読書猿『アイデア大全』|アイデアを生む知識の海へ

こんにちは。毎朝寒さに縮こまっている あさよるです。ページをめくる手も震えてしまうので、元気が出るような本を選んでみました。『アイデア大全』はブロガーの読書猿さんの著書で、見た目も黄色く、中のページも黄色いパワーを感じる本です。イラストや図解もたくさんあって、見てるだけで楽しい。

本を読むって「役に立つ」「勉強になる」よりも、もっとずっと「ワクワクする!」「好奇心刺激される!」って衝動が大事だと思うのですよ。『アイデア大全』はワクワクするし「もっと本が読みたい」と素直に思わされる本でした。

アイデア発想法のすべて

本書『アイデア大全』は、新しい考えを生み出すための発想法が網羅された本です。アイデアが必要なときって「これまでのやり方だとダメ」時ですから、本書はジャンルを超えて教養が深まるような内容になっています。ページをめくっているだけでも、これまでの自分の発想には上らなかった事柄に出会えます。

一つのアイデア発想法につき、アイデアの作り方のレシピ、例、レビューと構成されています。

また、ビジネス書や自己啓発書なんかを読んでいますと、いろんな発想法が紹介されていますが、「ほんまかいな」と眉唾してしまうことがあります。それは、バックボーンがきちんと触れられていなかったり、出典が記されてない故に頼りないんですよね。本書では、きっちりと出典やアイデア法が誕生した経緯も記されており「あの本で読んだアレはコレが元ネタだったんだ」と非常にスッキリする読書でした。

また、アイデアの出し方が分類されているのも、これまで見たことなかったカモ。

  • 自分に尋ねる
  • 偶然を読む
  • 問題を察知する
  • 問題を分析する
  • 課程を疑う
  • 視点を変える
  • 組み合わせる
  • 矛盾から考える
  • アナロジーで考える
  • パラフレーズする
  • 待ち受ける

まずは手に取る辞書的存在

本書『アイデア大全』はアイデア発想法を網羅的に扱ったものですから、一つ一つのアイデアの出し方をもっと知りたいなら、それぞれの専門書へと進みましょう。本書『アイデア大全』って、「もっと知りたい」「もっと読みたい」を刺激する本なんです。エッセンスやフックが散りばめられていているんです。本書を読んでアイデアを練るだけでなく、本書そのものが話のネタや教養・雑学になりうつのも面白い。

アイデア発想法が分類されて並んでいるので、「困ったときは『アイデア大全』」的位置づけでしょうか。kindle版で常にスマホで読める状態にしておくか、紙の本を机に並べておくか……悩ましい。

イラストや図解もたくさんあるし、ユーモアも盛り込まれていて、普段本を読まない人も手に取りやすいんじゃなかろうか。

アイデア史年表が楽しい

巻末に収録されている「アイデア史年表」も楽しい。人類のアイデアの軌跡なのだ。悠久の時の中で今に伝わる「考え方」「発想」ってのはスゴイよね。同じこと思いついた人はもっと後にも先にもいたんだろうけど、「残った」「残した」ってことも。

んで、このアイデア史は、あらゆるジャンルの古今東西の話題が盛り込まれてるんだけど、これだけ自分で調べ上げるのって……このアイデア史年表にあることだけでも、一つずつ「知りたい」のだ。

