『これはしない、あれはする』|「人生に夢中」なら大丈夫

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こんにちは。執念深いあさよるです。過去の、相手はもう忘れてるような出来事を思い出してイライラします。「相手はもう忘れているだろう」という事実がまた、腹が立つのよ! ……と、自分でも「無駄な時間だなあ」と思うのですが、性分なのか、なかなか気持ちが治まらないのでした。

本書『これはしない、あれはする』は、あさよるのような、感情に支配され冷静でいられない人にとっては、耳に痛い本かもしれません。「わたしだって、こういう風に生きたいのよ」と憧れを持つかもしれません。「大らか」とも違う、「ゆるし」や「諦め」とも違う。「夢中」という言葉が相応しいだろうと思います。

目の前の〈仕事〉に夢中になることが、唯一の現実逃避であり、そして唯一の復讐です。それは「自分の人生に夢中になること」だから。

自分の時間に集中する心得

本書『これはしない、あれはする』は、著者の小林照子さんがエッセイを通じて生き方、考え方を紹介する本です。小林照子さんは美容家でメイクアップアーティストです。戦前生まれの方で、化粧品メーカーのコーセーで勤務ののち、メイクアカデミーや美容も学べる通信制高校を開校なさり、今も現役で活躍中です。

本書では小林照子さんが、ご自身の経験から「これはしない」「あれはする」と心に決めてこられた事柄が紹介されるものです。一貫しているのは「時間を他人に奪われない」ということです。「これはしない」では理不尽で腹立たしい出来事があっても、それに執着せず、他人を恨まない。それは何をかもを「許す」とか「諦める」と言うよりも「他人のことを考えて時間を浪費しない」という感じです。

小林照子さんは幼少期、ご両親を早くに亡くされ、生涯で5人の親や養父母を持ちました。大変な境遇の中、感情に呑まれて生きる道もあっただろうけれど、その都度「自分がすべきこと」を真っすぐと見据えて、自力で道を切り開いてこられた方です。また、千載一遇の「チャンス」をガッシリと掴んで、大きく人生を変えることも、躊躇いません。

自分に与えられた時間を、最大限自分のために使う。そのためには、他人を恨んだり、自分の境遇を嘆いている時間もありません。とてもパワフルで、力強いカッコいい女性像が描かれています。

こんなパワフルな女性は多くない!?

本書の著者・小林照子さんが、仕事に生きるとてもカッコいい方なんです。不遇な境遇の中、チャンスをしっかりと掴み取り、学び、働き、自力で道を切り開いてゆきます。こんなパワフルな女性に憧れたり、こんな風に生きたいと望む方も多いでしょう。一方で、こんな風に強く一途に生きれる人も少ないだろうなあという本音もアリ。

不遇なままの人もいるし、チャンスを逃す人もいる。ひたむきな努力が必要なのはわかっているけれども、目の前のラクや手抜きを選んでしまう人がいても、誰がそれを責められるでしょうか。小林照子さんって、すごく特別な人なのカモ……。

子ども時代の経験から、現在では教育事業をなさっていて、美容専門学校だけでなく、美容が学べる通信制高校を開校され、すごい人だなあと思うばかりです。

苦難があっても大丈夫

本書『これはしない、あれはする』は2章からなっていて、一章目が「しないこと」、二章目が「すること」です。第一章「しないこと」の多くは、人間関係の中で、自分を尊大に見せたり偽ったり、嫉妬や執着しないなど、「自分の時間を最大限に活かすために、いらないこと」から解放されることで、自分の人生を自分で生きる方法が示されます。第二章「すること」では、「自分の人生をより豊かにする」アイテムや、価値観、習慣などが紹介されます。

第一章「しないこと」は多くの方が当てはまる考え方が詰まっています。境遇はみな違いますが、人間関係に悩んだり、上手くいかないこと、他人に裏切られたり利用されたり、腹立たしいことも起こります。しかし小林照子さんは、いちいちそれを悩んだり、相手を恨んだりしません。そんなことしている時間がないからです。「自分の人生に夢中になる」とは、どんな仕打ちを受けても、それをいちいち気に病む時間がないことなんだなあとわかります。

第二章「すること」は、年齢を重ねた方に多くあてはまる内容です。それは、若い人の考えや道具を柔軟に取り入れ、時に叱り、非があるときは謝り、謙虚に生きる心得が書かれています。また、いつまでも現役でい続けるために、いつまでも未来を見据え、設計図を描き続けるのです。若い世代は、自分がどんな風に年齢を重ねていくのかを考える助けになるでしょう。

いいことも悪いことも起こります。だけど、人生に夢中になっている人にとっては、何があっても取るに足りないことなのかもしれません。

説教くさくないエッセイ^^

本書『これはしない、あれはする』の あさよるの素直な感想は「説教くさくない年寄りのエッセイだなあ(^^)」というものでしたw 小林照子さんの生い立ちは、読んでいて言葉がないほど苦難の連続で「こんな人生を生きる人がいるのか」と気持ちが重くなるほどでした。しかし、本書はカラッと明るく、苦しい経験よりも〈今〉に注目している著者の姿が印象的です。

