欲しいのは、打てば響く話術モード?
それとも、じっくり思慮深いモード?
キッカケは、“話し方”を実践できる賢さが欲しかった
話し方の本を読んでいると、いくつか基本の技術があるのがわかりました。
「ああ言えばこう言う」のパターンもある程度は想定できそうですし、基本をキッチリと押さえれば、トーク力は上がるだろうと確信しました。
だけど。ね、頭で分かっていても、そんな咄嗟に本で読んだことが口から出てくるなんて…そんな簡単なことじゃないですよね。
人と話しながら本を参照するわけにはいかないから、結局のところ、場数を踏み経験値を上げるしかないんじゃないだろうか…。本の中身がスルスルッと頭の中に入れば悩まないのになぁなんて思っていました。
書店で『頭の回転が速い人の話し方』を見つけ、あ、探していたのはこれかも!?と思い、手に取りました。
そう、トーク力って、頭の回転ですよね…(遠い目)。
誰だって、賢く見られたい!
読んでみると、ちょっと意外!?というか、予想の斜め上を行く内容で、興味深いのです、これが。
タイトルからは、頭の回転の速い人はどんな話し方をしているか?というような、推測と実践の内容だと想像していました。
違うんですねぇ~、この本は。ズバリ、『頭の回転が速い人(っぽく見える)の話し方』の指南書なんです。
その発想はなかった!
その発想はなかっただけに、面白いなぁと思いました。
「賢そう」をコミュニケーションの切り札に
コミュニケーションの場では、人の心を掴み、動かすことが大切です。その手段として「賢そうに見られる」というのも効果的だと思います。なんとなく「賢そう」な人の話は、説得力がある気がしてしまいますからね。
そして、人前で話すのがニガテでも、話さなければならないときがある!
そういうときに、付け焼き刃…というと聞こえが悪いですが(^_^;)、なんというか、「その場」で発揮できる、瞬発力でなんとなかなる話し方、欲しいと思いません?
コツコツと努力も大事です。でも、今すぐに話さなきゃならない。そんなときに、『頭の回転が速い人の話し方』はいいかも。
戦闘思考力×ユニバーサル・トーク
と言っても、全5章あるうちの、最初の1章、2章はとてもややこしく、難解でした(^_^;)
岡田斗司夫さんの独特な定義や、マトリックス表が随所に差し込まれるのですが、その読み解きにちょっぴり時間を食うという…。
難しい内容というわけではなく、あさよるの前提や常識と、本書の内容のすり合わせが必要だったのです。なんてったって、「その発想はなかった!」んですから。こういう考え方や、こういう見方をする人がいるんだなぁと、勉強になった部分もありました。
戦闘思考力とは
本書のメソッドは大雑把に、戦闘思考力とユニバーサル・トーク。そして共感でしょう。
戦闘思考力って、面白い言葉ですよね。マンガ『HUNTERXHUNTER』から着想を得た考え方なんですって。
で、戦闘思考力とは、なんでしょう。
戦闘思考力には、トップ、ミドル、ローと三つのギアがあります。
トップギアのときは、「打てば響くモード」。瞬発力に特化して、次から次にポコポコと考えや意見が飛び出し続ける状態です。
反対にローギアのときは、じっくり考えて話すモード。この「じっくり」は、数ヶ月も数年も及ぶことも有ります。「思慮深いモード」ですね。で、ミドルギアはその間。
たぶん一般的には、打てば響くトップギアの状態を「頭のいい人」と認識されがちではないでしょうか。次から次へアイデアが飛び出す人や、楽しい話題が次々飛び出す人に、信頼や好意を持ちやすいですよね。
ですが、もちろん。ローギアで話す人をバカにしてはいけません。むしろ、ローギアでの思考こそが大切です。
