やばい、めっちゃおもしろい!
こんなに面白い本久しぶりかもしれない。
なにがって?
そう、『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』だ!
長いタイトルが気になって手に取ってみたんだけど……
著者の「かまど」さんと「みくのしん」さんはオモコロのライターさんで、この本の内容もオモコロで連載されていたものだそうだ。
たしかに! このノリ! この感じ! WEBのオモシロ記事って感じする!
本を読まない人が本を読んだらどうなるか!?
そのタイトル『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』の通り、オモコロのライター みくのしん さんが、本を読む。
ただそれだけ。
本を読まない、文章を読まない、ということはないだろうから、みくのしんさんは「小説」を読む習慣がなかったんじゃないかと勝手に思ってます。
さて、本を読まないみくのしん氏。
どうなってしまうのか!?
こんな高解像度で『走れメロス』を読んだことがあるか!
もうこの本は、みくのしんさんの感性、感受性がすべてです。
こんな解像度で『走れメロス』を読んでいる人なんて、どれだけいるでしょうか。
みくのしんさんは小説を音読し、一行一行かみしめて読み進めてゆきます。
読んでて感動しちゃったのは、太宰のボキャブラリーの多さに感嘆しちゃうとこ。
文豪だから当たり前でしょって読み流すんじゃなく、ちゃんとそこで感動できちゃうのがすごい。
メロスが一旦帰った村から町へ戻る途中、氾濫した川に出くわしたときの描写に感心してるんですね。
こんなに言葉のひとつひとつを噛みしめる読書、してますか? みなさん!(何)
名作が名作である理由が分かる!『走れメロス』『一房の葡萄』『杜子春』
みくのしんさんは素直に小説を読み、感想を語っているだけなんだけど、それだけでこの本で取り上げられる小説(『走れメロス』『一房の葡萄』『杜子春』)が名作であることがわかります。
むしろ、専門家が解説しているわけでもなく、学校の授業で教えられているわけでもないからこそ、名作が名作である理由がわかる気がします。
何の前知識もなく、小説を読んだことのない人がただただじっくりと腰を据えて読んだだけで、こんなに立体的で色鮮やかに作品が浮かび上がってくるんだもの。
ほんと、繰り返すけれども、みくのしんさんの読書すごい。
こんなに作品の深いところまで読み取れちゃうのはすごい。
WEBライターってオモロ! 『変な家』雨穴さんとの鼎談
過去の文豪の名作だけじゃなく、最後に今まさに売れまくっている『変な家』の雨穴さんも登場します。
しかも雨穴さん、この本のために新作を書き下ろしているんです。
すご!
雨穴さんもWEBライターさんですから、みくのしんさんともお知り合いだそうです。
作者の雨穴さんを交えて、雨穴さんの新作『本棚』を一緒に読んでいくんですね。
ごく短い短編ですが、書下ろしもあるという豪華さ。
この本やばい。
本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む
- かまど、みくのしん
- 大和書房
- 2024/8/15
目次情報
- はじめに
- 1冊目 太宰治「走れメロス」
- 2冊目 有島武郎「一房の葡萄」
- 3冊目 芥川龍之介「杜子春」
- 4冊目 雨穴「本棚」
- あとがき みくのしんより
- あとがき かまどより
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