齋藤孝『読書力』|社会人力とは?教養とは?

こんにちは。本を読んでは感想をブログに書くようになってから、「読書術」とか「読書論」なんかが気になっている あさよるです。あさよるはボケーっと本を読んでいるだけなので、「なぜ読むのか」「どうして読むのか」なんて考えたことがなかったのに、この手の本を読むと背筋が伸びる思いです。

なんで読書しなくちゃいけないの?

本書『読書力』が素朴なギモン「なんで読書しないといけないの?」という問いに応える内容から始まります。著者の斎藤孝さんは、大学で講師をしている経験から、学生たちへ読書の習慣づけに取り組んでおられるそうです。そのとき、「なんで読書するの?」「読書を押し付けないでほしい」と思う学生もいるようで、彼らへのメッセージにもなっています。

読書好きさんの中にも、他人に対しても「絶対読書すべき!」って考えてらっしゃる方もおれば、反対に「別に読まなくてもいいよ」とか「どっちでもいいんじゃない?」と思ってる方もいるでしょう。実は、あさよるは 後者です……(;’∀’) 好きなら読めばいいけど、辛いなら読まなくてもいいじゃんって思ってました。しかし、本書『読書力』では、「読むべきだ」と強く主張します。それには理由があります。

ここでは、読書は自己形成の糧であり、コミュニケーションの基礎だからだと挙げられています。

文庫百冊・新書五十冊

本書『読書力』では、4年間で文庫100冊、新書50冊を読むことを目標にしています。巻末には読んでおきたい書籍のリストも掲載されていますから、この本からどんどん他の本へ読書が広がっていくよう構成されています。

「4年間で」というのは、学生へ向けてのメッセージだからでしょう。学生生活の間に、文庫100冊、新書50冊を読む習慣をつけましょう。

要約が話せるでOK!

「書を読む」といっても、どの程度読むと「読んだ」なの?というギモンもありますね。本書では一冊本を読んでみて、本の内容を要約して人に伝えられる程度でOKと紹介されています。

4年間で文庫と新書合わせて150冊を要約できる力。確かに、社会人になってからも必要な力になるでしょう。

若者へ向けての「読書論」

先ほども紹介しましたが、本書は若者、その中でも学生に向けての「読書論」「読書術」を説明するものです。著者・斎藤孝さんの教育者としての視点が色濃く出ているんではないかと思います。

本書を読まれる方も、ご自身が学生だったり、教育に関する職に就いてらっしゃる方、また子育て中の方は、当事者として読まれるでしょう。

反対に、それらに該当しない方にとっては、対象から外れてしまうので分かりにくいかもしれません。あさよるも、想定される読者から外れていますので、「確かに、20代の頃の自分に声をかけるなら」と仮定しながら読みました。

〈教養〉ってこんなこと?

本書で紹介される「読書力」を読んでいると、教養ってこういう力を言うのかも?と思いました。それは集中力と瀬極性。それを鍛えるための鍛錬としての読書という考え方に触れたからです。

本を読むって、楽しいときもあれば、しんどいときもあります。知らない知識に触れ続けて、どっと知識がなだれ込んでくる時って、結構つらい!体力的にね。その体力、集中力を養う方法の一つが読書です。そして、じっくりと腰を据えて耐えながら、手ごわい一冊を読み込んでいく鍛錬を積んだ者に与えられるもの。それが読書力であり、教養なのかもな~と感じたのです。

文庫百選

本書の巻末に「文庫百選」なる斎藤孝さんが選んだ100冊のタイトルが紹介されていました。おおっ!これ、あさよるも順番に読んでみよう!と、さっそくメモしておきます…φ(..)あさよるは20冊も読んでないかな~(;’∀’)

1 まずは気楽に本に慣れてみる

1 北杜夫『どくとるマンボウ青春期』
2 町田康『くっすん大黒』
3 椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ』

2 この関係性は、ほれぼれする

1 山本周五郎『さぶ』
2 スタインベック『ハツカネズミと人間』
3 スティーヴン・キング『スタンド・バイ・ミー』
4 幸田文『父・こんなこと』
5 サローヤン『パパ・ユーア クレイジー』
6 大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』
7 下村湖人『論語物語』
8 ドルトン・トランボ『ジョニーは戦場へ行った』

3 味のある人の話を聞く

1 宮本常一『忘れられた日本人』
2 宇野千代『生きて行く私』
3 白洲正子『白洲正子自伝』
4 野口晴哉『整体入門』
5 エッカーマン『ゲーテとの対話』
6 小林秀雄『考えるヒント』
7 福沢諭吉『福翁自伝』

4 道を極める熱い心

1 吉川英治『宮本武蔵』
2 志村ふくみ『色を奏でる』
3 ロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』
4 棟方志功『板極道』
5 『ゴッホの手紙』
6 司馬遼太郎『世に棲む日日』
7 『宮沢賢治詩集』
8 栗田勇『道元の読み方』

5 ういういしい青春・向上心があるのは美しきことかな

1 藤原正彦『若き数学者のアメリカ』
2 アラン・シリトー『長距離走者の孤独』
3 浮谷東次郎『俺様の宝石さ』
4 藤沢周平『蝉しぐれ』
5 トーマス・マン『魔の山』
6 井上靖『天平の甍』
7 ヘッセ『デミアン』

6 つい声に出して読みたくなる歯ごたえのある名文

1 中島敦『山月記/李陵』
2 幸田露伴『五重塔』
3 樋口一葉『にごりえ/たけくらべ』
4 泉鏡花『高野聖/眉かくしの霊』
5 『歎異抄』
6 ニーチェ『ツァラトゥストラ』
7 川端康成『山の音』

