
書評ブログや読書メーターでちらちらっと見かけて気になっていました。『家康、江戸を建てる』。
歴史小説です。
このブログで歴史小説ってまだ取り上げていないかも?夢枕獏さんの『陰陽師』のレビューはしましたが、あれは歴史小説のカテゴリーなのかな?
あさよるは一時期、歴史小説ばっかり読んでいた時期がありまして、結構好きですw
開拓すっぞ!
天正18年、小田原にて。相模、武蔵、上野、下野、上総、下総、安房、常陸の関八州。
豊臣秀吉から天下一の広大な土地を受け取った徳川家康。城は江戸とした。
当時の江戸は沼地で、将来、日本の都になるな土地ではなかった。
さて、家康は江戸を開拓に開拓する。
川を曲げ、山を切り開き、道を作る。
そして、日本全土に流通するにたる貨幣を作る。
都市に必ず必要な飲み水を確保する。
そして、徳川の天下を示す、ランドタワーを築く!
分厚い!けど、読める!
『家康、江戸を建てる』、分厚いです……w 単行本で約3センチ強くらい。
あさよるもビビってしまい、「しょ、正月に読もう……」と寝かせておりました。
で、年明け早々読み始めたのですが、これ、スラスラと一気に読める。三が日かけて読もうと思ってたのに、数時間で読み終えちゃいました。
ビビらなくてOKでしたww
歴史小説ですが、登場人物たちは現代の言葉を話していますし、堅苦しい雰囲気もありません。
サクッと楽しく、街づくりができる!
江戸を建てるプロフェッショナルたち
『家康、江戸を建てる』というタイトルですが、江戸を建てるのはその道のプロフェッショナルたちです。
「江戸城を建てたのは誰?」「大工さん!」というやつです。
第一話は、東京湾へ流れ込む川の流れを変えるお話。昔の江戸は一面の湿地帯で、とても人がたくさん住めるようなところではありませんでした。
大規模な土木工事によって、土地を手に入れないと日本一の城下町は作れない!
第二話は、日本の通貨を徳川が乗っ取ってしまおうというお話。精度の高い金の小判を作るプロジェクト。
第三話は、江戸の町に水道を通す。井戸を作っても飲み水が引けない江戸は、大都市になりえない。どこから水を引く?どうやって水を引く?と壮大なお話。
第四話は、江戸城の石垣をつくるお話。ただの石垣、されど石垣。巨石を江戸に運び込む。ただこれだけの話に思えるが、胸アツ展開なのです。
第五話は、いよいよ江戸城の天守を建築するのですが……ここでは秀忠が将軍として立派に振る舞っています。
「江戸を建てる」とは、江戸の街をつくることであり、またきちんと将軍家が代替わりすることです。
んで最後、なんかよく分からない感動で幕を閉じます。「あれ、これなん話だっけ?」って感じでw
地味ぃ~な天下取り、のお話
戦国武将が次の幕府を開く話です。
ですが、派手でドメスティックな“天下取り”の話ではなく、地味に土木工事、建設工事にいそしむお話なんです。
江戸版リアル・マインクラフトを想像すると、なんとワクワクしませんか!
ということで、結構面白かったです。サクッと読めるのも気持ちいい。
戦国武将や江戸時代の大名って、土木工事ばっかりやってるんですよね。そこを全面的に取り上げて、楽し気です。
登場するキャラクターたちも、みなどことなく愛らしいのも良い。
あさよる的には結構好きでした。
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家康、江戸を建てる
- 門井慶喜
- 祥伝社
- 2016/2/9
目次情報
第一話 流れを変える
第二話 金貨を延べる
第三話 飲み水を引く
第四話 石垣を積む
第五話 天守を起こす
門井 慶喜(かどい・よしのぶ)
1971年、群馬県生まれ。同志社大学文学部卒(日本史専攻)。2003年に「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞。15年『東京帝大叡古教授』が第153年直木賞候補となる。本書は日本史史上最大のプロジェクトを成し遂げた徳川家康を新たな視点で描いた快作。主な著書に『かまさん』(祥伝社刊)『シュンスケ!』『新選組颯爽録』『マジカル・ヒストリー』など。
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