こんにちは。あさよるです。仕事をしていて困ったなあと感じることってありますが、誰に相談していいのかわからない時もっと困ります。あさよるは幸いにも(?)困った時は「困った困った」と言いまくるタイプなので、誰彼なしにアドバイスを貰えることが多かったのですが、誰にも言えないと困ってしまいます。
今回手に取った『職場の問題地図』は、社会人歴が浅い人向けの、職場での問題解決法が紹介される本です。新社会人の人や、新人に対応する立場の方にオススメです。自分で問題を抱えてしまい誰にも相談できずにいる人は、本書を読んで「伝える」「確認する」作業を見直してみるとよいでしょう。
本書『職場の問題』の良いところは、ユーモアのあるイラストや図解がたっぷりあって、眺めているだけで面白いところです。普段、本を読む習慣のない人でもとっつきやすいよう工夫がなされています。
働き方「なんかおかしい」なら問題地図を
本書『職場の問題地図』はまだ会社員歴の浅い人に向けられた、困った時のお助け本です。困ったケース別の対応方法が紹介されています。なんとなく「やりにくい」「つらい」「苦しい」「もしかしてブラック?」と気になっている人は、本書を当たってみると良いかもしれません。
基本的に本書で紹介されているのは、自分の仕事の仕方に問題がある場合の対処法です。そもそも会社に問題があったり、パワハラ上司がいる場合は、自分ではどうもできないので、他の解決法が必要です。
本書では、例えば「資料作って」と頼まれて、完成させて持っていくと「グラフはこうしてほしい」「書式を変えてほしい」と差し戻しされて、仕事が溜まっていく場合。大事なのは、小まめに相手に相談することです。「グラフはこのデータを使いますよ」「書式の見本を作ったから見てください」と、小まめに進捗状況を報告することで、その都度相談しながら、軌道修正できなす。
以上のような、日常の業務の中で「すれ違い」「思い違い」「思い込み」によって業務を遅らせる原因を減らしていくのが『職場の問題地図』です。
結局、ホウ・レン・ソウ
本書の内容を簡単にまとめちゃうと「ホウレンソウ」は大事ということ。職場内の行き違いは、大概連絡ミス、確認不足で起こってしまいます。先に紹介した「手戻り」が起こってしまうのも、小まめな報告不足で、時間をかけて完成してから相手に見せるから、修正も大きくなってしまうのです。
上司と部下の間で、意識のズレがあることもあります。指示されたら、その指示の目的をきちんと確認しましょう。もちろん、上司の側が伝え下手な場合もあります。だから確認が大事です。完成イメージや、ゴールを明確にしましょう。また、その業務を仕上げる「期限」と「ステップ」の確認も入念に。
本書では、仕事の要素を5つにまとめていました。
まとめると、仕事は次の5つの要素で成り立っています。仕事を受ける時(あなたが上司ならば依頼する時)は、この5つを相手と意思合わせしましょう。
①目的
その仕事は何のために、だれのために行うのか?
②インプット
その仕事を進め、成果物を生むためにどんな情報・材料・ツール・スキルなどが必要か?
③成果物
生み出すべき完成物あるいは完了状態は? 期限は? 提出先は?
④関係者
巻き込むべき関係者・協力者は? インプットはだれ(どこ)から入手すべき? 生活物はだれのため?
⑤効率
その仕事のスピードは? 生産量は? コストは? 人員は? 歩留まり(不良率)は?