7 厳しい現実と向き合う強さ

1 辺見庸『もの食う人びと』
2 島崎藤村『破戒』
3 井伏鱒二『黒い雨』
4 石牟礼道子『苦海浄土』
5 ジョージ・オーウェル『1984年』
6 梁石日『タクシー狂躁曲』
7 大岡昇平『野火』

8 死を前にして信じるものとは

1 三浦綾子『塩狩峠』
2 深沢七郎『楢山節考』
3 柳田邦男『犠牲(サクリファイス)』
4 遠藤周作『沈黙』
5 プラトン『ソクラテスの弁明/クリトン』

9 不思議な話

1 安部公房『砂の女』
2 芥川竜之介『地獄変/邪宗門/好色/藪の中』
3 夏目漱石『夢十夜』
4 蒲松齢『聊斎志異』
5 ソポクレス『オイディプス王・アンティゴネ』

10 学識があるのも楽しいもの

1 和辻哲郎『風土』
2 ルース・ベネディクト『菊と刀』
3 大野晋『日本語の年輪』
4 柳田國男『明治大正史 世相篇』
5 コンラート・ローレンツ『ソロモンの指環』
6 『ジンメル・コレクション』
7 山崎正和『不機嫌の時代』

11 強烈な個性に出会って器量を大きくする

1 シェイクスピア『マクベス』
2 坂口安吾『坂口安吾全集4「風と光と二十の私と」ほか』
3 パール・バック『大地』
4 シュテファン・ツワイク『ジョゼフ・フーシェ』
5 ゲーテ『ファウスト』
6 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
7 アゴタ・クリストフ『悪童日記』
8 塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』

12 生き方の美学・スタイル

1 向田邦子『父の詫び状』
2 リチャード・バック『かもめのジョナサン』
3 藤原新也『インド放浪』
4 村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』
5 マックス・ヴェーバー『職業としての政治』
6 九鬼周造『「いき」の構造』
7 石原吉郎『望郷と海』
8 サン・テグジュペリ『人間の土地』
9 須賀敦子『ヴェネツィアの宿』
10 谷崎潤一郎『陰翳礼讃』

13 はかないものには心が惹きつけられる

1 中勘助『銀の匙』
2 デュマ・フィス『椿姫』
3 チェーホフ『かもめ・ワーニャ伯父さん』
4 太宰治『斜陽』
5 ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
6 トルストイ『アンナ・カレーニナ』

14 こんな私でも泣けました

1 高史明『生きることの意味・ある少年のおいたち』
2 宮本輝『泥の河・螢川・道頓堀川』
3 灰谷健次郎『太陽の子』
4 藤原てい『流れる星は生きている』
5 井村和清『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』
6 竹内敏晴『ことばが劈かれるとき』
7 林尹夫『わがいのち月明に燃ゆ』

読書力

目次情報

まえがき

序 文章力とは何か

「本を読む読まないは自由」か
読書してきた人間が「本は読まなくてもいい」というのはファウル
「読書力がある」の基準は?
精神の緊張を伴う読書
文庫のスタイルに慣れる
新書五十冊
本は高いか
要約を言えることが読んだということ
新書は要約力を鍛える
読書力検定がもしあったら
社会で求められる実践的読書力
なぜ百冊なのか
有効時間は四年
本は「知能指数」で読むものではない
「小学校時代は本を読んだけど」の謎
定期試験に読書問題を入れる
顎を鍛える食らうべき書
歯が生え替わった本
日本は読書立国
総ルビ文化・世界文学の威力
読書力は日本の含み資産
the Book がないから Books が必要だった

Ⅰ 自分をつくる――自己形成としての読書

1 複雑さを共存させる幅広い読書
2 ビルドゥング(自己形成としての教養)
3 「一人になる」時間の楽しさを知る
4 自分と向き合う厳しさとしての読書
5 単独者として門を叩く
6 言葉を知る
7 自分の本棚を持つ喜び
8 繋がりながらずれていく読書
9 本は背表紙が大事
10 本は並べ方が大事
11 図書館はマップづくりの場所
12 経験を確認する
13 辛い経験を乗り越える
14 人間劇場
15 読書自体が体験となる読書
16 伝記の効用
17 ためらう=溜めること
18 「満足できるわからなさ」を味わう

Ⅱ 自分を鍛える――読書はスポーツだ

1 技としての読書
2 読み聞かせの効用【ステップ1】
3 宮沢賢治の作品が持つイメージ喚起力
4 自分で声に出して読む【ステップ2】
5 音読の技化
6 音読で読書力をチェックする
7 読書は身体的行為である
8 線を引きながら読む【ステップ3】
9 三色ボールペンで線を引く
10 読書のギアチェンジ【ステップ4】
11 脳のギアチェンジ

Ⅲ 自分を広げる――読書はコミュニケーション力の基礎だ

1 会話を受けとめ、応答する
2 書き言葉で話す
3 漢語と言葉を絡ませる
4 口語体と文語体を絡み合わせる
5 ピンポンと卓球
6 本を引用する会話
7 読書会文化の復権
8 マッピング・コミュニケーション
9 みんあで読書クイズをつくる
10 本を読んだら人に話す
11 好きな文を書き写して作文につなげる
12 読書トレーナー
13 本のプレゼント

文庫百選 「読書力」おすすめブックリスト

齋藤 孝(さいとう・たかし)

1960年静岡県生まれ
1985年東京大学法学部卒業.東京大学大学院教育学研究科博士課程を経て.
現在―明治大学文学部助教授
著書―『宮沢賢治という身体』(世織書房)
『「できる人」はどこがちがうのか』(ちくま新書)
『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス)
『三色ボールペンで読む日本語』(角川書店)
『理想の国語教科書』(文言春秋)
『人間劇場』(新潮社) ほか

コメント

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