『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』|スマホ+ゲームはヤバイ

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こんにちは。あさよるです。毎日ブログなんて書いてると、ある時に「あなたパソコンに依存してるじゃないのか」とあらぬ疑いをかけられたことから、本書『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』を手に取った。。結論を先に言えば、本書を読む限りあさよるは依存ではないみたい。業務とブログ更新にパソコンを開くけど、それ以外はといえばYouTubeを見るくらいだし。ゲームはそもそもしないし。テレビもほぼ見ないから、意外とブルースクリーンを眺めている時間は少ないのかもしれない(YouTubeをどれだけ見てるかが問題ですな)。

しかし、あさよるが頑なにゲームをしない理由が「やめられないから」であり、スマホも持ちたくないのは「絶対ハマる」と確信しているからだ。一旦、自分をゲームやネットにいつでもアクセスできる環境に置けば、依存sてしまうのは目に見えているし、自力で抜け出せないとも思っている。だから、本書の内容は他人事じゃない。

スマホゲーム・ネット依存症

『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』は、ネットやゲーム依存について簡単に誰でも読める内容にまとめられた本だ。この講談社の「健康ライブラリー」シリーズはあさよるもよく読む。精神疾患や、発達障害、不登校やひきこもりなど、治療や支援や知識が必要な人に向けられていて、「誰でも読める」が徹底されている。かといって内容が薄いわけでもないので勉強にもなる。

で、本書のテーマはネット依存、ゲーム依存。心当たりのある方も多いのではなかろうか。ということで、「Internet Gaming Disorder Test」というテストが紹介されている。これはWikipediaの「ゲーム依存症」の項でも「インターネットゲーム障害の基準案」として紹介されている。

他にも本書では「スマホ依存スケール」というのも紹介されている。

スマートフォン依存スケール(短縮版)

① スマホ使用のため、予定していた仕事や勉強ができない
② スマホ使用のため、(クラスで)課題に取りくんだり、仕事や勉強をしているときに、集中できない
③ スマホを使っていると、手首や首のうしろに痛みを感じる
④ スマホがないと我慢できなくなると思う
⑤ スマホを手にしていないと、イライラしたり、怒りっぽくなる
⑥ スマホを使っていないときでも、スマホのことを考えている
⑦ スマホが毎日の生活にひどく悪影響を及ぼしていても、スマホを使い続けると思う
⑧ TwitterやFacebookでほかの人とのやりとりを見逃さないために、スマホをたえずチェックする
⑨ (使う前に)意図していたよりもスマホを長時間使ってしまう
⑩ まわりの人が、自分に対してスマホを使いすぎていると言う

P.8

各項目5段階で評価する。「まったく違う」1点。「違う」2点。「どちらかというと、違う」3点。「どちらかというとその通り」4点。「その通り」5点。「まったくその通り」6点。全部で31点以上になった場合「スマホへの依存の疑いがある」と考える。

また、本書では「ネット依存・ゲーム依存の特徴」はアルコール依存症の特徴から転用されていて、アルコール依存症と同じ「依存症」であり、治療が必要なことがよくわかる。依存症は怖い。自力で何とかできるもんじゃないから、ちゃんと病院にかからないといけない。ちなみに、あさよるが依存症の恐怖を初めて知ったのは、吾妻ひでおの『失踪日記』だった。慢性的なうつとアルコール依存症から自殺をはかるも失敗し、そのまま失踪していた日々を綴ったもの。

あさよるは個人的に、10代のころ酒屋でバイトしてた経験もあり「アル中の人」は見知っていた。朝出勤すると、社員よりも先に店の前で待っているおっちゃんが数人いた。パッと見た感じは、ごく普通のおっちゃん(おじいちゃん)だ。誰もが条件が揃えば中毒になる。今はアルコールよりも刺激の強い娯楽はたくさんあるから、それ以外のものに依存してしまっている人はたくさんいるんだろう。

ある意味、スマホ依存、スマホゲーム依存はアルコール依存症より怖いかもしれない。その理由は、多くのアプリが「無料」で手に入るからだ(もちろんハマると課金をしはじめるかもしれないけれど)。無料だから、どんどんアプリをダウンロードして、ずっとゲームやSNSに没頭し続けてしまう。まだ、アルコールだったらお金を払わないと手に入らないし、なくなると買いに行く手間もある。人に依存してしまう人も、相手がいないと依存できない。だけどスマホでSNSやゲームに依存するのは、コストはかからないし、部屋の中で一人で完結してしまう。かなり怖いぞ!

ところでスマホって必要なの?

