『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』ソボクなギモン

「自分で考えなさい!」

って言えたらいいのにね(笑)

タイトルと表紙のインパクトがキッカケ(笑)

表紙の写真のインパクトで、選びました。

『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』と手描き風のタイトル文字に、この写真(笑)。

また、問いに答える識者メンバーたちは、どう答えるんだろう?とソボクに思ったのもきっかけです。

子どもの素朴な疑問に立ち向かう!

「子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?」

誰もが一度は感じたことのあるギモンです。今、まさに子どもに問いかけられて、答えに困っている大人もいるでしょう。

子どもの「なせ?」に識者たちたどう答えるのかも興味がありますね。

子どもたちへ8人それぞれの答え

荒俣宏さん 動物だって勉強する

まず、勉強するのは人間だけの特別なことではありません。

動物だって、子どもたちは必死で勉強するんです。餌をとる勉強をしないと飢えてしまいます。危険なことを親から教わり、どうやって生きるのか得とくしてゆきます。

同じように、人間も、親から子、大人から子どもへ、生きてゆく方法を教え学びます。

また、もし勉強が面白くないのなら、無理くりにでも楽しいことと結びつける方法も紹介されています。

内田樹さん 生き残るために勉強する

なんで勉強するの?この素朴な疑問、正直、大人たちもあまり考えたことがありません。

ですから、テキトーに「勉強していい大学入っていい会社に就職するためよ」なんて釈然としない答えをしてしまいます。大人の回答が、子どもたちを混乱させてしまいます。

内田樹さんは、勉強は生き残るために必要なものだと言います。荒俣宏さんの、動物だって勉強しているという話の続きですね。

さらに、人は支えあって生きています。人を支えるためにも、勉強が必要なんです。お友だちを守るため、家族を守るためにも、勉強は役に立つんです。

瀬戸内寂聴さん 心にも栄養が必要

勉強は「心の栄養」にもなると仰るのは瀬戸内寂聴さんです。

体の成長のために食べ物の栄養が必要なように、心の成長のために勉強や読書が必要です。

また、ただ言われた通りに勉強するのではなく、「得意なことを見つける」ってのも大事ですね。勉強をしたからこそ、「これ好きだなぁ」「この分野得意だなぁ」とわかるわけで、なにもしないと、なにもワカリマセン。

勉強によって、自分の得意なことが浮き彫りになるのです。

坂東眞理子さん 大人社会の土台作りを

学校では、面白くないことや好きじゃないこともしないといけません。それを「上手にやり過ごす」という能力は、大人になっても生きてゆくために必要です。

たくさんの生徒たちとともに一緒に生活するのも、嫌なこともありますね。ストレスに耐える訓練も、子供時代にしているのです。

そして、勉強が面白くないなら、いっそ100点を取ってしまえ!中途半端な点数なら「わからない」ことを「面白くない」と勘違いしているだけです。

えいやっ!と突き抜けてしまうことの大切さを説きます。

福岡伸一さん 人類数千年の知恵・知識を一気に学ぶ

学校で習う勉強の凄さは、その分量です。

たった一行に書いてある事柄も、実は人間が数百年も悩んで悩んで発見したことたちばかり。たった十数年間の学校生活で、人類の有史以来数千年分の発見や発明を、一気に駆け抜けるのです。

考えてみると、凄いと思いませんか?ゼッタイのゼッタイに、生きている間に経験しきらないことを、学校で一気に学べるんです。

で、その勉強の成果は、好きなことに没頭するときや、新しい発見に役立ちます。自分の「思い込み」の狭い世界から、開放してくれくれるのが勉強です。

藤原和博さん 経験値を上げて信頼を得る

勉強をすると人からの信頼度が上がります。

「◯◯くんの言うことなら間違いない」「あなたが言うなら信じるわ」

人は、人から信頼を得ることが大きな財産です。信頼を得るためには、その知識の裏付け、すなわち勉強が役立つのです。

そうやって、信頼を人からたくさん得ると、大きなチャレンジができるようになります。藤原和博さんは、それをゲームに例えています。信頼がたくさんあると、もっと面白い、もっと大きな、もっとすごいゲームのプレイができる!

パパやママの知らない世界だって、この世にはあるんです。その世界をプレイするのは、あなたなのかも?

茂木健一郎さん 知識が集まると人は輝く

勉強をするとどんどん知識が頭の中に溜まってゆきます。そうやって、知識をたくさん持っている人は、とても魅力的。キラキラと輝いて見えます。

昔、プラトンという有名な哲学者は、知識を身につけると、どんどん「いい人」になるのだと言いました。

みんなと一緒に頑張るには、みんなの気持ちを理解したり、時には外国語を話せないといけません。みんなと共通の話題を見つけて、いろんな楽しいお話をするにも、知識が必要なんです。

知識を得るための勉強のコツも、茂木健一郎さんは紹介しています。

養老孟司さん 好きなことやると、勉強が必要になる

養老孟司さんは、「子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?」と子どもが言えば、昔は「そんなくだらないこと聞くんじゃない!」と怒られたと言います。

だけどなんで?

