文章に必要なモノってなに?
そのメッセージ、一言で言える?
ブログの過去記事を読んでゲンナリ…(ヽ´ω`)
以前に書いたブログ記事をたまに見返します。
その度に愕然!文章が全然なっていない。何を書きたかったのかサッパリわからない……記事を書いた当初は、文章を書いた熱や、余韻で満足しているから気づかない。だけど、冷静になって読み返してみると……なかなかショッキングです。
少しでも改善すべく、『「超」整理法』『「超」勉強法』でおなじみの野口悠紀雄先生の、「超」シリーズ(?)『「超」文章法』を手に取りました。
『「超」文章法』を読んで、趣味や娯楽の大切さに気づいた!
最終章は「始めればできる」という章です。
6章にもわたって具体的な文章法が紹介されますが、最後の最後で「始めればできる」と背中を押されます。
反対に言えば、「始めなければできない」ということです。どんなに文章法を学び、知識を溜め込もうと、実際に文章を書かないと、始めなければできないのです。
野口悠紀雄さんから、「さぁ文章を書いてみなさい」と励まされ、背中を押される気持ちでした。
なにを伝えたいの?
第1章では「メッセージこそ重要だ」と説明なされます。
ちなみにこの『「超」文章法』は、小説やポエムのような、文章そのものを楽しむような文章の指南書ではありません。
あくまで他人にメッセージを「伝える」ための文章法です。
ですから、問題は相手に「伝わるかどうか」です。曖昧な表現や、どこで区切ってよいかわからない文章を書いてしまっては、他人が読み解くことはできません。
意見や主張に反論、批判があるのは当たり前です。ですが、そもそも文章が誤読され、理解されないがために批判されてしまっては、どうにもなりません。
とにもかくにも伝わってこそ、次のステージへ論が進みます。
メッセージこそが大切だ!
さて、そこで肝心なのは、「何を伝えるのか」です。「メッセージこそ重要だ」とは、このことです。
自分は何を言いたいのか。それは考えぬいた独自のアイデアなのか。そして、たった一言でそれを言い表せるのか。
メッセージを一言で表すと?
それがどうしても伝えたいメッセージなら、たった一言でもチャンスを逃さず伝えたいはず。例えば、Twitter でツイートしたいなら、140文字以内で簡潔にメッセージを述べなければなりません。
短文でも、長文でも、その場にふさわしい的確な長さで文章を構成する必要があります。そのために、たった一言でも的確に表現できねばなりません。
そのメッセージ、どうしても書きたいメッセージですか?
そして、それを「自分が書かねばならない!」という衝動が必要です。
新発見をしたなら、それを人に言いたくなるでしょう。SNSで拡散したり、レポートをまとめて雑誌や新聞社に投稿するかもしれません。
いずれにせよ、重大なことですから人に知らせないと!と使命を帯びるでしょう。
それが書かずにおれないメッセージです。
文章力は、趣味や好奇心のなせる技?
第2章から第6章は、メッセージの骨組を作り、肉をつけ、化粧を施してゆく工程です。
この課程にきてやっと文章力、国語力が問われるのですが……その引き出しというのは、国語の勉強をしていても身につかないのではないかと気付きました。
本書『「超」整理法』は、小説や映画のワンシーンがたくさん引用されています。一見、話があっちへこっちへ飛んでいるように見える箇所もあります。
レビューを見ていると「読みにくい」と感じる方も一定数いるようです。
的確な引用や比喩のために必要な力
しかし、文章力をつけるというのは、こういうことじゃないのかなぁ?と思いました。要するに「引き出しの数」です。引き出しというのは、なにも文法やレトリックの数を知っているということではないのではないか。
国語の点数も大事ですが、数学や社会科の知識がないと、データや統計の扱いもできないでしょう。音楽や文学、芸術への理解も深めてゆかないと、喩え話もできません。
遊びや余暇の活動こそが重要?
娯楽や余暇の活動も侮れません。普段の会話では、社会問題をガンダムで喩えたり、エヴァンゲリオンになぞらえて問題を解説することだって珍しくありません。
その度にいちいち「え、エヴァンゲリオンって知らないんだけど」と引っかかっていては、共通理解を持てません。
『「超」文章法』では、物語の鉄則として、「桃太郎」とトールキン『指輪物語』を例に解説されています。もちろん、「桃太郎」と『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』のあらすじを読者も知っているという前提です。
広い知識とは、好奇心や趣味を楽しむこと?
