歴史的有名人は、その時を生きた人たちの本の一握りの人物です。
多くの人々は、たとえ文献に名前が残っていようとも、後の世の有名人になれるかどうかは分かりません。
現在、私たちが知っている偉人たちは、ドラマの主人公に使われていたり、人気小説やマンガなどの作品で登場する人物です。
ドラマや物語の題材にされることで、人々に愛され続けるんですね。
名もない人物に感じるリアリティ
『幕末伝説』は、先日読んだ『幕末気分』に続くシリーズで、『幕末不戦派軍記』の4人のキャラクターが登場する物語も収録されています。
幕末に起こった足利梟首事件や戊辰戦争を扱いつつ、普段はあまりスポットライトが当たらないような人物が紹介されています。
歴史の大きな波がうごめく中、歴史に名を残すことのない普通の人達に注目することで、「その他大勢」の一人ひとりにも、私と同じように命があり、人生があったことを実感し、歴史がリアルに感じられます。
歴史には残らなくても、確かにある人生
どうも私は、歴史を遠いはるか昔の「物語」のように感じてしまいがちなのですが、無名の人物に着目した時にこそ、血の通った人物の一生を思い、「作り話ではない」と思うのです。
ドラマチックに演出された物語よりも、庶民として生まれ無名のまま死んでゆく人物にリアリティを感じるとは、面白いですね。
同じように、庶民として生まれた自分自身も、大きな歴史の流れの中で、小さいながらも役割を担っているような気がします。
関連記事
幕末伝説
幕末伝説
野口 武彦
講談社
(2003)
コメント
[…] 『幕末伝説』を読んだよ […]