p.34-35
この「5つの仕事の要素」を明確にすることが、本書を通してのテーマです。
マネージメントが悪いこともある
本書『職場の問題地図』は、自分の伝え方を変えるためのものです。しかし、実際に職場でのトラブルは、そもそも管理の問題がある場合もあります。例えば、人員が適材適所に配置されていなかったり、能力に合わない業務をあてがわれた場合、業務の滞りが起こります。
また、2:6:2の法則で、どんな集団でも、優秀な2割と、普通の6割、そして仕事をサボる2割に分かれてしまいます。サボっている人の仕事を、優秀な人に押し付けていると、全体のやる気が落ちてしまいます。これも、個人ではどうしようもない問題です。ただ、黙って我慢すればよいのではなく、困っていることを言葉で伝える必要があります。
伝えなきゃ分からない
本書『職場の問題地図』は、職場で個人ができること、特に新人ができることを紹介するものです。なんとなく「嫌だな」「なんで自分ばっかり」「なんかおかしい」と感じているなら、それをきちんと「伝える」重要性が紹介されているのです。
それは、不満も言葉にして伝えないと、わからないからです。
また、本書は部下に仕事を「伝える」立場の人にも有益です。「伝え方」に問題がある場合もたくさんありますし、話がうまく伝わっていない部下に対しての対策にもなるからです。
やり方を見直そう・現場の改善は全体の利益になる
日本人の、特にベテランほど業務のマニュアル化を嫌がるそうです。その理由を3つ挙げられています。
①結果承認欲求
②行動(プロセス)承認欲求
③存在承認欲求
一つずつ紹介します。①の結果承認欲求は「自分の行動の結果を認められたい」欲求です。②の行動(プロセス)承認欲求は、自分の行動そのものを褒めてほしい欲求。③の存在承認欲求は自分の存在そのものを認めてほしい欲求です。
仕事をマニュアル化するというのは「他の人も同じ手順で業務ができる」ようにすることです。すると「自分じゃないといけない理由」がなくなってしまうようで、ベテランほど拒絶してしまうのです。
しかし、明確にマニュアル化されていない業務の引継ぎは、コストが高く無駄な業務も多いのが実情です。歴代の担当が、こだわりや好み・趣味でやっていたことまでどんどん引き継がれていくので、本当に必要な業務は少し、あとは意味の分からない手順がそのまま引き継がれていることも。過去の悪習はキッパリ断ち切って、必要な業務にスリム化するのも、大事な仕事です。
また、嫌な作業・業務ほど、マニュアル化しちゃいましょう。
過剰サービスに陥ってしまうのも同じような理由です。良かれとやったサービスが、アダとなってしまいます。「なにを」「どこまで」やるのかを明確にしましょう。
定義→測定→報告→改善サイクルを回そう
業務が上手く回っていない状態とは、
・インプットが成果物に変換されるスピードが遅い(=決められたサービスレベルを満たしていない)
・ミスや手戻りが多い
・長時間労働・業務量過多
・なんだかよくわからないけれど、インプットを与えれば、とりあえず成果物は出てくる(箱の中身が不明。いわゆる属人化)p.208
最後の「なんだかよくわからないけれど、インプットを与えれば、とりあえず成果物は出てくる」とは、マニュアル化されておらず、どのように業務がなされているのかわからないけれど、ある人に頼むとそれなりの成果物が出てくる状態です。マニュアル化されていないので、引継ぎができず、他の人には何がどうなっているのかわかりません。
これらを改善するためにはどうすればよいのか? それは……残念ながら明確な答えはありません。なにを問題とし、どう解決したいのかはケースバイケースだからです。
しかし、目に見えないもの、定義できないものを改善することはできません。だからと言って、なんでもかんでも定量化するのは、人間関係にヒビが入ることもあります。必要項目を決めて定量化することも大切です。
結局のところ「定義→測定→報告→改善サイクル」を回すしかありません。
業務がきちんと回り続ける状態にするには、定義→測定→報告→改善→のサイクルの構築と維持が大事です。
何を測定するのかを定義し、日々業務の測定をする。
それを上司や経営層に責任を持って報告し、改善につなげる。この繰り返しが、あなたの職場とメンバーを仲良くします。個人の気合と根性任せの働き方から脱却するためにも、一歩踏み出し、あなたが率先してこのサイクルを回しましょう。
p.213
個人の働き方が、職場のメンバーの働き方を変えるんだというのは、大事なことですね。自分が気合と根性で、誰にも問題を報告せず背負い込んでいると、職場の雰囲気を悪くすることにもなります。自分の振る舞いに責任を持つことが求められます。
仕事をはじめたばかりの人へ
本書『職場の問題』は、新人で社会人を始めたばかりの人にオススメな本です。「上司と上手くいかない」「もしかしてイジワルされてる?」「これってブラック?」と思ったら、本書を読んでから判断してみてもよいでしょう。パワハラやブラックではなく、単にコミュニケーションがうまく取れていない場合もあるからです。
社会人は、子ども時代や学生時代とは違ったスキルを求められています。最初は誰もうまくできません。なるべく、わからないことを相談して、小まめにチェックを頼んで、自主的に定義→測定→報告→改善→のサイクルに努めてみましょう。
イラストや図解が多くて、上司や先輩が、新人に話をするときの資料にも役立つと思いました。
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職場の問題地図 「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方
目次情報
はじめに なぜ、日本の職場の生産性はいつまで経っても低いままなのか?
