当あさよるネットでも『土偶を読む』を紹介しました。
紹介するだけではなく、「2022年読んで面白かった本」というエントリーでもいの一番に紹介させていただきました。
面白かったんですよ。
しかし、「批判もあるよ」「反論もあるよ」ってのが込みの面白さだったんですよ。
ネットでちょっと検索すると反論も見つかるしね。
そして遂に!
「土偶を読む」への反論をまとめた「土偶を読むを読む」が出版されました。
これは読むっきゃない。
土偶は縄文人の食べ物を擬人化したもの? ちげーよ!
「土偶を読む」は、めっちゃ簡単に言うと、「土偶は縄文人の食べ物を擬人化したものだぜ!」って感じの内容。
一般的には、「土偶は女性の形をしている」「妊婦の姿をしているものも多い」というのが定説。
それを覆す内容だったんですよね。
その根拠は、「見たらわかるじゃん!」ってもの。
「土偶が女性に見える? それよか、栗に似てね?」
という話の持って行き方でした。
なので、その反論集「土偶を読むを読む」でも、写真を使い、見比べ、「ほら、食べ物の擬人化じゃないでしょ」と展開します。
そして、土偶がなぜ女性の姿をしているとされるのかを説明します。
うん、そう言われて土偶をよく見ると、やっぱり女性の姿をしているように見えるかも。
土偶研究の変遷も知れる
「土偶を読む」への反論は最初の第一章でおわり。
あとは、土偶研究の変遷や、土偶の研究をしている先生方のコラムなどが収録されていて、土偶を知る本としてとても充実している。
土偶研究の変遷をみてゆくと、現在の定説に至るまで、さまざまな考えが提唱されては覆されたりして、長い時間の積み重ねの結果なのだとわかる。
「土偶を読む」で土偶の形そのものが何か意味を持っているという考えも、すでに過去に語られていたことだとわかる。
ふむ。奥が深い。
うまいこと言う、気持ちのいい話にご用心
「土偶を読むを読む」を読むと、土偶について知られるのは勿論のこと、上手い話、気持ちのいい話というのにも注意する必要があることがわかる。
「土偶を読む」も、面白い本で、すらすらと楽しく最後まで読める本だ。
だけど、そうだからと言って、何もかもを鵜呑みにするのも違うのだ。
心惹かれるものだったら、だからこそ、反論は異論、時には批判も読んでいくべきなのかもしれない。
そうすることで、より幅広い視点を持てるかもしれないしね。
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土偶を読むを読む
- 望月昭秀、小久保拓也、佐々木由香、山科哲、山田康弘、金子昭彦、菅豊、白鳥兄弟、松井実、吉田泰幸
- 文学通信
- 2023/4/28
目次情報
- はじめに
- 検証 土偶を読む
- 「土偶とは何か」の研究史
- interview 今、縄文研究は?
- column 物語の語り手を絶対に信用するな。だが私たちは信用してしまう
- 土偶は変化する
- dialogue 植物と土偶を巡る考古対談
- 考古学・人間学の関係史と『土偶を読む』
- laboratory 実験:「ハート形土偶サトイモ説」
- 知の「鑑定人」
- おわりに
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