いつも、頭の上には空があって、下には地面があると思っている。だけど不意に、ふとした瞬間に、自分が何もない空間に存在していることに気付いて血の気が引く。
太陽や月や天体の運行を、流れる雲を、滴る水滴を、朝の日差しが私の手元を照らす様子を、眺めていると気付いてしまう。
ぽっかりと暗い空に月があるように、地球もぽっかりと暗いところにあるんだろう。ずっと過去から未来まで存在し続けると思っている大地は、ある時現れ、ある時無くなるんだろう。
私の手元を照らす光は、ずっと遠いあそこにある太陽から、真っ直ぐに私の手元に向かって、空間を突き進んできたんだろう。私と太陽の間に、妨げになるものはない。同じように私と宇宙の間にも、なんにも境目はないんだろう。
そんなことを考えていると、自分の体の中に閉じ込められた自分の感覚でいっぱいになる。宇宙と自分に境はないなんて壮大なことを考えているのに、感じるのはあくまで自分しかない。そんなこと考えてドキドキしていても、これぞまさにどうしようもない。
私にできることは、それを忘れて、「人間らしい生活」に没頭することくらいしかない。どうしようもない恐怖だからこそ、どうしても気になってしまう。「知る」ことで恐怖を和らげようとしているんだろう。
ついつい手に取るのは、天体や宇宙、物理の書籍かな。
月って怖いよね
ところで、夜、ふと目の中に月が入る。
ただじっと、音もなく、じっと、暗い空に浮かんで、じっとこっちを見ている。
じーっと、自分も月を見つめ返していると、なんだか急にゾッとしてしまう……。
そんなことありませんか?
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月と暮らす 月を知り、月のリズムで
藤井旭
誠文堂新光社
(2011)
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