1丁目 手戻りが多い
なぜ手戻りが発生するの?
手戻りは上流で防げ!~成果物のイメージ合わせと報連相設計がカギ
5つの要素で仕事をとらえる2丁目 上司・部下の意識がズレてる
①そもそも、その仕事の目的はなにか?
②インプットはなにか?
③成果物のイメージは合っているか?
④本当のお客さんはだれか?~ラスボスを確認しよう!
⑤進め方を提案しよう!
コラム 在宅勤務など、新しい働き方に適応するためにも3丁目 報連相できていない
部下の伝えるスキルが低い
上司の受け止めるスキルが低い
報連相をする場やルールがない4丁目 無駄な会議が多い
無駄な会議を取り巻く5つのヤツら
「無駄な会議」と「会議の無駄」を減らす4つの対策
マインドを変えるには、プロセスを変える
会議のマネジメントも「仕事の5つの要素」に当てはまる
コラム 会議のちょっとした工夫で従業員満足は上がる5丁目 仕事の所要時間を見積もれない
あなたが所要時間を即答できない2つの背景
悲しき「3ナイ」連鎖~共通プロセスがナイ、測定できナイ、改善しようがナイ
所要時間を見積もれないと、どうなっちゃうの!?
「一時作業」と「繰り返し作業」の識別ができているか?
「松竹梅」を示せるか?
コラム 空港バスのひと工夫~測定が信頼を生む6丁目 属人化
属人化はなくならないさ、人間だもの
人はなぜ「脱属人化」「マニュアル化」を嫌がるのか?
目には目を、歯には歯を、承認欲求には承認欲求を!
「良い属人化」か「悪い属人化」かを見極める
「悪い属人化」から脱出しよう~優先度&属人度マトリクス
マニュアルは引き継ぎのときに作ってしまえ!
「前任者の趣味やこだわりで続いていた無駄な作業」を切り捨てよう
コラム 嫌な仕事ほどマニュアル化しよう7丁目 過剰サービス
「前の人はやってくれたのに、なんでやってくれないの?」
過剰サービスはなぜ生まれるのか
そもそもコミュニケーションがとれていれば……
ちょっとした善意や正義感が裏目に出る8丁目 「何を」「どこまでやればいいのか」が曖昧
「あのさ、そっちでやってもらえないかな?」と断れない悲劇
「曖昧」を生み出す3つの問題
きちんと業務を設計・管理するための4つのステップ
サービスレベルを設定しよう
サービスレベルを告知・浸透させよう
サービスレベルを測定しよう9丁目 仕事をしていない人がいる
「仕事をしていない人」はこうして生まれる~個人の問題・人事の問題でフタをしないで!
仕事をしない人を生む5つの原因
仕事をしない人が、新たな仕事をしない人を生む
コラム 2:6:2の法則を受け入れよう10丁目 だれが何をやっているのかわからない
なぜ、「だれが何をやっているのかわからない状態」が生まれるのか
「だれが何をやっているのかわかららない状態」が生み出す5つの病気
お金をかけなくったって、コミュニケーションの「場」づくりはできる
「もったいない!」の気持ちで問題に取り組もう」11丁目 実地が上司や経営者に伝わっていない
現場レベルの改善にには限界がある
結果「しか」報告していないから……
どんどん下がる現場のモチベーション
報告すべきは「プロセス」だ!
何を測って報告すべきか?
定義→測定→報告→改善のサイクルを回すのだ!おわりに
沢渡 あまね(さわわたり・あまね)
1975年生まれ。あまねキャリア工房 代表。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。
日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社などを経て、2014年秋より現業。企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演・コンサルティング・執筆活動中などを行っている。NTTデータでは、ITサービスマネージャーとして社内外のサービスデスクやヘルプデスクの立ち上げ・運用・改善やビジネスプロセスアウトソーシングも手がける。
現在は複数の企業で「働き方見直しプロジェクト」「社内コミュニケーション活性化プロジェクト」「業務改善プロジェクト」のファシリテーター・アドバイザー、および新入社員・中堅社員・管理職の育成も行う。これまで指導した受講生は1,000名以上。
著書に『新人ガール ITILを使ってチーム改善します!』『新入社員と学ぶ オフィスの情報セキュリティ入門』(C&R研究所)などがある。趣味はドライブと里山めぐり。
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