会社員時代は「そんなイケ好んヤツがおるんか」という先輩や上司が登場して、あさよるは立腹しっぱなしなんですが、小林照子さんは華麗にスルーなんですよね。それよりも、今目の前の仕事に没頭しづつける姿に脱帽。

あさよるの印象に残ったのは「容姿の欠点にふれない」という話。長年、美容を仕事をしている方だから言葉が重い。例えば「こうすると目が大きく見えるよ」というアドバイスは、「あなたは目が小さいよ」という指摘になりうる。言った人も、言われた人も、その時はそれが〈トゲ〉だと気付かないでしょう。しかし、小さな言葉のトゲがチクチクと、コンプレックスを作ってゆくのです。「顔より性格よね」と、相手を褒めたつもりが、相手のコンプレックスを作ることもある。容姿については「触れない」のは基本で、触れる場合は言葉をよく選ぶ必要があります。

歳をとっても、「欲張りに生きてもいい」というのが、本書のメッセージでもあります。著者の小林照子さんがまさにそう生きています。何歳になっても、やりたいことをしてもいい。年齢で区切る必要はない、という言葉は、多くの人を励ますでしょう。

「反撃しない」という話も、気に入りました。小林照子さんが美容部員時代、ベージュの口紅を塗って出勤すると「小林さんは双子だったんですね。今日はお姉さんがご来社ですか」と声をかける上司がいたそうです。要するに「老けて見える」と言っているのです。ちょっと傷つくけど、言い返すほどのことでもない。それを、気にしないようにしたという話です。あさよるは、読んでるだけでイラついて堪らんのですが、確かのもっと穏やかでないと時間がもったいない……。

自分の人生に夢中に生きるとは、なかなか難しいものです。

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これはしない、あれはする

これはしない、あれはする

これはしない、あれはする

  • 作者:小林照子
  • 出版社:サンマーク出版
  • 発売日: 2017年12月26日

目次情報

はじめに

しないこと

くらべない
いばらない
持ちすぎない
容姿の欠点にふれない
嫉妬しない
詮索しない
お金に執着しない
油断しない
心配しない
一日を無駄にしない
うらやましがらない
欠点を隠さない
お騒ぎしない
悪口を言わない
「なんで?」を口にしない
反撃しない
見返りを期待しない
自分を卑下しない
見栄を張らない
早口にならない
舞い上がらない
無理をしない
嘘をつかない
いやな言葉は口にしない
粗末にしない

すること

日々の暮らしに感謝する
フルネームで生きる
軌道修正する
笑顔でいる
心を込めて叱る
非があるときは謝る
変わる
新しいものを取り入れる
若い人に学ぶ
働きつづける
未来の設計図を描く
緩急をつける
趣味を持つ
手帖を持つ
ひとり時間を持つ
自分をかわいがる
水の力を借りる
美意識を持つ
運命を喜ぶ
自分の芯を持つ
たがいに許し合う
天命を探求する
大事な人を見送る
感謝の言葉を唱える
経験と知恵を伝える

おわりに

小林 照子(こばやし・てるこ)

 1935年生まれ。美容研究家・メイクアップアーティスト。

戦中から戦後にかけ、生みの親、育ての親、義理の親ら5人の親に育てられるという少女時代を経て、上京。保険外交員の仕事をしながら、美容学校に通う日々を送る。

その後、化粧品会社コーセーにおいて35年以上にわたり美容について研究し、その人らしさを生かした「ナチュラルメイク」を創出。時代をリードする数多くのヒット商品を生み出し、一世を風靡する。また、メイクアップアーティストとして、広告・ショー・テレビ・舞台など、女優から一般の女性まで何万人ものイメージづくりを手がけ、どんな人でもきれいに明るくすることから「魔法の手」を持つ女と評される。

91年、コーセー取締役・総合美容研究所所長を退任後、56歳で会社を創業、美・ファイン研究所を創立する。独自の理論で開発した「ハッピーメイク」はマスコミの話題となり、94年、59歳のときに、[フロムハンド]小林照子メイクアカデミー(現[フロムハンド]メイクアップアカデミー)を開校。以来、校長として数多くのメイクアップアーティストやインストラクターを世に送り出す。

2010年、75歳のときに、広告卒業資格とビューティの専門技術・知識の両方を取得できる新しい形の教育機関、青山ビューティ学院高等部を本格スタート(現在、東京校と京都校がある)。多感な高校生たちの教育に情熱を傾け、若者の夢と情熱を応援しながら、未来の担い手である人材の育成を行っている。

82歳を迎えたいまなお、スケジュール帳には余白がないほど予定を詰め込み、あらゆるビューティビジネスに向けてのプランニング、コンサルティング、社員研修に携わるほか、ボランティア活動も積極的に行っている。近年では特に「医療」と「美容」の関係に注目した活動を行っており、「医・美・心研究会」では代表世話役人として、メイクセラピスト養成講座を開校。医療・美容・心理学を習得した100名を超えるメイクセラピストを送り出している。著書多数。

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