こんにちは。本当は本を紹介されたい あさよるです。毎日読んだ本をブログに書いて紹介していますが、他の人の読書ブログを読むのも好きだったりします。そして、自分で自分の歩む本を選ぶのも楽しいけど、自分では手に取らないような本を人からソッとおすすめされたいなぁという願望も持っています。あさよるは一応、人から薦められた本は、まぁ、5年後くらいまでにいは読んでいますw気の長い話ですが、忘れているわけではないので(読みたい本をリストアップしている)、忘れたころに読みますww
さて本書『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』はタイトル通り、出会い系で知り合った人に本をオススメしつづけた記録です。著者の文章の表現力の高さからも、ただ情報としてだけじゃなく、エッセイとしてもとても楽しい本です。おすすめ!
本を進めまくってたら人生が変わった
本書『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』はタイトルそのまんまですが、夫と別居中、仕事にも生きづらさを感じていたとき、とある出会い系サイトに登録しました。そのときの自己紹介が、こんなもの。
「変わった本屋の店長をしています。1万冊を超える膨大な記憶データの中から、今のあなたにぴったりな本を1冊選んでおすすめさせていただきます」
「変わった本屋」とは、花田奈々子さんはヴィレッジヴァンガードのこと。長年勤め、店長もしていました。ヴィレッジヴァンガードを愛していました。元々はお客としてヴィレッジヴァンガードに居場所を感じており、新店舗のオープニングスタッフ募集に応募したところからヴィレッジヴァンガードで働き始めます。
ヴィレッジヴァンガードを愛し、ヴィレッジヴァンガードで扱われる本を愛していました。だけど、会社の方針から書籍販売が縮小されてゆき、花田奈々子さんたち古参スタッフは反対もしたそうですが、日々の業務で雑貨の発注に追われ、本の売り場に手が回っていないのも事実。そんなジレンマの中の発露として出会い系に登録しちゃいます。
出会った人たちはみな個性的で、明らかにセックスを目的にやってくる男性もいますが、友人として交流が続く人や、女性とも実際に会って、その人にぴったり合った本を紹介し続けます。
さらに、どうしても「自分にとって特別な書店の店長」に会いたいと思い、玉砕覚悟で京都にあるガケ書店の店長にメールを送り、深夜まで語らうこともできました。この経験がすごく特別な出来事だったそうで、「クロスワードパズルのたったひとつの回答が連鎖的にすべての回答を導き出すときのよう」とたとえられていました。
それまで、上手くみんなと同じように立ち回れないと感じていて、本を人におすすめすることも、他になにもできないし、それが特別なこととも考えておられなかったようです(めっちゃスゴイのにね!)。
そしてついに転職を考え始めます。しかし、本にかかわる仕事がしたいけど、ヴィレバンのような書店はない。自分で何かお店をするのも簡単じゃないし、ブログでアフィリエイトを使って本を紹介するのも、生活を保障するほどの売上は望めません。考えあぐねながら、ビブリオバトルの参加者と盛り上がり、一日限りのイベントとして「人に本をおすすめする」ことになりました。
その後、転職を決意し、複合型の大型書店に応募します。エントリーシートには
「出会い系サイトで実際にいろいろな人に会い、その人の話を30分くらい聞いてその人にぴったりだと思う本をおすすめする活動をしていました。この1年で70人以上の人に会い、本をすすめてきました」p.192
と書きました。面接では、元区議会議員、出版社の編集長経験者というスゴイ人と並んで一緒に面接を受けることに。企業側は、花田奈々子さんのエントリーシートを見てから「すごいヤツがきた」と超期待されており、すんなり採用されます。「出会い系をやってると履歴書に書いて採用される人が他にいるのだろうか」と自分でつっこんでるのが面白いw
さらにその後は下町の小さな書店で店長もなさったそうだ。どこまでいっても本と関わるお仕事をなさっていて、本当に特別なものなんだとわかります。
人の心に寄り添う本
本書のもととなった「WEBmagazine 温度」で連載をしていたとき、お母様を亡くしたことがきっかけで「何か本を読みたい」と訪ねてこられたお客さんがいたそうです。その方に本を数冊おすすめし、その中からお客さんが自分に合いそな本を選んで購入します。
