【書評】藤沢晃治『「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール』

こんにちは。ブログやニュースを読んでいると「次の記事へ」と「前の記事へ」に毎度悩む あさよるです。

どっちが古い記事で、どっちが新しい記事なのかわからないんですよね……。

かくいう当あさよるネットも、我ながら見難いなぁと思いつつ、良い改善法にたどり着けず、半ば放置状態でありますm(__)m

「分かりやすい」「見やすい」というのは、とても大事です。せかっく大事なことを話していても、人に伝わらないと意味がない。

その内容が、人の命に関わることも多々あります。

非常口の案内とか、消火器の置き場所とか、みんなが知っていないといけません。備品として、混ぜるな危険の洗剤や、薬剤、薬品だって、各家庭・会社で常備しています。

「自分は知っている」常識だって、全員が同じ知識を持っているわけではないこと、忘れちゃいけないんです。

「自分はわかる」と「みんながわかる」

自分にとっては自明の事実であっても、すべての人も同じとは限りません。

よく、さっぱり意味のわからない説明文や、不案内な案内板、何度読んでも趣旨が分からないお知らせなどなど、世の中にはヽ(`Д´)ノワーッとなる瞬間がありますw

ローカルな話になってしまいますが、あさよるの住んでいる大阪の街をウロついていると、地下鉄や地下街の矢印に惑わされますw

  • あさよるの場合:肥後橋線なんば駅から南海なんば駅を目指すと、毎度「え、ここ、どこ!?」と怯んでしまう出口に排出される。土地勘なかったらヤバイw

街中の案内には、改善点アリなものにたくさん出会います。公共性の高いもので、多くの人が目にします。しかも、勝手知ったる地元民ではなく、常に土地勘のない人が利用するものです。「初見で分かる」ことが大切です。

避難口を示す間取り図や、緊急時の案内など、絶対全員が理解しないといけません。「ここ、どこ!?」ではいけません。

そんなBad Designばかり集めたサイトもあります。ネタとしても楽しめるので、ぜひご一読をw

専門に勉強してきた人には、初歩的!?

日頃から「分かりやすい表現」を意識している方にとっては、本書『「分かりやすい表現」の技術』に書かれる内容は周知の事実かも?

あさよる自身も、デザイン系の学校で学び、その方面お仕事をしていたので、常に意識してきたことばかりです。

しかし「分かりやすい表現」って、なにも専門職に就いている人だけのものではありません。

先に挙げたように、どんな人でも書類は作成するでしょうし、職場や家庭内でも、見取り図を作ったり、作業工程を箇条書きにすることもあります。

家庭内ですら、テレビのリモコンの位置だったり、掃除道具がどこに設置されているのか?家族間で認識しあってなければなりません。

本書『「分かりやすい表現」の技術』は、すでにプレゼンやデザインのために「分かりやすい表現」を学んでこられた方には初歩的に感じるでしょう。

一方で、これから「分かりやすい表現」に触れようとしている人にとっては、新しい発見があるでしょう。

あとですね、知らないうちに「分かりやすい表現」を心がけていた人もいるはずです。自身がやってきたことの“意味”を知るのも、面白いんじゃないかと思います。

「分かりやすい表現」のチェックシート

『「分かりやすい表現」の技術』の巻末には、分かりやすい表現のチェックシートが掲載されています。

  • おもてなしの心を持て。
  • 「受け手」のプロフィールを設定せよ。
  • 「受け手」の熱意を見極めよ。
  • 大前提の説明を忘れるな。
  • まず全体地図を与え、その後、適宜、現在地を確認させよ。
  • 複数解釈を許すな。
  • 情報のサイズ制約を守れ。
  • 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ。
  • 具体的な情報を示せ。
  • 情報にも優先順位をつけよ。
  • 情報を共通項でくくれ。
  • 項目の相互関係を明示せよ。
  • 視覚特性(見やすさ)を重視せよ。
  • 自然発送に逆らうな。
  • 情報の受信順序を明示せよ。
  • 翻訳はことばではなく意味を訳せ。

14ものチェックシートには、それぞれ10くらいのチェック項目があります。さすがに多すぎる気もしないでもありませんがw、これくらい注意をはらいたいのも事実です。

安全に関わることや、ときに人の命に関わることも多々あります。

メール一通とっても、要件が分かりやすいメールもあれば、最後までなんだかよく分からないメールもあります。

値段のよくわからないプライスカードは、購入意欲が低下します。チラシにある地図の通りに歩いても、目的地に到着しなかったら腹が立ちます。

結構、我々、「わかりにくい表現」にイラッとしていること、多いものです。

ちょっとだけ「表現」を改善するだけでも、サービスや生活の質の向上が望めるでしょう。

自分よがりな表現、やってない?