自分の専門や、伝えたいメッセージとなんの関係もない事柄も、広くよく知っていることを「教養」と呼ぶのではないでしょうか。どれだけ好奇心と趣味に打ち込んできたかが、メッセージの骨となり筋肉となるのです。
話があっちへこっちへと飛び回りながら、適切な喩え話を繰り返しながら、メッセージを明確にしてゆく力は、伝える力です。
読みやすく役に立つ『「超」文章法』オススメ!
「とにかく書き始めよう」
ややこしい文章のテクニックも大切ですが、まずは書き始めてみないと推敲しようもありません。
何度も何度も書き直し、やり直しを繰り返して、文章力はアップしてゆくのです。
そう考えると、過去のブログ記事を読み返し、冷静に推敲してゆくことは悪いことじゃないのだなぁと思えます。「とにかく始めよ」とはこういうことでしょうか。
『「超」文章法』の参考書案内が(・∀・)イイネ!!
巻末の「参考書案内」も役立ちます。野口悠紀雄さんが厳選した、文章の書き方の勉強に役立つ本のリストです。
これから文章の書き方について知りたい人には、これは大きな手がかりです。
幅広い層にオススメ!
『「超」文章法』は、文章も軽快でサラッと読みやすく、内容も充実していてオススメです。
ブロガーさんにも、レポートを書く学生さんにも、もちろん社会人のみなさんにも、広くオススメできる本です。
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- 『「読む」「書く」「考える」は5分でやりなさい!』
「超」文章法
- 野口悠紀雄
- 中央公論新社
- 2002/10/1
目次情報
プロローグ
第1章 メッセージこそ重要だ
1 メッセージとは何か?
メッセージが八割の重要性をもつ/ひとことで言えるか?/書きたくてたまらないか?/盗まれたら怒り狂うか?/見たまま感じたままでは駄目/ピントを合わせる/広いと浅くなる/適切なメッセージは発展性がある/対象が同じでも切り口は違う/真似してよいか?/嘘でも良いか?/小説にメッセージがあるか?/理科系の文章の場合
2 どうすればメッセージが見つかるか?
メッセージが見つからないとき/考え抜くしかない/対話で見つかる/なぜ「得意科目」でやらないのか?/「窓から飛び出したい」とき/メッセージ発見器はあるか?
3 ためになり、面白いメッセージか?
ためになるか?/面白いか?/謙虚でありたい/読者は誰か?/書きたいことと読みたいことの乖離
第2章 骨組みを作る(1)――内容面のプロット
1 冒険物語の秘密
メッセージをどのように伝えるか?/冒険物語は共通のストーリー展開をする/よく考えれば不思議なこと
2 日常vs旅、善vs悪が基本
なぜ旅に出るのか?/なぜ故郷に帰るのか?/なぜ悪役が必要なのか?
3 冒険物語を真似て論述文の骨組みを作る
一つは二つ/二つは一つ/善悪や正邪の逆転/従来とは違う二分法/マトリックス法/『「超」整理法』の場合/旅行記でも対立概念が重要/大蔵省流万能スピーチ法/対立概念の例/ストーリーは一つである必要/単純すぎるというなかれ
第3章 骨組みを作る(2)――形式面の構成
1 長さが内容を規定する
文章には「短文」と「長文」しかない/パラグラフ――一五〇字/短文――一五〇〇字/長文――一万五〇〇〇字/中間の長さは書きにくい/話す場合も長さを意識しよう
2 全体は三部で構成する
序論・本論・結論の三部構成で/関連する序論をまとめるための「いれもの」を作る
3 ドラマチックに始め、印象深く終えよ
始めは客引き/脱兎文・ポーリングのクリフハンギング・竜頭文/自分史の書き始め方/キャベンディッシュ論文の魅力的なタイトル/アリバイ文――最初に言い訳をしない/最後の言い訳もよくない/なぜ終わりが大切か?