スマホのゲームに依存してしまった人の例では、まず「無料ゲームアプリで遊べるのはコスパがいい」と感じ、そしてどんどんハマってゆくと「時間を買っている」との感覚でゲームに課金をし始め、課金額が年数百万円に膨らみ、家族の大問題になった。この「コスパがいい」「時間を有効活用している」との感覚が、なんとも厄介な感だ。ハマってしまえば、自分は賢い選択をしてると錯覚してしまうそうだから。

ところで、多くの人にとって、スマホって絶対必要なのだろうか。職業柄、最新型のスマホをガシガシ使いこなす人もいるだろうが、多くの人にとってスマホって、あくまで「娯楽」の道具じゃないだろうか。もちろん、娯楽のために道具を買いそろえるのは悪いことではないが、あまりにもコストがかさみすぎたり、業務に支障が出るくらい趣味にハマりすぎるのは考えものだろう。

それにしても「スマホ」&「ゲーム」という組み合わせはヤバイ。

『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』挿絵イラスト

どこでもできる、いつでもできるはヤバい

本書では子どもがスマホやゲームに依存してしまう例が数多く紹介されている。あさよるも子どもの頃からテレビゲームをやってた世代だから、子どもがゲームにのめり込んじゃうのはよくわかる。だけど昔のファミコンは本体をテレビに繋がなきゃいけないという、物理的な制限がかかっていた。しかし、今の一人に一台ゲーム機やスマホが配られている状態で、ゲーム依存、スマホ依存するなという方が無理な話だろうと思う。

なんかもっと根本的に、道具の使い方をよく考えないとヤバいんじゃないかと危機感を持った。繰り返すけれども「依存」というのは恐ろしいもので、一度「依存症」になったら自力でどうにかできることじゃない。「コスパ」や「効率」を考えるなら、そもそも「依存症にならない」ような環境を意識的に整えなきゃヤバいんじゃないだろうか。

突然、強制的にやめさせるのは逆効果

本書『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』は、すでに依存症になっているor依存傾向にある人や、その家族に向けられたものだ。だから「依存症予防」ではなく「依存症になったらどうすべきか」が趣旨である。

依存症じゃないかと感じたら、まずは専門医にかかること。本書ではネット依存・ゲーム依存が相談できる全国の医療機関も紹介されている。本人はなかなか自分の依存症に気づかないことも多いから、家族が病院に相談することも少なくないらしい。

そして家族は、強制的にスマホやゲームを取り上げたり、遮断してしまうのは逆効果だそうだ。無理やりゲームやネット環境を取り上げると、余計に依存対象に対して執着が増してしまうらしい。にゲームやSNSでオンラインの友人と連絡が取れなくなったり、ポイントやランキングが下がってしまうと、自分のキャリアや人間関係を壊され、否定されたと感じるらしい。うん、わかる。だから、話をしながら段階的にゲームやネットの時間を減らしてゆくよう根気よく対応しなければならない。

ゲーム機でゲームする方が楽しい?

あさよるも、スマホゲームは「ポコパン」と「妖怪ウォッチツムツム」にドハマりして、人間やめる寸前だった。マジで「寝る間を惜しんで」状態で、なかなか人生かけてやり込んだんじゃないだろうか。で、ゲームにハマるのはいいんだけれども、ゲームをするのが苦しくて苦しくてたまらなくなってくるのよね。そりゃ寝てないし、食べる時間も惜しんでるんだから苦しいわ。で、「苦しいのにやめられない」という苦悩。これって立派な依存症じゃね? と今気づく(苦笑)。

で、命がけでプレイしてる割に、達成感がないんだわ、これがw ある時に「こんなに苦しみが続くのはもう嫌だ」と、アプリを削除して一命をとりとめたのであります。

そして「やっぱ無料のゲームより、お金出して買ったソフトのほうが面白いなあ」ということになった。あさよるは今、ゲーム機をDSライトしか持ってないから、DSのゲームをたまに思い出したころにプレイする程度。だけど、任天堂のゲームはやっぱ無料アプリのゲームよりずっとよくできてて面白いように感じる~。

って、そういえば昔、どうぶつの森にハマって、夜中の昆虫採集や釣りが忙しくて眠れない日々もあったなぁ。やっぱゲームは、依存しないようにやるのって難しいなぁ。

家族って大事なんだなぁ

10代の人がネット依存・ゲーム依存になるケースが多いらしいのだけど、30代でも依存症で受診する人が増えているそうで、本書も全年齢対象。

しかし、本書を通じて読んで感じ入ったのは「依存症の治療には家族の存在が大事なんだ」ということだ。本人が依存症に無自覚で、家族が異変を感じ受診をすすめる場合が多いそうだし、段階的に時間をかけて依存状態から脱却してゆくにも、家族の支えがあってこそなのだろう。これは、どんなに親密な人がいても、家族でなければなかなかここまで深く関わることは難しいのではないだろうか。

反対に言えば「孤立してしまう」というのは、誰からの支援も受けられないということでもある。その状態で、依存から抜け出すのはとてもできないのではないか。あさよるも独身だし、独り身でいるって、こんなところにリスクがあったのか……と呆然とした。誰にも何にも依存せず、自立して生きたいけれども、そうはいっても生きてれば上手くいかないこともあるだろうし、困ったなぁ。こうやって、前もって勉強しておく必要性を感じた。

