『あした選挙へ行くまえに』|なにを投票するの?

こんにちは。世間のトレンドについていけてない あさよるです。選挙ですよ!今さら感はありますが、ちょいと勉強くらいしておこうと、池上彰さんの『あした選挙へ行くまえに』を手に取りましたよ。

池上彰さんと言えば、開票速報芸が風物詩になりつつありますが、池上さんがどんな感じで「選挙」を語るのかも興味がありました。ちなみにに本書は「14歳の世渡り術」という河出書房新社のシリーズで、社会人が中学生に語りかけるような内容が多く、このシリーズが好きだったので、二重に期待!

ちなみに、小中高で習った社会科のおさらいをするような内容も多いので、大人にもオススメ。自分の知識の再確認にぴったりです。

「選挙へ行こう!」投票のススメ

本書『あした選挙へ行くまえに』の「おわりに」で、本書のねらいが紹介されています。

 この本で私は、「選挙は、あなたが払った税金の使い道を決める人を選ぶのだ」と書いてきました。
あなたが苦労して払った(納めた)大事なお金。ムダ遣いされては困ります。
お金を稼ぐのに苦労し、自分や家族がお金を使うときにはうるさく言うのに、税金の使い道には無関心。こんな人がいますね。これでは、せっかくのあなたのお金(税金)が、ムダ遣いされてしまいます。
税金を有効に使うためにも、投票に行き、税金を上手に大切に使ってくれる政治家を選ぼうではありませんか。

p.189-190

選挙制度や国会の話題はいつも、ネガティブで悪い話ばかりが飛び交います。そんなのをずっと聞いていると、「選挙なんかやってもムダじゃね?」とか「どうせ政治家なんて庶民のことなんて考えてないんだよ」なんて言いたくなります。それは、もちろん事実でもあるだろうし、民衆の感情を煽っている報道に疲れているコトもあるかもしれません。

「でもねでもね……」というのが、池上彰さんの『あした選挙へ行くまえに』です。確かに、日々政治家の不祥事のニュースなんて聞いてると嫌になっちゃいますが、「それでも選挙へ行こうよ」と呼び掛けているのです。

それは、なんだかんだいいつつも日本で暴動が起きないのも、社会保障が充実しているのも、政治の力だし、また日本の選挙制度は、権力を分散し、腐敗を招かないように苦心されているんですよ、と。んで、確かに今の政治のニュースって嫌んなっちゃうけど、それでも改善改善され続けてきて今があるという。これは、今後もっと良くなるために、我々も政治に参加しないとねというお話。

なんのための選挙?

まず、日本の選挙は明治以降かなり変わり続けています。そもそも、税金の使い道を決めるために政治家を選ぶので、税金をたくさん払っている男性に選挙権が与えられていました。1890(明治23)年、金額は15円、今の金額で数千万円の税金を納めた人です。貧乏人に選挙は無縁だったんですね(;’∀’) 1925(大正)年、25歳以上の男性全員に選挙権が与えられました。女性に選挙権が与えられたのは第二次大戦後のこと。年齢も20歳に引き下げられました。選挙権持っている人の変遷を見るだけでも、選挙制度がガラリと変わっているのがわかります。

日本では20歳になれば自動的に選挙権が与えられお家に選挙のお知らせが届きますが、アメリカでは選挙前に選挙権を自分で申し出ないと投票できないそうです。こんな些細なことでも国のかたちが違うのがわかりますね。「20歳になれば選挙権があって当たり前」ってことではないんですね。

選挙では代表者を選び、わたしたちが納めた税金の使い道を決め、不正がないか見張らせるための仕事があります。だから国会が予算案を決めるんですね。

例えば、義務教育の費用は税金が使われます。みんなが読み書きでき、誰もが計算をでき、仕事ができるのは、教育の力です。社会秩序にも関わる大事なお金です。社会保障の充実も同じです。病気になっても医療にかかれるし、歳をとれば年金があるから、貯蓄を溜め込まなくていいし、不安が払拭されます。防衛費も、安心安全にかかわること。これらのことを国会議員たちが大議論するのは当たり前のことです。

