すごい親を持つと、子どもはつらい
2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』。人気劇作家・三谷幸喜が手がけているとあって、注目している方も多いですよね。三谷脚本の大河ドラマと言えば、2004年の『新選組!』を思い出します。こちらも10年以上経った現在も人気作ですから、今回の『真田丸』にも期待が集まります。
大河ドラマ『真田丸』では、主人公・真田幸村を中心に、幸村の父・真田昌幸、兄・真田信之ら「真田家」の面々の画策が見ものです。この真田親子、三人共に有名人です。現在の「真田幸村」のイメージは、後の時代の創作が多く、もはや元々どんな人物だったかもわかりません。幸村の伝説というよりも、父と兄、弟の、この三人のイメージが合わさって「真田幸村」というキャラクターを生み出しました。私も講談で幸村の話を聞いたことがあります。みんなに愛された真田幸村は、尾ヒレ腹ヒレが無数についたスーパースターです。
スターのもとに生まれた凡人……
ご存知のように、ドラマの主人公の真田幸村は大坂の陣で敗れますが、兄の家系は残り、幕末の頃には大老をも排出します。代々、優秀な息子たちだった、ということでしょう。
しかし一般的には、親が優秀だからといって、子も優秀とは限らないのが世の常です。どんなに有名人の親を持っていても、パッとしないまま生涯を送るヤツや、立場上、誰よりも甘やかされて育ったせいでわがまま放題に大人になってしまい、不遇の反省を送るハメになってしまうヤツ……などなど、現代社会でも「あるある」です。
『日本史 不肖の息子』では、華々しい日本史の中の大スター!……の、息子、にスポットが当たります。親はあんなに優秀だったのに、この息子か……と落胆するだけではなく、世が乱世なら、彼には非業の最期が待ち受けています。
真田家の例は、レアケースなのかもしれません。
自分はどんなに優秀であっても、跡継ぎが優秀とは限らないのです。親の七光りも吹き飛ぶほどの愚息もいるもんだ、南無三!といったところでしょうか。あるいは、親が優秀であったばっかりに、平凡に生きれなかった運の悪い凡人……南無三!でしょうか。
私としては、後者の気分です。どんなに親が天才であっても、スターであっても、子は子です。凡人の星の下に生まれついた限りは、凡人の器なのです。
親が偉大すぎても困ったもんだ。
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日本史 不肖の息子
- 著者:森下賢一
- 発行所:株式会社 白水社
- 2003年10月25日
目次情報
- 武内宿禰の息子 葛城襲津彦
- 藤原秀衡の息子 藤原泰衡
- 源頼朝の息子 源頼家
- 足利義政の息子 足利義尚
- 細川勝元の息子 細川政元
- 大内義興の息子 大内義隆
- 加藤清正の息子 加藤忠広
- 加藤嘉明の息子 加藤明成
- 津軽寧親の息子 津軽信順
- 松平秀康の息子 松平忠直
- 出雲守成貞の息子 水野十郎左衛門
- 藤枝貞雄の息子 鳥居耀蔵
- 佐久間象山の息子 三浦啓之助
- 武市半平太の門人 岡田以蔵
- 後藤象二郎の息子 後藤猛太郎
- 岩倉具視の息子 岩倉具張
- 徳川慶喜の息子 徳川厚、精
- 薩摩治兵衛の息子 薩摩治郎八
- 森鴎外の息子 森類
- 竹内亀太郎の息子 竹内良一
- あとがき
- 参考文献
著者紹介
一九三一年横浜生まれ
東京外国語大学卒
会社勤務(タイ、インドネシア在住)を経て
一九六三年パリ大学留学。
主要著書
『英国王室愛欲史話』(徳間書店)
『ロンドン安くてうまい店』(朝日文庫)、
『銀座の酒場銀座の飲り方』(角川文庫)
『いい酒と出会う本』(彩流社)他
コメント
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