金を払って買った結果「いいね」が集まっている人にとっては、今よりもお金が必要になるんじゃね? なんて考えると、よくわからなくなってきます(;’∀’) ただ、転んでも死なないってのは、チャレンジする人にはいいね。

関連記事

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

目次情報

第1章 お金の正体

3つのベクトルが未来の方向性を決める
急激に変わるとお金と経済のあり方
お金とは何か?
お金が社会の中心に位置づけられた資本主義
中央銀行の仕組み
仮想通貨は鏡の世界?
膨大なデータが見えてきた「経済システム」の構造
経済とは「欲望のネットワーク」
人の手で経済は創れるか?
発展する「経済システム」の5つの要素
経済に持続性をもたらす2つの要素
ビットコインに感じた「報酬設計」の秀悦さ
「経済システム」の活用
持続的に成長する組織の条件
勝手に拡大するサービスを作るには?
「小米(シヤオミ)」に学ぶ経済圏の作り方
経済と脳の深い関係
進化する、脳が欲する「報酬」の種類
脳は飽きやすい――変化と不確実性
快感は他人との比較によって高まる
ゲームとは報酬回路を人工的に刺激する「優れた装置」
快楽物質は強力すぎる諸刃の剣
「自然」は経済の大先輩
経済と自然の根底にある同一システム
企業経営を通して学んだ「ビジョン」の重要性
有機的なシステムとしての経済
マトリョーシカ人形のような入れ子の構造
自然の秩序に反したルールの危険性
ダ・ヴィンチには見えていた“ひとつの世界”

第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ

テクノロジーの変化は点ではなく線で捉える
今起きているのはあらゆる仕組みの「分散化」
分散化する社会シェアリングエコノミー
中国がリードするシェアの世界
「評価経済」でまわる中国
国家を代替するトークンエコノミーの可能性
トークン化する世界
完全に分散した経済システム:ビットコイン
「自立分散」という次世代の成功モデル
AIとブロックチェーンによる無人ヘッジファンド
中国の無人コンビニ
テクノロジーによって経済は「作る」対象に変わった

第3章 価値主義とは何か?

限界を露呈し始めた資本主義
資産経営の肥大化と金余り現象
お金にはなりにくい「価値」の存在
社員の満足を投資判断の材料にするファンド
資産としては認識されないデータの「価値」
資本主義から「価値主義」へ
「価値」の3分類
資本主義の問題点をカバーする「価値主義」
「共感」や「感謝」などの内面的な「価値」の可視化と流通
「評価経済」の落とし穴
社会的な価値・ソーシャルキャピタルの可視化
営利と非営利の境界線が消える
経済と政治の境界も消える
ベーシックインカム普及後の、「お金」
「経済」は選べばいい
複数の経済圏に生きる安心感
「時間」を通貨とする経済システムの実験
タイムバンクとVALUの正体
デジタルネイティブからトークンネイティブへ
「価値主義」とは経済の民主化である

第4章 「お金」から解放される生き方

人生の意義を持つことが「価値」になった世代
若者よ、内面的な「価値」に着目せよ
「儲かること」から「情熱を傾けられること」へ
人間の心は放っておくとサビる
「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く
枠組みの中での競争から「枠組み自体を作る競争」へ

第5章 加速する人類の進化

お金にならなかったテクノロジーに膨大なお金が流れ込む
電子国家の誕生:エストニア
宗教と価値主義
「現実」も選ぶ時代へ
人類の経済圏は大気圏を突破する
「お金」は単なる「道具」である

おわりに

佐藤 航陽(さとう・かつあき)

福島生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2011年にアプリ収益化支援事業を開始、世界8拠点に事業を拡大。2013年より決算サービスを立ち上げる。2015年に東証マザーズ上場。累計100億円以上資金調達を成長させる。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AETA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「30 Under 30 Asia」などに選出。2017年には時間を売買する「タイムバンク」のサービスの立ち上げに従事。宇宙産業への投資を目的として株式会社スペースデータ代表も兼務。

コメント

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