『こわいもの知らずの病理学講義』|恐ろしい話を面白おかしく

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こんにちは。話題本に目がない あさよるです。さて『こわいもの知らずの病理学』はネットや書店でちらほらと目にしていて、気になっておりました。著者は大阪大学の仲野徹先生。仲野先生のことは、ラジオで何度かお話を聞いて、オモロイ語り口がファンになりました^^

以前、あさよるネットでも紹介した、仲野徹先生の著書『エピジェネティクス』は、あさよるにとって難しい本でしたが、新しい知見と価値観をもたらしました。内容は当該の記事を見ていただくとして、なんか「人生って生まれたときから決まっているワケではないんだ」という科学的な裏付けを知ったことで、人生観まで変わった気がします。読書ってオモロイなあと思ったし、科学、医学の知識は、常識や概念を塗り替えるんだなあと実感しました。

ということで、今回手に取った『こわいもの知らずの病理学』もオモロクないわけがない。

おもしろおかしい病理学

本書『こわいもの知らずの病理学』が「病理」という何やらオソロシイ、そしてムズカシイテーマを扱う本です。しかし、なにやらこの本、書店で平積みされているし、話題本らしい……。みんな、こんなムズイ本読んでるんすか!? と、ページを数枚めくると、その秘密がわかります。確かにムズカシイ「病理学」の話題を扱っているのですが、ざっくばらんに〈おもしろおかしく〉病理の話が展開されているのです。

それもそのはず、著者の仲野徹さんは大手書評サイト『HONZ』のレビューアーをなさっていて、楽しい語り口をご存知の方も多いかも。

あさよるは、仲野先生がラジオでお話されているのを聞いて、とてもお喋りが楽しくて著書を手に取った経緯があります。だから、本書『怖いもの知らずの病理学講義』が面白くないワケがないっ。ということで本書は、仲野先生が近所のおっちゃんおばちゃんから病気について質問される経験から、普通の人でもある程度正確な病気の知識を持てないものか、と制作された経緯があり、軽いノリで読めるけど、だけど多くの人が「わかる」お話。

病気になるは怖いですが、本書を読むのは怖がらず、どぞ。

病理学って?(ムズカシイ……><)

まず「病理学」とは。

広辞苑で「病理学」という言葉をひいてみると、「疾病を分類・記載し、その性状を究め、病因および成り立ち方を研究する学問。」とあります。さすがです。ちょっと小難しい雰囲気をかもしながら、短いセンテンスにあますことなく意味をほぼ完璧に押し込んであります。

p.22

仲野先生は「さすが」と仰ってますが、あさよるにままだムズカシイ……。ということで、現在の「病理医」と呼ばれる仕事について説明がなされていました。「病理医」の仕事の一つが、亡くなった人の病気について詳しく調べること。そして、生きている患者さんから採取した組織から、病気を判断したり、がん手術中に切除した組織を調べ、悪性細胞が取り除かれたかどうか確認します。患者と直接会うことは少ない仕事だそうで、あさよるがピンとこないのもこのせいか……。

病気の原因を探したり、原因を特定する仕事って感じでしょうか?(どうでしょう?)

怖い病気も、怖いもの見たさで

本書は、怖くて見たくないけど、知らないと困る「病気」のお話を扱っています。例えば、大きくページを割かれている「がん」については、誰もが他人事ではなく興味のある話でしょう。この、恐ろしくて耳をふさぎたくなるような話を、仲野先生が軽快にジョークを飛ばしながら解説してくださいます。

テレビやメディアで耳にする、実は意味が分からない言葉の説明もあります。例えば「アポトーシス」とか「マクロファージ」とかね。あと、そういや中学生のとき習ったな~と思いつつ、今さら他人に聞けない「DNA」や「遺伝子」のお話。

病気や健康に関する話なので、あさよるのない知識で語りようがありませんが、「確かに病気は怖い」だけど「病気を知らないのはもっと怖い」。

オモロイ!ムズイ!

