こんにちは。あさよるです。「自分の顔が好きですか?」なんて質問されたら、どう答えるでしょうか。「YES」と即答する人って、どれくらいいるんだろう。
自分の顔だからこそ、愛着もあるだろうけれども、もっとここがこうだったら……と「欠点もよくわかってるよ」と言いたい人が多いんじゃないかと思う。
「人の顔」というのは、なにやら奥深いものらしい。『自分の顔が好きですか?』の著者の山口真美さんは、「日本顔学会」の役員をなさっている方だ。って、「顔学会」ってなんだ。「顔」というのは、特別なものらしい。
大事なのは「人当たり」
だけど『自分の顔が好きですか?』を読むと、自分の顔への不満はどうも勘違いというか、お門違いというかなんというか……わたしたちは「自分の顔を正しく見られない」らしい。そもそも、人の顔をじっと見つめていると、最初はちゃんと見えていても、数分もすると顔が歪んで見えてしまうようだ。よく学校の怪談話で、「肖像画が動く」みたいな話も、こういうところからきているのかもしれない。
さらに、自分の顔を見る時はいつも鏡越しだ。当然ながら、鏡で自分の顔を見ると、顔の左右が逆に見える。顔は誰しも微妙に左右差があるから、右と左の顔が入れ替わるだけでも、その人の印象を大きく変えてしまう。
人の顔を見つめていると、顔が歪んで見えてしまう上に、「自分が見ている姿」と「他人が見ている自分」が違っているから、自分の本当の顔を、自分では見られないのだ。
美男美女の苦労
美男美女に生まれた人は羨ましいなぁと思うけれども、彼らには彼らの苦労があるらしい。まず、顔が整っていると第一印象が良いから、「良い人」認定されてしまいがち。だからこそ、少しでも人の期待から外れるところがあるだけで、ギャップが大きく「やっぱり美人は性格が悪い」なんて陰口を言われてしまう。
美人ってだけで目立つだろうし、その界隈での有名人になってしまうと、みんなから一挙一動を観察され、余計に欠点が見つかりやすいのかもしれない。
羨ましい悩みにも思えてしまうが、人にはそれぞれ悩みがあるものなのね。
「愛される人」が良い顔
人の印象は、第一印象で決まると言われている。最初のパッと見たときの印象がその後の印象を作っているとも言えるし、その人の人となりは一瞬で相手に伝わっているとも言える。上っ面で取り繕ってるつもりでも、見透かされているのかもしれない(;^ω^)
人から愛される人、人気者になる人は、優しそうだったり、話しかけやすそうだったり、人と打ち解けやすい雰囲気を持っている。怖そうな人や、イライラしている風な人には、近づきたくないもんね。
美人不美人は生まれ持った才能なのかもしれないけれども、「優しそう」とか「声をかけやすそう」な人を目指すことは、今からでもできるだろう。それはきっと、今一緒にいる人や、これから出会う人たちを大切に、親切にすることかも。そう思うと、「自分の顔は好きですか?」という質問の答えも、少し変わってくる……のかな。
みんなだいたい同じ顔
ペンギンの雛たちがコロニーをつくって、親ペンギンたちがエサを運んでくるのを待っている……という様子を見聞きするたびに、「やっぱりペンギンも顔を見れば親子だとわかるのかなぁ」なんて思っていた。ペンギンなんてみんな同じ顔に見えるけれども、ペンギンからしたら、みんな違った風貌に見えているのかもしれない。昔、うちで猫を飼っていたけれども、たぶん同じような模様の猫が何匹もいても、自分の猫は一目見てわかると思う。「顔を見たらわかる」自信がある。わたしはペンギンは身近にいないから、みんな同じ顔に見えるけれども、飼い猫と同じように、ずっと一緒にいると見分けがつくんだろうか。
と、前置きが長くなくなったけれども、人間の顔も、わたしたちにとっては特別なものだから千差万別に感じているけれども、ペンギンと同じように、だいたいはみんな同じ顔だ。ごくわずかな差を見分けて、人を識別したり、その人の機嫌や気分を読み取っている。
このわずかな差を読み取るのに長けている人もいれば、苦手な人もいる。人の顔の見分けが得意なのは、意外にも赤ちゃんだそうだ。生まれたての赤ちゃんはまだ視力が良くないから、人の顔がわからない。生後10か月くらいの赤ちゃんが一番、人の顔の識別能力が高いそうだ。
