【書評】イケダハヤト『年収150万円で僕らは自由に生きていく』|「少ないお金でもなんとかなる」に

こんにちは。自分でブログをはじめて、他の人のブログも読むようになった あさよるです。

イケダハヤトさんのブログもちょこちょこっと拝読し、「この人はどんな人なのかなぁ」と気になり、著書を手に取りました。

貧しい社会で、幸せに生きる

イケハヤさんの本を読んでまず気づいたのは、“今後、今よりも貧しい社会がやってくる”“我々はその社会で生きる”という前提であるということです。

著者は1986年生まれのアラサー世代・ゆとり世代です。著者と同じ世代の方なら、同じ世界観を持ってらっしゃるのではないかと思います。

というのも、この世代は、物心ついた頃にはバブルは既に崩壊しており、不況の時代しか知らない世代です。「少子高齢化」も「年金問題」も既に取りざたされていました。もっと言えば「環境問題」や「エネルギー問題」など、今に通ずる問題を、すでに抱えていた時代です。

イケハヤさんの語る世界観は、夢も希望もない話にも聞こえます。しかし、現にそういう時代を生きているのですから……ね(´・ω・`)

砕けた口調で真面目な話のミスマッチ?

ということで、本書『年収150万円で僕らは自由に生きていく』で扱われている内容って、非常に真面目なお話です。

今後、今よりも貧しい社会が訪れることは予見できます。もちろん、景気回復を切に望みますが、楽観的にばかりなっておれません。来るべき時に備えて、用意しておくべきです。

来るべき時代とは、貧困の時代と言えば良いのでしょうか。その社会では、教育や福祉、医療や治安など、今と同じようにはいかなでしょう。

と、とても本質的で真面目な話なんですね。

しかし、砕けた文体で“今”のわたしたちが共感できる、親しみのあるネット社会や文化に触れながらページが進みます。

扱っている内容は固くて真面目な話なのに、砕けた文体でライトな喩えを用いている点に、読みにくさを感じる人もいるかもしれません。反対に、親しみを感じるのか、極端な気がします。

アラサーゆとり世代のリアル

「お金がない」という前提で生きる世代。どのように生き延びるのか。

お金がないなら知恵や人力を使うしかありません。

お金があった時代というのは、人間関係や手間や暇を、お金で解決できた時代と言えます。煩わしい家族や親戚との付き合いをやめ、面倒な地域社会との関わりを絶ってしまっても、お金があればやっていける。

しかし、貧しい社会というのは、親類縁者との関わりがないと生きれないかもしれません。地域社会で助け合わねば生活が成り立たないのかもしれません。

「わずらわしい」「面倒だ」と避けてきた人間関係に、我々は今後直面するのでしょう。

また、「働き方」「お金の稼ぎ方」も従来通りにはいかないでしょう。社会の仕組みそのものが変わってしまうだろう、ということですね。

お金がないなら知恵が必要

社会が貧しくなるというのは、どういうことが起こるのでしょう。あさよるは予想できません。

しかし、今のように医療や福祉サービスを利用するのは難しいのではないか。
今と同じように治安が良いままとは思えない。
今と同じように、食べ物があって当然、上下水道が完備されていて当然ではなくなるのではないか。
災害時、すぐに救援がやってくるのは、国が豊かであることが前提じゃないだろうか…?

最悪、サバイバルするように、生きる瞬間もあるのではないか。

その時、きちんと電力を確保できるかなぁとか、バッテリーやエンジンを上手に使えるだろうかとか、そういえば最近、機械をイジってないから、道具の構造&使い方を忘れてしまっている……。

あさよるは、非常時に役に立たない人だなぁと気づきましたorz もうちょっと、サバイバル力上げないと。

困ったときには、知恵と技術を持った人が必要です。

貧しい時代をどう生きようか?

タイトルが『年収150万円で僕らは自由に生きていく』と、なんとも夢のない、ネガティブなタイトルに思えますw

しかし、それが現実に起こるであろう話です。いいえ、既に起こっているけれど、まだ気づいていないだけの話かもしれません。あるいは、「気づきたくない」だけかもしれません。

と言っても、「今まで通りが通用しない」というのは、過去のどの時代でもそうだったでしょう。

「お金があればなんとかなる」時代は過ぎ去り、これから訪れる社会で「お金は少なくてもなんとかなる」。それだけでなく、「僕らは自由に生きていく」。

タイトルの『年収150万円で僕らは自由に生きていく』というのは、とても前向きな言葉なんだなぁと最後まで読み思いました。

もちろん、どんな時代でも成功する人はいます。

もっと多くの年収を掴み取る人もいるでしょうし、もっと少ない人もいるでしょう。自分はどう生きるのか考えるとき、お金の多い少ないはどちらにせよ、自由で幸せに暮らしたいなぁと思いました。

関連記事

年収150万円で僕らは自由に生きていく

  • イケダハヤト
  • 星海社
  • 2012/11/22

目次情報

はじめに そもそも「お金」って、なんだ?

