小谷野敦『友達がいないということ』を読んだよ

友達との思い出の写真のイメージをコピックで描いたイラスト 読書記録

「自分は特別だ」と思いたい。
そんな気持ち、ありませんか?
しかも「特別ダメなヤツ」ってことでなくて、「特別に賢い!」「特別にすごい!」。
そう信じたい気持ちって、多くの人が持っている願望じゃないかと思います。

「自分だけは分かっている、知っている」
「自分は選ばれた人間だ!」という選民意識は、とっても甘い蜜なのでしょう。
もしかしたら、不遇な自分を慰めるための役目をも果たすのかもしれません。

広い分野を行ったり来たり、教養あふれる一冊

『友達がいないということ』では著者自身にも友達がいないことを紹介し少々のやっかみも交えつつ、友達が多いヤツと自分の違いや考察、歴史的背景や、性的嗜好、慣れ合いと正義感など、広く雑多な分野や知識を行ったり来たりしながら、「友達がいないということ」を語ります。
私はいたくこの本が好きになってしまいましたが、扱われている分野も広く、著者が言わんとしている事柄を、上手く抽象化しきっていません。

ですが、「友達がいないってこういうことだよなぁ」と共感というか、著者を見習わねばというか、そんな気持ちになりました。

私も友達は少ないけれど……虚勢は不要だった

私も友達が少なく、「友達がいない」と言っても差し障りのないような、限られた人間としか繋がりを持っていません。
たまに寂しさを感じることもありますが、それは友達の数の多い少ないではなく、単に暇を持て余していたり、何か上手くいかない物事を抱え込んでいる時でしょう。

そんな自分の不遇を「周りはバカばっかだから、私の考えを理解できないんだ…」とかそんな風に、自分を特別に思うことで気を紛らすことは、これまでも絶対嫌でした。
だってものすごく惨めな気持ちになってしまいそうです。

自分が高まれば、心持ちも変わる?

だけれども本書を読んで、真っ当な、正規の方法で、自分自身が本当にすごい存在になれば、万事解決だなぁと思ったんです。
勉強をして賢くなれば良いし、努力して自分を高めれば良いだけじゃないのかなぁ。

すると今よりも自信が生まれるだろうし、もう虚勢や見栄を張る必要もなくなります。
たぶん、そんなことしていると時間がいくらあっても足りないだろうから、友達を作っている時間もないでしょう。
結局たぶん、友達はいない or 少ないままでしょうが、自分自身の心持ちは全然違っているでしょう。

だけど、友達がちょっと羨ましいような

私にも、一緒に東京ディズニーリゾートへ誘ってくれる友達も、USJへ誘うような友達もいません。
ハロウィンも知らないうちに大きなイベントになっているようで、仮装したり、みんなでパーティを開いたりという話を聞くと、少しだけ羨ましいなぁと思いました。
お誕生日を他人に祝われた経験もほとんどありません……。

だけども、遊びに出かける時間があるなら、本を読みたいし、絵も、ブログも書きたいです。
まだまだ時間切れで手付かずのこともたくさんあるし……。

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友達がいないということ
小谷野 敦
筑摩書房
(2011)

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