亀田博『飛鳥の考古学』を読んだよ

明日香村にある猿石をコピックマーカーで描いたイラスト 読書記録

奈良県高市郡明日香村の飛鳥地域を何度か歩いて回ったことがあります。
ただフラリと自転車で見て回ったこともありますし、カメラ片手にルートをしっかりと決めて一通りの有名な史跡を撮影して周ったこともあります。

飛鳥は、数えきれないくらいの史跡が興味を引きます。
ですが、飛鳥の魅力はそれだけではありません。
絵に描いたような「里山」の風景。
田んぼが広がり、山が連なり、川が流れ、道端には目に眩しいくらいの鮮やかな草や花が咲いています。

私もぐるり田んぼに囲まれた田舎で育ちましたが、野の草がこんなにも鮮やかで、山や野原を彩ることを知りませんでした。
そこを、ひらひらと蝶が舞い、鳥が鳴き、風が吹き抜けます。

なんだか懐かしいような気分になりました。

『飛鳥の考古学』を読んだよ

飛鳥の地を堪能するにはやはり、史跡を追って散策するのが一番でしょう。
『飛鳥の考古学』では飛鳥の古墳、謎の巨石、宮跡、お寺など紹介されています。

鬼の雪隠、鬼の俎(まないた)という巨石があります。
雪隠とはトイレのこと、俎はそのまま、料理で使うまな板です。
巨大な石が、バラバラの場所にあるのですが、もともとは一つの史跡で、古墳の内部の棺桶と蓋だったと言われています。
長い年月の中で、古墳の周りにある土がなくなり、石室が露出し、さらに崩れてバラバラになってしまったのです。

作っては壊し作っては壊し

鬼の雪隠、鬼の俎と共に他にも巨石が転がっていたそうですが、畑を耕す邪魔なので、切り刻んで他の場所へ持って行ってしまったそうです。
歴史的史跡が破壊されてしまったことは残念なことでしょうが、人の営みが延々と続いているんだと実感できるエピソードで面白いと思いました。

遠い昔、古墳を築いた人たちがいました。
その後も、同じ地に人々は暮らし続け、田畑を作り、地域に根づいて生きてゆく中で、過去の人たちが築いたものも壊しては新たな営みがなされてゆきます。
一つの地に人が暮らし続けるのは、作っては壊し、また作っては壊しと何百年も何千年も続けてきたことなんですね。

また、晴れ間を見つけて飛鳥の地を歩きたいです。

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飛鳥の考古学
亀田 博
學生社
(1998)

コメント

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