1章 お金が、ない!
僕らにとってお金がないのは「前提」だ。ただし「貧乏=不幸」ではない

「貧乏がデフォルト」の時代がやってきた
貧乏は「自由」だ
安心を得るための「貯金」には終わりがない
ミニマム生活コストを計算してみよう
年収150万円生活は現実的か
自由を売るくらいなら貧乏であれ
「貧乏」という制約はクリエイティブなゲーム
入浴は石けん一つ ペットボトルの水なんてもってのほか
貧乏人は「採算度外視」の優しさを持っている
パーソナル・セーフティネットを形成する
「幸せの閾値」を下げよう
貧乏人たるもの収益性を高めよ
価値の蓄積をして「不労所得」を得よ
時給1万円なら、一日1時間働いて300万円

2章 金より、つながり!
お金がないと何もできないのは貧しい。「つながり」を築いて楽しく生きよ

オープンになれば、お金は節約できる
お金とは、人とつながらないための「免罪符」
知識や経験を公開して人とつながる
「貧乏人はオモテに出よ!」
つながりを自分でデザインする「ムラ社会2.0」
自分の「強度」が試される
社会は「タコツボ化」していくのか?
インターネットの相互監視は「カルト」を生みにくい
お金が必要なのは、つながりや創造性が貧しい証拠
「これにお金払う必要ある?」
変化を促進するブースターとしての「お金」
世の中の問題課題に有効な「お金」

3章 さあ、柵の外へ!
「飼い殺しの羊」になってはいけない。会社の外へ発信して社会とつながれ

弱い部分を預ける恐怖
「柵の外」に自分の存在を知らしめよ
専門性や熱い想いを発信せよ
炎上するのは、柵の外に近づいている証拠
声を上げたもん勝ち社会
僕が考える「いい会社」のたったひとつの条件
「いい会社」にいたとしても、「柵の外」とつながろう
キャリアの役にも立ったNPOでのプロボノ
「飼い殺し=お金への依存」から脱却せよ

4章 仕事は、問題解決だ!
『お金のために働く」のは時代遅れだ。なぜ僕らは働くのかを問い直せ

働く意義を見失ってしまった
スキルを磨くために働くという「言い訳」
お金にならないけど価値がある仕事がある
「何のために?」までたどり着いていなかった
聴覚障がいという課題に取り組む起業家
何を解決したくて仕事をしているのか?
WhatとWhyがつながった
「はじめてテレビを作った人は面白かっただろうなぁ……」
「ソーシャル・イントラプレナー」という皮肉な言葉
問題意識の見つけ方
「給料半分でも」今の仕事を選びますか?
「死ぬまで低年収でも」今の仕事を続けますか?
カリヨン・ツリー型のキャリア
「問題意識」に着目して働こう

5章 遊ぶように、社会と関わる
「脱お金」で日本は沈まない。税金を介さず、素手で「公共」を取り戻せ

経済成長は弱者を救うために必要
誰もが社会的弱者になりうる
「政治家に任せる」などと言っている場合ではない
社会をつくる手段はお金だけではない
ボランティアで道路を造る村
顔の見えないシステムに「外注」しすぎている日本人
税金、選挙以外の社会参加を
シニアボランティアのパワー
「パーソナル・セーフティネット」をつくろう
テクノロジーが社会参加をサポートする
遊ぶように社会に関わる
「公共」をこの手に取り戻せ

6章 所有は、ダサい!
「買う」ことを疑い「シェア」しながら、150万円時代を明るく生き抜け

「買う」について改めて考える
「住む」のにお金なんていらない?
「家族向けシェアハウス」の萌芽
家をメディア化し、家賃に補塡
自分の部屋を旅行者に貸してお金をゲット
格安物件と高額バイトで生きのびろ
高い家賃を払うために働くのはもうやめよう
学びのコストも下がる「駅前留学」は高コスト
有志が運営する「私塾」で学ぶ
オンラインの無料教材で学ぶ
大学の価値が下がる
借金してまで大学に行くことはない
「大量消費・大量生産」から「適量消費・適量生産」へ
日本を離れる人たちの「投げ売り」をチェック
モノとモノで人がつながるリブリス
「出会い」のコストも下がる
空き予定を公開して、関心が近い人と気軽にカフェ
インターネットという巨大な「中抜き」排除システム
非効率な中抜きビジネスは消えていく
テクノロジーを使いこなせば、生きるコストは下げられる
「共有するためのツール」を求める若者たち
そのブランドに物語はあるか?
「経済成長」を前提にするのはやめよう

おわりに 「お金至上主義」から離脱せよ

イケダ ハヤト

プロブロガー

86年生まれ。早稲田大学政治学経済学部を卒業後、大手半導体メーカーに就職するも、入社した年に合併が決まったことに不安を覚え、わずか11ヶ月で退職。ソーシャルメディアマーケティングのコンサルティングを行うベンチャーに転職し、新規事業を立ち上げる。しかしその後「お金のために働いている自分」に違和感を覚え、よりやりがいを感じられる仕事を求めて2011年3月にフリーランスになる。現在はブログを中心とした情報発信およびNPO支援などの活動をしている。ときにタブーに触れるような歯に衣着せぬ発言は、しばしばインターネットで話題になり「炎上」することも多い。若い世代のオピニオンリーダーとして注目を集めている。

コメント

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