どこでも勤まる人になろう!
Amazon ビジネス書部門ランキングで気になった
Amazon の部門別のランキングをたまにチェックします。今回の『採用基準』も、そこで出会いました。タイトルも、気にならない人はいない言葉ではないでしょうか。
著者は、マッキンゼー人事部を務めた方で、噂では人気ブロガーさんだと言うのです。
ダブルで気になって、読み始めました。
リーダーシップこそが何より大切
『採用基準』で繰り返し述べられるのは「リーダーシップの大切さ」です。
リーダーシップのある人は、生まれつきにリーダーシップを持っているわけではありません。誰もが、後天的に身につけてゆくものなのです。
日本人は「リーダシップ」を誤解している
「船頭多くして船山に登る」ということわざがあります。船に船頭が何人もいれば、それぞれ指示が食い違って、挙句は山に登ってしまうという故事です。
日本人が「リーダー」を想像する時、このような船頭を想像してしまいがち。リーダーシップのある人材は、組織に一人は必要ですが、複数人居ればトラブルの元だと信じています。
これは、「リーダー」と「自分勝手」が混同されているからです。故事の船頭たちはみな、自分勝手だから収集がつかなくなるんです。
『採用基準』では、そのような日本人的なリーダー感ではなく、真のリーダーを想定しています。
真のリーダーシップ!?なにそれ!
リーダーシップがあるといことは、簡単にいえば、自分の責任のもと物事を判断できることです。
自分が司会をしている会議が長引きそう…時間通り打ち切る?延長する?別の日に持ち越す?こんなとき「上司に聞いてみます」と言うのは、リーダーシップのない人です。
自分の判断で、自分の責任のもと、独断で決定します。
PTAの集まりなのに、お菓子の数が人数分たりない。どうやって分配しよう…。このような問題に答えはありません。きっとどんな判断をしても文句をいう人が必ずいるもんです。
「他の人に従う」という選択肢ではなく、「自分で決める」という決断がリーダーシップです。
こういう風に言われると、「あれ?自分もリーダーシップあるかも?」とか「あの人はリーダーシップがある人だ」と思い当たるんじゃないでしょうか。
地頭、論理的思考はあって当然?
「地頭より 論理的思考より 大切なもの」とサブタイトルにありますが、これらが不要だと言っているのではありません。
逆に「あって当然のもの」として扱われています。
しかし、これらは特別な人に宿るものではなく、小中高と、学校教育をきちんと修めていれば身についていること。日本の教育は問題も指摘されつつも、それでも今なお世界トップレベルであることは変わりません。
すべての日本人が高水準の教育を受け、さらに多くの人たちは高等教育まで終了しているのですから、前提条件は満たせていると考えられるのですが……。
時間とともに忘れてしまうことも多いですし(多すぎです…)、常にバージョンアップし続ける労力は必要なのかもしれません…(-_-;)
今更読んでも、どうしようもない感?
リーダーシップってこういうことか!と納得できて、オモシロイ読書ではありました。
しかし、今更それに気づいても「どうしろって言うんだ…」と途方に暮れてしまう感も。
もっと若いうちに、こんな考え方や世界に触れておきたかったなぁと思います…。
中学生、高校生に読んで欲しい
10代の現役中学生、高校生世代には、外国企業の考え方や、世界の基準を知っておくととても良いと思います。
従来通りの日本企業へ就職を希望したとしても、「それしか知らない」と「自分で選択する」のは違いますからね。
また、なぜ勉強しないといけないのか?
進学するならば、なぜ偏差値の高い学校を狙うのか?
漠然としていることが、明確になるでしょう。
リーダーが集まれば、もっといい!
