『老いる勇気』|「嫌われる勇気」・さいごまで他者貢献できる

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『老いる勇気』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。『嫌われる勇気』を読んで「アドラー心理学」というものを知って以来、アドラー心理学の考え方が気に入って自分にも当てはめるようにしています。アドラー心理学では、過去や未来ではなく〈今、この瞬間〉にのみ光を当てます。もし仮に、過去にとても悲しいことがあったとしても、過去を引きずるのをやめ、〈今、この瞬間〉に注目することで、今「幸せ」を感じることができるのです。

もし過去に上手くいかなかったことや、つらい経験、悲しい経験があっても大丈夫。今、わたしたちは幸せになれる。そのメッセージは前向きでいいなあと思いました。

ということで、今回、『嫌われる勇気』の著者・岸見一郎さんの新刊『老いる勇気』が出版されたので、早速手に取ってみた次第(^^♪

歳をとった分だけ賢くなった

本書『老いる勇気』は、ベストセラー『嫌われる勇気』の著者・岸見一郎さんによる著作です。岸見一郎さんは哲学者であり、心理学の研究もなさっています。『嫌われる勇気』のヒットにより、アドラー心理学が注目されました。『老いる勇気』は、哲学や心理学的なアプローチと、岸見一郎さんご自身のご経験を交えながら「老い」という、全ての人が直面する「問題」を真正面から扱っています。

岸見一郎さんさんは1956年生まれの方で現在(2018年)62歳になられます。お母様を亡くされ、認知症のお父様を介護中の50歳の時、ご自身も心筋梗塞で倒れられたご経験が紹介されていました。とても大変な経験ですが、そこで学んだり、感じたりなさったことがとても大切だったのがわかります。お母様は、病床で意識がもうろうとする中でも、「ドイツ語を学びたい」「『カラマーゾフの兄弟』を読んで欲しい」と最期まで意欲をなくされなかったそうです。お父様は認知症でしたが、岸見さんが心筋梗塞で倒れてからしばらく、しっかりと息子を支えようとしてくださったそうです。どんなにギリギリの状態でも、その瞬間その瞬間を力強く生きることができるのです。

また、年齢を重ねるということは、一人の人間としてより成熟してゆくことです。若い頃は他人の目を気にしたり、他人からの評価にばかり気を取られてしまいがちです。しかし、大人になるとは「価値を自分で決める」ようになることです。他人と自分を比べて生きるのか、自分で自分の人生を決めて生きるのか、それ自体を自分で決めているのです。

年齢を重ねることはネガティブに表現されることが多いですが、長生きするとは「生きた分だけ賢くなる」ことです。若いころ、右も左も分からずがむしゃらにやるしかなかったことも、歳を取れば知識が増え、より本質をとらえながら着手することができます。本書では例として、楽器の演奏が挙げられていました。若い頃の方が楽器の覚えは良かったかもしれないけれど、歳をとった今の方がよりたくさんの音楽を聴いているし、知識も増えているし、今の方がずっとそれを深く探究できます。

もう一度10代からやり直したい?

「若い頃に戻りたい」と思いますか? 若い肉体を手に入れ、これまでの記憶を失い、今と同じ知識・技術を身につけるためには、もう一度過去の努力を繰り返さなければなりません。今持っているスキルを、再び努力で身につけるのを考えると、うんざりする人も多いのではないでしょうか。

確かに、若い身体を持っている人が羨ましく思うことはたくさんあります。だけど、歳を取ったからこそ持っている物にも注目しましょう。「あれができなくなった、これもできなくなった」と〈ひき算〉で考えるのではなく、「これができるようになった、あれをより深く知ることができた」と〈足し算〉で人生を考えることが「老いる勇気」を生み出します。

「助けてもらう」という他者貢献

本書では「他人から助けてもらうことも他者貢献である」という考えが示されています。自分が病気や怪我で何もできなくなって周りの人に世話をされることは、周りの人にとっては「自分を必要とする人がいる」という状況が新たに生まれることだと紹介されているのです。

わたしたちは、誰からも必要とされずに生きるのもまた、とても苦しいものです。もし自分にできないことが増えてしまっても、それでも生きていることで誰かを支えているのかもしれません。また、誰かが何もできなくなってしまっても、それでも「生きている」だけで誰かを支えているのです。