で、そのお金の使い道を決める代表者を決めるのが選挙!ってことね。

アメリカの選挙制度も見ておこう

本書『あした選挙へ行くまえに』の面白いのは、アメリカの選挙制度も詳しく解説されていることです。アメリカ経済は日本にも影響があることですし、アメリカの「国のかたち」を知っていてもソンはないっしょ。

まず、〈アメリカ大統領のなり方〉から始まるのも何やら楽しい。アメリカ大統領になるにはアメリカで生まれ、アメリカ国籍を持ち、14年以上アメリカ在住の35歳以上と決まっています。……ですので、あさよるは米大統領になる資格がありません。アメリカ生まれじゃないからです。しかし、例えばアメリカ人と結婚して、アメリカで出産をすれば、子どもはアメリカ生まれのアメリカ人なので、ひょっとすると大統領になるかもしれません。「そんなことあるの?」と思いますが、現にオバマ大統領は父親がケニア人、母親がアメリカ人です。もしかしたら、自分の子どもが大統領なんてことも……?w

いや、冗談ではなく、こう考えると自分はアメリカ人じゃなくても、関係のない話ではないという気がします。

アメリカ大統領になるためには、アメリカの選挙で勝たないといけないのですがアメリカの選挙はややこしい。これはアメリカ建国当時の伝統が守られているそうです。党内で候補者争いから始まり、予備選挙がありぃの、有権者登録をさせ、大統領選挙人と選び……とややこしい! 州ごとに違っているようで、わかりまへん。詳しくは本書で学んでくださいm(__)m

結論は「選挙へ行きましょう」

本書は「選挙は行っとこう」という結論です。まず「選挙権が与えられている」というのは当たり前ではなく、長い年月をかけて手に入れたことである点。納税しているんだから自分たちのお金の使い先を自分たちで決めようということ。今の政治や選挙制度を変更するならその代表者を選挙で選ぼう。

国会で教育や社会福祉、国防、外国人の選挙権などなど、喧々諤々の議論をしているのは、それが選挙で選ばれた代表者の仕事なんですね。あまりに見苦しい誹謗等は除外するとして、白熱した議論の中で突飛な発言や、極端な言葉が出るのは当然なのかもなと思いました。今度からそういう「議論のための発言」もあるだろうと仮定して国会中継を見てみます。

あさよるは結構「選挙って知らんがな~」「めんどいな~」と、消極的なタイプだったんですが、改めて選挙制度を知ると、「ほう、おもしろいなぁ」と能動的に選挙に参加したいと思いました。

せっかくみんな義務を果たしてるんだし(国民の三大義務は教育、勤労、納税{消費税含む})、せっかく権利もあるんだから選挙は行っといてもイイよねって呼びかけですね。

あさよるネットで紹介した池上彰さんの本

あした選挙へ行くまえに

目次情報

はじめに――中国ではなぜ暴動が起きるのか

◆たびたび暴動が発生
◆「事実上の」一党独裁
◆落ちる不安がないと人は堕落する
◆不満がたまると爆発する
◆選挙は社会の安全弁
◆民主主義は政治家を信用しない
◆民主主義国では餓死は起きない
◆「ブレット」から「バロット」へ

第1章 選挙は「税金を使う人」を選ぶ

◆自分のことは自分でするが
◆他人とお金を出し合って
◆最初の有権者は納税者だけだった
◆戦後、20歳以上の男女が有権者に
◆私たちは公務員を選べない
◆税金を計画的に使うために
◆通常国会と特別国会、臨時国会
◆義務教育の費用も税金で
◆社会福祉の費用も税金で
◆防衛の費用も
◆自衛隊の海外派遣は?
◆公共事業が問題に
◆公共事業を政治家が利用する

