『パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史』|アヤシイ雰囲気にワクワクしちゃう

こんにちは。ナゾなもの、フシギなものに気が取られちゃう あさよるです。本書『パブロフの犬』もタイトルだけ見て「読んでみたい」と思いました。なぜかというと、あさよるは完全に〈シュレーディンガーの猫〉と勘違いしていたからでしたw 読み始めてしばらくするまで気づいていなかったw

パブロフの犬とは、ベルを鳴らしてからエサを犬に与えていると、ベルの音を聞くだけで犬はヨダレをたらすようになるアレ。梅干を見たら唾なアレ。心理学のお話です。人間の心理学だけでなく、動物に知能があるのか? 動物に心があるのか? 誰もがソボクに気になっちゃうことも、ちゃんと過去に実験がなされているんです。

……ちなみに、本書のシリーズで〈シュレーディンガーの猫〉もあるそうですw こっちもまた読みたいデス。

心理学の50の実験:心ってなんだ?

本書『パブロフの犬』は心理学の重要な50の実験を歴史順に並べたもので、心理学入門編であり、心理学の歴史がわかるという仕掛けになっています。

一番最初に紹介されるのはダーウィンの研究で、ミミズに知能があることが実験により発見されました。ミミズは自分で掘った穴に木の葉を引っぱり込んで蓋をします。しかも、穴に刺さっているのは先がとがった葉っぱが多いのです。ミミズは葉っぱの形が分かっているの?と、ダーウィンは子どもたちと一緒に観察を始めました。反対に言うと、この時代までミミズに知能があるとは思われてなかったってこと?

ネズミは道を覚えられるのか?や、タイトルにもなっているパブロフの犬の実験(犬にベルを鳴らしてからエサを与え続けると、ベルの音を聞いただけでヨダレを出す)。被験者を囚人と監視員に振り分けると、監視員たちが囚人を虐待し始めた実験。吊り橋効果やなど、有名な心理実験のあらましも紹介されています。

我々は〈自由な心〉を持っているように思えますが、それも環境や学習により書き換えられ、行動に変化をもたらします。それは無意識にも。つい「他の〈みんなの意見〉が正しい」と思い込み、目の前の一目瞭然の事実すら見えなくなってしまいます。どうやら、周りの人の考えに流されてしまうのは、勇気や根性の話ではなく、心理的に「自分がおかしい」「自分が間違っている」と思ってしまうからみたいなのです。

自分の心ってなんだろう。自分の意志ってなんだろう。みんながこう言ってる。みんなそうしている。これって、いったい何だろう?

オールカラーでイラストも賑やかに

本書は心理学の入門的一冊ですので、多くのトピックスは見開き2ページで収まる程度の長さがほとんどです。しかも、ポップなイラストが散りばめていて、なにやら禍々しい雰囲気がたまりません。

見開きページ例をご覧ください。

『パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史』見開きイメージ

パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史 (創元ビジュアル科学シリーズ1) | アダム・ハート=デイヴィス, 山崎 正浩 |本 | 通販 | Amazon

古い書物をひも解き、魔法の本を読んでいるかのような演出。見ているだけでワクワクしちゃいます。あさよるも、ヴィジュアルイメージがカッコよくて本書を手に取りました。

あさよる的には〈読みやすさ〉という点では白い紙に挿絵ナシの方が読みやすいと思います。しかしこの〈特別感〉は魅力的。知らない世界を誘ってくれるに相応しい雰囲気です。

中高生にオススメ!

本書『パブロフの犬』は好奇心と探究心にあふれる中高生に贈りたい一冊です。もちろん大人も読んでも面白いけれども、なんかこのアヤシイ空気感は、絶対年頃の人に合うと思うんですよ! というか、あさよるもその頃に本書を読みたかった!!