そういう風に考えられると「生きている価値」を考える必要すらなくなる気がします。みんなが誰かを必ず支えているのですから。

「だからできない」からできない

本書で紹介されるエピソードで印象的なのは、著者のお母様が病床で「ドイツ語を勉強したい」と話していたことです。もう自分の命が長くない状況でも「あれがしたい」と思えるんだなあと知ると、なにやらパワーが沸くようです。岸見一郎さんご自身も、入院中にたくさん本を読みたいだけ読んだり、退院後マラソンにチャレンジしていいかと医師に願い出たところ、意外にも「OK」が出て、拍子抜けしている様子も印象的です。

わたしたちはあらかじめ「きっとこんなことできないだろう」を、予定を立てるよりも先に「できない」と自分で自分に規制をかけているのかもしれません。「できない」と思うから本当に「できなくなってしまう」と考えるといいのかも。

さいごまで何をしましょうか

『老いる勇気』挿絵イラスト

本書『老いる勇気』は、意外と若い人の方が、安心できたり、来るべき未来を考える役に立つのではないでしょうか。特に病気や怪我もしたことがなく、まだ介護や老いが遠いところにある人ほど、「発見」があるでしょう。それは「他者貢献」という視点が顕著だと思います。

もし、自分が元気いっぱいでなにも欠けていない状態ならば、もしそれを失った時、何か、自分の持っている「価値」まで失ってしまうような気がするのではいでしょうか。少なくとも、あさよるは若いころそんな感覚がありました。挫折したり、健康を損ねて、誰かに迷惑をかけて生きることに、意味がないように感じていました。だけど、生きていると怪我もするし、病気もするし、誰かに世話になりながら生きるのが当たり前です。若いころの感覚は完全に思い上がりだったなあと思います。

そして、今は「自分はさいごまで何をし続けるのだろうか」と考えることがふとあります。いつその時が来るのか知らないけれども、誰かに助けてもらいながら、それでもさいごまで何かをしていたいなあ。

関連記事

岸見 一郎さんの本

老いる勇気 これからの人生をどう生きるか

目次情報

第一章 人生、下り坂が最高!

生きることは歳をとること
十八歳の頃の自分に戻りたいですか?
始める前から「できない」というのは嘘
歳を重ねてこそ物事を深く味わえる

第二章 「ても……」の壁を越える

上ではなく「前」を目指す
引き算ではなく「足し算」で生きる
「でも」が口癖になっていませんか
生産性で人の価値は決まらない

第三章 「生きている」だけで人の役に立てる

「朝、目が覚める」ことに幸せを感じる
今いる場所で何ができるのか
病気は「生き直す」きっかけになる
命の使い方を考えよう

第四章 「今、ここ」を大切に生きる

母は病床で「ドイツ語を勉強したい」といった
人生はマラソンではなくダンスである
人生を先送りしない
「無限の時間がある」と考える

第五章 執着があってもいいではないか

人はなぜ死を恐れるのか
大切な人の心の中で生き続ける
死後に帰ってゆくべきところ
ソクラテスの最期
今をどう生きるか

第六章 「おとな」でなければ介護はできない

老いた親との関係が一番難しい
「おとな」になるための三つの要件
ありのままの親を受け入れる
一緒にいられるだけでありがたい
「この話、前にもした?」
妄想を否定すると症状は悪化する
忘れてしまったことを指摘しない
もうろくは濾過器
認知症の親が生き方の理想を示す
「できる」ことに焦点を当てる

第七章 「できない」という勇気を持つ

まずは自分が幸福であること
人間関係の中でしか喜びは生まれない
できない時は「できない」といっていい
おじ・おばの心理学

第八章 「私たち」を主語にする

定年後の悩みは対人関係の悩み
まずは生産性という価値観を手放す
他者との摩擦を恐れない
ありのままの自分を好きになる
人間は何歳からでも変われる
成功と幸福との違い
生きていることがそのまま他者貢献になる
過去からの延長で考えない
アドラーが教える「人生の意味」

第九章 「老いの幸福」を次代に伝える

毎日を機嫌よく生きる
他者の課題に土足で踏み込まない
異論があっても考え続ける
嫌われることを恐れない
リスのように「森」を育てる
わからないことを率直に認める勇気
若い人が自分を越えていくことを喜ぶ
哲学は五十歳から
「今、ここ」にある幸福を若い人たちに手渡す

あとがき

岸見 一郎(きしみ・いちろう)

1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近代姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆。講演活動を行っている。ベストセラーとなった『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(以上、古賀史健との共著、ダイヤモンド社)、『幸福の哲学 アドラー×古代ギリシアの智恵』(講談社)、『幸福の条件 アドラーとギリシア哲学』(KADOKAWA)、『愛とためらいの哲学』(PHP研究所)など著書多数。

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