戦闘思考力とは、思考に「深さ」と「速さ」を意識することではないかなぁと思いました。
ユニバーサル・トークとは
ユニバーサル・トークで大切なのは、「相手」です。相手にわかるように話す。相手に伝わるように話す。分かっているようで意外と忘れがちなことです。
特に、世代や育った文化が違えば、なかなか話が噛み合いません。使っている「言葉」そのものも違えば、「作法」も違うからです。
例えば、小さな子どもと話すときを思い出してください。自分のいつもと同じ口調で話しかける人はいないですよね。子どもの目線に降りて行って、子どもの使っている言葉に合わせて話します。話し方もかわれば、話すスピードや抑揚も変わるでしょう。
時に、自分の主張も変わるかもしれません。いつも「上のヤツの命令に従うヤツは嫌い!」と粋がっていても、小さい子には「ママの言うこと聞きなさいね」なんて言っちゃうかもしれません。立場変われば、言うべきことも変わるのです。
そして、共感すること
「共感」は、他の話し方の本でもよく登場するキーワードです。やはり重要なポイントなのですね。
相手の話をよく聞き、共感する。岡田さんは、上辺だけの共感ではなく、本当に心から共感せよと指南しています。
たとえ相手の主張や思想には共感できなくても、「困っている」「怒っている」「悲しい」など、その感情そのものには「共感」が可能です。
しかし、あさよる的にはこの、「親身になって話を聞く」というステップが最も難しい気がしました。これをサラッと言えちゃう&出来ちゃうあたりは、岡田斗司夫さんのタレントがなせる技じゃないのかなぁとも思います。それくらい、難易度高すぎに思うのですが、いかがでしょうか。
正直、誰もが「賢く見られたい」ハズ!
『頭の回転が速い人の話し方』は、雑談・コミュニケーションの場に役立つでしょう。反面、ビジネスの場に応用するのは難しいかなぁ?と思いました。
なにより、「賢く見られたい」という、誰もが持っている(ハズ!)ホンネの部分を満たしてくれる本です。ここで言う「賢い」は、いわゆるIQの高さの「賢さ」ではありません。会話テクニックとしての「賢さ」です。
「賢く見られたい」と願いつつも、話し下手がゆえに自分の賢さを見出してもらえない、そんな立場の人。こういう小さい成功体験が積み重なって、モチベーションが増してゆくのでしょうね。
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頭の回転が速い人の話し方――あなたの会話力が武器になるユニバーサル・トーク×戦闘思考力
- 岡田斗司夫
- フォレスト出版
- 2015/9/13
目次情報
まえがき|「最強の会話術」ってなんだろう
1|なぜ、あなたの話は伝わらないのか?
◉だれにでも通じる「ユニバーサル・トーク」の考え方
ユニバーサル・トークとは何か?
なぜ生徒は先生の話を聞かないのか?
口下手なのはハートだけの問題にあらず
話せなくなる根本原因|「友人の部屋に乱入してくる親」現象
伝え上手と受け取り上手の関係
家族型社交と公共型社交の関係|学生は何を言っているのかよくわからん
尊敬と親愛を込めた「タメ語」|空間のゆがみとは?
公共型社交は視野が広く、家族型社交は視野が狭い
家族型社交から公共型社交への移行|ユニバーサル・トークの出現
家族型社交の中で生きていくのは不可能?
説明しなければいけない相手が増えすぎた時代
相手のバックグラウンドも考えなければならない
あなたはどこに位置しているのか?
コミュニケーション能力には2つあるコラム|人前で話すためのハートの鍛え方とは?
