稲盛和夫『生き方』|素朴な生き方だから、みんなが共感してしまう

こんにちは。あさよるです。秋も深まり気温が下がってきますと、基礎代謝量が増えます。「食欲の秋」というように、身体はたくさん食べてたくさんエネルギーを燃やし始めますから、すごく疲れる! だら~んと週末を過ごしますと、週明けには気合の入るような本が読みたくなります。

今回手に取ったのは京セラ、KDDIの稲盛和夫さんの哲学が詰まった『生き方』です。ずっと積んでました。今のタイミングで読んでよかった。じっくり日曜の午後、時間をかけて読むことができて良かったです。

成功者には成功者の哲学があるようですが、その哲学は拍子抜けするほどに素朴です。「宇宙」とか「ビッグバン」とか壮大な考えも飛び出すのですが、それでも一般の人たちが持っている死生観と遠くありません。むしろ、素朴な思想だからこそ、多くの人に共鳴し、人を動かし、会社を動かせるのかもしれません。

生まれてきたことに意味がある

『生き方』は京セラ、KDDIの稲盛和夫さんの哲学が記された一冊。ビジネス書の定番ですね。といっても本書では、経営のテクニックを語るものではなく、経営者として、職業人として、一人の人間として「どう生きるのか」について言及された抽象的な内容です。

成功者の生き方ですが、「どう生きるのか」はすべての人々がそれぞれに追及しているものです。社会の中で名前もなく不遇であったとしても、「どう生きるのか」は自分で選び取らなければなりません。そのときに、稲盛和夫さんの『生き方』は自分のモデルケースとして採用しても良いのではないでしょうか。

稲盛和夫さんの『生き方』は仏教的な言葉が使われていて、その哲学が紹介されています。日本国内だけでなく、世界でも売れているベストセラーなんですって。今まで読んだことなかったや。

内容が抽象的なので紹介するのが難しいのですが、「生きる」ということが前向きに語られているのが印象的でした。「やってもムダ」「頑張っても仕方ない」「生きてる意味なんてない」なんて言う人もいますが、稲盛和夫さんは「人には生まれてきた意味がある」「人生をかけて心・精神を高めることができる」と考えておられるんですね。あさよるなんかは「生きることに意味なんてないよ」なんて思ってるタイプなので、全然違う世界観です。

人間として正しいことを正しいまま貫いていこう

稲盛和夫さんは京セラができたとき、まだ経営に明るくなくて、どう経営すればよいのか見当がつかず、

人間として正しいことを正しいままに貫いていこうと心に決めました。(p.19)

と回想なさっています。嘘はつかない、人に迷惑をかけない、正直で欲張らない、自分のことばかりを考えない。子どもの頃に教えられるようなことを、実直にやったと仰るのです。

大人になるというのは、子どもへの「建前」と、そうは言ってもその通りにできない「本音」を使い分けることです。阿部謹也さんの『「教養」とは何か』で、建前と本音の二重の世界が存在することを知ることで、日本人は社会を知り、大人になってゆくと紹介されています。

稲盛和夫さんの考えは、ある意味で子どもっぽいのかもしれません。

だけど、成功者って、無邪気で子どものような側面を大きく持っている人物であるイメージがあります。あるいは、優秀な頭の良い人もそうですよね。子どもっぽさを持っていて、その子どもの探求心、好奇心が大きな原動力となっているイメージですね。

京セラでの研究開発のエピソードも、ある意味で「無邪気」と解釈できます。開発者たちは製品としての妥協点を探っていても、稲盛さんは完璧を求める。完璧な製品を「手の切れるような」と表現されていて、モノをつくる人って妥協せず、極限まで極めに極めるんだなぁと遠い目になりました(一応、あさよるも制作の出身なので……)。

ここまで完成度を求め続けなければならないと、襟を正しました(`・ω・´)>

気分が上がる読書って大切

読書っていろんな効能がありまして、「気分が上がる」とか「興奮する」のも読書の大きな役割の一つです。稲盛和夫さんの『生き方』は、初心にかえり襟を正されるような側面もありますが、夢中でモノづくりに邁進する興奮や、完璧、究極を求める業の深さみたいなものも溢れています。

本書『生き方』では「謙虚であれ」と書かれていますが、完璧すぎて「手が切れるような」製品を創りたいって、これはこれですごく業の深い話なんじゃないかなぁ。その二つの思いが同時に存在するからこそ「無邪気」だし、誰もが到達できるものではない「境地」なのではないかと思います。

