孤独は悲しい?
お金がないと不幸?
それって、思い込みじゃない?
タイトルの意味は?外国人が方丈記?
まず気になったのはタイトル。『屋根ひとつお茶一杯』ってなんだ?
そしてパラパラと中を見ると、著者がフランス人であるにもかかわらず、日本の千利休や鴨長明が紹介されています。
一体何が詰まっているんだろう?と興味を持ちました。
シンプルライフ……だけでは収まらない
『屋根ひとつお茶一杯』。このタイトルだけを見ても、どんな内容の本なのかわかりませんね。
サブタイトルは「魂を満たす小さな暮らし方」とあります。簡単に言っちゃえば「シンプルライフ」を提唱する書籍です。
シンプルライフと言っても、ただただ物を減らし、必要最低限の暮らしを推奨しているわけではありません。軽くなるのは物質の重量ではないのです。
サブタイトルの言葉を借りると、「魂を満たす」。
物質の話ではなく、心を満たすことに重点が置かれています。
「しあわせ」に生きるコト
生きていると、イイ事ばかりじゃないのが、難しいところ。
悪いとき、満たされないときにこそ、「どう生きるか」が試されます。お金に関する悪い時期もあれば、孤独に苛まれる時もあるでしょう。
困ったとき、悲しい時にこそ、それでも「しあわせ」を感じる力って、あるんですよね。「屋根ひとつ」あれば。「お茶一杯」さえあれば。
少しのもので満たされて、幸せを感じられるって、すごく「強い」ことです。
ヨーロッパ人の考える「日本像」にハテナ?(・・?
本書『屋根ひとつお茶一杯』では、日本の「禅」や「侘」についてもたくさん紹介されています。著者はフランス人で、日本の大学でも教鞭をとった先生です。
「日本の精神文化」も深く理解なさっている人物。
ですから、よくも悪くも「ヨーロッパから見た日本」が扱われています。日本人からすると、若干違和感を感じる部分もあるかも!?
「ヨーロッパから見た日本」ということは、ここで書かれているのは「ヨーロッパから見た◯◯」なのだろうということも、忘れてはなりません。
前提となっている思想や考えが、日本人の持っているそれとは違う。それが前提です。
それを踏まえて読むと、「考え方の幅」や、違う文化の人はどう考えるかなど、これまでよりも、より広い視野が手に入るでしょう。
思い込みから脱出しよう!
視野が広がると、どんなことが起こるのでしょう。
とにもかくにも、「思い込み」という名の檻から飛び出せる可能性が高まります。これは、自分で自分を閉じ込めてるものですから、なかなか気づけません。
お金があれば幸せ?結婚すれば幸せ?
お金があれば幸せですか?こんな問、誰もがYES!と答えます。あさよるだってそうです。
「じゃあ、お金がなければ不幸せなの?」
それは、どうでしょうか。自分はどう生きるのかによって、回答が変わるでしょう。貧しいことを不幸だと感じる人もいるでしょうが、貧しくても、それはそれで幸せを感じる人もいるはずです。
パートナーに巡り会えたら幸せですか?こんな問も同じでしょう。
もちろん当然!共に生きるパートナーと巡り合えることは、幸せなことです。
「じゃあ、パートナーがいないと不幸なの?」
一人ぼっちで生きることって、寂しいことなのでしょうか。もっと他の、生き方ってないのかなぁ?
考え方の幅を知る、思い込みをやめるって、自分の生き方のバリエーションが増えることです。本書『屋根ひとつお茶一杯』で、これまでの自分の「常識」とは違った視点が得られると……( ´∀`)bグッ!
