こんにちは。あさよるです。どっぷり読書の世界に浸りたいときもあれば、軽く一気に読み切れちゃう本が欲しい時もあります。今回読んだ『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』は後者で、軽く読めるけれども、自分の仕事(自分の取り組みを含む、広い意味の「仕事」)についてとても励まされるものでした。
仕事って、パッと気持ちいい、華やかな瞬間って一瞬で、地道にコツコツと地味な取り組みが大事なんだよな!なんて、自分の仕事を振り返って「これでよし」と確認するような感じ。
マッキンゼーでも地味で地道なことをしてる!
本書『マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』は、「マッキンゼー」「問題解決」とタイトルに並んでいますが、中身は「入社1年目」つまり新入社員が社会人として働く上で知っておきたい心得が紹介されているものです。「マッキンゼー流」とありますが、どんな業界、どんな業種でも当てはまるような汎用性の高い内容です。つまり、具体的なノウハウや作業工程が書かれているものではなく、多くの人に広くあてはまる「働き方」ってところ。
本書『マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』で注目すべきところは、マッキンゼーなんて華やかな職業に思えますが、とても地道に地味ぃ~なことをコツコツをしているということです。「1冊の大学ノートにノートを取ろう」とか「夜は早く寝て、早起きしよう」とか「クライアントの顧客に聞き込みをしよう」「現場で一緒に働いてみて、問題点を見つけよう」などなど、マッキンゼーでは意外にも泥臭く汗をかいて仕事をしていると紹介されています。
もし、今の自分の仕事が「なんかパッとしないなぁ」「もっと煌びやかな世界へ行きたかった……」と思っているのならば、本書を読めば「みんな仕事はあまり変わらないのかも」と感じます。華やかなイメージの仕事だって、人目に触れる部分はステキに見えても、地味ぃ~な段階があったりすものです。あさよるは元々デザイン畑出身なので、「デザイン」というと「カッコいい!」なんて言ってもらえることもありましたが、業務自体はすごく地道な作業だったりするし、繁忙期は自分もボロボロなまま出勤して仕事、なんてことも珍しくないし……(;’∀’)> あさよるの友人は花屋さんに勤めていて、「ステキな仕事だなぁ」と感じていますが、やっぱり「力仕事だし汚れるし……」という話を聞くし、あさよる的には「憧れの書店員」も結構ハードワークだと聞きます。ジュエリーを扱う仕事をしている人だって、宝石や貴金属は商売道具であって自分用ではないから…なんて話も聞いたことが……。
仕事ってどんな分野でも、華やかでカッコいい面と、地味で地道な面と、両面を持っているものなんでしょう。
読書習慣を死守せよ!ビジネス書の最初の一冊に
『マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』は、「入社1年目」の人を読者対象にしていますから、「これからビジネス書や自己啓発本を読んでみたい」人へ向けた、最初の第一冊目と想定すると、なかなか読みやすいし、励まされるし、参考になるし、良い本だろうと思います。
学生時代、読書習慣があった人も、社会人になるとなかなか読書時間を取れなくて、読書から遠のく人も多いでしょう(あさよるも、社会人になってから30代に差し掛かるまでなかなか本が読めない時期が続きました)。そういうとき、フィクションの小説を読んで気分転換もいいですが、軽いビジネス書や自己啓発本の類をザッと読んで冊数を稼ぐのもアリだともいます。なにせ、読書って習慣のものですから、じっくり本を読む時間がなくても「本を手に取ってページをめくる」って習慣さえなくさず継続していれば、そのうち仕事も慣れてきたときに読書習慣に復帰できます(逆に、ブランクができると習慣を復活させるのはムズカシイ……あさよるの経験です(;’∀’)>)。
入社1年目の教科書から転職の話へ
本書『マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』のおもしろいなぁと感じたところは、入社1年目の新入社員向けの本なのに、そこここで転職の話題が飛び出すことです。別に「転職の準備しなさいよ」とか「転職せよ」なんて言ってるわけじゃないんですが、ナチュラルに転職の話題が紛れ込んでるんですね~。
そもそも、本書の冒頭は、「マッキンゼーの社員は3~5年で会社を辞めて次のキャリアに進むらしい」という話題から始まるんだからw 別に「転職のススメ」ってワケじゃないけど、たぶん新卒採用された会社に定年まで務めると考えている人も少ないだろうし、いずれ「転職」というターンもやってくるだろうから、頭の隅にあればいいのかもね。
もちろん、本書で紹介されている問題解決法やフレームワークの考え方など、業務だけじゃなく、転職にも当てはまるだけど、婚活にも使えるよ、なんてガイドラインもあったりして、仕事に留まらずホント広く使える考え方、やり方なんですね。
3~5年で巣立っていくってスゴイね
本書の1ページ目はこんな風に始まります。
平均3~5年。
これはなんの数字かというと、世界最強のコンサルティングファームと称されるマッキンゼー社員について、まことしやかにささやかれている平均的な在籍年数です。私もそうですが、多くのマッキンゼー卒業生の実感値としては、そう外れていないでしょう。
「え、そんなに短いの?」と驚かれるかもしれません。けれど、現実に入社3~5年もすれば、マッキンゼーを卒業して起業する人、さまざまな事業会社で経営やマネジメントに携わる人は珍しくありません。
一般的な感覚では、入社3~5年と言えば、一応、組織の中で自分の役割を与えられて、新入社員にとっての良い先輩として日々の業務を遂行している立場でしょう。
そのタイミングで起業や経営、マネジメント層にキャリアを進めるというのは、かなり優秀な人なければ現実的ではないのかもしれません。p.1-2
