こんにちは。体がかゆい あさよるです。
先週の週末、久々に軽い蕁麻疹が出て、全身掻きむしってしまいました。
痒みから気を紛らそうと、図書館に出かけ『なぜ皮膚はかゆくなるなるのか』という本に出会った。こんな今の自分にピッタリくる本なんてそうそうないぜ!w
「痒み」とはなんだ?
あさよるは幼いころから皮膚のトラブルに悩んでいました。アトピーもあったし、今もアレルギーが強い(;´Д`)
しかしそういえば「かゆみ」について何も知らないことに気が付きました。「かゆい」って感覚は、どこから来るの?
『なぜ皮膚はかゆくなるのか』では、多くのページ数を使って「かゆみ」のメカニズムが紹介されています。
かゆみとは原始的な感覚で、痛みと比べるとトロい。痛みとかゆみを同時に感じると、痛みが優先されます。時間が経って痛みが引くと、かゆみだけが残ります。
また、かゆみが伝わるスピードは痛みに比べるととても遅いのに、かゆみは周りの神経まで刺激し、どんどんかゆみは広がります。
そして、かゆみの厄介なところは、かゆみを感じ、掻くと「気持ちいい」。「かゆい」→「掻く」の動作をすると、快感が得られるので、ますます掻くことがやめられない。かゆいから掻く、掻くと気持ちいい、気持ちいいから掻く、掻くとかゆくなるの繰り返しです。
注)医学書ではない
ちなみに本書、PHP新書のシリーズですから、医学書ではありません。
もちろん、著者は皮膚科医であり、医学的見地から書かれたものですが、医療や治療のための本ではなく、教養を目的としたものです。
ですから、実例よりも「かゆみ」という感覚についてや、皮膚の内側で何が起こっているのか、詳しく紹介されていることで、好奇心がより刺激されます。
生物学的な話もたくさん登場してオモシロイのですが、適当な紹介ができないので割愛させていただきます(^_^;)>
あさよるは、「かゆみ」という独立した感覚があることを知りませんでした。また、神経伝達物質はたんぱく質なので、温めると分泌が促進されてしまいます。冷やし方がいいというのも知らなかった。
アトピー患者の中で、幹部に熱いお湯をかけるとかゆみが弱まるという人もいるそうですが、間違った対処です。熱や痛みを加えることで「かゆみ」は一時的に弱まります。しかし、かゆみの根本原因を根絶しない限り、その場しのぎにしかなりません。
掻きむしりや、熱を加える、痛みを加える行為は、まさに自傷行為であることも知りました。
医師の間でも認識はさまざま
本書の後半では、医療現場の様子も少し紹介されていました。
どうやら、「かゆみ」や特にアトピーについての知識や対応は、医師によってかなり幅があるようです。
皮膚科以外の科では不適切な処置がなされていることもあるらしい。やっぱ、皮膚のトラブルは皮膚科にかかってみなきゃなぁと痛感。
しかし、中には皮膚科医の中でも安易な治療や処置をする医師もいるらしく、著者も憤慨していました。何件か皮膚科を回ってみるというのが、現実的なところなのでしょうか。
また、アレルギーも、思ってもみないところに原因がある場合も。
例えば、歯の金属の詰め物が原因でアレルギーを起こしている場合。歯の治療からずいぶん時間が経ってから症状が現れると、歯科医に説明してもわからないこともあるっぽい。
髪を染める染料でアレルギーを起こしている人の例もありました。数十年、同じ染料を使っているのに、ある日突然アレルギーを起こすことがあるようです。
肉体は日々変化してゆきますから、「今までは大丈夫だった」はアテになりません。
適切な治療、適切な対処を
皮膚のかゆみに関するトラブルは、軽視されがちです。医師の間でも認識に差があるみたい。
すでにアレルギーやアトピーなど、症状を抱えれる方も、錯綜する情報に疲れ果てています。
本書でも、著者がアトピー患者の治療の様子が紹介されていましたが、患者の側も、治療に取り組む姿勢が様々です。医師が指導をし、処方をしても、その通りにやらなかったり、薬もちゃんと飲まなかったり。
