【書評】山田雄司『忍者の歴史』|世界で愛される忍者とNINJAと「忍び」

姿の見えない「忍び」の姿

NHK大河ドラマ『真田丸』きっかけで…

2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』、毎週欠かさず見ています!

主演の堺雅人さんのファンなので続けて見ていましたが、いつの間にかドラマが面白すぎてのめり込んでおります^^

先日は『真田丸』の時代考証を勤めておられる、丸島和洋先生の『真田四代と信繁』を読み、真田信繁(幸村)とその一族について知ることが出来ました。勉強になった&ますます『真田丸』を面白く感じるようになりました。

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さらに、戦国時代について知りたいなぁと思い、『忍者の歴史』という、気になるタイトルを発見。忍者といえば……真田じゃないか!と(笑)

忍者・NINJAと「しのび」

「忍者」と言えば、「伊賀者」とか「甲賀者」とか聞いたことがあります。ええ、『忍者ハットリくん』で習いました。ハットリくんは伊賀者で、ライバルのケムマキは甲賀者です。

で、巻物でドロンとやれば、カエルを口寄せできるんですよね。そうそう、『NARUTO-ナルト-』で読みました。

外国の「NINJA」人気は『NARUTO-ナルト-』とともに、『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』の影響も。

てな具合に!近年のマンガ・アニメ・ゲームののモチーフとしても大人気の「忍者」。あるいは「NINJA」。江戸時代から大人気で、創作に次ぐ創作がなされていたんだとか。

創作の中の「忍者」についても触れられていたことで、「え、これ作り話なんだ!」ってビックリや、反対に「ホントにこんなことあったの?」と驚きも。

ちなみに、あさよる的には、高いところから滑空する「ムササビの術」が創作だと知りちとショックw ちょっと信じてたのに~w

女性の忍者「くノ一」も、ほとんどが創作。女性が忍者になることはあったけれども、レアケースだったそう。くノ一も忍者と同じように活躍するようになったのは、第二次大戦後。もちろん創作の世界の中でのお話だそうです。

黒装束の「忍者」の登場!

戦国時代の忍者は「シノビ」と呼ぶことが多かったけれども、呼称は様々あります。透破(すっぱ)、風間(かざま)、乱波(らっぱ)、草、かまきり、軒猿(のきざる)なんて呼び名も紹介されています。

江戸時代に入り、創作の中での「忍者」が登場。黒尽くめのコスチュームで、ドロンと消えるようになりました。創作の世界で、中国の妖術・幻術と「忍び」が結びつき、変幻自在の「ニンジャ」です。

江戸時代には「忍術書」が編纂される

一方、本職の忍者たちは、江戸年間を通して数が減ってゆきます。このままでは家伝の忍術が潰えてしまうと、書物にまとめられてゆきました。

おお!これが「忍術書」!!

本書『忍者の歴史』では、第三章で大きく「忍術」が取り上げられています。

あなたの知らない「忍者」の世界

忍者って、時代を超えて愛され親しまれている存在です。

それだけに、忍者のイメージは時代ごとに新たに継ぎ足され、もともとの「忍び」の姿がわからなくなるほど。今や、海を越えて、世界で愛されています。

では、「忍び」ってどんな人達だったのか?

彼らの主な仕事は諜報活動。スパイですね。人づてに情報を集めたり、反対に作為的な誤情報を広めたりして撹乱します。

その任務の性質からも、表立って何をしたのか書類が残りません。

『忍者の歴史』で紹介されていた文献も、大事な部分は伏せ字で書かれていたりと、極秘任務だったことがわかります。

意外?思った通り?『忍者の歴史』

『忍者の歴史』では、古代、粋古典の王の時代の間者(スパイ)の話題から、近代の超人的・忍者まで網羅されています。歴史の古い順に紹介されているため、忍びの変遷も把握しやすく、興味深く読みました。

戦国時代、乱世故に忍びの仕事は多かったようで、たくさんの文献や記録が紹介されていました。

そして、キビシイ忍びのルール。

「え!これも創作だったの!?」と意外な事実の連続か、「案外イメージ通り」なのか。読む人次第な一冊です(*^^*)

