茂木健一郎『最高の結果を引き出す質問力』|大人のゲームを始めよう

『最高の結果を引き出す質問力』挿絵イラスト リーダーシップ

こんにちは。話し下手の あさよるです。考えてみると「上手に話そう」と力みすぎて空回ってるんですよね。で、よく「話し上手は聞き上手」と言うように、ホントは「上手に聞く」ことに努めなければなりません。しかし「話を聞く」というのは、難しいものです。人の話を上手に聞く人は、上手に質問をする人です。失礼なことを聞いては、相手の心を閉ざしてしまうだけですから、コミュニケーション上手は質問上手なんだろうと思います。

今日手に取ったのは茂木健一郎さんの『質問力』です。この本では、コミュニケーション上の「質問力」のみならず、人生を変え、脳の可能性を広げる「質問力」です。日常の業務や私生活にも役立つスキルなんです。あさよる的にはレベル高すぎてビビったんですが、でも「良い質問」ってそれくらい意味があることなんでしょう。

いい質問をする>答える

日本の学校では「先生が質問をして生徒が答える」「テストの問題に予め用意された答えを記入する」という訓練を受けます。そのせいか「質問に正しく答える」ことが能力だと考える傾向があります。しかし、「質問を考える」ことこそが、とっても大事。

例えば、世紀の難問「フェルマーの最終定理」は、17世紀の数学者・フェルマーが提示した「フェルマーの最終定理」について300年以上にわたり数学者が「答え」に悩み続け、やっと1995年になって「答え」が導き出されました。答えを見つけた人ももちろんすごい人なんですが「フェルマーの最終定理」と呼ばれるように、問いを立てたフェルマーの名前が世に知られています。詳しくは以下の記事を。

世界では「問題を解いた人」よりも「問題提起した人」のほうが偉いという考え方がある

―p.49

子ども時代は「答える」という訓練を受けてきましたが、大人になるともっとスゴイ「質問する」という課題のチャレンジが始まるのですね。さすが大人、レベル上がってるなあ。

世の中に「正解」があると思ってる?

子ども時代の学校の話の続きですが、先生が生徒にする質問はあらかじめ答えがあります。テストの問題もそうですよね、答えが事前に用意されていて、出題者の意図を組んで「当てる」と点数がもらえます。だから、子ども時代のスキルのままだと「問題には答えが一つだけある」と思い込んでいる人がいます。

しかし、実際には答えが複数あることもありますし、あるいは「答えがない」こともあります。さらに「答えはまだ見つかっていない」こともあるし、「自分で答えを探す」こともあります。子ども時代よりもより難しい問題に挑戦しているんです。なのに「答えが一つだけある」と、幼いころの意識のままだったら……生きるのが大変ですよね。仕事は答えのない課題ばっかりだし、私生活も家庭内の問題も、誰も答えを用意してくれないのに、問題ばかり山積みです。

本書『質問力』は、大人の課題「良い質問」とはなにか、どうやって「よい質問」をするのかを、脳科学的な話を交えながら紹介するものです。

あきらめない!

上手くいかないこと、納得できないことを「仕方ない」と諦めている人に朗報です。質問力とは、諦めずに「どうして?」と問い直すことで身に付きます。ここでのポイントは、あきらめずに考え続けたからと言って「必ずたった一つの答えがある」ワケではないことです。だから、もしかしたら延々とずっと同じこと考え続けるかもしれません。

「答えが一つとは限らない」というのは否が応でも「多様性」を認めることにつながります。それは、他人が自分と違った価値観や思想を持っていても「そういう人もいる」と考えられることでもあります。もし今、自分と違うものを受け入れられないのなら、変化のチャンスがあるということです。

そして、なんといっても「失敗する」ことができるようになります。かつて子ども時代は「用意された答えを当てる」ゲームをしていましたから、ハズレを選ぶと失敗です。しかし、大人のチャレンジは、答えがいくつあるのかわからない、無いのかもしれないので、なかなか失敗できません。もし「失敗することは悪いこと」「失敗するのが怖い」と思っている人がいれば、違うゲームを始めるのをオススメします。