その質問がくだらないんじゃないんです。「自分で考えなさい」って、言われていたんですね。

そう、自分の頭で考えることこそ、勉強の成果に他なりません。ちょっとずつちょっとずつ知識が増え、わかることが増え、そして自分の頭で考えられるようになる。

自分のために勉強が必要で、「学校を使ってやる」という意識を持ちましょう。学校という施設、考えてみればすごい施設ですよ。先生にだって、たくさん質問をしちゃいましょう。「学校に行かされる」「勉強させられてる」って意識はやめようってことです。

さらに、その勉強ってね、「好きなことをする」ために必ず必要な知識です。

そう言われると、ひらがなカタカナ漢字を勉強したから、3DSのゲームだってできます。もっと言えば、赤ちゃんの時、日本語を勉強したから、テレビを見たり人とお話できるんですね。

で、子どもたち、話聞いてるぅ~!?

「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」

ソボクだけど答えられない質問の答え、「へぇ~」「ふむふむ」「その通り」と納得しながら読めました。自分の子ども時代を思い出して、反省しちゃったりもします(^_^;)

ですが、コレって……。

肝心の子どもに、8人の先生の答えを聞かせても……効果あるんですかね?

(-_-;)

言って聞くなら苦労はしないわけで…

どの先生方も、理路整然とよく分かる「勉強しなくちゃいけない理由」を答えてくださっています。

だけど、この通り言って、話を聞くなら難ないわけで……思うように話を聞いてくれないから苦労するんですよね。

他人に、言って聞かせるのは難しいことですね…。

勉強の意味に気付くその日のために

だからといって、この本は読むに値しないのか?子どもに話して聞かせてもムダなのか?

答えはNOです。

今、勉強の必要性が分からなくても、将来いつか、どこかの瞬間で気付く時が来ます。その時のために、今から種を巻いておくことは無意味ではありません。

「その時」はいつ訪れるかワカリマセン。大人になって、社会人になってから気づく人もいます。それでも遅くはありません。気づいたその日から、勉強すればいいんです。

大人のためのメッセージ

そう、この『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』は、大人への強烈なメッセージです。

「大人はなぜ勉強しなくちゃいけないの?」。

8人の先生方のメッセージは、大人に当てたメッセージに当てはめても、なにも問題なく成立します。

大人はなぜ、勉強してはいけないの?

「子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?」を裏返すと、「大人はなぜ勉強してはいけないの」になります。もちろん、大人が勉強てはいけない理由って……ありません。ですから、この本の表題の裏は成り立たない。

結局のところ、勉強をしなくちゃいけないのは、大人も、子どもも、一緒です。

「生きてるだけで勉強」と言ってしまえば、それまでですけどね(笑)。

大人も子どもも、勉強するとどんなことが起こるのか、勉強する理由を探してみませんか?

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子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?

  • 日経BP
  • 2013/6/20

目次情報

はじめに

[子ども編]

荒俣 宏

人間は動物よりも多くを勉強して生き残った/お父さんお母さんがいうことも1つか2つは聞いてみよう/きらいな勉強は好きなことに無理やり結びつけよう

内田 樹

大人も勉強する理由を本気で考えたことがない/生き延びる力を身に付ける/どうやって仲間と支え合うのかを学ばなければ/勉強するのは「自分のため」じゃない

瀬戸内寂聴

勉強しないと心が栄養失調になる/テストの点数は気にしなくていい/得意なことに気付くと勉強が楽しくなる/本からも「心の栄養」は得られる

坂東眞理子

子どもの頃に勉強の習慣と土台をつくろう/勉強がつまらないなら100点を取ろう/どうしようもないことをやり過ごすことも学ぼう/勉強をするのはお金のためじゃない

福岡伸一

勉強すれば「思いこみ」から自由になれる/人類の歩んできた道を自分の足でふみしめる/たった十数年で3000年以上分のおさらいをする/「大きな問い」は「好きなもの」の形で現れる

藤原和博

人生とは経験値をためるゲームのようなもの/「最強装備」は遊びから手に入れる/クレジットをためればためるほど自由になれる

茂木健一郎

勉強することは自分をかがやかせること/勉強を続けるコツはマイペースを保つこと/学校を利用する気持ちになれば勉強は楽しくなる

養老孟司

「そんなくだらないことを聞くんじゃない!」/勉強とは「山道を登る」みたいなこと/好きなことを思い切りやれば勉強が必要になる/「答え」を知ることよりも考えることが大事

[大人編]

荒俣 宏

動物だって勉強している/人間は一人で生きていけないから勉強する/人間は生き残るために知的欲求を発達させた/「やってみたい」こそが「コンテンツ」集めも最強の動機/「コンテンツ」が増えれば勉強はラクになってくる/マイペースで勉強するのがいちばん身に付く/親のアドバイスが子どものストレスになるジレンマ

瀬戸内寂聴

勉強をしないと「心の栄養失調」になる/子どもの得意なことを見つけてやるのが教育の第一歩/「先生は尊敬すべき人」と教えるべき/子どもはテストの点でなく親の顔を気にしている/1行でも印象に残る文章を見つければ立派な読書