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忍者の歴史

  • 山田雄司
  • KADOKAWA
  • 2016/4/26

目次情報

序章

忍者ブーム 8/忍者とは何か 9/歴史的な忍者の定義 14/本書の意図 16

第一章 戦国時代の忍び

一、忍びの起源

古代の間諜 20/忍びの由緒 21/藤原千方 22/『太閤記』の忍び 24/『峯相記』の悪党 27/黒田荘と悪党 30

二、伊賀と甲賀

伊賀惣国一揆 33/鈎の陣 37/甲賀郡中惣 40

三、「忍び」の実際

「忍び」の定義 42/さまざまな呼称 44/義盛百首 46/各地の忍び 49/北条氏の忍び 51/風間(摩) 54/上杉氏の忍び 58/武田氏の忍び 59/伊達氏の忍び 61/朝鮮から見た忍び 64

四、伊賀衆の活動

身体の鍛錬 67/周辺国での活動 69/火術 71

第二章 兵法から忍術へ

一、中国兵法の受容

中国古代の兵法 76/『孫氏』用間篇 78/兵陰陽 80

二、日本的兵法書の編纂

『張良一巻書』 81/修験道とは 83/日本の兵法書 86/兵法書の内容 92/戦国期の修験道 97/寺院と兵法 99

三、軍事書の成立

『訓閲集』 100/『軍法侍用集』 103

四、忍術書の成立

兵法から兵学へ 107/伊賀流忍者博物館所蔵忍術書 108/さまざまな忍術書 111

第三章 忍術書の世界

一、忍びとしての心構え

『万川集海』 116/忍びとして必要な十の要素 117/正心 120/忍びの特性 121/『当流奪口忍之巻註』 123/生きて生きて生き抜く 125/『謀計須知』 128

二、忍び込みの実際

忍び六具 129/七方出 132/くノ一の術 134/穴蜘地蜘 135/堀を渡る 136/塀を越える 137/犬に注意 138/まきびし 140/足跡を残さない 141/見詰・聞詰 142

三、忍びの身体

嗅覚・聴覚 143/味覚 144/視覚 145/ 触覚 147/握力 140/動物のまね 150/身を隠す術 152/飛び降りの術 153/食 155/薬 158

四、忍具

登器 160/水器 162/開器 166/火器 167

五、情報の伝達

のろし 172/五色米 173/密書・暗号 175/相詞 176/記憶 177/忍びの大要

第四章 江戸時代の忍び

一、織豊期の伊賀

天正伊賀の乱 182/神君伊賀・甲賀越え 186/服部半蔵正成 190/伊賀者の活躍 192

二、江戸ぐらしの伊賀者・甲賀者

伊賀者・甲賀者の居住と給地 196/百人組 200/島原の乱 203/御庭番 205

三、各地の忍び

上野城下の忍び 206/赤穂事件 210/尾張藩の忍び 211/松本藩の忍び 214

四、江戸時代の忍術

忍術を使う人々 216/名古屋城の忍術家 219/忍術道場 220/伝授 222/忍術流派 225/幕末の忍び 227/幕末から明治へ 229

終章 変容する忍者

忍術と妖術 234/近代社会と忍術 236/伊藤銀月による忍術研究 237/忍術修行 239/さまざまな忍術本 241

二、伝承される忍術

甲賀流忍術十四世藤田西湖 244/修霊鍛身会会長藤田西湖 246/忍術の披露 249/陸軍中野学校 251/伊賀流忍術東日教 253/現代の忍術継承者 255

あとがき
参考文献・史料

山田 雄司(やまだ・ゆうじ)

1967年、静岡県生まれ。京都大学文学部史学科卒業。亀岡市編さん室を経て、筑波大学大学院博士課程歴史・人類研究科史学専攻(日本文化研究学際カリキュラム)修了。博士(学術)。現在、三重大学人文学部教授。著書に『跋扈する怨霊』(吉川弘文館)、『怨霊とは何か』(中央公論新社)、監修に『「もしも?」の図鑑 忍術修行マニュアル』(実業之日本社)などがある。

コメント

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