『言ってはいけない 残酷すぎる真実』|親の言うことをきかない子

「絶対内緒だよ」って頼まれるとソワソしてしまう あさよるです。こんにちは。『言ってはいけない』と言われると、言いたくなるのが人情です。

本書はAmazonランキングでちらほらっと見かけ、そのタイトルのインパクトからずっと気になっていました。しかし「怖い話なのかな?」と心配で読めずにいたのです。読んでみると……決して怖い内容ではありませんでしたw

過激なタイトル…だけど…

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』とかなり意味深なタイトルの本書。目次を見ても〈努力は遺伝に勝てないのか〉〈反社会的な人間はどのように生まれるのか〉〈「見た目」で人生が決まる〉等々、「あえて触れない」話題が並び目を引きます。

あさよるも訝しみながら読んでいたのですが、過激な見出しのわりに、書かれているのは普通というか、〈巷で囁かれる定説〉の延長のような話ばかりでした。煽り文句は目を引きますが、中身は庶民的。

しかし、結論は巷の噂話とはちょっと違ったので、面白かったです。

ただし!本書内で根拠として実験データや統計等が引用されているのですが、正直どこまで信憑性があるのか、あさよるにはわかりませんでした。客観的根拠は乏しいのかな?というのが正直な感想です。

社会の中の〈暗黙の了解〉

巷で語られるが、大っぴらに話すとイラッとするお話。例えば「金持ちの子は頭がいい」とか「美人は得している」とか、「生れた場所で人生は決まっている」とか。

環境要因が人を作る?それとも遺伝的にもう決まっているの?

学力は遺伝するの?

なにをもって学力というのかにもよると思うんですが、本書では〈IQ〉の高さは遺伝することが紹介されていました。しかも、人種や民族によってIQの高さの傾向があるようです。ただ、一人一人を見るとIQが高い人もいれば低い人もいます。あくまで〈傾向〉の話です。

ただ、IQって生涯大きく変わらないと言われるものが、遺伝によって決定されていると知ると……アメリカでもパニックを起こした発表だったそうです。

貧富の差は遺伝するの?

金持ちの子は金持ちになり、経営者の子は経営者になる。そして貧しい家に生まれた子は、貧しい。これもまことしやかに語られる事柄ですね。

実際には、優秀な人は社会的に成功する場合が多く、その優秀さが子に引き継がれている。貧しい人はその逆です。

しかし、ここは単に親から子へ〈遺伝〉が起こっているというよりは、優秀な人は優秀なコミュニティに属し、その子らも優秀な人の集まりの中で育つことが理由なようです。

容姿の格差で収入が変わるの?

「美女は得する」という話はよく聞きますが、紛れもない事実のようです。しかし、容姿が生涯の収入に大きく影響するのはむしろ男性の方だそう。男性の場合、容姿に恵まれないと雇用されにくいらしい。

こんな話を聞くとすごく腹が立ちますが、容姿による収入格差は他ならぬ私達が生み出していることも忘れてはいけません……。社会の中で、整った容姿の人を選んでいるのは私達です。

ちなみに、ここでいう〈優れた容姿〉というのは、顔だちが整っているという意味。モデルや役者のような美麗な美男美女は別枠だそう。

ヒトの動物としての習性

本書では、社会の中にある不平等な格差がなぜ起こるのか、動物としての〈ヒト〉の習性の中に理由を見いだそうとしています。

どれだけ文明が進歩しようと、我々〈ヒト〉の肉体は原始人だった頃とさほど変わっていません。石器を持って生きるように出来ているのであって、偏差値の高い学校を目指したりスマホをイジルように設計されていないのです。

ですから、ヒトの行動をもっと単純に捉えてみようという試みが本書『言ってはいけない』で貫かれていることだと感じました。

親から子へ遺伝する性質

親から子へ遺伝する病気や体質、障害もあります。

アルコール中毒になりやすい人は、遺伝的にアルコールに強い人です。世間には大酒が飲める人、少しだけ飲める人、全く飲めない人がいます。アルコール中毒になるのは大酒が飲める人で、どんどんお酒を大量に飲んでいるうちに、依存症になってしまうということです。

糖尿病が遺伝するとか、ある精神病になりやすい人がいるとか、聞いたことがありますね。ちなみに、遺伝的に〈因子〉を持っていることと〈発病〉することは違います。

オスとメスの機能の違い

そもそも、動物としての〈ヒト〉には男性と女性という性があり、二つは別の特性を持っています。

ヒトは妊娠出産子育てに大きなコストがかかります。肉体的な負担は女性の方が大きいので、男性と女性の間で〈性〉への取り組みが違います。それは社会の中の〈人〉にも影響しています。

男女平等であることと、男性と女性の違いはどこまで考慮すべきなのでしょうか。

群れで生きる

ヒトは群れで生きる動物です。その習性は幼い子供のことから顕著に現れます。

幼い子は親や見知った大人以外には非常に警戒します。しかし、少し年上の子どもにはよく懐き、一緒んで遊んでもらうと喜んだりします。ちょっと年上のお兄さんお姉さんから、遊びや社会性を教わっているようです。

そして、親からの影響よりも、子ども同士の影響の方が遥かに大きかったりします。例えば、外国へ家族で移住すると、幼い子ほど現地の言葉に順応し、そして家族と話す母国語を忘れてしまうこともあるそうです。