本というのは、人の心に寄り添えるものだと、あさよるは分かっていませんでした。なにか大きな出来事があったとき、その心が本を求めることがあるのだと知りました。そして、花田奈々子さんがいつも「あなたの心に寄り添う本」を選んでいました。だから一対一でお話をしてからじゃないと本を選べません。
あさよるも毎日本を読んでブログを紹介していましたが、本が人の心に寄り添えるものだと考えていなかったし、誰かの心に寄り添い、誰かが気に入り、誰に染み入る本を提供したいという発想すらありませんでした。あさよるの読書は独りよがりで、そしてなんだか乱暴な気がしました。
「誰かのための読書」ってあるのかも
あさよるにとっての読書は「喰らうような」もので、過食や中毒もお構いなしに破裂してでもそれでも体の中に押し込こみたいものでした。ある意味ジャンキーというか、こう改めて書くとどうかしてるw だから、誰かの心・気持ちなんてフォーカスしたことがなかったのです。自分の気持ちさえも結構どうでもよくて、苦しくてもただ呑み込むことしか考えていませんでした。
だけど、「誰かのために本を読む」ってことがあるのかも。しかも、なにか具体的に有益な情報を提供する目的ではなくて、それが何らかの癒しや精神的支えになるような、もっと抽象的な意味での読書です。まあ一応、当あさよるネットでも自己啓発書はちょいちょい紹介していて、自己啓発書も「人の心に寄り添う本」の一つでしょう。だけど、心を興奮させるものだけじゃなく、穏やかに、リラックスするための読書があっても良いですよね。
というか、リラックスのための読書って、別に特殊でもなんでもなく、いたって一般的なものなんでしょう……あさよるが本にそんな効能を求めていなかっただけで(;’∀’)(;’∀’)
なんだかものすんごく、読書ブログ運営者として、『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』では反省と学びと目からウロコ連発でした。
あと、すごく良い本です。読みやすいし、特別な行為を、特別に表現しききっていて、その表現に舌を巻きます。
読みたい本ザクザクでした
『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』ですから、本書内でも実際にどういう人にどの本をすすめたのか紹介されています。あさよるもペンを片手にメモりながら読みました。
巻末には本書で著者がおすすめした本一覧があるので便利です。
他人の読んでいる本というのは、とても気になるものですが、他人が他人にすすめる本というのは、もっと気になります。あさよるも気軽にホイホイ周囲の人に本をすすめますが、本当にうれしいのは人から あさよるに合った本をすすめられることです。
あさよるのことをよく分かったうえで、好きそうな本や、気に入りそうな作品を推してくれるのはすごく嬉しい。本書ではその、人に本を選ぶワクワクと、人から本を選んでもらう嬉しさが潜んでいて、とても良い気持ちだった。
いつも一人で書店へ行くから、たまには誰かと「目的地:書店」で、本に囲まれて時間を過ごしたい。
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出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと
目次情報
プロローグ 2013年1月、どん底の夜0時
第1章 東京がこんなにおもしろマッドシティーだったとは
第2章 私を育ててくれたヴィレッジヴァンガード、その愛
第3章 出会い系サイトで人生が動き出す
第4章 ここはどこかへ行く途中の人が集まる場所
第5章 あなたの助言は床に落ちているホコリみたい
第6章 私が逆ナンを身につけるまで――そしてラスボス戦へ
第7章 人生初のイベントは祖父の屍を超えて
エピローグ 季節はめぐる、終わりと始まり
あとがき 2017年秋、本屋の店先で
本書ですすめた本一覧
花田 菜々子(はなだ・ななこ)
1979年、東京都生まれ。書籍の雑貨の店「ヴィレッジヴァンガード」に12年勤めたのち、「二子玉川 蔦屋家電」ブックコンシェルジュ、「パン屋の本屋」店長を経て、現在は「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長を務める。編著書に『まだまだ知らない、夢の本屋ガイド』(朝日出版社)がある。
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