岸見一郎『成功ではなく、幸福について語ろう』|他人を操れない自分を変えよう

こんにちは。幸せ者な あさよるです。昔、抑圧されて「不幸せだ」と感じていた時期もあったのは確かですが、今は特に不満もなく、満たされているが時間がほとんどです。もちろん、どうしようもなくイライラしたり、腹が立ったり、イラついている時間もあるのですが……(苦笑)。あさよるは性格的には気が短くて「怒りん坊」です(;’∀’) 怒ってもいいことなんてないのにね~(他人事)。

本書『成功ではなく、幸福について語ろう』では、「成功」という量的に満たされることではなく、「幸福」という質に注目するよう促されます。「持たざる者」であることと「不幸に生きること」はイコールではないとわかります。現在、裕福でお金が余って余ってたまらない人は超レアな人で、多くの人は「持たざる者」でしょう。だからこそ「どう生きるのか」と質を問うことが、求められているのかも。

「嫌われる勇気」岸見一郎・人生相談

本書『成功ではなく、幸福について語ろう』は、ベストセラー『嫌われる勇気』の岸見一郎さんの著作です。岸見一郎さんはアドラー心理学を扱った著作をたくさん書かれています。本書『成功ではなく、幸福について語ろう』では、人々のお悩みに岸見一郎さんが答えるという形式を取りながら、合間に岸見さんのお考えや体験談が挟まれています。

寄せられる相談の多くは、家族や身近な人のこと。誰もが共感できる悩みもあるでしょう。

妹になんでも真似される姉、子育て、キャバクラで働いていてお客さんに貢がした過去を後ろめたく思う人。仕事先でのいじめ。婚活での行き詰まり。日常の諍いの種や、思わず口を出したくなるシーンなどなど、「そういう話あるよね~」って悩みが集まっています。

よそはよそ、うちはうち

『成功ではなく、幸福について語ろう』では、基本姿勢が「よそはよそ、うちはうち」とオカンがいいそうなセリフですね。「よそ」というのは、よそのお家の話ももちろんですが、家族であっても親子や夫婦も「他の人」であり、基本は、その人に判断を委ねます。

つまり「上手くいかない」「どうにかしたい」とフラストレーションがたまってしまう原因は、そもそも「他人のことをどうにかできるハズ」「他人をコントロールできるハズ」という前提を持ってしまっているからです。だけど、もちろんですが他人は他人、その人の生き方を決めるのはその人自身です。それは親や子であっても、夫婦であっても、自分とは違う人格を持った人間である以上、自分に責任を持つのは本人なのです。家族に口出ししたい気持ちはわかりますが、相手の責任を尊重するのも大切なことなんですね。

また「幸福」と「幸福感」の違い、「幸福」と「成功」の違いが紹介されていました。

お酒を飲んでほろ酔いでいい気持ちになるのは「幸福感」です。気持ちよくなっているだけで、幸福になっているわけではありません。ショッピングで憂さ晴らしをしたり、過食やギャンブルに走るのも同じかもしれませんね。

「幸福」と「成功」の違いはもっとわかりやすいものです。「幸福」は主観的なものですが、「成功」はノウハウであり他人の真似をすることができます。本書では、住む家や家具、子供の名前まで真似してくる妹に困っている人の話題が登場します。お姉さんとしてはなんでもかんでも真似されて辟易しているのでしょうが、妹さんにとってお姉さんを「真似」するのが成功につながるとわかっているのです。しかし、幸福は真似できません。

力が及ぶことと、及ばないこと

『成功ではなく、幸福について語ろう』を読むと、自分の影響力が及ぶ範囲と、自分ではどうにもならないことを理解することが、幸福につながるんじゃないかと思いました。他人の考えを変えることは誰にもできません。その人を変えられるのはその人だけです。だから、自分が「変えてやろう」と考える必要はありません。だけどもし、自分が相手を追い詰めたり、頑なにさせているなら、自分の行いを変えることはできます。

また、例えばパートナーが同じ過ちを繰り返してしまう場合、それに対して同じ対応をしてはいけません。なぜなら、前回の対応が良くなかったから繰り返し同じことが起こっているのですから、自分の対応がふさわしくなかったと考えます。あくまで、相手の行いを変えることはできません。できるのは自分のアプローチを変えることのみです。

できることと、できないこと。これを自覚して、自分のできることに責任を持ち、「正義」や「おせっかい」を相手に押し付けないことが、幸福につながるんだとうと思いました。