かゆみを感じる環境を一掃するため、布のソファを処分するよう指示したり、寝具の買い替えを促しても、すぐに実行する人と、理由をつけてやらない人。
悩みや苦しみを負っている患者も、治療への姿勢に違いがあります。
ただ「かゆい」ってだけの話なのに、話は入り組み、ヒジョーに重大で悩ましい話になっているようです。
……あさよるも、まずは掃除の徹底と、寝具の変更と……畳……(←たぶんダニの温床だよね……)。
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なぜ皮膚はかゆくなるのか
- 菊池新
- PHP研究所
- 2014/10/16
目次情報
はじめに
第一章 かゆみの本能と感覚
第一項 “掻くと気持ちいい”の本能を考える
しくみは、急速に解明されてきている/なぜ掻くと快感が生まれるのか?/「掻き壊す」ことで、痛みにすり替える/熱いシャワーを浴びると気持ちいい理由/市販のかゆみ止め薬が効くのはなぜか
第二項 かゆみは特殊な感覚
かゆみの定義と語源/手が届くところだけかゆくなる/「くすぐったい」とかゆみは無関係
第三項 「かゆみ」と「痛み」の微妙な関係
「かゆみは軽い痛み」であるは完全な誤解/かゆみの伝わり方は一種類のみ/かゆみと痛みでは、原因物質が違う/脳で感じる部位は似ている
第四項 「痛み」は素早く、「かゆみ」はトロい
伝わる神経線維の太さが違う/とっさの反応、脊髄反射がない/原始的で進化していない
第五項 「心」がかゆみにおよばず悪影響
抗うつ剤で治まることがある/過去の心の傷がかゆみを起こす/ストレスが悪化させる/想像しただけでかゆくなる/かゆみの数値化はできない/心の影響がなければ、治療ははかどるか
第六項 掻くとさらにかゆくなるもの
「イッチ・スクラッチサイクル」とは/かゆみのスパイラルは、どこからでも回り始める/かゆみを途中で止める方法/かゆみは理不尽な感覚
第二章 “無性に”かゆくなる皮膚のしくみ
第一項 原因がわかるもの、わからないもの
まずかゆみの本質を理解すること/末梢神経と、中枢神経の二種類がある/抗ヒスタミン剤が効かないことがある/モルヒネでかゆみが現れる/中枢性のかゆみを抑える薬/アトピーが難病と思われている背景
第二項 かゆみの主犯格、「ヒスタミン」と「マスト細胞」
マスト細胞がヒスタミンをまき散らす/かゆみの脇役たち/ヒスタミンによるかゆみの伝達経路/かゆみの火薬袋「マスト細胞」/本来は防御してくれるはずが裏切ることも
第三項 アレルギーの最初に起こること
厄介な「抗体」がアレルギーを引き起こす/クロスリンクにyるマスト細胞の脱顆粒
第四項 どのようにして脳に伝わるのか
三次ニューロンで伝達する/かゆみが周囲に広がるしくみ「軸索反射」/かゆみを増幅させるサブスタンスP
第五項 掻くとさらに、かゆみを感じやすい体になる
かゆみ過敏状態/脳が過剰に反応していく/神経が表皮の中に伸びてくる
第六項 かゆみを増幅させる装置
かゆみの無限ループ
第七項 掻かずにかゆみを抑える
冷やしてダブルブロック/メントールが効く理由/温熱刺激はかゆみを強めるのか
第八項 異常な知覚と、どのように向き合うか
改めて「かゆみ」とは何なのか/体が掻いてほしいと言っている/「掻きたい」欲求に流されない
第三章 医者にかかる前に知っておきたい治療法
第一項 現実には知識のない医師もいる
適当にステロイドを処方している医師たち/理解していれば、治療法は論理的に見えてくる
第二項 虫刺され・かぶれ・日やけは、表皮のダメージ
日常生活の中で一番多いかゆみ/表皮の炎症を止め、掻かないようにする
第三項 じんましんのかゆみは、ヒスタミンが原因
じんましんは真皮で起こる/ステロイドを塗ってもじんましんは治らない
第四項 乾皮症や乾燥肌は、かゆみ過敏状態になっている
感想によってかゆみを感じやすくなる/表皮のバリアを取り戻す/寒いと表面に血液が来ないため皮膚は乾燥する/バリアを保つ生活とは?
