『なくなりそうな世界のことば』|言葉のカケラが詰まった絵本

こんにちは。あさよるです。今日手に取った『なくなりそうな世界のことば』はラジオで紹介がなされていて気になっていました。難しい本かと思いきや絵本のような美しい本で、見ているだけでうっとりしてしまいます。

世界の中の小さな言葉の中に、その土地、その風土らしいカケラが詰まっているようです。本書は、見開き2ページに、イラストと、簡単な解説からなる、ポカポカお昼休みに一ページずつ味わって読めるような構成です。

言葉には文化がつまってる

本書『なくなりそうな世界のことば』は、世界のグローバル化の中で消えゆく言語を扱ったものです。

今、世界で最も多く話されているのは中国語普通話で9億人、英語は世界第3位で3億7000万人だそうです。これから言語を習得しようとするなら、どうせならより多くの人が使う言葉を勉強したいと思いますよね。すると、より多くの人とコミュニケーションが可能になるのですから。

一方で、そのような合理的な取捨選択によって「小さな」ことばが消えていっているそうです。本書『なくなりそうな世界のことば』で扱われる言語は1番多い「アヤクチョ・ケチュニア語」で90万人。一番少ない言語は「アイヌ語」で話者数は5人。一番最後に紹介される「大アンダマン混成語」は、最後の話者世代が21世紀に入ってから亡くなり、0になりました。

一度失われた言葉は二度と帰ってきません。

また、その「言葉」は、その文化、気候や風土に根ざしており、他の言語にうまく訳せないニュアンスのものもあります。グローバル化の中で、われわれは小さな、だけど大切なものを失っていることも自覚したうえで、今の時代を生きるべきなのかもしれません。

美しいイラストとことば

本書『なくなりそうな世界のことば』は、なんといっても西淑さんの美しいイラストが目印です。ひとつの単語と、その単語の説明は簡単になされるのみ。ことばが持っているニュアンスを理解するには、言語による説明のみならず、目で見てわかるイラストも力を発揮しています。

『なくなりそうな世界の言葉』イメージ画像
『なくなりそうな世界のことば』イメージ画像

なくなりそうな世界のことば | 吉岡 乾, 西 淑 |本 | 通販 | Amazon

絵本のようにパラパラとページをめくって、気になるページで手を止めて、世界のどこかの地域に思いをはせてみるのも楽しい読書です。言語の名前すらも聞いたことがなかったり、多くの地域は日本で生きるわれわれとは遠く隔たった場所だったりします。だけど、その土地に根差した言葉を一つ知ると、少しだけ近くなった気がします。

「小さな旅」というには小さすぎる旅だけれど、ページをめくるだけでどこか遠いところへ思いをはせられる読書の作用がつまったステキな本でした。

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なくなりそうな世界のことば

目次情報

著者まえがき

目次

世界地図

RURUQ
ルルン
アヤクチョ・ケチュア語

MĀKU
マク
ネワール語

ONDDOKA
オンデョカ
バスク語

SHATA SHU MAYU
シャターシュッマユッ
ジンポー語

HIRAETH
ヒライス
ウェールズ語

MOÇ
モチ
シナー語

OYBON
オイボン
サハ語

MANGPHA
マンバー
テディム・チン語

SERGE
セルゲ
ブリヤード語

BULA
ンブラ
フィジー語

XÖPEEN
ヘペーン
トゥバ語

DEBA′
ドゥバッ
ラマホロット語

LAŠKARĠAYB
ラシカルガイプ
コワール語

VEVARASANA
ヴェヴァラサナ
ヘレロ語

KALANGA
カランガ
マテンゴ語

RRÁTA
ラタ
カルデラーシ・ロマニー語

BOTHÁNTAÍOCHT
ボハーントィーアハト
アイルランド語

NATING
ナティン
トク・ピシン

SOCAN
ショチャン
ラダック語

MALAMALAÁQ
マラマラアク
ブルシャスキー語

BOLTGEI
ボルトガイ
ダグール語

BOROSOKOMODAP
ボロソコモダップ
ドホイ語

DO
ドー
ラワン語

AM-A-AM-AMA
アムアアムアマー
ボントック語

AKÁBMA
スカーマ
サーミ語

′O′OL
オオル
アミ後

PɄRÐɄYɄYN
プルデュユーヴン
ワヒー語

WASÁÚ
バサーオ
ポポロカ語

DYOVU
ディエフ
シベ語

GUIKA
グイカ
ドム語

SISIN
シシン
セディック語

DIDXBÆ
ディジュベー
テオティトラン・デル・バイェ・サポテク語

PAYRÁK
パイラク
カラーシャ語

MOSA
モサ
メチェ語

WINĚKJĚŃAJĚTGĚL
ウィヌクジュガージュトゥルグ
コリャーク語

MAKAI
マカイ
ハワイ語

SOGBOMA
ソグボマ
ナーナイ語

TTAERING
テリン
サタワル語

BIJIN
ビジン
ウルチャ語

TS′IWOX
ツウォホ
ツィムシアン語

POTI
ポティ
ニヴフ語

XANJI
ハンジ
ハイダ語

ȘING
シン
ドマーキ語

ČOUGUMIATU
チョウグミャートゥ
ウデヘ語

SIMANA
シナマ
ウイルタ語

′ULHQWU
オヒュコ
スライアモン語

BUGAY
ブガイ
アルタ語

ALFS
アルフス
イテリメン語

IYÓMANTE
イヨマンテ
アイヌ語

MARAMIKHU
マラミク
大アンダマン混成語

著者略歴

吉岡 乾(よしおか・いぬい)

千葉県舟橋市生まれ。
東京外国語大学大学院博士課程修了。博士(学術)。
専門は言語学・フィールド言語学。
2014年より、国立民族博物館助教。

西 淑(にし・しゅく)

福岡県生まれ。
雑誌、広告、パッケージ、CDジャケット、書生の装丁などのイラストレーションを手がける。
京都、鳥取を拠点に活動。

コメント

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