いや、正直言うよ。この本、仲野先生は「普通のおっちゃんおばちゃんかでもわかるように」って言わはるけれども、めちゃムズイからなっ!w あさよるは生物学が嫌い&苦手の二重苦で苦しんだので、結構ツライです。これでも、この2年余り、頑張って化学と生物学を学びなおして、人体の生理学も履修したのになあ~(;’∀’)(;’∀’)

勉強してわかるのは、医者って賢いわ。薬剤師はスゴイわ。先生の言うこと聞こうと思ったもん。

たぶんきっと高校生くらいの生徒なら、より楽しく面白しく読めるかも。学校で習う知識のプラスアルファのはなしだから。

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中野徹さんの本

こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

  • 作者:仲野徹
  • 出版社:晶文社
  • 発売日: 2017-09-19

目次情報

序章 病理学ってなに?

はじめに

「病理学」の意味と歴史

病理学とは?/とりあえず『広辞苑』/ウィルヒョウと細胞病理学

「病理学」ってなにをするお医者さん?

病理診断/病因をさぐる

自己紹介

医学の教科書/この本の成り立ち

第1章 負けるな!細胞たち
細胞の損傷、適応、死

生きるということ、死ぬということ
細胞<組織<臓器

細胞ってなに/組織/臓器

細胞だって適応する

肥大と過去形/萎縮/化生

傷つく細胞

細胞の損傷/帰還不能限界点

細胞が死ぬということ――エピソードⅠ 壊死

虚血、低酸素、梗塞/いろいろな壊死

酸素がなくては生きていけない

ATPの工場としてのミトコンドリア/ATPがなくなると/悪役としての酸素/虚血再灌流障害

細胞が死ぬということ――エピソードⅡ アポトーシス

生理的なアポトーシス/病理的なアポトーシス/アポトーシスのメカニズム

わかる、カルタゲナー症候群

鞭毛と繊毛/症候群/カルタゲナー症候群/右と左

細胞に溜まるといろいろなもの

生理的な物質の蓄積/異物の蓄積

老子と死からは逃げられない

早老症からのレッスン/テロメアとテロメラーゼ/幹細胞、がん細胞とテロメラーゼ/線虫や酵母からのレッスン/寿命とカロリー/アンチエージング

人みな骨になるけれど

第2章 さらさらと流れよ血液
結構動態の異常、貧血、血栓症、ショック

からだ中に張りめぐらされた血管網を流れる血液

浮腫を理解するための基礎知識/どんな病気で浮腫になる?/水がたまりやすい場所

出血

どれくらい出血したら死ぬでしょう/瀉血と輸血/エホバの証人が教えること/血液ドーピング

貧血

後天的な溶血性貧血/遺伝性の溶血性貧血とマラリア/ピタゴラスとそら豆と溶血性貧血と/鉄欠乏性貧血/ビタミン不足による貧血/貧血の研究とノーベル賞

止血

血小板のはたらき/凝固因子のはたらき/血管(内皮)のはたらき

血栓症と塞栓症

できなくてもいい時に血栓ができてしまうのが血栓症/血栓が流れ着いて血管がつまるのが血栓塞栓症/血栓塞栓症以外の塞栓症

梗塞

梗塞ってなに?/梗塞のなりやすさ

いろいろなショック

ショックってなに?/心原性ショックとタンポン/神経原性ショック/カタカナ医学用語/アナフィラキシーショックを引き起こす役者たち/免疫グロブリンEを介した放出ってどういう意味?