第五項 慢性湿疹・金属アレルギーは、まず原因の除去から
かゆいしこりの多くはアレルギー/原因療法をするのが大前提/かゆみを抑えて掻かない
第六項/ アトピーは、ステロイドだけでは治せない
アトピーになる二つの条件/心が絡む複雑な病気/対処療法には、原因療法がともなわなければならない/食物アレルギーを「食す」という考え方/皮膚のバリアが壊れていると、アレルギーを発生させるリスクが高まる(経皮感作)/外用剤を正しく使えない医師が、薬嫌いの患者さんを増やす/中枢性のかゆみの治療、皮膚の保湿もおこなう/原因療法をおこなわない医師に気をつける/「脱ステロイド」をうたう医師やビジネスにも要注意/アトピー治療のゴールは、ステロイドを使わなくていい状態にすること
第七項 ヘルペス(単純疱疹・帯状疱疹)には外用剤はあまり効かない
ウイルスが神経を刺激する病気/まずはウイルスを抑えること
第八項 かゆい水虫もかゆくない水虫も、治療の基本は同じ
水虫は真菌による接触皮膚炎/真菌退治は炎症を止めてから
第九項 しもやけは異常感覚
原因は、循環不全による組織破壊
第一〇項 目のかゆみには抗ヒスタミン剤が効く
皮膚のかゆみはヒスタミン以外の要素も多い
第一一項 むずむず脚症候群は、中枢性のかゆみか?
足を動かさずにはいられなくなる皮膚の異常感覚/むずむず脚症候群の症状/知覚を制御できなくなる病
第四章 かゆみにまつわる実際の症例
第一項 実際の皮膚科診療の現場では
検査などによる原因の正しい見極めが治療の核/治療はいろいろな次元で考える
第二項 症例1 アトピー性皮膚炎[三十代 男性 二人の例]
軽視できないダニやハウスダストのアレルギー/原因除去と対策療法は治療の両輪
第三項 症例2 金属アレルギー[四十二歳 女性]
手に湿疹を起こす意外な犯人
第四項 症例3 慢性じんましん[五十六歳 男性]
悪環境の口腔内で起こるアレルギー反応/掌蹠膿疱症の原因はわかっていない
第五項 症例4 子どもがかかえる皮膚トラブル[〇歳児]
アトピーを疑って来院する母親たち/洗剤アレルギーへの治療/心のない医師が子どものアトピーをつくる
第六項 症例5 毛染めの薬品にアレルギー反応[七十歳 男性]
ヘアダイが原因とわかるまで/体質が変わって急に反応が現れる
第七項 症例6 ひどい掻きぐせ[八歳 女児]
普通の治療では治まらない掻きぐせ/証拠を揃えればおもいきった治療ができる/「モノ」ではなく「情報」を売るのが皮膚科医の仕事
おわりに
参考文献
菊池 新(きくち・あたら)
1962年生まれ。皮膚科医、医学博士。1987年3月、慶應義塾大学医学部卒業、1995年7月、慶應義塾大学医学部皮膚科診療医長・医局長・研修担当主任、1996年12月、慶應義塾学事振興基金(福沢基金)を得て、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)へ留学。日本学術振興会海外特別研究員として、米国国立衛生研究所にて引き続き留学。1998年3月、留学を終え帰国。同年5月、菊池皮膚科医院開設。著書に『アトピーはもう難病じゃない』『「アトピー」勝利の方程式』(以上、現代書林)、『そのアトピー、専門医が治してみせましょう』(文春文庫)、『Dr.菊池の金属アレルギー診察室』(東京堂出版)がある。
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