和田秀樹『「いい人」をやめる9つの習慣』|みんなの「都合のいい人」!?

こんにちは。「いい人」になれないあさよるです。

今回『「いい人」をやめる9つの理由』という本を読みましたが、そもそも最初から「いい人」になれていないと、読みながら気づいてしまいましたw

本書は、他人から「いい人ね」と称されつつ実は「都合のいい人」として使われてるんじゃね?という疑惑を感じる人へ向けたものです。

あるいは、「いい人」の顔をやめたくてもやめられない。「いい人」になろうとしてしまう、根っからの「いい人」へ。

「いい人」でいたい理由ってなんだろう

『「いい人」をやめる9つの理由』では、他人から「いい人」として扱われるのは、自ら「いい人」と思われたいからではないか?と定義され話は進みます。

その理由は「人から好かれたい」「一人になるのが嫌」「弱みを見せられない」等々、理由が複数挙げられます。

注意したいのは、「気が弱い」ことと「優しい」ことは別の話です。相手の話をハイハイと言われた通りに聞くのが優しさとは限りません。時には厳しいことを言ったり、指摘することが親切な場面もあります。もし、相手の言うことを聞くのが優しさや親切だと思うなら、それは「いい人」像を見つめ直してもいいかもしれませんね。

あるいは、「一人になる」ということを極度に嫌う人もいます。一人で食事することを「ぼっち飯」と言ったりしますね。まるで一人であることが寂しくて恥ずかしいことのように扱われることもあります。

しかし「一人になりたくない」と思うあまり、無理してでも「誰かに好かれたい」「誰かと一緒にいたい」と自分自身にプレッシャーが働くのかも。

性格はそうそう変わらない

本書『「いい人」をやめる9つの理由』を読んで面白いなぁと感じたことは、「性格は変わらない」という前提が置かれていることです。

「頑張って性格を変えましょう」とか「思い込みをやめましょう」とか、無理して自分を矯正するような方向に話は進みません。最初っから「性格は変わらない」がスタートです。

だから、本書で提案されているのは「視点を変える」「別の認識をしてみる」くらいの感じ。でも、そのちょっとの変化が、大きな変化を呼ぶんじゃないかなぁと思います。

“きっかけ”って、ちょっとしたものですからね。

もし、人から都合よく使われたり、パシらされたり、悪質ないじめに遭うなどされている方が、この本を読んでも、読んだからといって劇的になにか変わることはないでしょう。

毅然とした態度をとること。それは悪いことではないことが強調されます。

残念ながら、いじめが社会からなくなることはないでしょう(もちろん、法に触れる「いじめ」は警察や司法に訴えなければなりません)。「いじめ」はある。しかも、「自分がいじめられるかもしれない」のは全ての人に共通しています。

そんなときでも、自分を卑下したり、性格を変えようとせず、毅然と振る舞い続けることが大切です。

「言いたいこと言う人」は図太くあって欲しい…?

「いい人」でいたい人の勘違い……というと大げさでしょうか。

「言いたいことを言う人」のことを、神経の図太いヤツだ、とか、無神経なヤツなどと、評価していないでしょうか。あるいは「ワガママ」とか「気まま」に見えるかもしれません。

しかし、言いたい放題しているように見える人も、実はとても繊細な人もいますし、傷つきやすい人もいます。

先に述べたように、相手の言いなりになることが「いい人」「優しい人」とは限りません。ズバッと物を言ったり、他人の言い難いことを代弁することで、周囲のコミュニケーションを円滑にしようとする人もいます。

「嫌われ役を引き受けてくれる人」というのもいます。

もしかしたら、「いい人」と思われたい人にとって、「言いたいことを言う人」は図太くワガママであって欲しいのかもしれないなぁと思いました。

「いい人」を“やめる努力”?

本書『「いい人」をやめる9つの習慣』は読み方によっては、ちょっとイジワルにも読めるように思います。その構成が面白いなぁと感じました。

まず、普通に読めば、人から「いい人」と言われながら「都合のいい人」として扱われている人へ、脱却の仕方が紹介されています。

しかし、もう一歩踏み込んでみると、「いい人」は、本当の意味で親切で優しくいようとする人や、素直に振る舞おうとしている人への評価が低く、「いい人のフリ」をしている自分の不遇に嘆いているようです。

本書は「性格は変わらない」とし、親切に生きようとする人や、素直に振る舞う人への評価を促し、かつ、「いい人になりたい」と願う人に対しても、「そのままでいいよ」と言っているようです。

そして、ほんの少しだけ、視点を変えたり、他の考え方を知ることで、「いい人」のイメージが変化してゆくように感じました。イメージが変われば……行動も少しずつ変化してゆくんじゃないのかなぁと思います^^

和田秀樹さんの本

関連記事

「いい人」をやめる9つの習慣

  • 和田秀樹
  • 大和書房
  • 2016/4/9

目次情報

はじめに
私もつい「いい顔」してしまいます

和田式「いい人」脱出法 9つの習慣 大公開!

習慣1 うまく断る

試しにちょっと断ってみる

「押し付けられる構造」を壊す
「気の弱さ」は「優しさ」ではない
本当は気の弱い人ほど断りやすい

「大変さ」をアピールする

「頼まれない」状況を作る
好きな仕事を選ぶ
風邪を引いて休んでみる

「強気な人」は実は損である

「ハッキリと物を言う」デメリット
なめられる人の理由
低姿勢な医者は得か?損か?