普通、やっと業務を任され後輩ができた頃合いなのに、マッキンゼーの社員は独立して次のキャリアを始められるのは、マッキンゼーの(特に日本支社が)独自に持っている「新人研修プログラム」にある、と話が展開されていきます。そして、その「新人研修プログラム」のエッセンスが紹介されているのが本書というワケ。
……なんですが、この話のすごいのは「3~5年で独立する」ってとこ。3~5年で会社に貢献できるということです。つまり、企業は新人を採用すると、まずは新人を育てるためにコストがかかります。ですから、新人は雇っているだけで赤字の存在です。しかし、新人を育て、その後、会社のために働いてもらうことで、赤字を回収し、そして会社にとって収益を上げて欲しいと期待されてるんですね。で、マッキンゼー社員は3~5年で卒業しちゃうというのは、それだけの短期間で会社に貢献して卒業していくってことです。すげーと思いました。
入社ン年目でも、モチベーションアップに
本書『マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書』は、「入社1年目の」とあり新卒採用された新入社員向けの内容ではありますが、入社ン年経っていても「初心忘るべからず」というように、新人の頃の気持ちを思い出しモチベーションアップになる読み物です。
内容は多くの人に当てはまるもので、華々しい経歴を持っているように見える人でさえ、汗を流して地道にコツコツと仕事に取り組んでいるんだと知ると、励まされる思いです。また、現在では「根性」とか「精神論」は倦厭されていますが、それでもやっぱ「ガッツ」とか「情熱」とか「モーレツ」としか言えないようなパワフルさを、仕事に向けられたらすごくいいだろうなぁと思いました。なんでも嫌々やるのは嫌ですからね(苦笑)。
仕事って、やっぱ自分のアイデンティティの一部になりうるものだし、人間は社会の中で成長していくものですから、社会人になってからこそ「自分」という人間を肉付けし、形作ってゆく本番じゃないのかなぁなんて思います。自分で、納得できるよう微調整しながら経歴と年齢を重ねていけたらいいのにな。
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マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書
目次情報
はじめに
第1講義 マッキンゼー流 プロフェッショナルの流儀
Client interest first
どんなときも常に前向きに
プロならComplete workが当たり前
修行僧とアーティストセンス
マッキンゼーな人とは?
見た目にもこだわる
「アンケート」を仕事にするな
ユニークな職人であれ
目先の問題解決ばかりるすな第2講義 マッキンゼー流 問題解決の基本プロセス
そもそも「問題解決」とは何か?
問題解決の基本プロセス1モグラ叩きはしない
2問題定義、仮説・分析、解決策①問題の構造を把握する
②問題を分解する方法――ロジックツリー
③仮説を立てて分析する
④仮説を検証する方法――イシューツリー
⑤解決策を導き出す――空・雨・傘問題解決で大事なこと
1今の状況や制約条件にとらわれすぎない
2ロジカルシンキングを常に意識する
3「なぜ?」を何度もくりかえす
4「誰に、何を、どのように」を必ず考える特別講義 マッキンゼー流 フレームワーク入門キット
頭の中にフレームワークを持っておく
全体の流れの中で重要ポイントを把握したいとき
フレームワーク『ビジネスシステム』市場戦略の基本を検討したいとき
フレームワーク『3C』組織を見直したいとき
フレームワーク『7S』何を選べばいいか分からないとき
フレームワーク『ポジションのマトリクス』課題に対する真の解決策を発見したいとき
フレームワーク『ロジックツリー』第3講義 マッキンゼー流 情報の扱い方
リサーチは原典にあたれ
情報はセクシーに使え
風が吹けば桶屋がどうなる?第4講義 マッキンゼー流 問題解決力を高める思考術
コインの裏表で考えない
あきらめない“オタク力”
五感を研ぎ澄ませ
リラックスしながら集中する
フレームワーク的思考術
自分の枠を外してしまえ
事実と意見に分けろ
「問い」から始めよう
その問いの核心は何?
問いの核心をつかむための、いい質問とは
その「問い」は本物かどうか
大きな絵を忘れるな
エレベーターテストをしよう第5講義 マッキンゼー流 自分力の高め方
自分の存在を発揮する
見た目も大事なのは本当
シンプルな道具を持つ
お手本を持つ
ジャッジメントはしない
ディナーより月1ランチ第6講義 マッキンゼー流 プロジェクトで結果を出す力
期間限定で結果を出す
好きになれなくても共感共有はできる
聞かれる前に発信する
自分の存在力の出し方
リーダーの“べき論”にとらわれない
ひとりで仕事を完結させない
仕事をデザインする
「そもそもメソッド」を活用する
ミーティングをデザインする
I(私)ではなくWE(私たち)を使う
フレームワークを質問に生かす第7講義 マッキンゼー流 プレゼンの技術
プレゼンに必要な3要素
最初からパワポは使わない
ピラミッドすとらくを使う
空・雨・傘のロジックを伝える
メッセージを結晶化させる
1チャート、1メッセージおわりに
大嶋 祥誉(おおしま・さちよ)
センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。上智大学外国語大学卒業。米国デューク大学 Fuqua School of Business MBA取得。米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、新規事業の立ち上げ戦略、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。その後、ウィリアム・エム・マーサー、ワトソン。ワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる。2002年より独立し、エグゼクティブ。コーチング、組織変革コンサルティング、チームビルディングやリーダー開発に従事する。
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