「人の顔がわからない」と思っていたけれど……
わたしは常々、「人の顔を覚えるのが苦手」と思っていたけれども、それはどうやら思い過ごしらしい。本書でも、人の顔が覚えられない人のパターンについて触れられているけれども、わたしは「人の顔をちゃんと見ていない」タイプだ。日本人は人と話をするとき、目を見ずに口元を見ている人が多く、目を見る時は相手の感情を読み取ろうとしている時だそう。そういえば、わたしも人の口元に注目してる時間が長いような気がする。
あと、人の顔がわからないという人の中には、「だいたいは覚えているけれども、鮮明に思い出せない」という記憶の精度をより高めたいという、贅沢な悩みを持っている人もいる。わたしはこのタイプだろうと思った。
もちろん、脳の特性で人の顔が認識できない人や、人の顔に注目するのが苦手な人のもいる。いろんなパターンの顔認識について知ると、「人の顔を見る」という、いたって当たり前で、毎日毎日生まれてから繰り返し続けている行為が、実はとても込み入った、複雑な話だったことに気づく。これは面白い。
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自分の顔が好きですか? 「顔」の心理学
目次情報
まえがき
1章 顔は心の窓――あなたの顔は、開かれていますか?
自分の顔は、好きですか/トクをするのは、どんな顔?/鏡ではわからない自分の顔/「うまくいかない顔」と、どうつきあうか
2章 コミュニケーションとしての顔――社会性とは何だろう?
第一印象の魔法/「顔が見えない」人々/顔を見ることと脳/顔を見る脳、その成り立ち/顔認識は三〇歳まで成長し続ける/顔を見ることの不思議/どこにでも顔が見える!/顔を見る仕組みと学習/感情で覚える顔/顔を覚えるコツ/思春期の仲間関係/赤ちゃんはどうやって顔を覚えるか/「顔を見るのが苦手」な人と、どうつきあうか
3章 目は口ほどに物を言う――他人の視線が気になりますか?
視線は怖いか/「目力」は魅力を支配する?/視線恐怖は、なぜ起きる/視線に敏感な人、鈍感な人/視線を読み取る能力の発達/赤ちゃんとお母さんの発達/視線はコミュニケーションの源泉/日本人は、視線を合わせない/心理学を利用する際の注意点/日本人の敏感さ
4章 「素敵な」証明写真――顔は人物を表現するのか
顔写真、メディアの歴史/顔は人物を表現するのか/写真にどう写るか/指名手配写真で犯人は捕まるか/修正写真も「私の顔」か?/顔の加工――整形と歯科矯正/肌にあらわれる、健康と魅力/化粧で変わる?/どんな顔になりたいか、どんな顔を見せたいか
5章 魅力的な表情をつくる
表情がつくれないと、どうなるの?/表情はコミュニケーションの原点/表情は感情とつながっている/魅力的な表情をつくるために必要なこと/文化によって表情は異なるものか/表情がわからない人/表情を読み解く力の発達
6章 男と女、大人と子ども――顔の成長と心の成長
大人の顔と子どもの顔/「カワイイ」を考える/かわいいを分析する/アジア人は若く見える?/男と女の違い、顔と社会/魅力を進化から考える/「美しい顔」に基準はあるか?/健康は美の証か/顔と心の関係は?/顔は人との間にできあがる
あとがき
引用文献/図版出典
山口 真美(やまぐち・まさみ)
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達学専攻を修了後,ATR人間情報通信研究所・福島大学生涯学習教育研究センター助教授,科学技術振興機関(JST)さきがけ研究者を経て,中央大学文学部心理学研究室教授.博士(人間科学).日本赤ちゃん学会事務局長・日本基礎心理学会理事・日本顔学会理事.著書に『発達障害の素顔』(講談社ブルーバックス),『赤ちゃんは世界をどう見ているのか』(平凡社新書)など多数.専門は実験心理学で,赤ちゃんの認知発達や顔認知を実験.
大の猫好きで,獣医に注射を打たれる時に見せる「猫の顔の筋肉の動き」がとても気になっている.この動きから猫の感情を解析し,人と会話ができないものかと考え中.
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