久しぶりにめっちゃ面白い本を読んだ^^
その名も『土偶を読む』。
人類学者が土偶の謎に挑む!
縄文時代の土偶は、女性の形を模している、というのが定説です。
更に、妊娠した女性の形をしている、とも言われています。
ええ、わたしがこれまでに読んできた土偶の本でもそう書かれていました。
だけど……ちょっと待て!
マジでこれ、女性に見えるの?
全然違うじゃん!
とマジツッコミしちゃったのが本書。
わたしたち、「土偶は人の形をしている」と思い込んでいるからそう見えていたけれども……。
確かに言われてみたら……人間とは似ても似つかない姿をしています。
有名な遮光器土偶だって、ヒトはあんな目はしてないしね。
んじゃあ、土偶ってなんなの?
縄文人たちが食べていた植物や貝などの形を模している!
結論から言うと、土偶は、「縄文人たちが食べていた植物の実や、貝類の形をしている!」というのが本書の主張です。
著者が実際にフィールドワークをして、地面の実を拾って比べたり、貝塚へ赴き、貝殻を比べたりして結論してゆきます。
最初はまあ、「確かに似てることはないけど……うーん」って感じですが、事例を次から次に見せられているうちに、もうそういう風にしか見えなくなってくる不思議。
特に、現代のゆるキャラと、同じモチーフだと思われる土偶を比べてみると……瓜二つ。
似すぎていて、もうそうとしか思えない。
著者は人類学者ということで、土偶の専門家とは違った視点でスタートしているのが面白いですね。
みうらじゅん賞受賞!土偶は「ゆるキャラ」の元祖?
『土偶を読む』は2021年のみうらじゅん賞も受賞しています。
というのも、土偶は「ゆるキャラ」の元祖だということだから。
みうらじゅんさんのYouTubeチャンネルでは、受賞の経緯と、そして竹倉史人さんの受賞のコメントも配信されているので、見てみてください。
一応、『土偶を読む』の反論も置いておく
新たな土偶の解釈なので、議論を読んでいます。
ということで、反論を掲載されている方もいらっしゃったのでリンクを張っておきます。
土偶は植物そのものという新解釈をめぐって(PDF)
どちらも素人のわたしでも読める内容だし、丁寧に書かれているのでよかったです。
土偶を読む 130年間解かれなかった縄文神話の謎
- 竹倉史人
- 2021/4/25
- 晶文社
目次情報
はじめに
序章 人類学の冒険第1章 土偶プロファイリング① ハート形土偶
第2章 土偶プロファイリング② 合掌土偶・中空土偶
第3章 土偶プロファイリング③ 椎塚土偶(山形土偶)
第4章 土偶プロファイリング④ みみずく土偶
第5章 土偶プロファイリング⑤ 星形土偶
第6章 土偶プロファイリング⑥ 縄文のビーナス
第7章 土偶プロファイリング⑦ 結髪土偶
第8章 土偶プロファイリング⑧ 刺突土偶
第9章 土偶プロファイリング⑨ 遮光器土偶
第10章 土偶の解読を終えて
掲載土偶一覧
おわりに
竹倉 史人(たけくら・ふみと)
人類学者。
独立研究者として大学講師の他、講演や執筆活動などを行う。
武蔵野美術大学映像学科を中退後、東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。
2019年、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程満期退学。
人類の普遍的心性を探求すべく世界各地の神話や儀礼を渉猟する過程で、縄文土偶の研究に着手することになった。
著書に『輪廻転生――〈私〉をつなぐ生まれ変わりの物語』(講談社現代新書、2015)など。
コメント
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