そんな人、滅多に出会えるもんじゃない。だけど、本を使って特別な人の面影くらいは追うことができる。本を読む醍醐味みたいなものを再認識しました。

ド定番のベストセラーということもあり、一度は読んでおいて良い本だと思いますv

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生き方―人間として一番大切なこと

目次情報

プロローグ

混迷の時代だからこそ「生き方」を問い直す
魂を磨いていくことが、この世を生きる意味
単純な原理原則が揺るぎない指針となる
人生の真理は懸命に働くことで体得できる
「考え方」を変えれば人生は一八〇度変わる
心に描いたものが実現するという宇宙の法則
人類に叡智をもたらしつづける「知恵の蔵」がある
自己を厳しく律し続ける「王道」の生き方をせよ

第1章 思いを実現させる

求めたものだけが手に入るという人生の法則
寝ても覚めても強烈に思い続けることが大切
現実になる姿が「カラーで」見えているか
すみずみまでイメージできれば実現できる
細心の計画と準備なくして成功はありえない
病気になって学ばされた心の大原則
運命は自分の心次第という真理に気づく
あきらめずやり通せば成功しかありえない

第2章 原理原則から考える

人生も経営も原理原則はシンプルがいい
迷った時の道しるべとなる「生きた哲学」
世の中の風潮に惑わされず、原理原則を死守できるか
知っているだけではダメ、貫いてこそ意味がある
考え方のベクトルが人生すべての方向を決める
自分の人生ドラマをどうプロデュースするか
現場で汗をかかないと何事も身につかない
ただいま、このときを必死懸命に生きる
「好き」であればこそ「燃える」人間になれる
自分に打ち勝ち前に進め、人生は大きく変わる
複雑な問題も解きほぐせばクリアに見えてくる
国際問題、国家間の摩擦も単純に発想してみる
外国との交渉は常識より「リーズナブル」

第3章 心を磨き、高める

日本jんはなぜ「美しい心」を失ってしまったか
リーダーには才よりも徳が求められる
つねに内省せよ、人格を磨くことを忘れるな
心を磨くために必要な「六つの精進」
幼い心に感謝の思いを植えつけた「隠れ念仏」
どんなときも「ありがとう」といえる準備をしておく
うれしいときは喜べ、素直な心が何よりも大切
トルストイも感嘆した仏教説話が描く人間の欲深さ
人を惑わせる「三毒」をいかに断ち切るか
「正剣」を抜いたら正解、「邪剣」を抜いたら墓穴を掘る
働く喜びは、この世に生きる最上の喜び
お釈迦さまが説く、「六波羅蜜」を心に刻め
日々の労働によって心は磨かれる
労働の意義、勤勉の誇りを取り戻そう

第4章 利他の心で生きる

托鉢の行をして出会った人の心の温かさ
心の持ち方ひとつで地獄は極楽にもなる
「他を利する」ところにビジネスの原点がある
利他に徹すれば物事を見る視野も広がる
毎夜自らの心に問いかけた新規事業参入の動機
世のため人のためなら、すすんで損をしてみる
事業の利益は預かりもの、社会貢献に使え
日本よ、「富国有徳」を国是とせよ
このまっとうな「美徳」を忘れてしまっていないか
いまこそ道徳に基づいた人格教育へとシフトせよ
同じ歴史を繰り返すな、新しい日本を築け
自然の理に学ぶ「足るを知る」という生き方
人類が目覚めたとき「利他」の文明が花開く

第5章 宇宙の流れと調和する

人生をつかさどる見えざる大きな二つの力
因果応報の法則を知れば運命も変えられる
結果を焦るな、因果の帳尻はきちんと合う
森羅万象を絶え間なく成長させる宇宙の流れ
偉大な力がすべてに生命を吹き込んでいる
私はなぜ仏門に入ることを決意したか
不完全でもいい、精進を重ねることこそが尊い
心の中心に真理とつながる美しい「書く」がある
災難になったら「業」が消えたと喜びなさい
悟りを求めるより、理性と良心と使って心を磨け
どんなちっぽけなものにも役割が与えられている
人のあるべき「生き方」をめざせ、明るい未来はそこにある

あとがき

稲盛 和夫(いなもり・かずお)

一九三二年、鹿児島生まれ。鹿児島大学工学部卒業。五九年、京都セラミック株式会社(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、九七年より名誉会長。また、八四年に第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任。二〇〇一年より最高顧問。八四年には稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。他に、若手経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成にも心血を注ぐ。
主な著書に『稲盛和夫の哲学』『心を高める 経営を伸ばす』『成功への情熱』『敬天愛人』(いずれもPHP研究所)、『ガキの自叙伝』『稲盛和夫の実学』(ともに日本経済新聞社)、『君の思いは必ず実現する』(財団研究所)など。

コメント

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