細かいとこまで好奇心刺激される本でした。

関連本

アイデア大全――創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール

目次情報

まえがき 発想法は人間の知識営為の原点

第Ⅰ部 0から1へ

第1章 自分に尋ねる

01 バグリスト

不愉快は汲めども尽きぬ発想の泉

02 フォーカシング

言葉にならないものを言語化する汎用技術

03 TEAのマイセンテンスシート

何を書くかを身体に尋ねる

04 エジソン・ノート

発明王はここまでやる、1300の発明をもたらした3500冊

05 ノンストップ・ライティング

反省的思考を置き去りにする

第2章 偶然を読む

06 ランダム刺激

偶然をテコに、枠を越える最古の創造性技法

07 エクスカーション

手軽に大量のアイデアが得られる発想の速射砲

08 セレンディピティ・カード

幸運な偶然を収穫する

09 フィンケの曖昧な部品

創造性の実験から生まれたビジュアル発想法

第3章 問題を察知する

10 ケプナー・トリゴーの状態把握

直感を思考のリソースにする、懸念の棚卸し法

11 空間と時間のグリッド

異なるスケールを探索し、問題とその兆しを察知する

12 事例―コード・マトリクス

質的データを深堀し仮説を見いだす

第4章 問題を分析する

13 P.K.ディックの質問

常識と日常を叩き割る最強の問い掛け

14 なぜなぜ分析

トヨタ生産方式を産んだ「カイゼン」由来の思考ツール

15 キプリング・メソッド

5W1Hという万能思考

16 コンセプト・ファン

水平思考の開発者による、思考の固着を剥がすスクレイパー

17 ケプナー・トリゴーの問題分析

Why(なぜ)をWhat/When(いつ何が)に変換する

第5章 仮定を疑う

18 仮定破城

発想の前提からやりなおす

19 問題逆転

発想の狭さを自覚させる簡易ゲージ

第Ⅱ部 1から複数へ

第6章 視点を変える

20 ルビッチならどうする?

偉大な先人の思考と人生を我がものにするマジックフレーズ

21 ディズニーの3つの部屋

夢想家ミッキー・実務家ドレイク・批判家ドナルドダックで夢想を成功に結びつける

22 ヴァーチャル賢人会議

発想法の源流にまで遡る、方法としての私淑

23 オズボーン・チェックリスト

ひらめきを増殖させるアイデア変形の十徳ナイフ

第7章 組み合わせる

24 関係アルゴリズム

認知構造の深い部分で働くメタファーの力を、活発にし利用する

25 デペイズマン

シュルレアリストが駆使した奇想創出法

26 さくらんぼ分割法

軽便にして増減自在の、新世代型組み合わせ術(アルス・コンビナトリア)

27 属性列挙法

潜在的な記憶宝庫を賦活化し使い倒す

28 形態分析法

鬼才天文学者が開発した総当たり的発想法

第8章 矛盾から考える

29 モールスのライバル学習

あえて避けているところはないか? そこに探しているものはないか?

30 弁証法的発想法

矛盾や対立こそ創造的発見のヒント

31 対立解消図(蒸発する雲)

組織/社会の問題から個人の悩みまで、対立/ジレンマを解体するスキナーナイフ

第9章 アナロジーで考える

32 バイオニクス法

何十億年の自然淘汰が磨いた生物の持つ優れた「知恵」を我がものにする

33 ゴードンの4つの類比(アナロジー)

問題解決過程の録音と分析から抽出されたシネクティクスの中核技法

34 等価変換法

アナロジー発想法の最終到達

35 NM法T型

4つの質問で自分の中のリソースを違うやり方で読み出す、アジャイルなアナロジー発想法

36 源内の呪術的コピーライティング

世に呪術(まじない)の種は尽きまじ

37 カイヨウの〈対角線の科学〉

分野の仕切りを貫通する、最も長い射程を持つアナロジー法

第10章 パラフレーズする

38 シソーラス・パラフレーズ

類語辞典を発想の支援ツールにする

39 タルムードの弁証法

すべてを失ったユダヤ人が生きのびるために開発したテクスト解釈法

第11章 待ち受ける

40 赤毛の猟犬

アイデアの原っぱで転げ回る

41 ポアンカレのインキュベーション

すべてはここから始まった、発想法/創造性研究の源流

42 夢見 夜の眠りを味方につける

アイデア史年表

索引

読書猿

正体不明、博覧強記の読書家。メルマガやブログなどでギリシャ哲学から集合論、現代文学からアマチュア科学者教則本、日の当たらない古典から目も当てられない新刊まで紹介している。人を食ったようなペンネームだが、「読書家、読書人を名乗る方々に遠く及ばない浅学の身」ゆえのネーミングとのこと。知性と謙虚さを兼ね備えた在野の賢人。

コメント

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