第2章 選挙の方法で結果を変えられる

◆選挙で楽に当選する方法
◆日本でも「ハトマンダー」
◆投票を秘密にしないと
◆ひとりに投票か、複数に投票か
◆「マイナス投票」の方法も
◆選挙区で何人選ぶか
◆大選挙区は政党数が多くなる
◆中選挙区は派閥が生まれる
◆派閥とは何か?
◆小選挙区は二大政党が生まれる
◆比例代表は死に票を減らす

第3章 選挙が「国のかたち」を決める

◆米大統領選挙はなぜ熱狂するのか
◆大統領と首相はどっちがエラい?
◆国家元首はどっちがエラい?
◆ロシアは、どちらがエラい?
◆大統領制と議院内閣制のどちらがいい?
◆なぜ日本は冷ややかだったのか
◆「首相公選制」はどうか
◆「政権選択選挙」に
◆1票の格差で地方の声が大きく
◆お金で政治は買えるのか
◆政治資金パーティーが多くなる
◆お金がかかるので二世議員増加

第4章 日本の選挙は2種類だ

◆日本は二院制
◆参議院は「参画する」
◆任期も異なる
◆意見が分かれたらどうするか
◆なぜ衆議院が優越?
◆選挙制度をわざと変えてある
◆小選挙区比例代表成立制とは
◆「政党本位の選挙」が目的
◆候補者個人の争いを避ける
◆小選挙区に立候補させる仕組み
◆「重複立候補」と「惜敗率(せきはいりつ)」とは?
◆参議院も2票を投じる
◆候補者への投票は政党票とみなす
◆「全国区」から「比例代表」へ
◆拘束名簿式から非拘束へ
◆衆議院は「政権選択選挙」に
◆公約とマニフェストは違うもの
◆マニフェストで判断しよう

第5章 国会議員は特別扱い

◆政党にも税金が使われている
◆「コーヒー 1杯分」の助成
◆議員の年収は2200万円!
◆給料以外の支払いも
◆矢祭町は「日当制議員」
◆逮捕されない特権もある
◆逮捕許諾請求という方法も
◆発言の責任を問われない

第6章 アメリカ大統領選挙の仕組みも見よう

◆大統領になる道は険しい
◆大統領になれる条件がある
◆オバマとは何者か
◆マイケンとは何者か
◆まずは政党内部で候補指名争い
◆党員集会と予選選挙
◆副大統領選びも大切
◆有権者登録させるところから
◆大統領選挙人を選ぶ選挙
◆なぜ複雑な方式を?
◆総得票数が少なくても当選
◆フロリダで起きた珍事
◆投票日は「第1月曜日の翌日」
◆大統領選挙にはお金がかかる
◆ネットで政治献金を集める
◆政治資金は個人献金中心
◆「90億円いらない」宣言
◆大統領は厳しい選挙戦で鍛えられる
◆「言葉」を大切にする

第7章 選挙はオモシロイ

◆選挙にもルールがある
◆戸別訪問は禁止
◆弁当代にも規制がある
◆政見放送も行われる
◆インターネットは使えない
◆候補者が選挙違反しなくても
◆「抜け道」もある制度
◆投票用紙に書くのは珍しい
◆投票所に一番乗りすると
◆「不在者投票」と「期日前投票」
◆期日前投票が使われる
◆海外でも投票できるようになった
◆テレビの開票速報はなぜ早いのか
◆出口調査が威力を発揮

おわりに――政治を変えるのは、アナタ

池上 彰(いけがみ・あきら)

1950年、長野県松本市生まれ。慶応義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。さまざまな事件、災害、教育問題、消費者問題などを担当する。科学・文化部記者を経て、NHK報道局主幹に。1994年4月から11年間にわたり「週間こどもニュース」のお父さん役として大活躍。わかりやすく、丁寧な解説に子どもだけでなく大人まで幅広く人気を得る。2005年3月にNHKを退社し、フリーのジャーナリストに。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『憲法はむずかしくない』(ちくまプリマー新書)、『そうだったのか!現代史』『そうだったのか!アメリカ』(集英社)、『経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ』『政治のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ』(海竜社)など多数。

コメント

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