「なんで?」から始まる

子どもは「なんで?」「なんで?」と質問を連発します。「なんで雨は降るの?」「なんで勉強するの?」「なんで立って食べちゃダメなの?」なんて具合に。あさよるもそうでした。きっとみなさんそうでしょう。あんまり「なんで?」「なんで?」と言いまくっていると、親に呆れられて「うるさい」とか「しつこい」とか言われても、それでも懲りずに疑問は沸き起こり続けます。

「質問力」ってきっと、素朴な「なんで?」「なんで?」を繰り返すことが全てなんじゃないかと思います。それは「好奇心」とか「興味本位」とも言いますし、「遊び」とか「夢中になる」とも言えるでしょう。失敗が怖くなくなるのは、単に楽しいことに没頭している状態だからなのかもしれません。失敗の意味が変わるかも。

『質問力』というと、良い問いをして相手から有益な情報を引き出すことだと想像していました。結果的に自分が得をする話です。しかし、茂木健一郎さんの話を読むと、「質問力」とは自分自身がワクワクして楽しいことが増えることだと解釈しました。生きるのが楽になるどころか、楽しくなるって、いいね。

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茂木健一郎さんの本

「よい質問」ための本

アイデア・考え方の本

最高の結果を引き出す質問力:その問い方が、脳を変える!

目次情報

はじめに 質問は現状を大きく変える力

1章 質問は人生を変える

いい質問ができる人はどういう人か
問題を提起できる人が偉い
イノベーションを興す質問
思いついたアイデアをすぐやってみる
なぜ日本人は質問が下手なのか
世の中には正解はない
頭のいい人は自分に質問する
科学的真実は絶対ではない
質問力は誰でも鍛えられる
自分の頭で考える

2章 質問力とはなにか

質問と疑問は違う
自分の中の違和感に気づく
感情と論理の橋渡しをする
誰の人生にも偏りがある
自分の感情に気づくレッスン
質問とは自分との対話
自分自身をメラ認知する
いい質問ができれば、答えは半分出たようなもの
人生の選択肢を広げるツール
世の中には三つのタイプがいる

3章 いい質問、悪い質問

知識と教養は違う
質問とはカウンセリング力
あなたの質問はナイーブかもしれない
ソクラテスならこう聞く
悪い質問①正解を直接求める
悪い質問②おススメを聞く
悪い質問③相手に同意を求める
悪い質問④相手を問い詰める
悪い質問⑤どちらかを選ぶ
いい質問①空気を変える
いい質問②相手の経験を聞く
いい質問③好きなものを聞く
いい質問④本心に気づかせる
いい質問⑤自分の生き方を問う
いい質問をするためのキーワード
子どもの「なぜ?」にどう答えるべきか

4章 質問は脳の可能性を広げる

質問をするとき脳はどう機能しているのか
脳は他人の心を読み取れる
脳は細かいところまでよく見ている
記憶を蓄えて予測する
意識に無意識の邪魔をさせない
しっくりくるまで時間をかける
脳は新しいことにすぐ慣れる
脳の強化学習を利用する
創造性を高める脳のバッチ処理

5章 質問力をさらに高める8つのアクション

質問力は一日にしてならず
質問力を高めるアクション①お茶を飲む
質問力を高めるアクション②思考をアウトプット
質問力を高めるアクション③繰り返す
質問力を高めるアクション④正直になる
質問力を高めるアクション⑤欠点を指摘する
質問力を高めるアクション⑥締め切りをつくる
質問力を高めるアクション⑦むちゃぶりをする
質問力を高めるアクション⑧芸術を見る

6章 日常生活で活かす質問術

脳内質問でトレーニングする
世界で活躍できる人になるために必要な質問
自分が越えられない壁を乗り越えるための質問
原因を究明するときの質問
自分の望みがかなわないときの質問
将来なにをしたらいいのか分からないときの質問

おわりに ブルー・オーシャンの時代を生きるために

現状を変えるための質問

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)

1962年東京生まれ。脳科学者。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学、大阪大学非常勤講師。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4章小林秀雄章、2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞受賞。他の著書に『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』(学研プラス)『頭は「本の読み方」で磨かれる』(三笠書房)『脳を最高に活かせる朝時間』(河出文庫)等がある。

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