2|なぜ、あなたの意見は共感されないのか
◉「ユニバーサル・トーク」の共感と再構築
自分の意見を伝えるのではなく、相手の考えを理解する
ポジショニングマップのつくり方
相手に共感し、再構築する
意外とシンプルな共感のしくみ
共感の輪を広げて味方を増やす
自分の考えは常に動いてOK
ニコニコ生放送は典型的なユニバーサル・トークでできている
ユニバーサル・トークの応用編
プレゼンで意識するユニバーサル・トークの使い方
セールスで意識するユニバーサル・トークの使い方
偽ユニバーサル・トークと対処法
最後に行き着いた話し方がユニバーサル・トークコラム|原発再稼動について賛成? 反対? ユニバーサル・トークの実践例
3|「話し方」を武器にする
◉「戦闘思考力」のギアの概念
ユニバーサル・トークは「戦闘思考力」で完成する
『HUNTER×HUNTER』から生まれた「戦闘思考力」
戦闘思考力とはすなわち思考の武道
今、僕はこうして戦闘思考力を使っている
相手が誰だろうと、どこだろうと対応できる
僕が戦闘思考力を鍛えた話
なぜ島田紳助は言い返し能力が高いのか?
頭の回転が速いからって、頭が良いとは限らない
戦闘思考力を形づくる3つの要素
ギアの概念|①ハイパワーの思考力
頭の回転が速い人の重量感のなさとは?
ミドルとローがあるからトップが光る
口数のコントロール|②どんな価値観にも合わせられる応用力
自分の正しさと相手を守る責任感|③強く頼れる自己コラム|口数が少ない人、口数が多すぎる人に意識してほしい話し方
4|確実に最適解を生み出す話し方
◉「ユニバーサル・トーク」×「戦闘思考力」
ユニバーサル・トークあっての戦闘思考力
たとえ勝っても、相手は許さない|ルール①勝たない
敵対していても協力をする|ルール②「勝つ」のではなく「答えをつくる」
相手に勝たせるくらいの気持ちで|ルール③相手を負けさせない
答えに気づかなかった自分たちを笑う|ルール④相手を笑わせる
絶対に変なおみやげを置いていかない|ルール⑤悩ませない
相手をマッサージするように|ルール⑥すっとさせる
戦闘思考力を生かす6つのステップ
会話をできるだけ長く続ける|ステップ①やりとり
相手に合わせた話し方をつくる|ステップ②カスタマイズ
相手と同じ気持ちになる|ステップ③共感する
勝たない、負けさせない、悩ませない|ステップ①~③まとめ
視野、フレームを広げる|ステップ④変換
知識ではなく教養を探す|ステップ⑤教養とのリンク
相手と一緒に答えをつくる|ステップ④創造
採用されるアイデアの特徴とは?
面白い問を考えつづけるのが各ステップのコツコラム|お客の来ない喫茶店を流行らせるには?「変換」の3つのコツ
5|あなたの頭の回転を倍速化するレッスン
◉思考の武道「戦闘思考力」
「戦闘思考力」とその「段位」
3冊の本を読み感想を書く|十級:ローギアを鍛える
1時間ほどの映像を見て内容をまとめる|九級:ローギアを鍛える
タイトルと目次だけ見て内容を推理する|八級:ミドルギアを鍛える
本の内容を2ページごとに1行でまとめる|七級:ミドルギアを鍛える
八級と七級の内容を比較する|六級:ミドルギアを鍛える
テレビ番組の感想を400字にまとめる×3|五級:ミドルギアを鍛える
5分以上誰かに一方的に話をする|四級:トップギアを鍛える
ミニッツライナー|三級:トップギアを鍛える
難しい原稿を小学生に伝わるように書き換える|二級:シフトチェンジを鍛える
ネット上の誤解を分析してブログなどに載せる|一級:ミドルギアを鍛える
戦闘思考力の基礎は言語化・文章化で養う
戦闘思考力の鍛錬を続けるコツコラム|戦闘思考力養成講座でやっていること
まとめ|あとがきに代えて
岡田 斗司夫(おかだ・としお)
1958年大阪府生まれ。社会評論家。1984年にアニメ制作会社ガイナックス設立後、東京大学非常勤講師に就任、作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。2010年に「オタキングex」(現 FREEex)を立ち上げる。レコーディング・ダイエットを提唱した『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)が50万部を超えるベストセラーに。その他、多岐にわたる著作の累計売上は250万部を超える。
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