第4章 筋力増量――説得力を強める
1 比喩を用いて一撃で仕とめよ
レトリックの重要性/一撃で仕とめる/比喩と類推/名前をつけよう/文学における比喩/人体は便利に使える/人体以外で使えるもの
2 具体例を示す
構造改革と景気対策の違いを例で説明する/数字で示す/抽象化とモデル化
3 賢いキツネになれ――引用の技術
タダで雇える用心棒/学術論文での引用/キツネ文の見分け方/出羽キツネの生涯/さりげなく引用するか、「さりげに」やるか?/どこから引用するか?/嘘でもよいか?/エピグラフ/引用句辞典――手助けの手助け/インターネットの感嘆すべき力
第5章 化粧する(1)――わかりにくい文章と闘う
1 個別文のレベル――複文問題など
主述泣き別れシンドローム/主述ねじれシンドロームと主語述語失踪事件/どうすればよいか?(その1)複文を分解し、主語を二個以内に/どうすればよいか(その2)漢語を用いて簡潔表現に/どうすればよいか(その3)余計なものはすべて削る/修飾語と非修飾語の関係がはっきりしない/日本語の宿命
2 文脈のレベル――文と文のつながりを明瞭にする
言語明瞭、意味不明瞭/どうすればよいか?(その1)文と文の関係を接続詞で示す/どうすればよいか?(その2)代名詞を避ける、名前をつける
3 文章のまとまり相互間の関係
結論と理由の順序/一般から具体か、その逆か?/どうすればよいか?(その1)最初に見取り図を示す/どうすればよいか?(その2)箇条書きで示す/どうすればよいか?(その3)脱線や注記は明示する
4 「わかりにくさ」の一般理論
部分と全体の関係がはっきりしない/口頭伝達ではもっと難しい/選択して集中せよ/論理関係を正確に
5 わかりにくい文章の書き方
正確であり、しかもわかりにくい文章/悪文の代表選手(その1)「三読不可解」文/悪文の代表選手(その2)逃げ水説明文/真の悪文は羊の皮をかぶっている
第6章 化粧する(2)――一〇〇回でも推敲する
1 まず形式をチェック
タイトルは適切か?/章・節・パラグラフが適切に分かれているか?/誤字・脱字を根絶せよ/読点は適切か?/漢字・ひらがな・カタカナの比率/表記や用語を統一する/ゲラの校正
2 表現をチェック
削りに削る/同一表現を避ける/語尾は適切か?/曖昧接続の「が」はパラグラフで二個まで/思い違いに注意/避けたい表現/「小生」と言うのはやめよう/カタカナとアルファベットばかり
3 直したり直されたり
ライターさんの業界文を直す/追放できなかった「さらなる」/勝手に直さないでほしい
第7章 始めればできる
1 とにかく始めよ
始めなければ進まない/始めれば完成する/現役でいれば感受性が高まるし、仕事は自動進行する
2 パソコンなら始められる
パソコンは仕事開始機械/いくらでも修正できる/文章作成作業の本質が変わった/とりあえず捨てる/パソコンだと無味乾燥になるか?/パソコンを「自分の側」に
3 対話をメモで修正する
自分自身と対話する/メモの取り方
4 結局重要なのは何か?
重要性では二割の作業が八割の時間を食う/シェイクスピアとモーツァルト、そしてジョイスとワイルド
あとがき
参考書案内
索引コラム
マイクル・クライトンに「騙された!」
質素な身なりの寄付者
歴史的業績に対する最初の評価
日常と旅を色で区別する
三つが一つで、間違いは正しい
ラブストーリーの法則
シンデレラの教訓
読めますか?
ながながしき Number one
三島由紀夫の演説草稿
野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年(昭和15年),東京に生まれる.63年,東京大学工学部卒業.64年,大蔵省入省.72年,エール大学 Ph.D. (経済学博士号)を取得.一橋大学教授,東京大学教授を経て,現在,青山学院大学教授.
ホームページ「野口悠紀雄 Online」
http://www.noguchi.co.jp
主要著書 『情報の経済理論』(東洋経済新報社,1974年,日経経済図書文化賞),/『財政危機の構造』(東洋経済新報社,1980年,サントリー学芸賞),/『バブルの経済学』(日本経済新聞社,1992年,吉野作造賞),/『「超」整理法』(中央新書,1993年),『1940年体制』(東洋経済新報社,1995年),/『「超」勉強法』(講談社,1995年),/『日本経済 企業からの革命』(日本経済新聞社,2002年)
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