「船頭多くして船山に登る」のネガティブなリーダー感は、すっかりなくなりました。思い込みが取り除かれただけでも、『採用基準』を読んで良かったなぁと思います。
さらに「リーダー多くして船山に上らない」どころか、リーダーが多いほうが、より良い結果が得られます。
リーダーは、全体を把握して、自分の責任のもと、最も妥当だと思われる判断を下します。ですから、人数が多ければ多いほど、自由に意見を交わし合い、その中から全体の利益になりうる決断を下します。
地頭と論理的思考はあって当然の集団ですから、活発な意見交換は、必ず良い話し合いになりますね(*^^*)♪
「今更リーダーシップについて知ってもどうしようもない…」と思いつつも、リーダーシップがどんなものか知れば、今後の行動は大きく変わります。
wktk!
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採用基準 地頭より論理的思考より大切なもの
- 伊賀泰代
- ダイヤモンド社
- 2012/11/9
目次情報
序章
マッキンゼーの採用マネージャとしてマッキンゼーでの一七年間
バブル期の金融業界でMBA留学を決意
「アメリカ人に世界を教える」ビジネススクール
コンサルティングより人材育成システム
新しいポジションを自ら設計・提案第1章
誤解される採用基準人気の高まりと誤解の拡大
誤解その1:ケース面に関する誤解
誤解その2:“地頭信仰”が招く誤解
誤解その3:分析が得意な人を求めているという誤解
誤解その4:優等生を求めているという誤解
誤解その5:優秀な日本人を求めているという誤解
Column 東京大学における法学部と経済学部の学制の格差第2章
採用したいのは将来のリーダー問題解決に不可欠なリーダーシップ
リーダーシップは全員に必要
将来のリーダーを採用するという戦略
スクーリング基準と採用基準の違い
Column 保守的な大企業で劣化する人第3章
さまざまな概念と混同されるリーダーシップ成果主義とリーダーシップ
成果より和を尊ぶ組織
救命ボートの漕ぎ手を選ぶ
役職(ポジション)とリーダーシップ
マネージャー(管理職)、コーディネーター(調整役)
雑用係、世話係
命令する人、支持する人
Column 能力の高い人より、これから伸びる人第4章
リーダーがなすべき四つのタスクその1:目標を掲げる
その2:先頭を走る
その3:決める
その4:伝える
Column マッキンゼー入社を目標にする困った人たち第5章
マッキンゼー流リーダーシップの学び方カルチャーショックから学ぶ基本思想
基本動作1:バリューを出す
基本動作2:ポジションをとる
基本動作3:自分の仕事のリーダーは自分
基本動作4:ホワイトボードの前に立つ
できるようになる前にやる
自分のリーダーシップ・スタイルを見つける
Column ホワイトカラーも海外流出?第6章
リーダー不足に関する認識不足組織的・制度的な育成システムが必要
絶望的な「グローバル人材」という言葉
「優秀な人」の定義の違い
カリスマリーダーではなく、リーダーシップ・キャパシティ
非常時の混乱、財政難の根因となるリーダー不足
Column 不幸な海外MBAへの企業派遣制度第7章
すべての人に求められるリーダーシップあらゆる場面で求められるリーダーシップ
上司の判断を仰がない若手コンサルタント
リーダーシップは学べるスキル
分散型意思決定システムからの要請
Column リーダー養成に最適なNPO終章
リーダシップで人生のコントロールを握る問題が解決できる
成長が実感できる
自分の世界観が実現できる
世界が広がる
変わっていくキャリア意識
価値観転換機関としてのマッキンゼー
広がる世界で人生のコントロールを握るあとがき
伊賀 泰代(いが・やすよ)
キャリア形成コンサルタント。兵庫県出身。一橋大学法学部を卒業後、日興證券引受本部(当時)を経て、カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスにてMBAを取得。1993年から2010年末までマッキンゼー・アンド・カンパニー、ジャパンにて、コンサルタント(アソシエイト、エンゲージメント・マネージャー)、および、人材育成、採用マネージャーを務める。2011年より独立。現在は、キャリアインタビューサイト MY CHOICE(http://igayasuyo.com)を運営し、リーダシップ育成やキャリア形成に関する啓蒙活動に従事する。
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