自分らしく生きること
「自分らしく」って言葉、もう聞き飽きるほど聞いた言葉です。だけど、ありふれた言葉の持っている力って侮れません。
だって、自分の置かれている立場、環境と全く同じ人なんて滅多にいません。ですから、常に自分はオリジナルの対処法や、自分だけの“やり方”を模索し続けないといけないから、大変なんです。
『屋根ひとつお茶一杯』で紹介されれる「生き方」だって、ぴったりそのまま自分に当てはまるなんてことはないでしょう。
だけど、「こんなとき、あの人はどうした?」「こんな方法を、この人は取りました」って、実際に人が実践した“やり方”を知ることは、十分意味の有ることです。
自分の、考え方のバリエーションが広がると、それだけ選択肢が増えるんですからね。
自分らしく老いること
「自分らしく生きる」ということは、「自分らしく死ぬ」ことを考えることでもあるんです。生きている限り、誰もが最後の一瞬がやってきます。
その時までを、どう生きるのか。これから、どんどん年老いていく自分の肉体とどう向き合うか。
生きることを考えるって、老いることを悲しむんじゃなくって、それを受け入れて「自分らしく」生きることじゃないかなぁと、『屋根ひとつお茶一杯』を読み、考えることができました。
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屋根ひとつ お茶一杯 魂を満たす小さな暮らし方
- ドミニック・ローホー
- 講談社
- 2015/1/16
目次情報
はじめに
1 「小さな住まい」という贅沢
広い家が奪うもの、小さな家が与えてくれるもの
暮らしを引き算いて時間をゆっくり味わう家
時間に束縛されなければやさしくなれる
京都の人に教わった贅沢な時間の使い方
週末に起きるニューヨークのカップルのいさかい
家が安らげないと外の世界へ立ち向かえない
マイホームに安らぎやエネルギーを奪われる日本人
自分のエネルギーを浪費せず満たす暮らし方
必要なのは自分だけの空間を持つということ
心に満足感を与える「居心地のよさ」とは
古い家から学ぶ「安らぎの空間」の条件
小さい住まいだからこそ軽く生きられる
自分の価値観を変えてくれる部屋
「なんとかなる」と考えられるようになる秘訣2 「孤独」のない人生に喜びはない
聡明な人ほど孤独に対してポジティブ
孤独が人とのつながりを深める力になる
「感情の消化不良」を起こさないために
孤独がなければ自分の心の奥底まで下りられない
ネットより自分とのコンタクトを大切にする
ひとりになって自分の調整を行う時間を持つ
人生の相棒は自分自身と気づく
忘れ去られている「沈黙」の効能
ひとりきりの時間で自由や安らぎを得る
孤独を愛する人は、ふつうの人の2倍はのんき
偉大な人たちが選んだ小さな住居
鴨長明の終の棲家
波止場を詩に変えたソローの山小屋
大建築家ル・コルビュジェの小別荘
隠遁者のエッセンスを身につける
貧しさも上質な生き方に通じる
ひとり暮らしは常識はずれではなく特権
成熟した大人とは別れどきを知っている人3 宝石のようなわが家を持つ人々
世界の狭小住宅にあふれる豊かさ
タイニーハウス会社のオーナーの家
借金したくないアメリカ人たちの選択
「贅沢はしたい、でもその規模を縮小するんだ」
ヴィクトリア朝スタイルのミニ・コテージの喜び
ニューヨーク・若い実業家のワンルーム
日本人建築家の空間を利用した現代の庵
ヴォーリズ、私がいちばん心奪われる建築家
ヨーロッパの旅で訪れたい著名人の家
不安の時代に対抗するためのヒント
マンハッタンではおひとり様仕様が増加中
若者たちが欲しているのは「時間」と「経験」4 日本に息づくシンプルな美に学ぶ
空間を理解できない人に日本は理解できない
陰翳礼讃――薄暗さにはえる日本の道具
シンプルな空間を好みに仕切る秘訣
空間の創造者・千利休の畳
自然を手もとに置く京都人の坪庭
眺めるだけの坪庭から発せられる力
盆景、世界でもっとも小さな庭をつくる
日本人が床の間を愛した秘訣
洗練は慎み深さから生みだされる5 上質に暮らすインテリアの知恵
居心地よく暮らすためのコンランの教え
高級ホテルをイメージしたパリのミニアパルトマン
「足りないものも余計なものもない部屋」
淡い黄色がかったベージュで室内をまとめる
絨毯とカーペット、どちらを選びますか?