先に書いたように、「分かり“にくい”表現」にイラッとする瞬間って多々あります。

一方で、「分かりやすい表現」はスルーしてしまいます。だって、分かりやすいと引っかかりなく、スムーズに事が運ぶんですから、気にならない。

意識して「分かりやすい表現」を探すと、身の回りにもたくさん素晴らしいデザイン、分かりやすい表現が満ちています。しかし、意識しないと素通りしてしまいます。

本書『「分かりやすい表現」の技術』を通じて、「分かりやすい表現」に着目することで、身の回りの「表現」への眼差しも変わってきます。

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「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール

  • 藤沢晃治
  • 講談社
  • 2002/10/23

目次情報

はじめに

第1章 「分かりにくい表現」がいっぱい!

矢印が示す先は?/完全なる案内板/何度読んでも「分からない」/「分かりにくい表現」の文化的背景/早口・小声・小さな文字/合格発表の不思議/わが子が檻に?/フロッピーディスクの神経衰弱/格調高い条文/おもしろくないセミナーの無神経な日程表

第2章 「分かりやすい」とはどういうことか

「分かる」とはどういうことか/分かった人と分からなかった人/脳内整理のしくみ/「分かる」瞬間/「分ける」は「分かりやすい」の原点/たとえ話が分かりやすい理由/抽象化の大切さ/抽象化の通し穴

第3章 「分かりにくい表現」の主犯たち

犯人1 親切心の欠如

改札口のとまどい/親切な一覧表/調理済みの情報

犯人2 「受け手」のプロフィールの未定義

特殊なことば/幼児なみの情報発信/他人の視点に立つ/フールプルーフのすすめ

犯人3 受け手の熱意の読み違い

反論広告のミステーク/唯我独尊の戒め

犯人4 大前提の説明もれ

入門編はどっち?/入門編が後にある!/分かり過ぎて分からない/知れば知るほど失われるもの/意外な評価

犯人5 ガイドの欠如

テーマパークの地図/よいもくじはよい構成から/現在地を知らせる工夫/見出しの効果/トピック・センテンス

犯人6 複数解釈ができてしまう

あいまいな表現/他の解釈に気づかない/タイトルの失敗

犯人7 情報サイズ違反

区切れば分かる/情報の大きさ制限/情報の速度制限

犯人8 欲張り

限られたスペースにどれだけ盛り込むか/欲張りはすべてを失う

犯人9 具体性に欠ける

郵便ポストと候補者の共通点/具体的と抽象的

犯人10 重ねづけの欠如

バラバラのフロッピーディスク/VIP待遇/ビジネス・レターの特等席/差異率という指標/異なった部分を強調する

犯人11 共通項でくくらない

情報の構造を明らかにする/情報の因数分解

犯人12 相互関係を明示しない

対比関係を明らかにする/親子関係を明らかにする

犯人13 視覚特性の無視

「見分けやすさ」を追求する/「場合分け」は図解する

犯人14 自然な発想に逆らう

赤い蛇口はお湯が出る/受け手に合わせた自然発想/消える駐車場/改札口と駅の出口

犯人15 受信順序を明示しない

バラバラな説明書/テーマパークの順路

犯人16 直訳

意味と道具の取り違い/社会的な認識不足

違反のオンパレード

第4章 「分かりやすい表現」のルールブック チェックポイント付き

チェックポイントを活用する/チェックポイントで「分かった」/チェックポイントで広がる世界/ごく当たり前の作業

ルール1 おもてなしの心を持て。
ルール2 「受け手」のプロフィールを設定せよ。
ルール3 「受け手」の熱意を見極めよ。
ルール4 大前提の説明を忘れるな。
ルール5 まず全体地図を与え、その後、適宜、現在地を確認させよ。
ルール6 複雑解釈を許すな。
ルール7 情報サイズの制限を守れ。
ルール8 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ。
ルール9 具体的な情報を示せ。
ルール10 情報に優先順位をつけよ。
ルール11 情報を共通項でくくれ。
ルール12 項目の相互関係を明示せよ。
ルール13 視覚特性(見やすさ)を重視せよ。
ルール14 自然発想に逆らうな。
ルール15 情報の受信順序を明示せよ。
ルール16 翻訳はことばではなく意味を訳せ。

参考文献

藤沢 晃治(ふじさわ・こうじ)

慶応義塾大学理工学部卒業。現在、大手メーカーに勤務。ソフトウェア工学くぉを専門とし、分散オブジェクト技術の普及に従事。情報処理学会等、同テーマでの講演活動多数。その「分かりやすい」プレゼンテーションに定評がある。コンピューター雑誌にも寄稿多数。また、社会人になってから英検1級、TOEIC900点、通訳ガイド資格、工業英検1級等を独学で取得し、英会話習得ノウハウを「分かりやすく」解説した著書として『30歳からの英語攻略』(PHP研究所刊)がある。

コメント

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