子どもは親の影響よりも、同じ子どもから受ける影響の方が大きいのです。社会性を持ち、環境に順応し、群れで生きる〈ヒト〉の習性と言えるでしょう。

子どもは親のいうことを聞かない

「子どもは親のいうことを聞かない」これ、世界の真理ではないでしょうか(笑)。

親は我が子に「勉強をしなさい」「偏差値の高い学校へ進学しなさい」「大きな会社に勤めなさい」と、マジ心から願って促しているんだと思うんです。あさよるは親じゃないですが、大人になった今だったら、若い人に「勉強しても損はない」「高校受験は頑張れ」と言いますもんw

でもね、親の願いは空しく〈親の心子知らず〉。子どもは思った通りに育ちまへーん(笑)。

だって、先にも紹介した通り、子どもは親の影響よりも、子ども同士の影響の方が絶大なんですもん。もし「勉強なんかダサい」って雰囲気のあるコミュニティに属せば、その子は勉強をしないでしょう。

遺伝と育った環境が「わたし」をつくる

「わたし」とは、生まれ持った遺伝的要因が絡まりながら、自分の属すコミュニティが「わたし」を作ります。

大人から子への「〈躾〉や〈教育〉の影響力は乏しい」。これが「言ってはいけない」真実なのです。

もし、子どもが問題を起こしても、親の〈躾〉でなんともならいということ。〈教育〉は貧困や犯罪を抑止しえないこと。それよりももっともっと、当人が属しているコミュニティや社会の影響を存分に受けるのです。

言ってはいけない 残酷すぎる真実

目次情報

まえがき

Ⅰ 努力は遺伝に勝てないのか

1 遺伝にまつわる語られざるタブー

馬鹿は遺伝なのか
依存症・精神病は遺伝するのか
犯罪は遺伝するのか

〔コラム1〕◉遺伝率
〔コラム2〕◉遺伝と犯罪

2 「頭がよくなる」とはどういうことか――知能のタブー

親の収入と子どもの学歴の関係は
人種とIQについてのタブー
差別のない平等社会をつくれないワケ
「知能格差」の真因とは

〔コラム3〕◉ユダヤ人はなぜ知能が高いのか
〔コラム4〕◉アジア系の知能と遺伝

3 知識社会で勝ち抜く人、最貧困層に堕ちる人

経済格差の根源は何か
超高学歴でエリート主義のスノッブたち
強欲な1%と善良で貧しい99%
日本社会に潜む「最貧困層」

4 進化がもたらす、残酷なレイプは防げるか

犯罪は「凶暴な男」の問題
進化のために赤ん坊が殺される
妻殺しやレイプを誘発する残酷な真実
オランウータンもレイプする
夫婦間のレイプはなぜ起こるのか?

〔コラム5〕◉実の親と義理の親の子殺し
〔コラム6〕◉家庭内殺人と血縁

5 反社会的人間はどのように生まれるのか

こころを支配するもの
心拍数と反社会的行動の因果関係
犯罪者になる子ども、実業家になる子ども
「発汗しない子ども」は良心を学習できない
「賢いサイコパス」と「愚かなサイコパス」
少年犯罪者や異常性欲者への驚愕の治療法
脳科学による犯罪者早期発見システム
子どもの選別と親の免許制
非科学的な人権侵害よりも脳科学による監視社会を

〔コラム7〕◉犯罪と妊娠の喫煙・飲酒

Ⅱ あまりに残酷な「美貌格差」

6 「見た目」で人生は決まる――容貌のタブー

写真から性格や未来がわかる
外見から知性は推測できる
「最初の直感」の的中率
「面長の顔」は「幅の広い顔」に殺されている
顔だちによる残酷するぎる損得

7 あまりに残酷な「美貌格差」

美人とブスでは経済格差は3600万円
「美貌格差」最大の被害者の顔とは
容姿による差別を生む市場原理

8 男女平等が妨げる「女性の幸福」について

「男と女は生まれながらにちがっている」
男と女は別々のものを見ている
「男らしさ」「女らしさ」の正体とは
「母性愛」のもと、オキシトシン
男女で違う「幸福の優先順位」

〔コラム8〕◉女子高ではなぜ望まない妊娠が少ないのか

9 結婚相手選びとセックスにおける残酷な真実

一夫多妻と一夫一妻はどちらが得か
メスの狡猾な性戦略
避妊法の普及が望まない妊娠を激増させる
低学歴の独身女性があぶれる理由

10 女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか

ヒトの本性は一夫一妻
睾丸とペニスの秘密
女性の性衝動は弱いのか?
チンパンジーとボノボ
農耕社会がすべてを変えた?
女性がエクスタシーで叫ぶ理由
フリーセックスのユートピアは遠い

Ⅲ 子育てや教育は子どもの成長に関係ない

11 わたしはどのように「わたし」になるのか

双生児の奇妙な類似
「高貴な血」と「穢れた血」
遺伝するもの、しないもの
「こころの遺伝」の明暗

12 親子の語られざる真実

「氏が半分、育ちが半分」の真偽
言語・宗教・味覚にまつわる遺伝の真相
子どもはなぜ親のいうことを聞かないのか

13 「遺伝子と環境」が引き起こす残酷な真実

同じ遺伝子でもちがう正確になるケース
「選抜された22人の少年たち」の実験
黒人少年が生き延びるたったひとつの方法
英才教育のムダと「バカでかわいい女」

あとがき

橘 玲(たちばな・あきら)

一九五九(昭和三四)年生まれ。作家。小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』のほか、ノンフィクションも著し、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』はベストセラー。『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』『「読まなくてもいい本」の読書案内』など、著作多数。

コメント

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