室内に立体感をもたらすペンキの効果
鏡の長所短所を心得ての空間づくり
照明でつくりだす空間の奥行と和らぎ
壁面のひとつには何も置かないと決める
シンプルで便利さを追求した家具を選ぶ
視覚で感じる心地よさをもっと意識する
清潔感あふれる香りの効果を生かす
無駄なものを減らすともっともシンプルなコツ
掃除機からお鍋まで小さなものに変える
装飾と片づけを兼ねた工夫を楽しむ
狭くても至福の時間を過ごせる寝室
質のいいソファ、そして東洋の布団
小津監督がこだわった空間を演出する小道具6 幸福のためにお金を投資する秘訣
幸福を多く受け取るための感度を上げる
生活のレベルをワンランク下げてみる
「金銭病」にかかったリリアーヌ
住宅ローンを抱える独身女性へのアドバイス
人生設計の中心に住宅購入を置いてはいけない
成熟したものさしを持って、ほがらかに暮らす
シンプルな洗濯から優雅さやセンスが磨かれる
自分の人生を楽しむために気づきたいこと
「自分の居場所がある」というささえを持つ
男も女も自分の家を持ってから結婚する
円満な別居夫婦になってみませんか?
結婚より幸せな愛のかたちを探す
「愛」「いつまでも」という幻想
精神的な貧しさが幸福を遠のかせる7 魂を満たすシンプルな生き方
幸せとは、今、ここにあるのです
自分をよく見せたい、という願望を減らす
船上で7年間暮らす夢を叶えた夫婦
「幸福のお手本」から逃れるために
客をくつろがせるカフェのオーナーの振る舞い
住まい方にその人のすべてが表れる
人生の役割でまとう衣装の下の自分を見直す
人生は「一直線」ではないことに気づく
軽やかな心をつくるために隠居する道教信者
生命エネルギーの師と言われる人々
日本のお年寄りに教わった品格のつけ方
一杯のお茶を売り、道を説いた老人
世の中の常識に押し流されない生き方8 引っ越しという人生の賢い選択
幸せになる住み方は歳月とともに変わる
考え方が柔軟であるほど苦しみは軽くなる
人生の変化の前で固まらないでいるために
子どもが巣立ち、家が空になったときの決断
パートナーとの別れで自分の人生の終わりにしない
夫婦生活を手放したあなたに訪れる新しい朝
人生を立て直すのに遅すぎることはない
「現在を生きること」を邪魔する過去の自分
時間を大切に考えるなら「経験」にお金を費やす
引っ越しで見直す人生の優先順位
美しい環境で住むと、少ないもので満足できる
死ぬまで自由でいるために年齢に合った家を選ぶ
死について考え、濃密な時間を生きる
小さな暮らしは老後にも安心感を与える
田舎に帰らずパリで楽しく暮らす87歳の婦人
小さな終の棲家を購入した夫婦の楽しみ方
「明日は明日の風が吹くわ」と微笑む老婦人おしまいに
ドミニック・ローホー[Dominique Looreau]
著述業。フランスに生まれる。ソルボンヌ大学で修士号を取得し、イギリスのソールズベリーグラマースクール、アメリカのミズーリ州立大学、日本の仏教系大学で教鞭をとる。アメリカと日本でヨガを学び、禅の修行や墨絵の習得などをとおし、日本の精神文化への理解を深めてきた。フランスはもとよりヨーロッパ各国でも著書がベストセラーに。『シンプルに生きる』(幻冬舎)、『シンプルリスト』『「限りなく少なく」豊かに生きる』(ともに講談社)ほか、日本でもその著作は大きな支持を得ている。
原 秋子(はら・あきこ)
訳者
フリーランスのフランス語通訳翻訳家。東京に生まれる。父親の仕事の関係で小中学校時代をフランスで過ごし、留学先グルノーブル大学にてフランス語教師資格を取得。帰国後、神戸ステラマリスインターナショナルスクールにてフランス語を教える。1986年度通訳案内業国家資格取得後、数多くの通訳・翻訳の仕事を手がける。
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