インターミッション 分子生物の基礎知識+α

生命科学を知るために
DNAってなに?
セントラル・ドグマ
遺伝子ってなに?
ゲノムと染色体
突然変異は突然なのか

3 「病の皇帝」がん 総論編
その成り立ち

腫瘍、新生物、そして、がん

がんってなに? 新生物ってなに?/がんの語源/「がん」には二つの意味がある

がんの増殖能

良性と悪性のちがい/「がんもどき」理論(?)のウソ/がんばり周りを攻めていく/がんは遠くへ飛び地する/「センチネル」を利用する

がんの統計学

がんの疫学/男と女、臓器による違い/がんになるお年頃

小児の腫瘍

子どもの悪性新生物/小児の悪性腫瘍の治療/新刑芽腫からのレッスン

アンジーの選択

がんと遺伝/アンジェリーナ・ジョリーの乳房/知るべきか知らざるべきか……

がん遺伝子、がん抑制遺伝子、そして、がんの進行

ラウスと藤浪/山極と市川/がん遺伝子の発見/クヌードソンのツーヒット仮説/クローンとは/がんの進化

成長シグナルの自給自足

成長因子と細胞増殖/回る回るよ細胞周期/チェックポイントが大事なのだ/成長抑制シグナルに対する不応性/RBはブレーキである/ゲノムの守護神p53

アポトーシスの回避

死ななかったら増えていく/細胞死でもミトコンドリア/死の受容体

無限の細胞複製能

端っこも大事/アレキシス・カレルの誤った学説/

血管新生

酵素がなければ生きられない/血管新生のメカニズムとその阻害

浸潤と転移

細胞の接着と遊走

ゲノムの不安定性

スペルチェックの重要性

第4章 「病の皇帝」がん 各論編
さまざまな進化

化学物質による発がん

煙突掃除人の陰嚢がん/職業がんの発見とその予防

発がん実験と発がん物質

イニシエーターとプロモーター/発がん物質

放射線による発がん

ラジウム・ガールズと宇宙からの放射線/広島と長崎/チェルノブイリと福島/紫外線と発がん

子宮頸がんとウイルス

ヒトパピローマウイルスによる病気/ヒトパピローマウイルスとがん抑制遺伝子/子宮頸がんワクチン

日本の誇り、成人T細胞白血病(ATL)の研究

成人T細胞白血病の発見/原因ウイルスの発見/ウイルス感染の予防/成人T細胞白血病の治療戦略

肝炎ウイルスと肝臓がん

慢性肝炎から肝臓がんへ/B型肝炎ウイルスとC型ウイルス/C型肝炎ウイルスの画期的治療薬

ヘリコバクター・ピロリと胃がん

ヘリコバクター・ピロリの発見/人体実験による医学の進歩/天才外科医ジョン・ハンター/コッホの原則/鷗外の師匠/胃がんの原因としてのピロリ菌/ピロリ菌による胃がんの発症メカニズム/除菌の効果

伝染るんです

伝染性のがん/伝染り方/デビルの行く末

がんの発症とエピジェネティクス

エピジェネティクスってなに?/がんとDNAメリル化/DNAメチル化による大腸がんの診断/感度と特異度/エピジェネティクスで病気を治す

がんと免疫

免疫は監視する/がんの免疫療法/免疫のチェックポイント/モノクローナル抗体ってなに?/PD-1の発見

がんゲノム

ゲノム解析の驚異/ドライバーとパッセンジャー/白血病の進化をゲノムで探る/白血病の治療とサブクローン

プレシジョンメディシンと分子標的薬

プレシジョンメディシンとは?/魔弾の登場/ハーセプチン物語/フィラデルフィア(染色体)物語/グリベック物語

新しい分子標的薬の開発と高額医療

たくさんの分子標的薬/分子標的薬は高くつく/命を金で計算する

医学におけるAIの活用

膨大な情報はどうさばくか/ワトソン君登場

がんの一生

がんが見つかるまで/がんが見つけられてから/がんの撲滅

がんは運である

がんは多様である/がんは進歩する

おわりに

仲野 徹(なかの・とおる)

1957年、「主婦の店ダイエー」と同じ年に同じ街(大阪市旭区千林)に生まれる。大阪大学医学部医学科卒業後、内科医から研究の道へ。ドイツ留学、京都大学医学部講師、大阪大学・微生物病研究所教授を経て、大阪大学大学院・医学系研究科・病理学の教授に。専門は「いろんな細胞がどうやってできてくるのだろうか」学。著書に、『幹細胞とクローン』(羊土社)、『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』(学研メディカル秀潤社)、『エピジェネティクス』(岩波新書)など。趣味はノンフィクション読書、僻地旅行、義太夫語り。

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