関連記事

ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本

目次情報

まえがき
ネット依存・ゲーム依存

第1章 ネットやゲームで生活が破綻した人たち

【ケース1 Aさん 10代男性】ゲームと動画で昼夜逆転、不登校に
【ケース2 Bさん 10代女性】SNSにのめりこんで個人情報・写真が流出
【ケース3 Cさん 20代男性】ストレスからうつ病・ネット依存を発症
【ケース4 Dさん 30代男性】食事中も入浴中もスマホが手放せない
【ケース5 Eさん 40代男性】ガチャ課金が気づけば数百万円に
【ケースにみる 健康と依存の違い】注意されてやめられるならまら「健康」
【ケースにみる 健康と依存の違い】携帯を持つ10代の約8割がスマホを使用

第2章 なぜ、そこまで熱中してしまうのか

【社会的な背景】充足感が得られにくい社会になってきた
【社会的な背景】ネット・スマホが手軽なストレス解消法に
【ネット・スマホの特徴】ゲームやSNSをいつでも楽しめる
【ネット・スマホの特徴】利用頻度や利用額がエスカレートしやすい
【ネット・スマホの特徴】通知やボーナスが毎日あり、やめられない
【体への影響】成績不振や睡眠不足、情緒の乱れがみられるように
【体への影響】ゲームなどの刺激に脳が慣れ、物足りなくなる
【体への影響】脳機能が乱れ、アルコール依存症のような状態に
▼コラム データでみるネット依存 日本人スマホゲームユーザーは約3300万人

第3章 どこまでのめりこむと病気なのか

【病気に気づく】健康状態、人間関係がくずれたら受診のサイン
【病気に気づく】本人は自覚しにくく、家族が気づくことが多い
【病院を受診する】様子をみるのは危険、気づいたらすぐ病院へ
▼最新版 ネット依存・ゲーム依存を相談できる医療機関リスト
【病院でくわしく調べる】ICD-11の「ゲーム障害」診断ガイドラインが基準に
【病院でくわしく調べる】問診のほかに血液検査などがおこなわれる
【病院でくわしく調べる】うつ病や発達障害の併発がわかる場合も
▼コラム データでみるネット依存 日本には依存傾向に該当する人が約400万人

第4章 病院ではどんな治療が受けられるのか

【治療の流れ】診断後、定期的に通院して治療を受ける
【基本的な治療①カウンセリング】医師や心理士と対話し、依存を自覚する
【基本的な治療②モニタリング】行動記録をつけてネットの影響を確認する
【基本的な治療③認知行動療法】確認した内容にそって考えと行動を見直す
【基本的な治療④運動習慣】ジョギングや水泳などの運動をとり入れる
【基本的な治療⑤集団精神療法】グループで話し合い、改善のヒントのをつかむ
【基本的な治療⑥家族会】家族もネット依存のことをよう理解する
▼最先端の総合的治療 久里浜医療センターの治療センターの治療プログラム「NIP」とは
【特別な治療①治療キャンプ】キャンプで1週間の「スマホ断ち」をおこなう
【特別な治療②入院治療】重症例では2ヵ月程度の入院が検討される
▼コラム データでみるネット依存 患者さんは10代中心、30代~40代が増加傾向に

第5章 生活のなかで家族や本人ができること

【生活上の注意点】解決をあせらず、話し合いしながら対応していく
【家族ができること①ネットを維持】ネット・ゲームを急に遮断することは避ける
【家族ができること②会話を増やす】ネットに興味をもち、本人との会話を増やす
【家族ができること③家事を頼む】本人に家事などを頼み、生活習慣を変えていく
【家族ができること④ルールづくり】本人と話し合い、ネット利用のルールをつくる
【本人ができること①利用時間を確認】1日の流れを記録し、ネット利用時間を確認する
【本人ができること②利用時間の見直し】記録をもとに、利用時間の上限などを決める
【家族・本人ができること】家族全員でオフラインにする時間をつくる
▼コラム データでみるネット依存 病院受診の4分の1は本人不在、家族のみ

樋口 進(ひぐち・すすむ)

1954年生まれ。独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長。精神科医。東北大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局。のちに国立療養所久里浜病院(現・独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)へ。同病院の精神科医長や臨床研究部長などを経て現職。専門はネット依存やアルコール依存、ギャンブル依存などの予防・治療・研究。2011年、久里浜医療センターに国内初のネット依存専門外来を設立。WHOの国際疾病ICD-11の「ゲーム障害」診断ガイドラインの作成に研究協力。主な著書に『ネット依存症』(PHP研究所)や『アルコール依存症から抜け出す本』(監修、講談社)などがある。

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