坂東眞理子

「人はパンのみに生きるにあらず」/グローバル社会の処世術を身に付けるには/自分が今ここにいるのは自分の努力のおかげだけじゃない/裾野が広くなければ高い山にはならない/型を破るためにはまず型を覚える/どうにもならないことをやり過ごすのも勉強

福岡伸一

「脳の水路付け」から逃れるために/勉強には人類の文化史が折りたたまれている/教養とは知識の時間軸を持つこと/「小さな問い」に一つ一つ答えていく/大人になれないサルが「大きな問い」を発明した!?「センス・オブ・ワンダー」が人生を豊かにすること/科学と技術は違う。教育と職業訓練は違う

藤原和博

成長社会から成熟社会への移行/情報処理力から情報編集力へ/勉強と遊びの両方が必要/クレジットをためれば自由になれる/クレジットを希少性に投資するとリターンは大きくなる

茂木健一郎

知恵を得る以上に価値のあることは存在しない/「フロー」のサイクルができれば子どもは勝手に勉強する/知識や教養は高性能な脳内ネットワークを形成する/今日こそ日本の教育のベストシナリオを描くチャンス/親がすべきは、子どもの「学ぶ本能」が起動するきっかけづくり

養老孟司

昔なら「くだらないことを聞くんじゃない!」でおしまい/「くだらないことを聞くな」と「そういうもだ」は違う/「勉強したくない」というのが本当のメッセージかも/好きなことを突き詰めればすべての学問に通じる/山道を登り始めればさらに先が見たくなる

おわりに

おおた としまさ

編者

育児・教育ジャーナリスト
All About公式「子育て」ガイドであり、心理カウンセラーの資格、中高の教員免許、小学校教員の経験もある。著書は『忙しいビジネスマンのための3分間育児』『ガミガミ母さん、ダメダメ父さんから抜け出す68の方法』『中学受験という選択』など多数。

日刊Kids+(にっけいきっずぷらす)

日刊キッズプラスは、「親子の時間に笑い声をプラス、なるほど!をプラス、安心をプラス」がモットーのムック。「心の教育」「中学受験をしない選択」「親子の鉄道大百科」などの特集号を発行している。

荒俣 宏(あらまた・ひろし)

1947年東京生まれ。作家。10年間サラリーマン生活ののち独立。百科事典の編集助手をしながら書いた小説『帝都物語』(角川書店)がベストセラーに。神秘学、風水など多くの分野にわたり執筆活動を続ける。著書に『0点主義 新しい知的作業の技術』などがある。

内田 樹(うちだ・だつる)

1950年東京生まれ。思想家。神戸女学院大学名誉教授であり合気道道場・凱風館館長でもある。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『街場の教育論』(ミシマ社)、『下流志向』(講談社)などがある。ブログ「内田樹の研究室」が人気。

瀬戸内 寂聴(せとうち・じゃくちょう)

1922年徳島県生まれ。作家。1956年から戸籍名瀬戸内晴美の名で小説、随筆などを執筆、古典文学の翻訳を手がける。1973年に平泉の中尊寺で得度受戒し、法名寂聴として京都・嵯峨野に寂庵を結ぶ。著書は『瀬戸内寂聴全集』『現代語訳源氏物語』のほか、小説、随筆など多数。現在も執筆活動を続けている。

坂東 眞理子(ばんどう・まりこ)

1946年富山県生まれ。昭和女子大学学長。1969年総理研に入府。内閣広報室参事官、男共同参画室長、埼玉県副知事などを経て、1998年にはオーストラリア ブリスベン総領事となる。著書に『女性の品格』『親の品格』『大人になる前に身につけてほしいこと』(以上PHP研究所)などがある。

福岡 伸一(ふくおか・しんいち)

1959年東京生まれ。生物学者。ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授などを経て現在青山学院大学教授。専門は分子生物学。『生物と無生物のあいだ』(講談社)がベストセラーに。そのほかの著書に『動的平衡』『フェルメール 光の王国』(ともに木楽舎)、『ルリボシカミキリの青』(文藝春秋)などがある。

藤原 和博(ふじはら・かずひろ)

1955年東京生まれ。1978年リクルート入社。営業や広報部門で手腕を発揮。リクルート初の「フェロー」となる。2003年東京都初の民間出身校長として杉並区立和田中学校校長。著書に『坂の上の坂』(ポプラ社)などがある。ホームページ「よのなか net」を運営している。

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)

1962年東京生まれ。脳科学者、理学博士。ケンブリッジ大学を経て、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶応義塾大学大学院客員教授。「クオリア(感覚質)」をキーワードに脳と心の関係を研究する。著書に『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)、『挑戦する脳』(集英社)などがある。

養老 孟司(ようろう・たけし)

東京大学名誉教授。1937年神奈川県生まれ。専門は解剖学。2003年に『バカの壁』(新潮社)がベストセラーに。「脳」「身体」「自然」をキーワードに人間と社会の本質について思索を続ける。著書に『バカな大人にならない脳』(イースト・プレス)などがある。

コメント

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