『愛とためらいの哲学』|穏やかに心が満たされる恋のために

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

こんにちは。あさよるです。やっぱり「恋バナ」は面白いものです。老若男女関係ない話題だし、世代を超えて年長者の話が聞けるのも楽しいところです。今回手に取った『愛とためらいの哲学』も恋バナ本で、著者は『嫌われる勇気』の岸見一郎さん。岸見さんの本は数冊読みましたがどれも面白かったし、アドラー心理学の考え方も、あさよるは納得しやすく、すんなりと読むことができました。

「恋バナ」の小ネタに読んでもいいし、本当に恋に悩んでいる人や、これから恋したい人にもピッタリです。火傷するような恋だけじゃなくて、静かに心が満たされる恋もあることがわかります。

老若男女が知りたい「恋バナ」

本書『愛とためらいの哲学』の著者は『嫌われる勇気』がヒットした岸見一郎さんです。岸見一郎さんは哲学者であり、アドラー心理学の研究もなさっています。『嫌われる勇気』は、哲人と青年の対話形式でアドラー心理学について語る内容でした。アドラー心理学では過去に囚われず「今」だけに注目します。過去にトラウマや辛い経験を抱えていても、誰もが「今」幸せに生きることができるという考え方です。

本書『愛とためらいの哲学』も、アドラーの名言を交えながら、アドラー心理学的な「愛」や「恋」の話が展開されます。岸見一郎さんは講義で学生から恋について質問を受けることがたくさんあったそうです。恋の悩みは若者の多くが抱えている悩みなんですね。アドラーもまた、学生たちから恋について質問をされたそうです。写真のイメージとは違って、柔和で話しやすい教授だったそうです。

愛や恋は、どんな権力者であっても、「私を愛しなさい」と命令したところで、本当に自分を愛させることはできません。恋には思い通りにはいかないのです。

しかし、恋路だけが特別なわけではなく、人間関係とは、思い通りいかないものなのです。しかし、恋が特別なのは、嫉妬や執着心、独占欲が特定の人物に強く発動するところかもしれません。また、焦がれていたはずなのに、恋が実ってしまうと気持ちが冷めてしまう……なんてことも起こります。独占欲や、あるいは他の人との競争心を恋と勘違いすることがあります。友人や兄弟姉妹に対抗して、「もっと素晴らしい人を恋人にすることで〈勝ちたい〉」と考えちゃうヤツですね。

自分の自信のなさや、他人への嫉妬や対抗心、独占欲や依存によって、恋が難しく苦しいものとなっているのです。

穏やかに静かに、人を愛す

『愛とためらいの哲学』で語られる恋愛は、穏やかで静かな関係が、良い関係とされています。嫉妬せず、競争せず、お互いに愛される関係性です。この時、二人の間にある闇に注目するのではなく、良いところ、つまり光に目を向けることで、お互いに穏やかな状態でいられます。大人の二人の関係って感じですね。傷つけあったり、束縛し合ったり、依存しあったり、お互いに一緒にいて嫌なことばかりの「恋愛」よりも、一緒にいることで二人ともが穏やかでより充実して、気持ちが満たされて一緒に居られる方がずっといいなあなんて思いました。

また、岸見一郎さんはアドラーの考えをただ紹介するだけではなく、ときにはアドラーの言葉を否定したり、言葉を足したりして、ご自身の考えを語っておられます。それは、西洋人のアドラーの思想よりも、より日本人的な価値観に合うようローカライズされているとも感じました。

しかし、古今東西、老若男女、恋バナは尽きないようです。

幸せになる恋もある

みんなが好きな恋の話は「悲恋」ではないでしょうか。実らない恋や、破滅してゆく恋こそがロマンチックでなまめかしく、美しく感じます。一方でこの『愛とためらいの哲学』で語られる恋愛は、幸せで静かで、満ち足りたものです。だからあんまりロマンチックじゃないし、スリリングでは全くありません。物語の恋の話しか知らないなら、こんなに穏やかな恋愛があるのだと知るだけでも収穫かも。みなさんは、嵐に翻弄されるような恋と、穏やかで静かな日々が続く恋、どっちがご所望でしょうか。これは自分が何を求めているのか、今何が欲しいのかによって答えはさまざまでしょう。

恋を扱う本って、面白おかしく書き立てるものや、見当はずれなもの、一歩間違えはセクハラやパワハラになることを勧めるものなど、危ういものもたくさんありますが、『愛とためらいの哲学』は至ってまじめで、地味だけど、ジワジワっと憧れるような恋を扱った内容でした(^^♪