尊大になりがちな人に

多くの人は、多かれ少なかれ、優越感や他人への影響力を持ちたいと考える感情があるんじゃないかと思います。それらが原動力となって活動のパワーになっていると思う一方で、自分を蝕み、苦しめる現況にもなっているんじゃないかと思います。

もし、今の状況に押しつぶされそうになったり、どうしても我慢できない怒りや悲しみがあるのなら、「自分のすべきこと」と「自分にはどうにもならないこと」をきちんと分けて考えるのもいいでしょう。

これは「他人のせいにできない」ということでもあります。上手くいかないことを家族や職場の人のせいにできれば、どんなに気持ちが楽でしょう。しかし「他人に影響を与えられない」と考え、その立場に立つことで「自分のすべきこと」が炙り出されてしまいます。

幸福な生き方とは、自分の責任は自分で負う生き方なんですね。「責任」っていうと、嫌なネガティブな意味で使われることが多いけれども、自分で自分の生き方を選択することは、その分楽しくて面白くて良いこともたくさんあるでしょう。どっちの生き方が良いでしょう。自分で選ぶことができます(`・ω・´)b

岸見一郎さんの本

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成功ではなく、幸福について語ろう

目次情報

第1章 成功と幸福

今こそ幸福について語り合おう

相談 愛する家族に素晴らしい仕事。それでも定期的に襲ってくる人生への絶望感とどうつきあっていくべきでしょうか?

相談 住む場所から子どもの名前まで、妹に真似されて困っています

相談 子育ての不安や心配で毎日憂うつ。楽しく暮らしたいのですが……

相談 若いキャバクラのお客さんに嘘をつき、多額の金を援助してもらっていました。今もその罪悪感が拭いきれず苦しいです。

私の人生は回り道だった

第2章 自分の課題・他人の課題

これからの人生をどう生きるか――十代のあなたたちへ

自分の価値は自分で決める

one of themとして生きる

相談 パート先の先輩いじめに近い指導。納得できません

相談 現在三十九歳・婚活中ですが、男性全般に幻滅しています

相談 大学受験を控えた息子が毎晩遅くまでゲーム三昧。親としてどう接したらいいのでしょうか?

相談 毎日お昼を食べていた友達が突然離れていきました

相談 人見知りが激しく友達と話すのが億劫。でも一人だと寂しい

第3章 喧嘩に勝たない・人の期待にこたえない

人の期待にこたえなくてもいい

相談 やる気に満ち溢れた職場で、私だけが会社の期待にこたえられず焦っています

相談 主人が会社を辞めたいといい、困っています

相談 親の長年の無関心に傷つき、結果友だちを作れなくなってしまいました

相談 子供の頃からあがり症で、人前でのスピーチや会議での発言など、本番で力が発揮できません

第4章 今日という日を今日のためだけに生きる

過去と未来を棚に上げする

相談 “人生百年時代”とわれる中、幸せな老後がイメージできず、長生きすることに不安を覚えています

相談 息子がテレビ局の下請け会社を辞め、フリーの映像プロデューサーになるといい出し、食べていけるか心配です

相談 旦那の二回目の借金発覚です。私は自分のことだけを考え離婚すべきか、旦那のことをもう一度信じられるのか、試してみるべきか……

相談 母親の介護中。何もしないのに口だけ出す兄に困っています

相談 生涯かけてやりたいことを見つけましたが、今の安定した環境も捨てがたく転職するべきか悩んでいます

第5章 ただそこに、いるだけでいい

本当の幸福は摩擦の中にある

相談 大切な人が重い病気にかかってしまいました。何もできない自分が情けなく、どうしたら力になれるでしょうか

相談 一度は解決した婚約者の借金問題が再発。このまま結婚してもいいのでしょうか

相談 リーマンショック以降仕事を失いメンタルは病みました。もう何年も笑っていません

あとがき

岸見 一郎(きしみ・いちろう)

1956年、京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健と共著、ダイヤモンド社)、『人生を変える勇気』(中央公論新社)『アドラーに学ぶ――よく生きるために働くということ』(KKベストセラーズ)『三木清「人生論ノート」を読む』(白澤社)『老いた親を愛せますか? それでも介護はやってくる』『子どもをのばずアドラーの言葉 子育ての勇気』(アルテ)、プラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)など多数。

コメント

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