「正確は変わらない」と知る

他の人は怒らないのに自分だけ……
オドオドしている人の特徴を生かす
「弱い人キャラ」の最大の攻撃法

習慣2 柔軟になる

「気が弱い」とはどういうことか?

気が弱いほうが、気が強い?
「強さ」は諸刃の剣
「判官贔屓」の日本人
よいリーダーの条件

「他人に頼る人」は強い

演説下手なケネディが買った理由
なりふり構わず対策をとる
「仮面はたくさん用意する」

ポジティブシンキングの弊害

とある2人の社長の話
「気の強い人はうつ病にならない」はウソ
小さな成功体験を積み重ねる

習慣3 発言する

素直に口に出す勇気

素人から「ワインの帝王」にのし上がった男
感じたことをそのままいう強さ
東大卒社員より目立つには

正直さをアピールする

いかに素直に言えるか?
口下手を逆手にとる

気弱な人が座をもたせるには?

得意ネタを2~3個仕入れておく
私の愛読する「マイナー雑誌」はネタの宝庫

会話上手になるための秘訣

話を聞くときに「何役」になるか?
会話が進む3つの役

習慣4 手を抜く

欠点のない人を目指すな

取り柄だけを磨く
社会人のほうが、新しい取り柄を発掘しやすい
「欠点」をいくら直しても自信にはつながらない

勝てる土俵を選ぶ

ニッチを見つける
あなたの「一番の欠点」が取り柄に変わるとき

正しい「手抜き」の仕方

「記録」より「記憶」に残す
すべてのことに欲張らない
やりたくない仕事への心構え

考えすぎて動けない人へ

「あれこれ考える」のはうぬぼれ?
「最悪は最悪」じゃない
私の人生最大の失敗

学歴は人生の保険にすぎない

「学歴社会」という神話の崩壊
日本は昔から「金権社会」
もしも私に学歴がなかったら……

習慣5 空気を読まない

「普通の人」は軽く見られる

「スクールカースト」のヒエラルキー
「問答無用!」の三軍
「一軍」と「三軍」は表裏一体
その大勢になってしまう「二軍」

相手に合わせない勇気

「無視されたくない」心理
「無視されてもいい」と開き直る
必要以上に恐れない

「予定調和」から外れてみる

「予定調和な人」=「物足りない人」
相手の予想を裏切ってみる

いい人、受難の時代

「普通」が生きづらい
おとなしすぎる日本人
みんなで少しずつ抗おう

「世間」とは誰のこと?

メディアを鵜呑みにするのは危険
世間にあえて逆行してみる

習慣6 嫌われることを恐れない

「いじめがあるのが社会」と知る

「いじめ」を「笑い」に変えた芸人
異質さは失うな

自分の性格を否定しない

いじめられた私を救った母の言葉
自分の性格は変えられない
変わっている部分を認める

「勝ち体験」と「負けん気」を養う

苦手分野は、ひとまず放置
得意なことで人を見返す
「自分流」の生き方をした私のその後

いじめられたときの対処法

いじめは誰の身にも起こり得る
不当なことはきちんと「訴える」
相手の前からさっさと「逃げる」

習慣7 孤独になる

疎外感を手なづける

「弱い自分をさらけ出す」という強さ
他人は思った以上に、あなたを見ていない

孤独への耐性を高める法

必要なのは、たった1人の「味方」
「差別」を有効活用する

1人で過ごす時間を作る

すべてをシャットダウンしてボーッとする
孤独と集中力の結びつき

1人時間の楽しみ方

孤独を必要以上に恐れない
「依存症」にだけはご用心!
「おひとりさま」を演出してみる

習慣8 余裕を持つ

視点を変える

「ダメもと」で考える
「美女と野獣」カップルの成立要因
軽く見られることは悪いことじゃない

安心感で顧客を釣る

トップセールスマンほど腰が低い
親近感を演出する

あえておひとよしになるとき

おひとよしは騙されない
「小さな損」と「大きな損」
「いい人」に見られることを「損切り」する

芸能界に見る「ベテラン」の法則

「一恥」で「二得」を得た高田純次さん
立ち位置を変えてきた関根勤さん
大器晩成を目指す

習慣9 頭を下げる

味方を増やす技術

偉くなると誤解を受けやすい
人に頭を下げる価値が高くなる
ある大物政治家の「意外なふるまい」

丁寧に説明する

頭は下げてもも迎合するな
上司の仕事は「説明責任」を果たすこと
「上司だから偉い」は勘違い

謙虚になる

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
待っているのは孤独な老後
上司に可愛がってもらうより、部下を可愛がる

おわりに
「小さな決意」で人生は大きく変わる

文庫版おわりに

和田 秀樹(わだ・ひでき)

1960年大阪市生まれ。85年東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科を経て、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。
また、映画監督として初作品『受験のシンデレラ』でモナコ国際映画祭最優秀作品賞受賞、2012年には『「わたし」の人生』が公開され話題を呼ぶ。
著書に『45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい』『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』『「あれこれ考えて動けない」をやめる9つの習慣』『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)、『感情的にならない本』(新構社)など多数。

コメント

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