関連記事

岸見一郎さんの本

恋バナ・恋愛本

心理学の本

人間関係の本

愛とためらいの哲学

愛とためらいの哲学 (PHP新書)

愛とためらいの哲学 (PHP新書)

  • 作者:岸見 一郎
  • 出版社:PHP研究所
  • 発売日: 2018-02-17

目次情報

はじめに

誰もが愛に関心がある
幸福な愛と結婚を扱う本はない
不幸なラブストーリーがなぜ好まれるのか
シンデレラのような恋
苦しい恋愛をしているあなたへ
幸福は対人関係の中で得られる
幸福な愛の物語

第1章 なぜあなたの「恋愛」は幸せをもたらさないのか

なぜ同じことを繰り返すのか
恋愛だけが特別ではない
仕事における対人関係
友人との関係
恋愛における対人関係
恋愛は二人の課題である
恋愛を言い訳にしてはいけない
どうせ愛してもらえない
勝算のない恋愛はしない人
百パーセントから始まることの無理
ためらう理由はいくらでも見つかる
「出会いがない」は本当か
愛することは能力である
愛は技術である
ライフスタイルを変える勇気を持つ
早期回想からライフスタイルを描く
困難な恋に走る人
思うようにならない他者
相手を支配しようとする人
なぜ攻撃的になるのか
メールの返信がこない
愛は強制できない
嫉妬は悪魔の属性である
花に水を与えるように
あなたの何が問題なのか

第2章 結婚と子育ての困難について

結婚は不幸の始まりかもしれない
結婚の未来は予測できない
予測できないからこそ結婚には価値がある
なぜ結婚に踏み切れないのか
親が結婚に反対してきた場合
打算的な人は相手を犠牲にしている
ライフスタイルが問題
パートナーはあなたの親ではない
役割を固定しない
子どもができてからの困難

第3章 人を愛するとはどういうことなのか

闇を取り除くのではなく、光を当てよう
愛は正気と情熱の合体である
「分かれの理由」はどこにでも
恋愛に「なぜ」はない
真のパートナーになれる人に打算はない
愛は衝動を超える
あの人は嫌いだけど、あなたは好き?
隣人愛は可能か
初めにインパーソナルな愛がある
偶然の出会いを運命の出会いへ
一目惚れではない
邂逅
愛は「流れ」である
生きられる時間
「持つ」ことと「ある」こと
永遠とは「今ここ」に生きることである
未成熟な愛
ギブ・アンド・テイクではない
他者に開かれる私
かけがいのないあなた
愛されないことの寂しさ
依存関係にならないために
自己中心性からの脱却
二人は共鳴する
愛は自由を求める
勇気を持つ人だけが、愛を実現できる

第4章 幸福になるための「愛する技術」

愛を豊かに生きるために
きちんと言葉にする
対等な関係を築けているか
相手に関心を持つ
何ができるかを考える
絶え間なく相手への関心を保つ
相手は理解を超える
人はわかり合えない
考えが違う時
話し合いの技術
権力争いから降りる
喧嘩は相手への甘え
なぜ怒ってしまうのかを考える
素直になれない時
黙っていれば何も伝わらない
よいコミュニケーションとは何か
いつも上機嫌でいよう
自信を持てば嫉妬しなくなる
目の前にいる人と付き合おう
集中力を持つ
「今ここ」を生きる
遠距離恋愛を続けるには
初めて会うのだと考えてみる
「父と母」ではなかった頃へ戻る
驚きを忘れない
仮面を外す
ありのままのあなたを尊敬する
無条件で信じる
課題解決能力があると信じる
よい意図を見る
協力できているかどうかの見極め
目標を一致させる
セックスとコミュニケーション
性的な魅力を感じなくなったら
別れる時
なぜ人を愛するのか

おわりに
参考文献

岸見 一郎(きしみ・いちろう)

一九五六年京都府生まれ。哲学者、日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。専門の哲学と並行して、一九八九年からアドラー心理学を研究。精力的に執筆・講演活動を行っている。著書に『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(ともに共著 ダイヤモンド社)、『アドラー心理学入門』(ベスト新書)、『生きづらさからの脱却』(筑摩選書)、『人生を変える勇気』(中公新書ラグレ)、『幸福の哲学』(講談社現代新書)など。

SNSでもご購読できます。

スポンサードリンク


コメントを残す

*