『宇宙はなぜ「暗い」のか?』|星が無限にあるなら夜空は明るいはず

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こんにちは。ぼんやり空を見上げて子ども時代を過ごした あさよるです。さすがにもう大人なので、仕事するときはカーテンを閉めて、対策していますw

なんとなく手に取って積んでいた『宇宙はなぜ「暗い」のか?』は、あさよるの長年の疑問が晴れるもので、読了後なかなか興奮冷めやらずにいます。中学生でも読める内容で、易しい文体と丁寧な説明の良書ですよ~。

「夜空はなぜ暗いのか」だと?

本書はこんなふうに始まります。

あなたは「なぜ夜は暗いのか」ということを考えたことがあるでしょうか? 夜が暗いなんてあまりに当たり前すぎて、疑問に思ったことさえない人が多いのではないかと思います。けれども、「夜が暗い」ということは実はとても不思議なことで、ただ単に「夜は太陽が沈んでいるから」という説明だけでは不十分なのです。なぜなら、もし宇宙に無数の星が存在すれば、その星からの光で夜空は明るくなってしまうと考えられます。これを「オルバースのパラドックス」と言って、昔から天文学者を悩ませてきた問題です。

p.3

さて、夜空を見て「なぜ夜は暗いんだろう!」と疑問を抱いたことのある方はいますか? どう結論しましたか? あるいは、こんな質問を子どもにされたら、どう答えるでしょうか。

夜空に輝く星たちは無数にあり、空に隙間なく星があるならば、夜空に暗い部分があるのはおかしいのです。

本書は素朴なギモンだけど、人類が何千年とかかって手に入れた知識を使ってしか答えられない、なかなか悩ましい問いなようです。

夜が暗い理由を予想する

地球にいると、宇宙が見えにくい?

私たちは地球の地面の上で生きています。さらに地表には空気が満たされていて、この空気が光を拡散したり、吸収されてします。青空が青く見えるのは、青い光が空気中で拡散され、いろんな角度から目に入ってくるからです。また、空気が太陽の光を吸収したり、地球の磁場により太陽風から守られています。

地表に届く光は限られているんですね。だから、宇宙空間から見る太陽や宇宙は見え方が変わります。

宇宙の塵が邪魔してる?

宇宙空間には「宇宙塵」が散らばっているそうです。この宇宙塵が光を遮って、宇宙が暗く見えているのでしょうか。これを検証するため、宇宙望遠鏡や、赤外線で宇宙を観測できる人工衛星が打ち上げられました。

すると、宇宙塵が密集している部分は、恒星の光で宇宙塵が温められ、赤外線で明るくなっています。あれ? 赤外線も光ですから、宇宙塵が集まる場所は光が多いってこと?

ブラックホールが光を吸い込む?

これは本命、ブラックホールが光を吸い込んでる説。だがしかし、ブラックホールに物質が吸い込まれるとき光を放つこともあり、必ずしもブラックホール=闇ではないそうです。ブラックホールもX線を放ったり、重力波が観測されたことが近年話題になりました。

それに、ブラックホールの数はそんなに多くないんだそうです。宇宙を闇にするほどの力はないってことか。

ビッグバンと星の寿命

では、どの仮説も宇宙が暗い理由になりえないとすれば、どうして宇宙は暗いの?

星には寿命がある

まず、星には寿命があります。恒星の寿命は短く、光を放っている恒星は全体の10兆分の1くらいだそうです。びっくり。そりゃ暗いわ。例えるならば、ディズニーランドを3本のローソクで灯した明るさなんだそうです。

宇宙は動いている

宇宙は膨張していますから、どんどん空間と空間の距離が広がっていきます。星と星の間の距離も、広がっていくのでいつまで経っても星で埋めつくされません。

宇宙には始まりがある

宇宙が暗い理由は、「宇宙には始まりがある」という前提が大切です。「ビッグバン」が起こって宇宙が始まったという考えは今では一般的ですが、これはここ数十年の常識です。つい最近まで「宇宙は無から始まった」という話は突拍子もなく理解しがたい話でした。

宇宙にはビッグバンで始まったとすると、宇宙が暗い理由も考えらえます。ビッグバンが起こったのは138億年前。そこからどんどん宇宙が膨張しています。ということは、宇宙には果てがあり、138億年分しか膨らんでいません。それ以上遠くには宇宙がないので、暗いのです。

好奇心と知識欲をシゲキする良書

本書『宇宙はなぜ「暗い」のか?』は中学生くらいなら十分に読みこなせる内容です。宇宙が暗い理由をただ羅列するのではなく、いくつかの仮説が間違いである説明や、ときには周辺の話題に触れたりと、知識欲や好奇心が刺激される構成です。

平易で親しみやすい文体と、丁寧な解説が良いですね~。中学生の頃のあさよるもこの本、好きだと思うw 30代のあさよるも、「天の川見てみたいな」「登山したいな」となかなかワクワクしました(^^♪

〈あさよる〉のヒミツがわかってヨカッタ

「なぜ夜は暗いのか」を考えるためには、ビッグバン宇宙論を待たなければならなかったとは驚きですね。今、あさよるがすんなりと理解できるのも「宇宙には始まりがある」「宇宙は膨張している」という常識があってこそなんだから。