アヤシイ雰囲気も、考えるとコワイ実験やもっとコワイ結果の数々や、禍々しいイラストも、世界観がワクワクしちゃいます。

パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史

目次情報

まえがき

第1章 はじまり 1848年~1919年

1881年 ミミズに知能はあるのか? ダーウィン
1896年 上下が逆転した世界で暮らせるか? ストラットン
1898年 あなたの猫はどれほど賢いか? ソーンダイク
1901年 パブロフという名前がベルを鳴らすのか? パブロフ
1910年 パーキーのトマトを思い浮かべられますか? パーキー

第2章 行動主義の挑戦 1920年~1940年

1920年 アルバート坊や、どうしたの? ワトソンとレイナ
1927年 未完の仕事が気になりますか? ツァイガルニク
1932年 物語を語るのは得意? バートレット
1939年 心理学は生産性向上に寄与できるか? レスリスバーガーとディクソン
1939年 民主主義をどのようにマネジメントするか? レヴィン他

第3章 変化する焦点 1941年~1961年

1948年 ラットは心の中に地図を描けるのか? トールマン
1952年 子どもたちは何を考えているの? ピアジェ
1963年 あのうるさい音は何だ? ヘラーとバーグマン
1956年 世界の終わりは近いの? それとももう来たの? フェスティンガー他
1956年 周囲からの圧力に屈しますか? アッシュ
1959年 赤ん坊はどのように愛着心を持つのか? ハーローとツィンマーマン
1960年 短期記憶はどれほど短期間で失われるか? スパーリング
1961年 学習の結果、乱暴者になるのか? バンデューラ他
1961年 うちらの仲間でいたいかい? シェリフ他

第4章 精神、頭脳、そして周囲の人々 1962年~1970年

1963年 どこまでやるの? ミルグラム
1963年 盲目から回復できるか? グレゴリーとウォレス
1965年 目は心の窓なのか? ヘス
1966年 「大丈夫ですか、先生?」 ホフリング他
1967年 脳を半分に切断したら何が起きるのか? ガザニガとスペリー
1968年 傍観者は傍観しているのか? ダーリィとラタネ
1968年 期待されただけで結果がよくなるのか? ローゼンタールとヤコブソン
1970年 「奇異な状況」で幼児はどう振る舞か? エインズワースとベル

第5章 認知革命 1971年~1980年

1971年 善人は悪人になれるのか? ジンバルドー
1971年 論理的に答えを選べるか? ウェイソンとシャピロ
1973年 精神科医はあなたを正常かどうかを見極められるのか? ローゼンハン
1973年 商品は子どもたちのやる気を削ぐか? レッパー他
1974年 あなたの記憶はどれだけ性格か? ロフタス
1974年 どのように難しい決断を下すのか? ドベルスキーとカーネマン
1974年 恐怖は恋心を芽生えさせるのか? ダットンとアロン
1975年 犬は抑うつ状態になるのか? ミラーとセリグマン
1976年 耳だけで聞き取れるのか? マガークとマクドナルド
1978年 どのようにして世界の半分を失っているのか? ビジャッキ

第6章 意識の中へ 1981年~

1983年 本当に自分自身をコントロールできているのか? リベット他
1984年 実務は能力を向上させるのか? ベリーとブロードベント
1985年 自閉症スペクトラムの子どもは世界をどのように見ているのか? バロン=コーエン他
1988年 祈る人々は治療に貢献できるか? バード
1993年 人の顔を覚え続けていられるか? マクニールとウォリントン
1994年 超感覚的知覚は存在するのか? ベムとホノートン
1995年 なぜ違いに気づかない場合があるのか? シモンズとレヴィン
1998年 偽の手を自分の手と混同するだろうか? コスタンティーニとハガード
2000年 なぜ自分をくすぐれないのか? ブレイクモア他
2001年 数字の7はどのような味だろうか? ラマチャンドランとハバード
2007年 大概離脱は絵空事か? レンゲンハーガー他

索引
用語解説

アダム・ハート=デイヴィス [Adam Hart-Davis]

1943年生まれ。オックスフォード大学で修士号、ヨーク大学で博士号を取得。専攻は化学。科学書の編集やプロデューサーとしてテレビ番組制作に携わった後、著述者、写真家、歴史家、テレビ番組の司会者として活躍。著書は30冊を超える。主な著書に『サイエンス大図鑑』(河出書房新社)、『時間の図鑑』(悠書館)、『世界を変えた技術革新大百科』(東洋書林)などがある。

山崎 正浩(やまざき・まさひろ)

訳者

翻訳家。訳書に『地図と絵画で読む聖書大百科』『図説ギリシア・ローマ神話人物記』『武器の歴史大図鑑』『第一次世界大戦の歴史大図鑑』『10才からはじめるプログラミング図鑑』(いずれも創元社)などがある。

コメント

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