オジサンからの「働くこと」の説教本
変わり続けた先輩の言葉に耳を傾けよう。
子どもたち、後輩たちへ贈る言葉
『金持ち父さん貧乏父さん』を読み「父さんたちから子供たちへのメッセージ・教え」というのが面白いなぁと思いました。
『金持ち父さんと貧乏父さん』の場合は、貧乏父さん=著者の実父、金持ち父さん=著者の友人の父の、二人の父さんの言葉、考え方が紹介されます。いずれの父さんも、大切な息子たちへ大切なお金への知識を伝えようとします。が、二人の価値観・考え方が全く違う、という内容です。
こういう形式面白いなぁと思いました。
そして、今回手に取った『働く君に贈る25の言葉』は、元東レ取締役の佐々木常夫さんが、甥御さんに向けた手紙、という形式の書籍です。
一生使える“普遍”の言葉
著者の佐々木常夫さんは、東京大学卒業し、元東レ取締役、東レ経営研究所特別顧問や、大阪大学客員教授など、公な仕事も歴任されている。要は、めっちゃすごい人だ!
めっちゃすごい人が、自分の社会人になったばかりの甥へ贈る手紙として、本書は展開される。
華々しい経歴の持主の“考え”を知れる反面で、著書の抱えていた家庭内の“問題”も踏まえられています。妻の闘病と、ご子息の障害を抱えながら、激務をこなしぬいた方なんです。
なかなか普通の働き方じゃあとてもじゃないけど出来ないことを、やり遂げた秘訣を知れるんですね…φ(..)メモメモ
著者のような“特別”になれない!?
特別な立場で、特別な経歴の人物の考えを知れるって、面白いし自分の「働き方」も変わってくることだと思います。
が、一方で「そんな特別な人の話、自分には意味がないんじゃ……」なんて思ってしまいます(-_-;)
ご家族の病気や障害で苦労された話も紹介されていますが、こちらも同じような境遇の方も、多くはないでしょう。
レア×レアな事例に思えてしまうんですよね……。
この『働く君に贈る25の言葉』は、著者への「共感」は難しい書籍でしょう。それよりも本書は、経営陣や、社会を大きく動かす側の人間が何を考えているんか、どんな人物を評価しているのか、を、知ることが大きな収穫でしょう。
誠実さや素直さ、ひたむきさ
『働く君に贈る25の言葉』にて甥に語られる言葉の数々。
1つずつをよく見てゆくと、どれもシンプルなメッセージです。
誠実でありなさい、自分を大切にしなさい、よく考えて行動しなさい、成長をし続けなさい。強さと優しさを持ちましょう。信頼が何よりも大切です。
まるで「おかあさん」や「おばあちゃん」が子や孫に言い聞かせるような、真っすぐな言葉たちですね。と、ここでハッと気づきました。そう、この本「甥へ贈る言葉」なのですから当然です。
仕事の上で役立つテクニックやライフハックは、書籍でもネット上でもたくさん紹介されています。だからこそ、こんなに素朴でまっすぐな「働くこと」のメッセージって、見過ごしてしまいがちです。
オジサンからの説教本である
『働く君に贈る25の言葉』は、オジサンからの説教本です。
著者は甥御さんへ向けて書かれたメッセージですが、我々からはよその“オジサン”からのメッセージです。
だけれども、そのオジサンからのメッセージ、置かれている立場によっては、信頼できるオジサンからの言葉が届かない人もいるでしょう(あさよるもそうです)。
世代の違い、時代の違いから、「私たちとは違っている」と感じる部分もあるでしょう。働き方も、家族感もすっかり様変わりしているでしょう。
それを含めて、それでも普遍的な“変わらないこと”。として、“変わること”を受け入れてきた先輩たちの言葉、聞いておきましょう^^
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働く君に贈る25の言葉
- 佐々木常夫
- WAVE出版
- 2010/10/21
目次情報
第1章 自分を磨くために働く
advice 01 強くなければ仕事はできない。優しくしなければ幸せにはなれない。
advice 02 「目の前の仕事」に真剣になりなさい。きっと、見えてくるものがある。
advice 03 欲をもちなさい。欲が磨かれて志になる。
advice 04 「それでもなお」という言葉、君を磨き上げてくれる。
advice 05 君は人生の主人公だ。何ものにもその座を譲ってはならない。第2章 成長角度を最大化する
advice 06 3年でものごとが見えてくる、30歳で立つ、35歳で勝負は決まり。
advice 07 プアなイノベーションより、優れたイミテーションを。
advice 08 仕事で大切なことは、すべて幼い時に学んでいる。
advice 09 よい習慣は、才能を超える。第3章 仕事の要を知る
advice 10 すぐに走り出してはいけない。まず、考えなさい。
advice 11 「思い込み」は、君を間違った場所へ連れていく。
advice 12 事の軽量を知る。それが、タイムマネジメントの本質だ。
advice 13 書くと覚える、覚えると使う、使うと身に付く。
advice 14 言葉に魂を吹き込むのは、君の生き方だ。
advice 15 本物の重量感を知りたい。
advice 16 せっかく失敗したんだ、生かさなきゃ損だよ。
advice 17 自立した人間になりない。第4章 どこまでも真摯であれ
advice 18 上司の強みを知って、それを生かしなさい。
advice 19 リーダーとは、周りの人を元気にする人。
advice 20 信頼こそ最大の援軍。
advice 21 君の幸せのために、弱い人を助けなさい。
advice 22 自分を偽らず、素のままに生きなさい。
advice 23 逆風の場こそ、君を鍛えてくれる。第5章 とことん自分を大切にしなさい
advice 24 運命を引き受けなさい。それが、生きるということです。
advice 25 人を愛しなさい。それが、自分を大切にすることです。あとがき
佐々木 常夫(ささき・つねお)
1944年秋田市生まれ。1969年東京大学経済学部卒業、同年東レ入社。自閉症の長男に続き、年子の次男、年子の長女が誕生。初めて課長に昇進した1984年に、妻が肝臓病に罹患。その後、うつ病も併発し、計43回に及ぶ入退院を繰り返した。
すべての育児・家事・看病をこなすために、毎日6時間に退社する必要に迫られる。家庭と仕事の両立を図るために、「最短距離」で「最大の成果」を生み出す仕事術を極めるとともに、部下をまとめ上げるマネジメントを磨き上げた。
そして、プラザ合意後の円高による業績悪化を急回復させる「再構築プラン」のほか、釣り具業界の流通構造改革、3年間で世界各国に12件、計約1000億円の設備投資を実行するグローバルオペレーションなど、数々の大事業を成功に導く。
2001年、同期トップ(事務系)で東レの取締役に就任。2003年より東レ経営研究所社長、2010年に同研究所特別顧問となる。その間、妻の3度に及ぶ自殺未遂など幾多の苦難を乗り越えてきた。社長に就任した頃から妻のうつ病は回復に向かい、現在は快癒。強い絆に結ばれた家族と幸せな生活を送っている。
経団連理事、政府の審議会委員、大阪大学客員教授などの公職も歴任。「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル的存在である。
著書に『新版 ビッグツリー』『部下を定時に帰らす仕事術』『そうか、君は課長になったのか。』(すべて小社刊、『そうか、君は課長になったのか』は電子書籍版もリリース)。
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