斎藤孝さんの本はつい読んでしまう。本書『1分で大切なことを伝える技術』も、内容もあまりチェックしないまま手に取ったのでありました。
1分で伝える。本書を読む前は、「せっかちな人が多いってことか?」なんて思っていたけれど、読了後は「手短に話を伝えられる力はとても大事だ」とえらく納得していたのです。
一分でコミュニケーション
本書『1分で大切なことを伝える技術』は、1分という限られた時間でプレゼンする大切さを解いている。特に訓練されていない人は、「5分で自分の考えを話してみて」と言われても、だいたいは制限時間をオーバーしてしまう。時間の感覚を常に意識して訓練し続けていないと、短時間で自分の考えを伝えるというのは難しいものだ。しかも本書では「1分」に考えをまとめるのだ。リアルに考えてみると、なかなか難問だろう。
一分というのは、ちょっと立ち話をしたり、相手を呼び止めて用件を伝えるような時間だ。その時間で「詳しいことはまた後日」なのか、同じ1分で「○○は△△で……」と伝えたい内容まで話せるのかで、コミュニケーションのスピードが格段に違う。
で、1分に考えをまとめる力って、会話だけではなく、たとえば「資料にまとめる」ことにも応用できるだろう。
「手短に話す」って、言葉で言うだけなら簡単で当たり前のことなんだけども、実際にできるようなになるならば、それはとても役立つし、大切な力なのだ。
褒める・叱る・励ます・謝る
もちろん1分で物事を伝える力は、仕事だけじゃなく私生活でも役立つ。コミュニケーションの存在しない場なんてないからね。
1分で手短に人を褒めたり励ませるならば、それは大きな信頼になるだろう。人を叱るのも難しいものだけど、1分で的確に叱れればモラハラの防止にもなるだろう。どうしても感情的になってしまいそうな場こそ、1分で伝える技術は必要なのかもしれない。
人に謝るときも、クドクドと長い話をしても、誰もいい思いをしない。やっぱりここでも的確な謝罪は大切だろう。
とうことで、コミュニケーション全般で「1分で伝える技術」は大切なのだ。
サッパリしてる方が濃密かも
わたし自身、人とのやりとりはなるべく端的な方がいいと思っている。ベタベタと長話をすれば親密になれるかと言えば、そうとは限らない。
それよりも、用件をパパっと伝えて、残りの時間はそれぞれの課題に思いっきり取り組んだ方が、お互いに良い時間を過ごせる。もちろん、人と一緒に過ごす時間だって、目の前のことに全力で集中した方が有意義だ。それはもちろん遊びも同じで、思いっきりのめり込んで遊んじゃった方が楽しいじゃない。
ということで、「1分で大切なことを伝える技術」はどんなシーンでも、誰との間でも役立つし、必要な力だと思う。
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齋藤孝さんの本
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- 『読書力』|社会人力とは?教養とは?
- 『頭のよさはノートで決まる』|新しい自分のはじめかた
- 居心地の良い人間関係のために『雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール』
1分で大切なことを伝える技術
- 齋藤孝
- 2009/1/30
- PHP研究所
目次情報
まえがき
第一章 「一分」の感覚をこう養え
「一分」を侮るなかれ
時間は共有資源
会議で重要なのは、クリアな問題提起力
「一分間トレーニング」でコミュニケーション力を鍛えよ
「一分間トレーニング」は何度も繰り返せ
ストップウォッチを使うだけで、仕事は早くなる
「つぶやき式」で一分間で話す訓練を
自分の口癖をチェックする
「聞かれたことに答える」という基本ができているか
自分の話を心の中のチェックシートでチェックする
構造化ができれば、英語でもプレゼンができる
「意味のあることを話しているか」をチェックせよ
「手元にいつも欧米人を」第二章 万能! 川のフォーマット
一分の話に「踏み石」を置け!
万能! 「川」のフォーマット
絵を頭に思い描く能力が大事
言語によって喚起されたイメージが共有されると、興奮が生まれる
もう一つの力――経験喚起力
相手に伝わる「テキスト」は何かを考える
「つなげる」能力をいかに鍛えるか
知識・教養を自分のものにする「アウトプット勉強法」
「文脈力」を鍛える
物語を語ることと、論理的に語ることは違う第三章 一分間プレゼンテーション
忙しい人への提案は、短時間であるほど喜ばれる
コンセプトを一文で表現せよ
“フック”を用意せよ
「カギカッコ」意識を持て
最大のメリットとデメリットがわかるように提案せよ
一番怖いのは、デメリットが示されえていない企画が通ること第四章 コミュニケーションを学ぶための素材
自分の話をジャンル分けせよ
話す力をつけるためには、スポーツと同様、「真似る」ことが重要
対話形式で話せば、話が立体化する
CMは教材になる
「円のフォーマット」で一分をより濃密に第五章 実践! ケース別・一分の使い方
謝る 仕事のミスは、仕事で返せ
“ボヤ”と“大火”の分岐点
「事情説明」は後回しで
弁解・言い訳は不要
公平な目で“現場検証”を
「お詫びのしるし」は菓子折りがいい理由
「雑巾がけ」と再発防止策で火消しを
謝罪を簡潔にする「ミス再発防止ガード」
教える 課題と「ゴール」の設定を簡潔に
まずは本人に気づかせる
わかりやすいメッセージでポイントを確認
各人に「ゴール」の提示を
質問する 質問一つで実力が試される
疑問点をメモせよ
重要度に応じて順位付けを
質問は「十秒」が基本
質問項目を事前に書き出せ
質問がアイデアを生む
相談する コミュニケーションの最強ツール
「相談」が心を通わせる
“一枚の紙”でモヤモヤを構造化せよ
「心の似顔絵」で問題点をクリアに
上司から部下へ相談を
指示する リーダーの手腕が試される
具体的な行動で示せ
レシピのような「段取りシート」をつくれ
引き継ぎに「段取りシート」は欠かせない
初対面 お互いをつなぐ“一本の線”を発掘せよ
“小物”で話のきっかけを
共通の話題を探るなら「テレビ」が無難
せっかくの出会いを次回につなげるために
叱る 「注意メモ」の活用で簡潔かつ効果的に
“手書き”ならではのコミュニケーションツール
子どもを二時間叱っても、効果は薄い
“打たれ弱い”若者とどう接する第六章 賞賛文化を根付かせよう~「褒める」「励ます」が日本を変える~
「減点主義」はもう通用しない
一日三分の“褒め時間”をつくれ
褒め方の解釈は自己流でいい
結果ではなくプロセスを褒めよ
「○○さんがあなたのことを褒めていた」
誉め言葉は「英語」に学べ
究極の励まし言葉「You can do it!」
「You can do it!」と「がんばれ」の違い
“締め”の言葉としての「You can do it!」
褒められたら素直に喜べあとがき――半紙が長いのはもはや環境問題だ
齋藤 孝(さいとう・たかし)
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は身体論、コミュニケーション論。
著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞受賞、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『「できる人」はどこが違うのか』(ちくま文庫)、『質問力』『段取り力』(以上、ちくま文庫)、『仕事力』(筑摩書房)、『コミュニケーション力』(岩波新書)、『齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ』(全13巻、PHP研究所)、『会議革命』(PHP文庫)、『ストレス知らずの対話術』『使える!『徒然草』』(以上、PHP新書)など多数。
小学生向けセミナー「斎藤メソッド」主宰
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