あさよるも実は、幼い頃から「〈暗い〉とは何か」と不思議でした。聖書の創世記の冒頭、神が天と地を創造し「光あれ」と光を創ります。そして光と闇を分け、それぞれを昼と夜とします。神様は世界を創るとき「光と闇」「昼と夜」を創るんです。ってことは、神様が「夜」を創る前は、夜がなかったのか!? と、不思議で不思議で。

ちなみに当ブログ名の「あさよるネット」というのも、なんかそんな感じの意味があります(後付け感)。

関連本

『ホーキング、宇宙と人間を語る』/スティーヴン・ホーキング,レナード・ムロディナウ

宇宙法則のグランドデザイン!『ホーキング、宇宙と人間を語る』

『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』/村山斉

『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』を読んだよ

『眠れなくなる宇宙の話』/佐藤勝彦

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『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』/青木薫

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』を読んだよ

『宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く』/土居守,松原隆彦

『宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く』を読んだよ

宇宙はなぜ「暗い」のか? オルバースのパラドックスと宇宙の姿

宇宙はなぜ「暗い」のか?

宇宙はなぜ「暗い」のか?

  • 作者:津村 耕司
  • 出版社:ベレ出版
  • 発売日: 2017-01-20

目次情報

[はじめに]――オルバースのパラドックスから宇宙の不思議を探る

1章 地球上から見た夜空の明るさ

1.1 夜空を見上げてみよう

天の川の正体
「満点の星空」は本当に「満点」か?

1.2 光とは?

光の速さ
望遠鏡はタイムマシン
光をスペクトルに分解する
目に見えない光

1.3 色とりどりな空の色

空の青と夕焼けの赤
雲の白

1.4 光害という公害

街明かりを測る地道な取り組み
人類の1/3が天の川を見ることができない?
星空保護区

1.5 自然の夜空の明るさ

明るい月明かり
大気が光るオーロラ

2章 宇宙から見た宇宙の明るさ

2.1 太陽系の惑星の動き

太陽系天体の種類
古代ギリシャ人が導き出した地動説
金星の満ち欠けが地動説の決定的証拠

2.2 太陽系の大きさを測る

月までの往復時間
三角測定による距離の測定
金星の日面通過という一大イベント

2.3 きらきら光る夜空の恒星

空気のない宇宙でどうやって燃えている?
星の人生を巡る
恒星までの距離
天球上での距離を表わす角度

2.4 天の川の外の世界

アンドロメダ星雲? それともアンドロメダ銀河?
遠くの銀河までの距離を測る
ハッブルが広げた宇宙の大きさ

2.5 オルバースのパラドックス

実は不思議な夜の暗さ
過去の偉人たちを悩ませた夜空の暗さ
「夜空が明るくなるはず」の理由

3章 赤外線で見た宇宙の明るさ

3.1 宇宙は宇宙塵に満ちている

宇宙のスカスカ度合い
塵も積もれば山となる
宇宙の地図の描き方

3.2 温度と光の関係

なぜ星の色が違うのか?
宇宙塵の熱放射

3.3 赤外線での天文観測

地球の大気が邪魔
宇宙望遠鏡とは
日本初の赤外線宇宙望遠鏡IRTS
宇宙の赤外線地図を作った天文衛星「あかり」

4章 X線で見た宇宙の明るさ

4.1 ブラックホールの正体

ブラックホールからは光さえ抜け出せない
ブラックホールの作り方

4.2 明るく輝くブラックホール

光りながらブラックホールに落ちていく
ブラックホールの発見
ブラックホールが蒸発する?

4.3 ブラックホールは光を曲げる

重力レンズ効果の観測
ブラックホールの見え方

4.4 巨大ブラックホール

活動的な銀河
ついに検出、重力波
X線での宇宙の明るさ

5章 夜空が暗い本当の理由

5.1 夜空はどこまで見えている?

背景限界距離
1000亥光年という想像を絶する距離

5.2 星の寿命が足りない

あまりに短い星の寿命
忘れられていたケルヴィン卿による正解

5.3 宇宙年齢では時間が足りない

宇宙はじっとしていられない
ハッブルの大発見
結局アインシュタインは正しかった?
ビッグバンがあった証拠
オルバースのパラドックスに対する現代的な回答

5.4 現在の宇宙の明るさは?

人類が見ることができる最も遠い銀河
「宇宙の暗さ」を直接測る
太陽系から飛び出せ

[おわりに]
[参考文献]
[索引]

津村 耕司(つむら・こうじ)

1982年神戸市に生まれる。東北大学 学際科学フロンティア研究所 教授。天文学者。博士(理学)。2005年東北大学理学部宇宙地球物理学科(天文)卒業、2010年、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)宇宙航空プロジェクト研究員などを経て現職。
大学院時代からJAXA/ISASにて、ロケット実験CIBERや赤外線天文衛星「あかり」などを用いて、宇宙赤外線天文衛星(赤外線での宇宙の明るさ)の観測的研究に従事。CIBERの成功に対して、2014年9月にNASA Grop Achievement Awardを受賞。宇宙科学の普及・教育活動にも尽力している。

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