こんにちは。子どもの頃、結構大きくなるまで絵本を読んでいたあさよるですw 母が熱心に絵本を買い揃えていて、未だに「定番」な絵本は読んで育ちました。大人になってからは、たまに軽く新刊をチェックする感じ。
昨日の記事で、かこさとしさんと福岡伸一さんの『ちっちゃな科学』を紹介しました。この『ちっちゃな科学』をきかっけに、かこさんの作品を読み返したいと思いました。
かこさとしさんは絵本作家で、あさよるもかこさんの絵本を読んで育ちました。図書館の絵本コーナーにもぐりこんだ あさよるは『あさですよ よるですよ』というかこ作品に遭遇。
これは!あさよるのための本じゃないか!ww
嬉しくなっちゃった勢いで、かこさとしさんの〈代表作〉の一つである『だるまちゃんとてんぐちゃん』を熟読いたしました。
絵本って、読むのに少し〈コツ〉があるんじゃないかと思います。そのコツのようなものも、紹介できるといいなぁと考えています。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』こんな話
お友達の〈ちいさい だるまちゃん〉と〈ちいさい てんぐちゃん〉、二人が一緒に遊んでいます。
だるまちゃんは、てんぐちゃんに興味津々。てんぐちゃんの持っている〈うちわ〉や履いている〈くつ〉、かぶっている〈ぼうし〉、そして、てんぐちゃんの長ーいお鼻が気になって、自分も欲しい!
だるまちゃんはお家へ買って、大きな〈だるまどん〉に「てんぐちゃんのようなうちわが欲しい」「ぼうしが欲しい」とお願いします。
だるまどんは、家中の履物やぼうし、せんす等を出してきてくれますが、ぴったり良いのがない!
そこで、だるまちゃんは思いつきます。窓の外に生えているヤツデの葉をせんすに見立てたり、まな板をげたに見立てます。てんぐちゃんと同じではないけど、工夫をしてオリジナルのいでたちになった だるまちゃん。てんぐちゃんもほめてくれます。
最後は、だるまちゃんはスズメを、てんぐちゃんはトンボを捕まえて、良かったね!
ズラリと並ぶ、せんす、ぼうし、げた、はな
『だるまちゃんとてんぐちゃん』の見どころは、だるまどんが家中から集めてくれたぼうし、せんす、くつ、お花がズラリと並んだ絵!
そう、「絵本」って、絵の本ですから、絵に描かれているものを楽しみましょう。
てんぐちゃんの被っている帽子を見て、だるまどんに「自分も帽子が欲しい」とねだります。だるまどんは、いろんな帽子をズラリ用意してくれます。シルクハットもあれば、サンタクロースのぼうしもありますし、ナポレオンが被ってそうな帽子や、唐傘が学生帽、中世の甲冑が被っている帽子、ベレー帽に烏帽子。みーんな「ぼうし」。
「ぼうし」って言っても、いろんな種類があるんだね!子どもと一緒に読むなら、一つずつ指さして、「これは何の帽子だろう」と話しながら読み進めると絶対楽しい!
もう一つ、お話の中の大きな〈しかけ〉は、だるまちゃんが「赤くて長い鼻が欲しい」と言ったのに、だるまどんは「赤くて長い〈花〉」を用意しちゃうところ。〈はな〉と同じ言葉だから、全然違うものを連想しちゃったんですね。
そう、この『だるまちゃんとてんぐちゃん』は、だるまちゃんとだるまどんのイメージの食い違いが面白いんです。
〈花〉と〈鼻〉の同じ音でも別のものとか、〈靴〉〈帽子〉と言っても色んな種類があることが、ズラッと一覧するのがおもしろい!
よーく一つずつ見て!
絵本は〈絵〉を見るべし!というのが、あさよるの絵本の読み方なのですが、よーくよーーく観察してみてください。
〈伏線〉が絵によってたくさん張られていることがわかります。
ヤツデ、おわん、まないたはどこにある?
てんぐちゃんの扇が欲しいだるまちゃん。しかし、お家にはちょうどいいのがありません。そこで だるまちゃんは植物のヤツデを扇に見たてます。
……ここで、一切文章による説明がありません。字しか読んでいないと唐突な展開。しかし……実は前のページに、ヤツデが描かれているんです。見逃していませんか?
てんぐちゃんの高下駄が欲しい だるまちゃん。いろんな靴を用意してもらうけど、いい靴がありません。そこで、だるまちゃんはまな板を下駄に見立てました。
……そう、たくさん靴が並んでいる中に、ちゃんとまな板が描かれています。
文言では説明されていませんが、絵によって説明されています。よーく絵を見て!
すずめととんぼはどうなるの?
最後、スズメとトンボを捕まえたお二人。ここでお話は「めでたしめでたし」……ではないんです!
さらに次のページ、本の奥付のページをまでちゃんと見て!
電車ごっこしている二人の頭の上を、スズメとトンボが飛んでいます。逃がしてあげたんですね。
さらにらさに、本をパタンと閉じると、裏表紙にはスズメとトンボが空を舞っています。
本は最後のページまで……ではなくって、本の奥付や裏表紙までよーく見て!本によっては、カバーを外してみたり、本の装丁の隅まで見てみると発見があるかも!
絵本って、隅が面白い!
だるまちゃん&だるまどんにキュン!
絵本の読み方のコツは、「絵を読む」ことです。しかも、よ~く、隅々までじっくり見て!
子どもは同じ本を何度も何度も飽きずに読む子がいます(あさよるもそうです)。ですから、子ども向けの本は、数百、数千回読まれても飽きないような〈仕掛け〉がなされています。恐るべき回数を読みまくっても飽きない本が「良い絵本」じゃないかなぁと、あさよるは思います。
そして、『だるまちゃんとてんぐちゃん』も、何度読んでも面白い。しかも、子どもだけじゃなく、大人が読んでも面白い仕掛けが素晴らしい!
文章だけではなく「絵を見る」。これは、絵本を読みなれていないとザーッと流し読みしちゃうかも。「絵を読む」んです。
じっくり、〈仕掛け〉と〈伏線〉を探しながら読んでみてください^^
だるまちゃんとてんぐちゃん
加古 里子(かこ・さとし)
1926年、福井県に生まれた。東京大学工学部卒業後、民間会社に勤務のかたわら、セツルメント運動、児童文化活動に従事。童画、紙芝居、童話などの児童文化財を研究し、1967年に出た「日本伝承のあそび絵本」(福音館書店刊)は大きな話題となった。また、本書はサンケイ児童文化対象の一冊にえらばれた。主な著書は「かわ」「はははのはなし」「だるまちゃんとうさぎちゃん」「だるまちゃんとかみなりちゃん」(以上福音館書店刊)など多数ある。神奈川県在住。
コメント
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